ではどうぞ
「レン・アッシュベル様!?」
エリスは彼女の顔を見て叫んだ。
さてここでレン・アッシュベルについて話をしよう。
レン・アッシュベル、彼女は3年前の大会、
わずか13歳で圧倒的な強さで優勝した彼女には多くの姫巫女が憧れ、目標としている人物である。 しかし彼女のプロフィールはほとんどが謎に包まれている。
わかることは年齢と大陸の東方に位置するクイナ帝国のさらに東に位置する島国の出身だということ。 しかしそのプロフィールも彼女の衣装がその島国の衣装だというだけで彼女自身無所属の
剣舞祭が終わった後は大陸のいろいろな場所で目撃され、とある国の暗殺者養成機関を潰したとか潰してないとか・・・。
そんな大陸をわかせている少女が目の前におり、かつそのような人物に避けられたとはいえ蹴りをいれたという事実にエリスは混乱した(当然エリスもレンに憧れている)
「えっ!もしかしてレン・アッシュベル様ですか?」
「うん私はレン・アッシュベルだけど。
それにしてもびっくりした。いきなり蹴られるとは思ってなかったわね」
「す、すみませんでした。レン様とは知らずにとんだご無礼を」
「当たらなかったから問題なしよ」
「エリス、少し彼女と話をするから出て行ってくれないか。
それと彼女のことは他言無用だ、いいな」
「わ、わかりました」
少女はあわただしく出て行った。
レンは2人きりになったのを確認すると
「それで何のようなの、グレイワース?」
「それについて答える前に一つ聴きたい、どういうつもりだレン?」
なおこのグレイワースはレン・アッシュベルの真実を知る人物の一人である。
「どう、とは?」
「私はおまえは来るなと書いたはずだがな」
「あらあら、手紙にはちゃんと私に来いとかかれていたわよ。
それともとある国のお尋ね者さんには変装して来てほしかった?」
「まったくもってその通りだ」
「ひどっ!」
レンが軽くショックを受けてると彼女はさらさらと理由を述べる。
「彼女が関わっていたならともかく全く関係なかったんだろ?その上追っ手を放たれて邪魔されて・・・、一体何の利益があったんだ?
ああ、それとも昔の自分でも思い出して助けようとしたのかな?」
「・・・そうかもしれないわね。あそこはあの施設と似ていたから許せなかった、かな?」
「ずいぶん素直じゃないか。その調子ではぐらかさずに答えてくれ」
わかった、と答え彼女は簡潔に言った。
「ここは多くの姫巫女がいるから。それじゃダメ?」
彼女は首をかしげてそう答えた。
「・・・まあいいだろう。ここ3年間お前は姿をくらますと思ってたからな。その話を聞いて驚いたよ。こいつ頭大丈夫か、と」
「ひどいわね、個人的には良いことをしたつもりなのに」
「まあその通りだろうな。ああ、あとそれが癖になったのかと心配もしたぞ」
そうレンに指を向け言う。
「ご心配ありがとう、グレイワース。見ての通り癖になんかなってないから大丈夫よ」
癖なってるだろ、とグレイワースは小さな声で呟いたがそれはレンに聞こえたらしく、キッとにらまれた。にらまれたグレイワースはため息をはいた後に言った。
「お前は変わったな。・・・悪い意味で」
「変わらない人間なんてあなたぐらいよ、グレイワース」
「おまえ、絶対に癖になっているだろ・・・」
「そんなわけないでしょ。私の目的を果たすためにはこっちの方が都合が良かっただけで他意はないわよ」
「本当に他意はないのか問い詰めたいところではあるが・・・で、その成果はあったのか?」
「それは・・・」
とレンが言いよどむとグレイワースはため息をつき
「その様子を見るとなかったんだな。まあ悪事を見つけるたびに解決してたら当たり前だな」
「ぐ、うるさいわよ!それで、どういうことなの」
「どう・・・とは?」
「この手紙に書いてあること。彼女が見つかったとは本当なの!」
「ああ、本当だ。おまえの契約精霊は生きている」
「・・・っ!」
レンは息をのんだ。彼女は真実を口にしないが決して嘘をつくこともしない。
「それで、彼女は今何処にいるの」
レンは身を執務机にのりだし、声を荒げて聞くと彼女は眉一つ動かさずに書類の束をつきつけた。
「・・・これは?」
「交換条件だ。ここにサインしてもらう」
「これは・・・編入手続き!?けど、これは・・・」
その書類はアレイシア精霊学院への編入届けだった。ただし、それはレン・アッシュベルとは別のプロフィールが書かれていた。
「見てわかるように彼に編入してもらおうと思ったんだがな。どうやら無理なようだからな。 すぐにおまえ用に直してやる。エリスも男がここに編入すると聞いて抗議に来ていたんだがな。
あのレン・アッシュベルが編入するというならば文句は言わないだろう」
グレイワースはくくくっ、と笑いながらそう言った。
「・・・拒否権はないのよね」
当たり前だ、というようにグレイワースはこちらを見る。
「念のために理由を聞きましょうか?」
「お前が必要だ。以上」
「一言ね・・・。私がここに編入するとして彼女にはいつ会えるのかしら?
