PMC探偵・ケビン菊地  鉛の刻印   作:MP5

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 デビット・エドワーズ
 イメージCV 松本保典

 元スコットランドヤードのイギリス人。特技スコーン作り
 PMC探偵シリーズ初の警察出身者。


6話 1回転すればなんとやら

 朝の9時。来日したエドワーズを4人に紹介する。

「コイツはデビット・エドワーズ。元スコットランドヤードの刑事だ。今日付けでこの事務所に赴任する」

「はじめまして、デビットです。よろしく」

 宏美に真っ先に握手を求めるが、彼女は無視して自己紹介をする。

「私は菊地宏美。よろしくね、エドワーズさん」

「よ、よろしく(既婚者かよ)」

「エドワーズ。ここは日本だ、握手はないぞ。っでだ、早速だが3人の少女達の護衛任務に加わってくれ。今は銃が無いから俺のPx4とUMP-9を貸してやる。質問は?」

「朝食とティータイムは?」

「好きにしろ、ただイギリス文化を強要するなよ」

 

 

 

 

 

 

 

 この日はオハラグループが経営するホテルの宴会場を借りて3週間の休業を発表する。大勢のマスコミが彼女達の前で質問し写真を撮っていた。ケビンとエドワーズは彼女達の両サイドを守るように立ち、目を光らせている。会見を切り上げ、帰ろうとしたその時、記者に扮した何者かがナイフを手にあんじゅに襲い掛かる。彼女の近くにいたエドワーズが彼女の前に立ち、襲撃者を組み伏せた。ケビンはM629を抜き、周囲を警戒しながら3人を退場させた。

「誰だ貴様、誰の指示で動いた!」

「ケッ言わねえよ」

「場合によってはここで社会的に殺すことも可能だが?」

 髪を掴みカメラに顔を向ける。一斉にシャッターを切り始めた。

「み、ミックって野郎に頼まれたんだ!炎天下ってサイトでできたチャット仲間だから顔は知らねぇ、ほ、ホントだ!」

 持っていた手錠で拘束し、駆けつけた警察官に引き渡すと、ケビンと合流する。

「ケビン。宏美さんに探させよう」

「そうだな。一旦事務所に戻ろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 夕方、ガンスミスのジョセフが事務所を訪れる。

「おいデビットの若造。新調してやるから来い」

 大型トラックの荷台に乗り、商品の銃を見る。AKシリーズはもちろん、SAR21といったブルバップ式まで様々置いてある。

「じいさんSA80無いのか?」

「あの不良品銃はさすがにないな、イギリス人は見栄えで銃を選ぶのか?」

「そういうわけじゃないが」

「だったらこれでどうだ?」

 持ってきたのはドイツ製アサルトライフル、G36C。ドイツ軍の正式採用されている銃のカービンモデルだ。

「ほぅ、いくらだ?」

「950ドルだ」

「買った。他にないか?」

「箱の中にあるから自由に選べ。チューンアップしてやるぞ、別料金だがな」

「銃に糸目はつけないさ」

 リフレックスサイトにタクティカルライトを取り付け、ハンドガンにジェリコ941を購入。結果、1480ドル払うことになり、終始複雑な表情をしていた。

(・・・金なくてショットガン買えなかった)

 

 

 

 

 

 

 翌朝、凶報が届く。ツバサと一緒に閉じ込められていた遺体はマネージャーとは違う人間だと判明したのだ。報告書によれば歯形が違ったらしい。

「遺体が入れ替わった、ケビンはどう考える?」

「自分が死んだことにしておいて、法の裁きから逃れるのが目的だ。おそらく顔も変えているハズだ」

「まさか近寄ってくる人間全員を攻撃ってオチはないよね?」

「弾の無駄だ、それはしない。俺達が出来ることは奴の家を急襲し情報を集めること。俺が行くから宏美は彼女達と待機、帰ってくるまで鍵は開けるな。エドワーズは念のため事務所近辺の警備を任せる」

「了解した」

 社長から住所を教えてもらい、それを手掛かりに付近までセダンを走らせる。そこは閑静な住宅地にある古い2階建てアパートで、手摺りには錆がこびりついていた。周囲に誰もいないことを確認すると、Px4を抜く。

(確か1階だったな)

 表札を確認し、ケビンはドアノブに手を掛け、回し、勢いよく開けた。警戒しながら入ろうとするが違和感を覚えた。

(不用心すぎる。いくら何もないと言っても住宅地だ、空き巣のことを考えても鍵をかけるハズだ。だが開いていた。つまりどこかに伏せている可能性が高いな)

