トライアドプリムスと腐れ縁Pたち   作:輪纒

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ある日のTP

『死んでみたことってある?

 

 

 

 

 まぁ、普通はないよね。

 

 

 

 

 でも、僕はあるんだ。一回、いや二回かな。

 

 

 

 

 あぁでもどうなんだろう、一回目は死にそうなところを助けられたしもしかしたら死んだことに含まれないのかもね。まぁどうでもいいか。

 

 

 

 

 なんでこんなことを考えているかって言うと、僕はもうすぐ二回目の死を迎えるところなんだ。

 

 

 つまりこの考えていることは誰に伝わるわけでもないし、伝える気もない。

 

 そうだね、最期なんだし何か願いでも叶うとしたら、僕を殺したあいつらが死んでくれることを願おうかな。』

 

 

 

 そこで意識は消えるはずだった。

 

 意識は消えていた、というよりかは沈んでいたのかな。なんていうか、沈んでいた意識を何かに引っ張られたように目覚めたんだ。

 

『ここは・・・』

 

 声を出してみるが声は出ない。

 

 一番近いのは、水の中で声を出しているかのような感覚。声を出しているのだけれど、それがよく通らない。

 

 あたりを見回してみる。しかし見回すことができない。目線が動かないのだ。それどころか何も見えない。朱色を帯びた光がまばゆいばかりに目の前を覆っている。それは不思議なことにどこかへ流れているように見え、目を瞑っても、開いていても見えたままで変わらない。というか目を瞑れないのだが。

 

 不思議に思い、自分の腕を上げてみる。しかし腕は上がることがない。まるで存在しないかのように。

 

 この感覚を、この状態をどこかで味わったことがある。記憶の中を探ってみるが上手く思い出せない。

 

 それどころかさっきまで何をしていたのかも思い出せない。自分の名前は?どこで生まれた?何をして、どう生きていた人間だった?いや、そもそも人間だったのか・・・?

 

 そんなことを考えていると視界がぐにゃりと歪んだ。そして意識がどこかへ流れていく。まぁいいかな。どうせ名もわからない存在だ。消えても構わないだろう。

 

『・・・・・』

 

 ・・・?どこかから声がする。先ほどまで何も聞こえなかったはずなのだが。

 

『・・・ン・・』

 

 どこか聞いたことがある声だ。そしてこの声を聞いていると心がざわついてくる。

 

『シン・・・』

 

 やめろ、やめてくれ。何故かはわからないけど『僕』にその声を聞かせないでくれ!

 

『シンク・・・』

 

 

 その瞬間、流れていた意識が全て元の位置に、あるべき位置に戻った。同時に四肢の感覚が現れてくる。腕を上げてみると見えないが、空気のようなもの切りながら上がっている感覚がある。しかし、相変わらず視界は朱色の光のままだ、だがどこか朱色が薄れて光の粒が流れているような状態になっていた。そして記憶もすべて戻ってきてしまった。忌々しいことだが自分の名で思い出すとはね、しかもアイツの声で・・・。

 

 とりあえずどこかへ動いてみようとするが、体をどう動かせば進めるのかがわからない。手を掻いてみても進まない。まるで空中に浮いてる中で泥にまみれているような感覚だった。さらに上下左右が光の粒で満たされているため自分がどの方向を向いているかもわからなくなる。

 

 どうしようもないのでぼーっとしていると急に光の粒が不規則な動きを始めた。今までの流れとは全く違う。まるで何か大きなものが入った水のように放射状に散っていく。

 

 その大きな何かはスピードをかなり出して近づいてきているのか、次第に散っていく光の粒も速度を増していく。そしてその光の粒に押されるように僕の体も徐々に押し出されていく。

 

 よく見ると何かが遠くで動いている。そしてそれは人の形をしている。人の形をしてはいるのだが全身を光で覆われているため、男か女かも、老人か若者かも、ひいては表情すらわからない。というか顔のパーツが何ひとつわからない。しかし、遠くからでもわかるがその人型の何かは腰ほどまであるかと思われる、目を奪われるほど煌いている朱色をしていた。それは何度も見たことがあるレプリカに酷似していた。

 

 その人型は表情はよく見えないがこちらに気づいたようで、ふっと姿を消すと僕の目の前に急に現れた。

 

『この記憶粒子(セルパーティクル)の海の中で意識を保っていられるとは驚きだな』

 

 僕はこの人型が喋ったことに驚いていた。いや、口も何もないしどこから喋っているのかまったくわからないが声が響いてるので喋っているということにしておこう。

 

 というかこの光の粒は予想は出来ていたけど記憶粒子だったのか。

 

『ふむ、それほどまで驚愕することか』

 

 僕はそこで気づかされたが、どうやら僕には顔があるらしい。驚愕の表情でも浮かべていたのだろう。ということは試していなかったが喋れるのかもしれない。

 

『――――。――――――』

 

『ふむ、どうやら話すことは出来ないのか。ならば喋ることを出来るようにしてやろう』

 

『―――あ。はぁ、やっと喋れるよ』

 

 生前もため息をつくことは多かったが、まさか死んだ後もため息をつくことになるとはね。

 

『しかも記憶まで保っているのか。これはかなり稀有な例だ。強靭な意思がそうさせたのだろうな』

 

 

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