精霊使いの剣舞 〜偽る剣舞姫〜   作:パカロー

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後書きでもいうけどすみませんでお詫びというわけではないですがおそらく本編も後書きも過去最長です。
では第8話どうぞ


第8話 這い寄る混沌

精霊の森のとある場所にその少女はいた。闇色のドレスを纏い、きれいな黒髪をなびかせたどこか人間離れした美貌の少女だ。

 

「やっと見つけた。正直彼女として行動していると聞いて少々あせったけど目覚めていることもわかったし大丈夫そうね・・・癖になっていないかは心配だけど」

 

と少し心配そうに呟いて少女は少し悩ましそうな口調でつぶやいた。

 

「でも私以外の精霊と契約したのはちょっと嫉妬しちゃうわね。・・・その原因になった彼女には少しお仕置きでもしようかしら」

 

そういって彼女の手から何かが出てきた。その何かは彼女の手から離れ、何もない空間に浮かび姿を現した。それはまがまがしい気配を放つ巨大な顎だった。その周りには頭や体、手も足も何も存在してはいない、ただズラリと並んだ歯でがちがちと音を鳴らし、ただ不気味に浮いていた。

 

「それじゃ、お願いね」

 

少女がそう言うと不気味な顎は消え、少女一人になる。

 

「私は嫉妬深いのよ、―――」

 

そう彼の名前をつぶやいて少女は虚空へと消えた。

 

 

 

エリス、ラッカ、レイシアの三人は騎士団の用事で精霊の森に来ていた。

 

「ラッカ、レイシアも付き合わせてすまないな」

 

「別にかまいませんよ。な、レイシア」

 

男勝りの口調で答えるラッカに三つ編みの髪型のレイシアははい、と答える。

 

「それにしても先輩方は団長を侮りすぎです。いくら次の警戒任務で使うと言っても光源となる光精霊くらい自分で捕まえるものでしょう」

 

それに同調するようにラッカも先輩達に対しての文句を口にした。

 

「そうですよ。いくら団長がヴェルセリアから団長職を引き継いだのが気に入らないからってこんな雑事を押しつけるなんてひどいぜ」

 

それを聞いたエリスは二人をなだめるような口調でたしなめた。

 

「実際私は姉上と比べてまだまだ未熟だ。先輩方が私を認めないのも無理はない。それにこの前の一件で騎士団に無断でレン様の頼みを引き受けてしまったからな。そのペナルティーだと思えばしかたないさ」

 

「それはしかたないっすよ。むしろそのあとに風王騎士団(シルフィード)だけでの模擬戦の約束を取り付けたんですから手柄ですって」

 

そうかな、とエリスは自信なさげに言う。

 

「そうですよ。団長は自分を謙遜しすぎです。団長が就任してから騎士団も学院の雰囲気も良くなったってみんな思ってますよ」

 

「そうですよ。ラッカの言うとおり団長は自分を過小評価しすぎです。もっと自分に自信を持ってください」

 

「だが、私が未熟なのは確かだ。今の学院には私はより風王騎士団(シルフィード)の団長にふさわしいものなどいくらでもいる。姉上や先輩方、それに今年はレン様もいる」

 

「そうだとしても私は団長以外に今の風王騎士団(シルフィード)の団長は務まらないと思っているわ」

 

二人の励ましの後、エリスはうれしそうにお礼を言った。

 

「二人ともありがとう。おかげで自信が出てきたよ」

 

「団長の役に立てたならうれしいです」

 

「わたしもね」

 

ラッカとレイシアもうれしそうに答えた。

その後、三人はしばらく目的の光精霊を探し、十分な量を確保した。

 

「こんなもんですかね」

 

「ええ、十分な量が手に入ったわ」

 

「そうだな、じゃあ学院に帰るか」

 

そして学院に帰ろうとした矢先にガサガサと不審な音が聞こえた。

 

「なんだ?」

 

三人が警戒し、音がした方を見たらそこにはクレア・ルージュがいた。

 

「貴様、クレア・ルージュか。こんな時間帯に精霊の森で何をやっている!」

 

「・・・エリス?」

 

咎める口調で問うエリスはクレアの顔を見て驚いた。

 

「おまえ・・・泣いているのか?」

 

「泣いてなんかいないわよ!」

 

