PMC探偵・ケビン菊地  鉛の刻印   作:MP5

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19話 ウチウラストーム

 夏真っただ中、高海家の依頼で海の家の手伝い兼警備任務に就くケビンと宏美。集客状況や満足気な表情から想像以上に好評らしい。千歌によると今年は男性客が大幅に増えているとのこと。男性客の目線が、千歌達よりも集めている存在を見る。

「確かに、これは注目するな」

 笑顔で接客する、オレンジ色のビキニ姿の妻。華奢な体格にわがままな曲線美、足も長めのスタイルの良い美人がそこにいた。普段の格好も好きだったが肌を露出した姿にケビンも目を奪われる。

「だが、男共の目線が気に入らん」

 これは夫としての嫉妬なのか、男共の目線に対しての警戒なのか、ケビン本人すらわからなかった。

「おっと、料理運ばんとな」

 わざとらしく客の目線に入り焼きそばを提供する。当然、男性客は不服そうにする。しかしケビンは気にせず仕事に戻ろうとしたその時、宏美の腕を掴む客がいたため間に入って離させる。

「ちょっとお兄さんさぁ、接客しないでくれる?楽しみの邪魔なんだけど」

「これは申し訳ありません。ですが、従業員の仕事の邪魔はご遠慮願います」

「あぁ?俺は手繋いだだけじゃん」

「ここはデートクラブではありません。料金はいりませんからご退場願います」

 途端、男は立ち上がりケビンを殴る。しかし、少し腫れただけでダメージは少なかった。

「ここからは実力行使ってことで」

 左ボディーブロウで怯ませ、顔面への膝蹴りでのけぞらせると、必殺の回し蹴りでトドメを差した。男は勢いよく吹っ飛び気を失う。ナンパ目的で来た男達は全員、顔面蒼白になった。

「いやぁ失礼、当店ではウエイトレスに手を繋いだりナンパする等の行為は禁止です。それが目的なら他のビーチに行ってください。では、食事を楽しんでください」

 気絶した男を店の外に放り投げ、ウエイターの仕事に戻って行った。ツイスターでこの事が話題になり、後日アウトローな客が減り、他の客層が増えたのは別の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 夕方になり店じまいを終え、売り上げを計算する。額を聞いた千歌達は大喜びな様子で跳ねる。

「すごい!前より売り上げ上がったよ!」

「そうだな。君達も変な男に絡まれなくってよかったよ」

「ですが、アレはやり過ぎなんじゃ」

 心配そうな様子の梨子。

「まぁ良いお灸さ。妻が絡まれてたら夫が助けるもんだしな」

「ケビン」

 ちょっと照れくさそうな宏美。

「ところで、明日で最後になるんだが」

「お母さんも明日来てくれるって話だし、大丈夫かなって」

「・・・子供と間違えられそうな気がする」

 和やかなムードは外からの爆発音で一気に破壊される。Px4を抜き全員の姿勢を低くさせ外の様子を伺う。そこで思わぬ光景を目にするのだった。

(!?他所の海の家が燃えてる)

 

 

 

 

 

 

 

 数十メートル離れた別の海の家が轟々と燃えている。消防を呼び、鎮火作業が終わると共同で出火原因を探ることにした。出火原因は裏口にある、背の低いプロパンガスボンベから漏れ出したガスが引火したことだった。しかし、運営者側の話によると、ちゃんとのバルブは閉め火種になるものは置いていないと供述している。ガスボンベ付近に砕け散った使い捨てライターが落ちてあったが、これは明らかにミスリードだとわかる。

「消防さん、仏は?」

「はい、ボンベから数メートル先で女性の遺体が発見されました。傷がひどく特定できません」

「検死が必要だな」

「あのぅ、あなたは?」

「俺はケビン菊地。トライデント・アウトカムズの所長だ、一応通報者だし協力は惜しまない」

 ふとケビンは破裂した箇所を見る。ちょうど真ん中から破裂していた。直勘で重たいボンベを持ち上げ穴のある方を下に向けると、黒ずんだ弾が落ちてきた。

「これは・・・大変なことになったぞ」

「何ですかそれ?」

「これは徹甲焼夷弾だ。物を貫通して内側から燃やす危険な弾で、大きさからして大口径狙撃銃が使われたものだな、もっとも、使用した銃はライフルマーク調べないとわからんが」

 

 

 

 

 

 

 

 この事件を機にケビンは捜査に加わることになり、沼津署からも依頼を受けた。これが、沼津に事務所を設けて最大の仕事になろうとは、誰も予想だにしなかった。そして、依頼を受ける前から歯車が動いていようとおもいもしなかった。その晩、エドワーズが何者かに背後から撃たれ救急搬送された。摘出された40SW弾、アメリカ人が使ったことがわかる。

(私物でも40SW使う人間は限られる。だいたいが若い世代だ、1989年に作られたこの弾は45ACP好きなベテランには少々不満があるし、かと言って装填数が少なくサイズの大きい45ACPはサプレッサーあっても反動のデカさで使いにくい。9mmはサプレッサー使う場合初速の速さを減らした減装弾を使うから、どうしても急所狙わないと相手を殺せない。外したら反撃されるのがオチだ、俺も昔経験がある)

 うつ伏せのエドワーズは爽やかな寝顔で寝息を立てていた。不意打ちとはいえ彼を襲えるだけの技術を有していることがわかったケビンは宏美とコンビを組み、エドワーズの護衛を趙に頼むことにした。




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