PMC探偵・ケビン菊地  鉛の刻印   作:MP5

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黙示録3  覚めない夢

『続いてのニュースです。先日ソウル駅構内にて発見された死体の身元が判明しました。』  

 

 

『被害者の名前はト・ハジュンさん、韓国国立中央博物館にて学芸員を務めており、数日前から無断欠勤していたことから警察は何らかの事件に巻き込まれたのではないかと捜索を開始し始めています。』

 

 

「おい、どうなっちまってるんだよ。この事態はよ。」

 様々な格好の男たちがコンテナ内に積まれていたコカインとマネーロンダリング用の資金が消え、空っぽになった倉庫の一室をみて驚く

 

 最後の生産ラインを警察と運輸局による合同捜査でつぶされ、ハンマーヘッドからの指示も受けられないまま残りの部下たちは最後の生命線とも呼ぶべき予備倉庫には何もなかったのだ。

「どうなっているんだよ。」

 廃墟の中に残された生産ラインの中を歩き回り残った資金の箱がないかと探し回る。

 その瞬間、倉庫のドアが錆びついた音を立ててガチャンと閉まる。

 更には中の照明が音を立てて逃走のせいで薄汚くなった姿を照らし出す。

「なんだぁ?」

『皆様、こんばんわ。あなた方をエンターテインメントにご招待いたします。演目はこちら。』

 

 

 

 

『あなた方の虐殺ショーを始めたいと思います。』 

 そういった瞬間に元々は豚の加工処理場だった施設の装備がギラリと鈍い光を帯びて動き始めるのを見て、男たちの背中に冷たいものが走った。

 

 施設の仕掛けが全て動作したことを示す緑のランプを確認し、ゴーストは無線に呼びかける

「エイト、ナイン。これが俺からの最後の試験だ。これが終われば俺はお前たちを生徒とは思わない。お前たち一人一人を仲間として扱い、これからの計画に参加するメンバーの一員として認めることになる。いいな?」

『『了解。』』

「ならよし。容赦はするな。ためらわずに殺せ。」

 

 そういうと無線機のチャンネルを変えドイツ語で話し始める。

 

『合言葉をどうぞ。』

「錬金術師に水銀を与えてはならない」

『確認した、ゴースト守備はどうだい?』

「ああグリム、まずは仲間は拾えたか?」

『何とか、昔のメンバーは揃えた、お前の同期の第二世代組のブルー、ラーチャー、バルトにルーカス。

第三世代はサージにニコラス率いるハンターパック計18名とサンドマンにブリザードのチームアヴァランチ計8名にサム。

 

第四世代のハウンドチーム三人組、ガンビットとサマリの三つ子にネイビー・エッジから精鋭組の五人。それぐらいかな?

 

最後に第一世代からセオ、ガブリエル、ボルトにゴーシュ。伝説のメンバーまで乗ってきた』

 

「他のリストに挙げたメンバーは?」

 

『ベクターとワンは死亡が確認された。シュガー、ラック、アドラーは生死不明。連絡すらつかないから死亡した可能性は高い。』

 

「わかった。俺が率いるチームのメンバーをあげるから俺のところに寄こしてくれ。まずブルー、ラーチャーにサンドマン、ボルト、ガンビットとゴーシュ。このメンバーで道具の準備は後で連絡してくれ揃えられる奴呼んでくる。」

 

 そういってゴーストは無線を切るとタバコを口に咥え手に持っていたリストをなぞる。

 

 

「誰だ、だれがいるんだ?」

 

 時折、空気を震わせるように絶叫が響き渡る。

 さっきまで後ろにいた仲間の姿が見えなくなり、代わりにポツリ、ポツリと血の跡が残されている。

 最悪の状況だとわかっているはずなのに、体に落ち着けと命令しても拳銃を持った手の震えは止まらない

 

 ふっと目の前が暗くなった瞬間に足にワイヤーがひっかけられ自分の肉体が吊り下げられたことがわかる。

「おい、誰か!」

 目の前に少女の顔がぼんやりと見えてくる。

 男が必死に助けを求める様子を見て、にやりと笑った彼女の後ろ手にはボウイナイフが握りしめられていた。

 

 

「どうすればいいんだよ。クソが!」

 また絶叫が響き渡る。

「おいっ!島!」 

 島と呼ばれた男の首には細長いワイヤーが引っ掛かり引きずられていく。

 喉が絞まり、悲鳴も出せずただひたすら助けを求めようともがく男は容赦なくダストシュートに引きずり込まれる。

 気づけば物言わぬオブジェとなってしまった仲間の死体が天井から吊り下げられている。

 どうすればいい?どうすればいい?

 頭の中にはその言葉が渦巻いていた、その瞬間。

 

「ゴブリ。」

 自分の喉から出た音とは思わず手で口を覆い、血まみれになった手に声を出せず驚く。

 喉からは10センチ近くの長さの針が突き出し、肉体からは数本の旧式の銃剣が飛び出ていることを脳が酸素を失いながら確認すると地面に倒れこむ。

 

 「俺なんで、こんなことしてるんだろう。」

 最後に彼が感じた意識の言葉だった。

 

 

 全員始末し終えたことを確認し死体袋に全員分詰め込み終えると、ナインとエイトはゴーストの前に立つ。

「うん、的確に急所を突いてる。仕掛けにはあまり頼らず自分たちでしっかりととどめを刺している。」

 キャップを脱ぎ傷ついた左目を撫でながら

「合格だ。」

 

 彼はにやりと笑う。

 

 彼は二人を引き連れてとある倉庫に向かう。

 古びた倉庫の扉に貼り付けられたカバーをゴーストは剥がすと中から最新式のセキュリティ装置がむき出しになる。

 そこに数字を打ち込み扉とセキュリティをすべて解除すると錆びだらけのドアがゆっくりと開き中から大量の奪った資金と武器、装備が詰め込まれていた。

 

 

 

 

 ゴーストはキャップを脱ぐとにゃりと笑う。

「さあ、反乱の始まりだ。」

 

 

 

 

 数時間前

 

 滑走路に長身の男がフラリと降り立つ。

 

 

 

 男は海兵隊が採用している青みを帯びた迷彩服を身に着け両腕をまくり上げ、くたびれた軍用のブーツを履きこなしている。

 紙煙草を口に咥えて、腰から取り出したライターで火をつける。

 

 

「あーあ、めんどくせえ」

 

 

 その背後には一個中隊規模の兵士が倒れていた。

 

 彼のコードネームは「オーガ」

 ゴーストがこのためだけに施設から脱走の手引きをした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最強最悪の戦闘中毒者(ルビ)ウォーホリック)である。

 

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