そう反論するクレアだったが明らかに泣いている様子のクレアにエリス達は困惑した。

そのとき、周りの空気が変わった。

 

「なんだ?」

 

エリスの声にラッカとレイシアも周りの変化に気付いた。

空気が重くなり、周りの木も揺れ、不思議に思い空を見あげた。その時、雷鳴のような音が鳴り響いた。そしてそれは突如としてできた空の裂け目からあらわれた。そしてそれを見たエリスは驚愕の声をあげた。

 

「あれは・・・まさか、魔精霊!?」

 

魔精霊。それは精神構造が人間と違いすぎるため、普通の精霊使いでは決して契約することができないと言われている精霊である。

 

「なぜ魔精霊がこんな所に・・・?」

 

「ヴォ・・・ルオオオオオォン!」

 

耳をつんざくような咆哮をあげ、少女達は身をすくませた。そのすさまじい威圧感と神威から魔人級(Aランク)相当と目星をつけたエリスはすぐさま撤退を決断した。

 

「ラッカ、レイシア、すぐに撤退するぞ!この魔精霊は少なくとも魔人級(Aランク)に匹敵する。私たちだけじゃこいつの相手は厳しい、撤退するぞ!クレア・ルージュもそれでいいな?殿は私が務める」

 

すると少し考え込んだ後、クレアが声をあげた。

 

「・・・いえ、殿はあたしが務めるわ」

 

「なんだと!?」

 

その声にエリスは驚きの声をあげた。

 

「一般生徒は黙って従え!殿は私が務める」

 

「あれはあたしが一人でやるわ。あんた達は逃げなさい!」

 

しかしクレアはエリスの言葉を無視し、川鞭を取り出して契約精霊であるスカーレットを呼び出し、巨大な顎の形をした魔精霊へとむかっていった。

 

「ちぃ!待て、クレア・ルージュ!」

 

それを見たエリスは急いでクレアを追いかけようとした。

 

「団長!」

 

「お前たちはすぐに学院へ帰還して騎士団に報告して援軍を要請しろ。あの問題児は私が連れ戻す!」

 

「・・・しかし!」

 

「命令だ、いいな!」

 

「・・・っ!」

 

そしてエリスはクレアを連れ戻すために魔精霊の元へと駆けていった。

勢いよく魔精霊に向かっていったクレアはスカーレットを魔精霊の元へとむかわせたがスカーレットは剣精霊との戦いで消耗しておりいつものように戦えないでいた。

 

「クレアっ!」

 

エリスが警告を発するが遅かった。

 

「グオオオオオオオオォオ!」

 

魔精霊の咆哮により、あたりの木々が根こそぎ吹き飛んだ。

 

「まにあえっ!

『風よ、我らに加護の手を―――風の障壁(ウインドウォール)』」

 

エリスはクレアと魔精霊の間に身を割り込ませ、精霊魔術で自分とクレアを守った。

 

「余計なことをしないで!あれくらいあたし一人で何とかなったわよ!」

 

「いい加減にしろ!学院に撤退だと言っただろう。なぜ撤退しない!」

 

「殿はあたしが務めると言ったでしょ!邪魔しないで」

 

そう言ってクレアは自分の精霊魔装(エレメンタルヴァッフェ)である〈炎の鞭(フレイムタン)〉を握り、魔精霊へと向かっていった。その様子を見たエリスは自身の精霊魔装(エレメンタルヴァッフェ)を展開させる。

 

「ええぃ、レイブン教室の問題児が!『凶ツ風よ、怨敵の心臓を貫く魔槍となりて我が手に宿れ!』」

 

その手にはエリスの精霊魔装(エレメンタルヴァッフェ)である風翼の槍(レイ・ホーク)が握られており、クレアの後を駆けていった。

エリスの援護を受けてクレアは魔精霊と戦っていたがそれも長く持たないことは本人が一番よくわかっていた。

 

「(っ!あの剣精霊と戦っていたから神威が足りない。早くこいつと契約しないといけないのに)しぶといわねっ!はやくあたしのものになりなさい!」

 

そのセリフを聞いてエリスは愕然とした。エリスの知るクレア・ルージュという人物は学院の問題児であるが(認めたくはないが)戦闘に関しては冷静な判断力と戦術眼を持ち合わせた優れた精霊使いである。その彼女がこの無謀な戦いに挑んだ理由が契約不可能とされている魔精霊と契約するためというひどく身勝手なものだということにひどくいらついた。

