「‥…………………‥‥…‥」
……………‥……?
「ここはどこだ…………?」
気が付くと俺は暗い部屋にいた。いや暗すぎて部屋かどうかもわからない。床が異様に冷たいからもしかしたら牢屋かもしれない。
「いや、牢屋だろうな。きっと」
そう言い切る理由はある。それは俺の手足に枷が付いているからだ。いや、冷静に分析している場合ではない。少しは焦るべきだろうか。
「起きた?」
突如背後から声が聞こえ、俺は振り返る。
そこには格子越しに赤銅色の仮面をつけ、背中が大きく空いた真紅のドレスを着た髪も服も赤尽くしの女性が立っていた。
「大丈夫? 立てる?」
「え………? ああ、まあ……一応」
俺が返事をすると彼女はよかったと言って軽く笑みを浮かべる。
「ねえ………ここ………どこ?」
とりあえずここがどこで自分がどういう状況なのかを把握するために彼女へ質問をする。
「ここはわたしの世界」
「‥………‥?」
言ってる意味が分からない。
「あなたが危険な目にあったから、私がここへ呼んだの」
ますます意味が分からない。
「もうあなたは戦わなくていい。わたしがあなたを守るから」
「待って! いったいどういう意味だ!?」
彼女の言う意味を考えているうちに彼女が牢屋の前を去ろうとする。
「おい!待……………痛っ!!」
彼女が立ち去ろうとすると激しい頭痛が俺を襲う。
「直にわかるよ」
「ま………て……待って……く……………う……!?」
「またね」
彼女がそう言って立ち去ると頭痛が一層激しくなりここへ来た時と同じように目の前が真っ暗になった。
♦
「は………!?」
気が付くとそこは保健室のベットの上、あたりは夕焼け色に染まっている。いったいどれだけの時間が過ぎたのだろうか?
「! かんちゃん! ゴックー起きたよ!」
「っ‥……! 魁人!」
「あ、かんざ、しぃ!?」
体を起こそうとするが体中鋭い痛みに襲われる。
「痛‥………‥った………!!」
「大丈夫!?」
いったい何が‥…‥‥‥一夏との試合で何が………!?
「ようやく目を覚ましたか」
「織斑…………先…‥生………」
痛みに耐えながら扉の方へ顔を向ける。どうやら黒桐さんに一夏にセシリア、箒もいるようだ。
「ああ、そのままでいい」
「は、はい…………」
「「……………」」
何が起きたのかを先生から聞かねばならなく沈黙を破る。
「………あの」
「なんだ」
「何が起きたのですか?」
「魁人、何も覚えていないのか?」
「ああ、一夏、お前の攻撃を避けた、そこまでは覚えている」
「………魁人、お前の覚えているその先は……………」
♦︎
「お、おい、魁人?」
魁人が突然膝をつきピクリとも動かなくなる。
「おい!魁人!からかっているのか!」
「……………」
返事がない。もしかしたら本当に何かあったのではないかという考えが頭をよぎった。
♦︎
「織斑先生、これって…………」
「………………
♦︎
「………………」
「魁人、一体どうしちまったんだよ……………」
本当に動かない。それにこの『feint』ってどういうことだよ……………
『勝負あり!』
「え?」
『戦国 魁人気絶により、勝者織斑 一夏!』
「…………え?」
嘘だろ? 納得がいかねえ!
「ま、待ってくれ千冬姉! 納得がいかない!」
『戦国は戦闘続行不可能だ、これ以上やっても無駄だ』
「だけど…「っ…………」…え?」
今何か聞こえた?
「ぅ……………」
気のせいじゃない! 魁人だ!
「魁人! 大丈夫か!?」
魁人が心配で近くに駆け寄る、しかし………
「うわあぁぁぁぁあぁぁぁぁ!?」
突然魁人は悲鳴にも近い声を上げる。
「魁人!?」
それと同時に魁人のISが光り出す。
「これは………いったい………!?」
♦︎
戦国に突然の変化があったことは司令室でも確認が取れていた。
「織斑先生! いったい何が!?」
「わからん……………が、黒桐さん、あなたなら何か知っているんじゃないですか?」
「わかりません‥…………」
♦
「っ……止まった‥……‥?」
光が収まり目をふさいでいた手をどけるすると魁人のISが身体全身を纏う
「おーい、魁人?」
ただ棒立ちの魁人に近づく………すると。
ドガン!
思いっきり振りかぶって殴られた。
「痛った!? おい魁人! なにすんだ!?」
「‥…………‥」
「‥……‥魁人?」
『■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!』
「ッ!!」
魁人は機械の音が入り混じった獣、いや恐竜のような叫びをあげ俺に向かってきた。この瞬間俺は思った………今の魁人に話は通じない!
♦
「もう一度聞く。 アレはなんだ!?」
「わかりません………」
「『わからない』では済まないんだ!」
織斑先生は黒桐さんのスーツの胸倉をつかみ、怒声を上げる。
「こうなることは予想できなかったのか!
「っ………!」
「千冬さん! 落ち着いてください!」
箒に言われとりあえず手は放す。
「‥………‥現状言えることを説明します」
黒桐さんが織斑先生につかまれ崩れたスーツを直し話を続ける。
「暴走の原因はおそらく『ISSD』の可能性が高いです」
「ISSD?」
「知らないのは当たり前です。魁人さんのISに取り付けられたシステム、ISSD、『
「そんなことは聞いていない! 何が起きたかを聞いているんだ!」
「‥………………‥」
最後まで喋らせてくださいと言わんばかりの顔で織斑先生を見る黒桐さん。ため息を一つつき再び話を進める。
「よく言えば常に相手より強い機体になれる、しかし悪く言えば勝つために最も適した形へと進化し不要とするものは切り捨てる。 つまり、現在、魁人さんのIS、騎龍は
「「「「!!」」」」
「山田先生、今すぐ教員をここに「無駄でしょう」‥……なに?」
織斑先生の言葉を黒桐さんが遮る。
「その根拠はなんだ?」
「先ほども言いましたがISSDは戦えば戦うほど自身を
「‥………‥…‥」
「お急ぎ決断ください織斑先生、こうしている間にも騎龍は織斑くんのと戦いで「わかっている」」
「オルコット、急ぎ織斑の援護に迎え」
「わかりました」
正直言って今こいつに従うのは少し癪だが生徒が危険に晒されているのだ、仕方がない。
「二人とも無事でいろ…………」