 足元の少し先を見ると黄色い糸が向かい合う壁を繋ぐように張られている。糸の先を見るとプラスチック爆弾が仕掛けられていた。

「なんじゃそりゃ」

 玄関を出て庭に回る。鍵が開いており、こちらには罠がない。堂々と開け押入れを調べてみると所狭しと小さくなりながら隠れている男を見つけた。

「さっさと出て来い、殺さんから」

「い、嫌だ!海苔田から出るなって言われてんだ!」

「海苔田?」

「この部屋の主だ、もしかしたら武装した探偵が来るかもって言われて言われるがまま爆弾をあそこに」

「(そういやそんな苗字だったっけか)・・・よし決めた。俺がお前を保護するから来い、海苔野郎よりも安全だぞ」

 男は渋々押入れから出て来た。ケビンは警察に連絡しマネージャーこと海苔田を指名手配するように進言した。その後、男は手錠を掛けられ引っ張られていく。

「ちょっと、保護は嘘か!?」

「嘘はついてない、直接とは言ってないだけだ」

「そんな~」

 ケビンは彼の部屋の調査に戻る。机に置かれたノートPCにはA-RISEのスケジュールや健康状態、果ては着替え中の覗き写真まで保存されていた。特に多いのはツバサの写真で、100枚中60枚は彼女のものだった。

(今度の相手は変態か、アイドルのマネージャーは変態しかいないのか?)

 押入れを徹底的に調べると床の仕掛けを発見し、それを解除すると女性ものの下着類がしまわれていた。サイズは3人分あることから誰の物か予想がついた。

「あとは整形した医者を探るだけだな。正式に整形なんて出来ないだろうから、許に聞けばわかるかもしれない」

 許に電話し闇医者の情報を得る。整形手術で一番の闇医者は沼津にいることを知ったケビンは証拠品を車に積んで急いで帰還することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 証拠品を一度事務所に降ろし、教えられた場所にエドワーズと共に徒歩で向かう。路地裏にある薄暗い古いビルの中に入り、闇医者と面を合わせた。

「アンタが海苔田の顔をいじった医者だな?」

「患者の事は一切話さん」

「聞いたぜ、許から資金援助してもらって営んでるんだろ?昔の奴の顔写真を通行人に見せたら、数か月前ここに入るところを見たって言ってるぜ、営業したいなら今の海苔田の顔写真を見せろ」

「・・・仕方あるまい」

 医者は机のPCをいじりプリントアウトしてくれた。どこにでもいそうな地味な印象から一転して遊び人風の整った顔の男が映っていた。

「コイツがねぇ。書類上は死んだ人間なんだし、殺しても構わんだろう」

「待て。ここは逮捕するべきだ」

「お前わかってんのか、ここで争っている間にもこちらの動きを読んで先手を打ってくるかもしれない。だったら被害を抑えるために始末した方がいい」

「彼はまだ若い、ちゃんと償わせるべきだ」

「書類上は死んだのにか?俺の経験則じゃ、ああいう連中は更生プログラムを実施しても再犯して反省はしない。だったら本当に死んだことにすれば問題ない!」

「捕まえて申請すればいいだろ!」

「時間がないって言ってんだろう!」

 言い争っていると電話が鳴る。ケビンは冷静になり電話に出る。

「どうしたんだ?」

「進展はあったの?」

「顔が割れた。あとは居場所を探すだけ」

「事務所に男性が来てるんだけど戻ってくれる?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 落ち着きが戻った二人は事務所に戻り、客の顔を見る。そこには整形した海苔田がいた。頭悪そうに喋り方も変えている。

「アンタが探偵さんっすか、ちょっとそうだ・・・」

 ケビンとエドワーズは同時にハンドガンを抜き黙らせる。海苔田は額に汗を浮かべ硬直する。

「お前バカだろ」

「まさかウチに依頼するって発想はなかったぞ・・・」

「え?ふ、二人ともどしたの?」

「コイツが例のマネージャーだ。整形手術して別人に化け、声も変えればバレないと思っただろうが、遅すぎるぜ」

 ハンズアップし、素の声に戻る。

「す、すんませんした・・・」

「どうする?コイツもう死んだことになってるし、でも事務所で殺したくないし」

「CEOに相談してアフリカに飛ばすってのはどうだ?」

「そりゃいい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 意見が一致し、海苔田を拘束し尋問した。彼は元々ツバサのファンでありサイドビジネスとして女性もの下着を盗み高値で売っていたこと、整形後、双子の弟と入れ替わっていたこと、手を引こうとした弟を殺したのは自分であることと仲間のアジトの場所を自供した。後日、ロサンゼルス本社から派遣された輸送部隊に連行され、アフリカに旅立っていった。その様子を見ていた3人の少女は終始複雑な表情だった。

「えっっと、マネージャー、入れ替わってたんだ・・・」

 奇想天外な展開にツバサ達もタジタジになる。

「そうなるな。営業再開するか?」

「も、もう少し様子見てもいいですか?」

「落ち着いてから活動した方がいいわね。また困ったことがあったらウチに来てもいいわよ」

「は、ハイ。時間が取れたらまた来ます」

 駅まで3人を送り、改札を通ったところを確認すると、再び日常勤務に戻ったのだった。




 
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