 

「貴様、まさか魔精霊と契約するつもりなのか!?」

 

「うるっさいわね!何と契約しようがあたしの勝手でしょう!」

 

魔精霊の咆哮で衝撃波が放たれるが二人はそれを回避する。

 

「貴様はバカか!魔精霊と契約できるわけがないだろう!」

 

「前例がない訳じゃないわ!」

 

「学院長のことか!?」

 

「そうよ!それに学院の管理している精霊の森であれほどの高位精霊に遭遇するなんてめったにないわ!これはチャンスなのよ」

 

「貴様が魔精霊と契約できるわけがないいいから退くぞ!」

 

「あたしにも契約できるかもしれないじゃない!退きたいのならアンタだけ退きなさい。あたしはやるわ!」

 

クレアとの言い争いに気がそれたエリスは一瞬魔精霊から目をそれしてしまい、その隙をつかれて魔精霊の放った衝撃波を食らい、生えていた木にたたきつけられた。

 

「あうっ」

 

「エリス!」

 

そしてクレアもまた、エリスに気をとられてすぐさま放たれた衝撃波をくらい、地面にたたきつけられてしまう。

 

「(あたしは、あたしにはもうこれしかないの!レン様にも嫌われてチームも組んでもらえなくて・・・姉様に会うにはもうこれしかないの!だから・・・)アンタなんか、アンタなんか怖くないんだから、はやくあたしの下僕になりなさいよね」

 

そう強がってクレアは炎の鞭(フレイムタン)を魔精霊へとむけた。しかしクレアは死の恐怖におびえ、立つことすらもままならない状態である。このままでは間違いなく魔精霊の餌食になるだろう。すると突然、クレアが握っていた炎の鞭(フレイムタン)がとかれ、もとの猫の状態に戻った。

 

「スカーレット!?どうして・・・」

 

スカーレットの突然の行動を理解できなかったクレアはとうとう契約精霊にも見限られたのかと思い絶望した。が、次の行動を見てそれが間違いだと思い至った。スカーレットは魔精霊に対して飛びかかっていったのだ。

 

「だめぇースカーレット!」

 

クレアの叫びが周りに響き渡る。クレアを守るために魔精霊に飛びかかったスカーレット。しかしスカーレットは剣精霊との剣舞で消耗しており、クレアからの神威もつきようとしていた。そんな状態で勝てるわけもなく―――スカーレットの胴体は、魔精霊にかみ砕かれて消滅した。

 

「(あたしの、あたしのせいだ。エリスにも止められたのに、レン様にも注意されたのに、あたしのせいでスカーレットが)」

 

自分のせいでスカーレットが消滅したと思いこみ、絶望したクレアにもはや逃げる気力など残されてなどいなかった。そのクレアに顎の魔精霊が今にも襲いかかろうとしていた。

 

「(・・・ゴメンなさい、姉様)」

 

心の中で尊敬していた姉に謝罪し、魔精霊に食われることを覚悟した。そして、魔精霊はクレアに襲いかかる。しかし―――

 

キンッ!

 

何か金属に当たったような音が鳴り響いた。

 

「え?」

 

そして自分を心配するような声がきこえた。

 

「だいじょうぶ?」

 

そこにはいつぞやのように最強の剣舞姫、レン・アッシュベルの姿があり、それを確認したクレアは気を失った。

 

 




ミュ「ミュアと」

リ「リリィの」

ミュリ「「なぜなに剣舞祭」」

ミュ「今回はミュアことミュア・アレンスタールと」

リ「リリィ・フレイムでお送りする」

ミュ「あ~あ、それにしても今回はにいさまの出番がほとんどなかったな~。どうせミュアが担当するならにいさまが活躍する回がよかったわ」

リ「ミュア、わがままをいうな。まだ紅蓮卿(カーディナル)もでていないんだぞ!出ているだけありがたいと思え!」

ミュ「え~、そんなことミュアにとってはどっちでもいいことだし。ん?それにしてもこの話だったらにいさまじゃなくてねえさまって言った方がいいのかな?リリィはどっちの方がいいとおもう?」