彼女が離れてしまわないうちに早く目撃されたという場所に行きたいんだけど」
「精霊にとって距離など関係ないのは知っているだろ。元素精霊界アストラル・ゼロに帰ればいいだけだからな」
「それは・・・」
とレンが言い詰まると
「安心しろ。二ヶ月後に元素精霊界アストラル・ゼロで〈精霊剣舞祭〉が開催される。それに出場しろ。そこに彼女現れる」
精霊剣舞祭。数年に一度元素精霊界で執り行われる最大規模の神楽の儀式。
大陸中から精霊使いが集い、五大精霊王エレメンタル・ロードに剣舞を奉納する。
いわゆる精霊使い同士の武闘祭である。
勝利チームを擁する国は精霊王の加護が与えられ、国土の繁栄が約束される。 そして大会の優勝者には望む〈願い〉が一つだけ精霊王がかなえてくれる。
「優勝しろ、レン」
レンは黒い革手袋に覆われた左手をそっと見つめると
「いいわ、彼女に会うためだったらもう一度優勝してあげる。
ただし彼女が現れなかったらあなたにかなえられる範囲で私の望みを叶えなさい」
「ふむ、そんなことは絶対にないだろうがいいだろう何が望みだ?」
「今は言うつもりはないわ。
・・・まあそれとは別に編入についていくつかお願いがあるんだけど」
まあそれくらいならかまわないだろうと判断し、グレイワースは先を促す。
「なんだ?」
「一つ目は部屋は一人部屋ね。正体ばれたくないから」
妥当な要求なのでそれを認めて次を促す。
「ふむ、二つ目は?」
「お金ちょうだい」
「・・・・・・・・・・・・は?」
返事するまでに間が開いたのはそれだけ彼女の要求が意外だったのだろう。
その様子を見たレンがしてやった、といったかんじでクスッと笑い理由を説明した。
なお、魔女がこのような反応を返すのは極めてまれである。
「盗聴、透視の防止結界や侵入者感知結界に使う儀式神楽の道具を買いそろえたりしなくちゃいけないからね」
その理由に納得がいったのか、うなずいてこの要求も呑んだ。
「そういうことか。何時の間に守銭奴になったのかと焦ったぞ。それくらいなら学院から貸し出すが」
「後は食費や服代ね。
私は食事は基本自分で作るつもりだから食材や調理器具を買わなくちゃいけないし、身だしなみにも注意しなくちゃいけないから。
それで、私の制服は何処?」
「ああ、ここに予備の制服があるからそこの部屋で着替えるといい。・・・それにしても4年前からは想像できない順応っぷりだな」
「うん。自分でも驚いてる。あ、後お金に関してはあなたの個人資産から出してね。もちろん学費もよ」
「本当に悪い意味で変わったな、レン」
そうそう、とグレイワースは何か思い出したようでレンに質問してきた。
「それにしてもいつの前に精霊魔術や儀式神楽なんて習得したんだ。
私は教えていないし彼女からでもないだろ?お前がもとから使えるやつじゃたかが知れてるし誰かから教わったのか?」
レンはハアッ、とため息をはいて答えた。
「精霊魔術は本とか読んで独学で何とかなったわよ。さすがに儀式神楽は独学では無理だったから友達に教えてもらったわよ」
「ふむ、儀式神楽をお前に教えた人物のことは気になるがそれはまあいいだろう。
・・・しかし意外だな」
何が?とレンは問い返す。
「お前なら武器創造系の精霊魔術だけ覚えてあとは彼女の捜索を一分一秒も惜しんでやると思ったんだがな」
その質問に納得がいったのかレンはいかにも思い出したくないといった感じだったが話し出した。
「私って有名人じゃない?
旅してると変な奴らに襲われたり偶々会った貴族からプロポーズされたりしたからね。
それにいろんなことをしてたからね、逆恨みで暗殺や襲撃もされたりもしたわ。
そいつらの対処とかしないといけなかったから嫌でもうまくなったわよ。
」
「なるほどな。そいつらから身を守るために身に着けたと」
「ええ。連中私を国に縛り付けたいのかただ私を犯したかったのか知らないけど私が泊まってる宿に圧力かけて食事に睡眠薬混ぜたり寝ている最中に誘拐とかもされそうになったからね」
幸いあそこではそれらの対策させられてたからたすかったけど、とレンは付け加えた。
その話を聞いてさすがの魔女も同情したのか、憐れむような目線を向けた。
「・・・大変だったんだな」
「ええ、本当に」
おかげで隠蔽や探知関係の結界をはる儀式神楽や精霊魔術の腕が大分上がったわ、と暗い表情で言った後、制服を着替えに行った。
こうして最強の精霊使い、レン・アッシュベルのアレイシア精霊学院への編入が決定した。
というわけでうちのカミもといレン様は原作よりも基礎スペックは強化されてますよというお話でした。
というかレン様というとどこぞのイメージしたまえとか言う赤毛が頭を横切るのは俺だけでしょうか?
感想まってます。