PMC探偵・ケビン菊地  鉛の刻印   作:MP5

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 トライデント・アウトカムズの主な仕事

 探偵(浮気調査・ペット探し・証拠探し等)

 特別警備(護衛・凶悪犯の無力化・未成年者の更生等)

 


18話 伏線

 宏美はこの日、本屋に入り女性週刊誌を立ち読みしていた。自分の記事とライバルの地元出身の記者の記事を見比べている。

「同じ祭りを題材にした記事でも、地元とよそ者じゃあ見る箇所が違うわね。私のようなよそ者の場合、どうしても全体を見てしまうし、地元民オススメの露店をピックアップするってことは想像しないわ。でも、逆に言えば大まかに他県から来た人々に伝える技術じゃ勝ったわね」

 笑みがこぼれ、ケビンに頼まれた小説を手に取り会計を済ませる。道中、前回の事件を思い出す。

(主犯がいくら外道でも縛りつけてショットガンはないわ・・・お咎めはなかったけど、ヒヤヒヤものだったわ・・・)

 ケビンの尋問は違法スレスレだったが、大量検挙と治安維持に大いに貢献したためお咎めはなかった。だが、宏美は涙ぐみながら彼の頬に平手打ちし、顔を彼の胸に埋め泣き出した。さすがに申し訳なさを感じ、彼女を優しく抱きしめ、もうしないと誓った。

「ホント、不器用な人ね」

 背後から男性が声を掛けてくる。振り向くと髪を金色に染め、胸元が開いた服を着、ファッション目的なのか金色の鎖を身に着けている。

「ねぇお姉さんちょっと遊ばない?」

「なによ、暇じゃないのよね」

 背後から二人分の足音が聞こえる。仲間を用意していたようだ。

「女一人に卑怯じゃない?」

「この後楽しいことだからいーのいーの」

 ズボンのポケットからT62スタンガンを取り出し威嚇する。

「寄らないで。痺れるわよ」

「え、それって」

 手を伸ばした瞬間、はだけている部分を狙ってスタンガンを撃つ。真っ直ぐ硬直したかと思えば地面にキスするように倒れた。

「言わんこっちゃないわ」

「「このクソアマ!・・・ぐ!?」」

 男達の怒りの拳は届かなかった。彼らの後ろに屈強な男二人がおり、呆気なく組み伏せられたためだ。

「無事か?」

「ちょっとケビン、もう少し遅かったら美人が台無しになってたわ」

「すまん」

「まあまあ、こいつら女騙して金巻き上げてから裸の写真と動画をネットに晒す常習犯だったし警察に引き渡して帰ろうぜ」

「だな」

 

 

 

 

 

 

 