リ「・・・本編だったらねえさまの方が(彼の都合上)いいと思うがここだからいつもみたいににいさまと呼べばいいんじゃないか」

ミュ「そっか、じゃあここではにいさまと呼ぶことにするね」

リ「そうしろ・・・。それじゃあコーナーに入る」

ミュ「最初のコーナーは『作者の謝罪コメント』のコーナーよ」

リ「このコーナーは文字通り作者が謝罪するコーナーだ」

ミュ「度重なる作者の不祥事で謝罪してたせいでとうとうコーナー化しちゃったの」

リ「というわけで今回の謝罪コメは「一応前回のなぜなに剣舞祭で書いたけど昨日更新できなくてすみませんでした」というコメよ」

ミュ「コメに書いてある通りいちおー前回のなぜなに剣舞祭で書いてあったから許してほしいな」

リ「もうしわけありませんでした」

ミュ「それじゃあ次のコーナーね。次のコーナーは『突っ込まれなかったネタ』コーナーよ」

リ「このコーナーは文字通り、突っ込まれなかったネタを紹介するだ。今回は「第2話 騎士団長の学院案内」に登場した「鈍感のアルセイフ」という教室名についてだ」

ミュ「この教室名の元ネタは富士見ファンタジア出版のライトのベル、「鋼殻のレギオス」の主人公、「レイフォン・アルセイフ」からとったものよ」

リ「この物語を知っている人は納得できると思うけど主人公のレイフォン・アルセイフは恋愛関係に対してだけとは言わないがものすごく鈍感でな。ヒロイン達が必死にアピールしているのに全く気付かないひどい奴だった」

ミュ「だけど14巻を境に主人公の人間関係が大きく変化していって最後にはきちんと一人のヒロインと結ばれて物語は完結したわ」

リ「そういうことだから何に対して鈍感なのかは察してくれ」

ミュ「なお「鋼殻のレギオス」はコミックも出版されていてそちらは鈍感には変わりないけど一直線にヒロインと結ばれたわ」

リ「まだ読んでない人がいたらネタバレになるからキャラ名は伏せるけど作者的にはマンガで結ばれたからヒロインが一番好きらしい。だから原作で結ばれるのはあきらめていたみたいだが最終的に結ばれたから読んだ当初は狂喜乱舞していたみたいだな」

ミュ「ほかにも「レギオスシリーズ」は「レジェント」や「聖戦」シリーズがあるから全部読もうとしたら財布が薄くなること間違いなしね!」

リ「「レジェント」シリーズは完結しているが「聖戦」シリーズは作者は読んでいないから完結しているかは知らないらしい。が、多分完結しているだろう」

ミュ「というか近くの本屋に売ってなかったから読んでないんだけどね。今はもう読むつもりはあまりないらしいわ」

リ「全シリーズを読まないなんて許早苗、というかたがいたら申し訳ありません」

ミュ「というかミュア的にクラス全員が鈍感っていうアルセイフ教室が怖いんだけど」

リ「かれも十分鈍感だからそこに所属されても良かったと思うんだがな」

ミュ「・・・ゴメンにいさま、否定できる要素が見あたらない」

リ「では今回の『突っ込まれなかったネタ』コーナーは終了だ」

ミュ「じゃあ次は『嘘八百な次回予告』のコーナーね」

リ「このコーナーは下手な嘘をついて次回予告をするコーナーだ」

ミュ「今回の次回予告はにいさまが魔精霊をボッコボコにした後に魔精霊を差し向けた黒幕と再会するというお話よ」

リ「あと作者からは「はやく精霊サンドイッチの二人を書きたいから少し駆け足気味でストーリーをすすめるかもしれない」というコメをもらっている」

ミュ「あくまで「かも」だからどうなるかはわからないわよ」

リ「あと追加で「いつか赤毛のあの人もだしたい」とコメをもらっている」

ミュ「・・・赤毛のあの人ってだれ?」

リ「すくなくとも紅蓮卿(カーディナル)ではないらしい」

ミュ「・・・そっか、ならいいや。じゃあ今回のなぜなに剣舞祭はこれで終了ね。今回はミュアことミュア・アレンスタールと」

リ「リリィ・フレイムで」

ミュリ「「お送りしたわ(しました)。感想待ってます」」
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