デュエル? そんなものはない。
月が奇麗な夜。
どこぞの超トラブルメーカーとラーイエローのなんとかさん(名前忘れた)の
デュエルを見て喜んでいる野郎どもの姿がよく見える。
なんでラーイエローのかんとかさんが王様のデッキを使っているのかは知らないけど
問題なく回せてたみたいだしいいんじゃないかな?
正直、そんなことはどうでもいい。これに比べれば……
はるか上空で金と黒の鳥が時折炎を吐きながらぶつかり合い、その近くでは二人の巨人が
殴りあったり取っ組み合いをしていたり、更にその近くでは二体の竜が雷を纏いながら
絡み合いその牙と爪をぶつけ合っている。
そして
『離せ~!!』
『喧しい! お前なら何とかなるだろうが!』
『ざけんな!! 消し炭になるわ!!』
『大丈夫だエルフの剣士! お前なら大火力にすら耐えきれるだろう!』
『大火力すぎるだろ! 神の攻撃だぞ!』
『人間でも耐えれたんだから余裕余裕』
『だったらてめぇがいけ!!』
『おーい、鎖付きブーメラン借りてきたぞ!』
『ナ・イ・ス! こいつに巻き付けんぞ!』
『ふ・ざ・け・ん・な!!』
『カタパルトタートル射出!!』
『いやだ~!! 死にたくない!!』
『よし! あれを盾代わりに何とかするぞ! 何としても神の怒りを鎮めるんだ!』
『『『『おう!!!』』』』
そんな友情パワー()を見せながら突っ込んでいく
王様デッキとトラブルメーカーデッキの精霊ズ。
「うーん。見えないのはよかったのか悪かったのか…… どうしようこれ」
全部忘れて帰って寝たいと思ったのは悪くないと思う。
ことの発端は今日の昼休み。
「そういえば王様のデッキがどこかに展示されるみたいなんだけど、
ホリさん何か知ってる?」
『あまり興味ないので知りませんが、興味あるんですか?』
「いや欠片も」
デッキ自体王様本人に見せてもらったことあるし、さほど興味がわかない。
王様のデッキって激レアではあるがそれこそあほみたいにお金をかければ
作れないデッキじゃないため実際には社長のデッキの方がレア度は上だと思う。
まあ、持っている人が手放すかどうかは別口だが。
「流石に本人が使っていたデッキなら一点ものだけど、流石にそれはないよね」
『そうですね。きっとコピーカードか何かでしょう』
何人かが整理券をかけてデュエルをしていたが、気にせずにドローパンを買い教室に戻る。
そんで、その日の夜。
「コピーカードか何かだと思ってたけど、
まさか本当に王様が持っていたデッキだったとは」
痛む頭を押さえながら目の前で姿勢を正している精霊に目を向ける。
「別に挨拶に来なくてもいいんだけど」
『そうはまいりません。あなた様はホルアクティ様に見初められたお方です。
礼を失するわけにはいきません』
「だからね、偉いのはあくまでホリさんであって僕は何処にでもいる有象無象なの。
特にそういうのを気にする必要のある存在じゃないの」
寝ようとしていたところに現れた王様の忠臣ブラ・マジさん。
良い人ではあるんだけど、堅物すぎるんだよなぁ。
「第一、今ホリさんはお出かけ中。ゆえに全く必要ないからね」
『ですがそういうわけには……』
こんな問答を繰り返しているとふとブラ・マジさんが遠くを見た。
「? どうしたの?」
『いえ、何者かが主のデッキでデュエルをしているようでして』
「…… え、ええ~」
え、また厄介ごとですか? 聞かなかったことにして寝ちゃだめですか?
『誠に失礼ながら、戻らせていただきます』
「あ、うん。じゃあまた~~~~あああああ」
ブラ・マジさんの魔力に引っかかって空の旅。すごく寒かったです。
慌ててたからかブラ・マジさん気づきてくれないし、途中で落ちるわで散々だった。
そんな訳で崖の端(ほかの生徒が誰一人いない場所)からデュエルを眺めていたけど、
いちいち場に出るたびにこっちを見て頭を下げなくていいからね。
トラブルメーカーが不思議がっているから。
てか、なんでここにいるのがわかるんだろう?
そんなこんなでデュエルが終わった直後、すごい勢いで何かが飛んでくるのに気が付いた。
よーく見ると、飛んできたのは王様デッキに入っていなかった三体の神。
そしてそれを止めるかのように現れる三体の邪神。
因みに神と邪神すんごく仲が悪いんよ。
つまり、神話大戦の始まりである。
「う~ん。ホリさんもいないし、どうしたもんかな?」
はっきり言えば帰って寝たい。だが、これをほっとくのはさすがにまずい気がする。
また天変地異が起きても困る。
とはいえ、僕自身何の力も持たないただの一般人だ。何かできるわけでもなし。
そんなことを考えていたからか、気づくのに遅れた。
「え」
目の前に流れ弾であろうエネルギーの塊が飛んできたことに……
激しい痛みと衝撃を感じた時思ったことは
(あれ? こういう時ってイワークっていうんだっけ?)
だったりする。
時が止まった。
争っていたはずの三体づつの神と邪神がある方向を見た途端石化したかのように固まった。
同じくその方向を見ると、自分たちも固まる。
ホルアクティ様の宿主がボロボロになりながら崖から落ちていくのだ。
すぐに我に返ると、全員が救おうと向かう。当然神も邪神も例外ではない。
一瞬でも早く救わねば! まさに全員の心は一つだった。
だが、次の瞬間全員身動きが取れなくなる。
『これは! 六芒星の呪縛!?』
誰かが声を上げる。
ここにいる全員が呪縛を受けている。
すぐに神を見る。神に魔法は通じない、なら宿主を救えるのはあの六体のみである。
だが、そこに見たのは呪縛を受けた神の姿。
むろん神も解こうとするが、むしろ呪縛が強くなっていくよう見える。
宿主がそのまま海へと消える直前、光速で飛んできた球体が宿主を包み込み浮かび上がる。
助かったと思いその球体を見ると、そこにいたのは……
『私がいない間によくもまぁこんなことができますね』
青筋を浮かべながら宿主を抱きしめているホルアクティ様の姿だった。
『少しばかりお仕置きしたほうがいいですね』
『さすがに今回は弁護できんぞ。むしろ我も同感だからな』
そして隣に生まれた闇から湧き出てくるゾーク様。もちろんこの方も青筋を浮かべている。
間違いなくこの呪縛はゾーク様が発動しているのだろう。
でなければ神を束縛することはできない。
『『少し…… 頭冷やそうか』』
あ、死んだ。
ピピピピピというアラームの音で目を覚ます
「なんか、神の攻撃に巻き込まれた気がしたけど、死んでないし気のせいか」
生き残った凡骨とは違うのだ。神の攻撃を受ければ間違いなく死ぬ。
ならば気のせいだろう。
今日は休みだ。一日寝て過ごすのだ。
「寝るか」
なんかボロボロのまま正座している神ズや邪神ズ、
それにやっぱりこっちもボロボロの王様デッキの精霊やヒーローたち。
そして全員の前で腕を組みながら青筋を浮かべているホリさんやゾクさんを
見なかったことにして眠りについた。
これは自己満足作品です。過度な期待をしないでください。
大事なことなので二度書きます。