 小物を捕まえ警察に引き渡すと事務所に戻る途中、勤務時間が終わったと言ってエドワーズは家に帰っていった。

「ねぇケビン、仕事は来たの?」

「いや、今日も事務処理に追われてた。ちょっと遅いなって思って本屋に足を運ぼうと思ったのさ」

「そう。そう言えば高海家のボディーガードの件は?」

「それは一週間後だ。宏美も水着用意しとけよ、売り子で働くんだからな」

「大丈夫、短大時代に水着コンテストで優勝したのよ?つまりね、プロポーション維持も女のたしなみってこと」

「そ、そうか、なら良いんだ」

 事務所を閉めようと思った矢先、黒服姿のケビンと同じくらいの背丈の男が事務所を訪れる。彼から殺気が漂っていた。目で合図すると宏美はお茶を淹れに行く。

「アンタ、ウチの従業員に何してんだ?」

「・・・は?」

「俺の部下を警察に突き出したって聞いてな。ビジネスの邪魔、しないでくれませんかねぇ?」

「ビジネス・・・あぁはいはい、犯罪ビジネスね。アンタらも不幸だったね、俺らのしっぽ踏んづけてさ」

 短気な連中をあえて怒らせて暴れさせることでコントロールを得ようとする。

「なめとんのかボケ!」

 窓ガラスに向かって拳を振るうが非常に硬かったのか、男の方が痛がる。RPGー7の攻撃も耐える防弾ガラスなので非常に硬い。戦車の砲撃でようやく割れる代物だ。

「あーあー防弾ガラス殴ったらケガしますって。それに、そんな甘っちょろいパンチじゃミミズも殺せない」

「な、なんじゃここは!?」

「トライデント・アウトカムズって言ったら?」

「!?よ、傭兵事務所だと」

「今までの蛮行も証拠に残ってる。ここにはカメラはもちろん、自動機銃付きだから侵入者対策もばっちりさ」

 天井を見ると機銃が男を狙っているのがわかる。年甲斐なく腰を抜かし、その表情は怯えていた。

「今起こったことは黙っておく。その代わり、詐欺紛いな商売をやめて真っ当な仕事をしてもらう。おっと勘違いするな、仕事は俺が決める・・・そうだな、チベットに行って暴徒鎮圧をしてもらおうか。すごいぞ、標高高いから酸素薄いし中国政府・チベット仏教、両陣営危険な奴らばっかりでいつ殺されてもおかしくない。まぁ安心しろ、死んだら墓は作っとく」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうしてまた危ない連中が日本を離れていく。荷馬車の子牛を見届けて終わると、今度こそ事務所の鍵を閉め居住スペースに移動する。くたびれた様子でソファに寝そべった。

「ふぁ・・・宏美、お茶」

「もう、子供じゃあるまいしだらしないわよ」

 呆れながらも冷蔵庫に入ってある麦茶をグラスに注ぎ、それをケビンに渡す。

「すまんな。あんなイレギュラーいなきゃもっと気楽なんだがな」

「こんな時に悪いんだけど、海の家の警備ってどうやるの?まさかライフル携帯してお店歩くつもり?」

「いや、それじゃ客がビビッて逃げる。そこで、カメラを複数設置してなるべく死角を減らし、裏口にはセンサーを設置する。俺はマグナムとPx4だけ持って巡回って手筈だ。エドワーズは別件でいないけどな」

「な、ならいいわ。女の子が多い場所にライフル携帯してる男が巡回してるって構図はちょっとね・・・」

 確かに想像したくない光景だ。話によると美少女達が運営する海の家という評判だったらしいが、その中に陸軍上がりのムキムキお兄さんがライフル持って警備に当たる姿を想像するとシュール通り越して恐怖を感じてしまう。

「・・・ビキニウェアのケビンか・・・マッスルよね」

「少なくとも贅肉は無い」

 スマホが鳴っている。相手は趙からだった。

「なんだよ、営業時間終わってんぞ」

「仕事の話じゃないんだ、ノーマンズ・セキュリティ・カンパニーってわかるか?」

「あぁドイツ・ベルリンのPMCだな。ウチと同じくらい成長してる企業だったはずだ」

「そこがだな、ウチの競合になるかもしれん。大阪に事務所構える許可を得たって話だ」

「大阪に?」

「関東・東北・中部圏はウチが押さえてるからだ。っで、俺らを恐れた闇金やマフィア連中がそっちに流れてるって話。なんかあると思わんか?」

「まるで小説みたいな話だが、大阪国ってやつを建てようってか?」

「その可能性もあるって話だ。ノーマンズの事務所にウクライナ系とリビア系の連中が出入りしてるって情報もある」

「・・・マジ?」

 

 

 

 

 

 

 

 趙からの情報によると、FBI・CIAも大きく動いており、犠牲者も比例して多いらしい。

「なんだかキナ臭い」

「長官の跡目争いの舞台が大阪になるって話だ、ケビンもそんな案件が来たら香港支部にも連絡をくれ」

「あぁ。そうさせてもらう」

 電話を切り、再びソファに身を投げる。

「FBIにCIA・・・あの連中が庶民の町に何の用事が?」

「さぁ。どちらも主導権欲しいからね」

「そして彼らの共通の敵は・・・育ち過ぎた狂犬」

「どういうことよ?」

「ゴースト達も大阪に来るかもな。CIA長官も撃たれて奴も追われる身だ、邪魔だてするならなんとやらってか」

「はぁ・・・警護任務とダブらないといいわね」

 




 
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