IS~規格外少年~   作:珈琲店員

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第五話 喧嘩

「大丈夫だった?」

 

「あぁ、危うく口の中にホッチキス入れられるとこだった……」

 

簪が来てようやく解放された俺、そして頼まれたものは仕方ないのでISの整備をしていた……ちなみに楯無は逃げた。

 

「ごめんね、悪い人…………なのかなぁ………」

 

悪い人扱い妹公認かよ、救えねえなあの人。

 

「何であんなになるまで放っておいたんだよ……あ、レーザーカッター取ってくれる?」

 

「だって……はい、レーザーカッター……」

 

「ありがと、普通はあそこまでは………あー……」

 

カタカタ、カタカタ、とキーボードを打つ音が整備室に響く、普通はあんな(シスコン)にはならないだろ。といおうと思ったが自分(母さん)のことを思ったらそれを言うのを思いとどまった。

 

「どうしたの?」

 

「いや……なんでもない」

 

まったくあの人はいったい何なんだよ……

 

「……ねぇ」

 

「何だ?」

 

「私のお姉ちゃんって……私のこと嫌いなのかな……?」

 

「………え?」

 

「だって、もう夏休みの宿題終わっているのに『宿題わからないとこ教えてあげようか?』って」

 

それは単なる優しさだろ。それに相手も簪が宿題終わったかどうかわからないんだからそれは仕方ないだろ。にしても宿題終わらせるのはやくね!?

 

「それにこの機体だけはお姉ちゃんの手を借りずに作りたいって言ったのに、後ろから要らないアドバイスしてくるし……」

 

それも優しさ……なのかなぁ……あと要らないって言うなよ……

 

「しかもいい歳して『一緒にお風呂入ろ』っていって………その…見せつけてくるし……」

 

それはただのシスコン故の行動だ、ほっとけ。

 

「あと…………」

 

「ん?」

 

簪が少し辛そうな表情をする。あの人との間に何かあったのだろうか。

 

「…………ッ」

 

「!?」

 

お、おい簪!? どうした急に泣き出して!?

 

「やっぱり私にこと嫌いなのかなぁ………?」

 

「簪……? 何があった……?」

 

「昔、お姉ちゃんが…………私に……         」

 

その言葉を聞いて俺は絶句した。

 

「用事思い出した」

 

「? どこ行くの?」

 

「お前の姉さん、ぶちのめす」

 

それだけ言って俺は整備室を後にした。

 

 

 

 

 

 

「あ~」

 

「ん?」

 

「ゴックーだ~」

 

楯無を探して屋敷を歩いていると意外な人物(本音)がいた。

 

「何でゴックーがこんなとこに~、ハッ! もしかして私の夏休みの宿題を手伝っt「違う」え~」

 

「本音こそ、何でこんなところに」

 

「うちは代々、更識家の使用人なの~、今はかんちゃん専属のメイドなの~」

 

ふーん、あ、そうだ一つ聞いておこう。

 

「なぁ、楯無さんがどこにいるか知らないか?」

 

「たっちゃん? たっちゃんならゴックーのお母さんと道場で組み手してるよ~」

 

「そうか、ありがとう」

 

本音にお礼を言いその場を立ち去ろうとする。

 

「ねえゴックー」

 

「何だ?」

 

「なんかゴックー怖い顔してるよ~」

 

そうか? いつもこんなんじゃないか?

 

「ねえ、何する気?」

 

「んー……楽しいこと?」

 

「え…………?」

 

 

 

 

 

 

「ハッ!!」

 

「甘ーい!」

 

ここがあの女のハウスね!!(楯無がいるのはここか!!)中から楯無の声するし、さて、ノックは激しく行くか。

 

バァン!

 

「楯無ぃ!!」

 

「はいぃ!?」

 

簪から聞いたことに腹が立ち、相手が誰だとか性別がどうとか関係なしに殴りかかった。しかし。

 

「女の子に………」

 

「へ?」

 

「手をあげちゃダメーーー!!」

 

「グッハァ!?」

 

母さんのボディーブローが炸裂。そうだった母さんって間違ったことは間違っているってちゃんというようなそういうとこしっかりしている人だった…………

 

「もー! カー君、女の子に手を上げちゃだめってあれほど言ったでしょ!」

 

「ご、ゴメンナサイ……」

 

「やり直し」

 

「はい……」

 

しぶしぶ廊下まで戻ってやり直す。

 

バァン!

 

「楯無ぃ!!」

 

手を上げるのはいけないので今度はドロップキックをかましてみた。

 

「うわ!?」

 

あ、寸前で避けられた。

 

「背中痛あ!?」

 

当然途中で止まることができず地面に激突する。

 

「女の子には手を上げないんじゃなかったの!?」

 

「今のは手じゃねえ! 足だ!」

 

「そういう理屈ってあり!?」

 

「ありだ!」

 

母さん言ってたもん! 『足ならいいよー』って。

 

「うん、それでよし」

 

ほらね。

 

「いいんですか!? 天花さん!?」

 

「母さんがいいって言ってるんだ、続けようぜ」

 

「それでは、空気の読めるお母さんはここで退場、あとはごゆっくり~」

 

「え? あ、ちょっと!」

 

バタンと扉が閉まり二人だけになる。

 

「「…………」」

 

「えっとまず何でこんなことするの?」

 

さきに沈黙を破ったのは楯無だった。

 

「簪からお前がなにをしたか聞いた。むかついたからぶん殴r……ぶっ飛ばしにきた」

 

「訊いたって何を?」

 

「なんで……」

 

「?」

 

「なんでお前は家族に向けて無能でいろとか言えるんだ!!」

 

「そ、それは……」

 

「言い訳は聞かないむしろ聞きたくない!」

 

もう話し合う余地なんてない!

 

「お前ブッ潰すけどいいよな!?」

 

「くっ………!」

 

お互いに構える。なんか初めてだな友達のために怒るのは!

 

「ラァ!!」

 

最初に仕掛けたのは俺、旋風脚を試みるが動きからしてばればれなのであっさりかわされる。

 

「よ、ほ、は!」

 

ぽん、ぽん、ぽん、と肘、肩、腹に軽く掌打を打たれる。そして俺の関節が反射的に強ばった瞬間に、両肺に双掌打が叩き込まれる。

 

「がっ……、……」

 

肺の空気が強制的に排出され俺の意識が一瞬飛んだような感覚を味わう。

 

「……たいわよ……」

 

「……?」

 

「謝りたいわよ! あの時いったことは訂正したい! でも私にかって頭首立場がある! それに、簪ちゃんは顔も合わせてくれないし! いまさらどうやって謝れって言うのよ!!」

 

「合わせるわけねえだろ…………」

 

「え?」

 

「頭一つ満足に下げられねえ当主の面なんて誰も見たくねえよ! そんなもんないも同然だ!! それに謝りたきゃ普通に謝れ!!」

 

「ッ!! わかったような口を利かないで!!」

 

どんっ、といきなり目の前に急接近される。鮮やかなすり足の移動。それはまさしく古武術の奥義の一つ『無拍子』だった。

 

人間は言ってしまえばリズムに合わせて生きている。つまり、心臓の鼓動であったり、呼吸のタイミングなどのことで、そのタイミングに合わせて一瞬出来る空白の時間を使う技術が『無拍子』だ。

 

「ッ!!」

 

先ほどと同じように楯無は肘、肩、腹と掌打を打たれる。そして再び両肺に双掌打を叩き込もうとするが。

 

「させるか!」

 

気合いで両手をつかみ楯無の胴体をがら空きにする。

 

「喰らえ!!」

 

そして膝を楯無の膝にたたきこむ。

 

「痛っ……!」

 

「俺に同じ技が二度通じると思うな!」

 

「油断………大敵!!」

 

どうやら怒ったらしくこんどは顎に掌打が打ちこまれる。

 

「ッ…………! やるじゃねえか……」

 

「あなたもね………」

 

お互いに痛み分けというわけではなくさきに楯無が立ちあがる。どうやらさっきのひざ蹴りの時後ろに飛びのいていたらしい。

 

「さっさと簪に謝れよ……」

 

「だから……無理だって……」

 

「「………」」

 

この頑固者が………

 

「次で決める……」

 

「じゃあ、私もそうさせてもらうわ」

 

次で決めると言ったからには決めなければならない、相手も本気らしいし。

 

「…………」

 

「…………」

 

おそらく三度目も同じ攻撃は仕掛けては来ないだろう相手の攻撃をかわしつつ攻撃する方法は………アレ(・・)しかないか。しかしアレを行うには相手との距離を取らなくちゃならない。

 

「来ないの? それじゃ私から――行くよ!」

 

来た! 楯無はやはり無拍子を駆使しこちらに接近してくる。だがこちらにも切り札はある。

 

「これで!!」

 

「なっ!? 縮地!?」

 

『縮地』日本武術の技の一つで、瞬時に相手との間合いを詰めたり、相手の死角に入り込む体捌きのこと。まあ、無拍子も縮地も不意を突くという意味ではどっちも同じだけど。

 

「オラァ!!」

 

そして縮地の勢いを利用したまま前に出した左足で跳び反対の右足を空中で回し蹴りのように蹴りだす、飛び回し蹴りを繰り出す!

 

「きゃあ!?」

 

見事楯無の肩に命中、そして蹴った足で相手を蹴飛ばし相手から見て背を向けるように着地する。

 

「この……!」

 

まだこっちに向かってくるらしい、だが問題ない。

 

「フッ!!」

 

母さんから最初に教えてもらった技、カウンターキックを繰り出し楯無の顔すれすれでとめる。

 

「うっ……」

 

「俺の……勝ち……」

 

それだけ言って俺は畳に倒れ込んだ。

 

「………」

 

どさりという音が聞こえた。どうやら楯無も倒れ込んだようだ。

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