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「――であるからして、ISの基本的な運用は現時点で国家の認証が必要であり、枠内を逸脱したIS運用をした場合は、刑法によって罰せられ――」
すらすらと教科書を読んでいく山田先生。俺は将来IS関連の仕事につこうと思いこれまで勉強してきたから大体理解できているが隣の奴は………
「な、なあ、魁人。山田先生が何言ってるわかるか?」
「ISの基本的な運用は現時点で国家の認証が必要であり、違反した者は罰せられるということだ」
「いやそれはわかるんだけど、このあくてぃぶなんちゃらとかこうえきうんたらとか訳が分からないんだ。教えてくれ」
いや、山田先生の話聞いていれば分かるだろ普通。それにわからなかったら先生に聞けよ。
「おい、織斑に戦国。授業中だ私語は慎め」
「「はい」」
何で俺まで怒られなきゃいけないんだ……
「なあ、魁人あとでこの授業の内容教えてくれ………」
だから喋るなって……
「織斑、そんなに喋りたいなら喋らせてやる。AICについて説明しろ」
「え!? ………えっと………」
「どうした、早くしろ」
「………えーと………」
………はあ、もう見てられん。
「AIC、アクティブ・イナーシャル・キャンセラーの略、和名は慣性停止結界と言われており、ISの基本システム
「正解だ」
「す、すげえな、魁人」
「このぐらい知っておけ。というか参考書に書いてあっただろ」
そう言って俺は電話帳ぐらいの厚みがある本を織斑に見せる、すると。
「あっ、それ古い電話帳と思って捨てたやつだ」
アホいや阿呆かこいつ。
パアンッ!!
「必読と書いてあっただろうが馬鹿者」
織斑先生が呆れた表情を浮かべる。
「あとで再発行してやるから一週間以内に覚えろ。いいな」
「い、いや、一週間であの分厚さはちょっと……」
「やれと言っている」
「……はい。やります」
ギロリと一夏を睨む織斑先生。あんた本当に一夏の姉か? 俺には人の皮をかぶった悪魔に見えるのだが。
「ISはその機動性、攻撃力、制圧力と過去の兵器を遥かに凌ぐ。そういった『兵器』を深く知らずに扱えば必ず事故が起こる。そうしないための基礎知識と訓練だ。理解が出来なくても答えろ。そして守れ。規則とはそういうものだ」
まあ、そうだな。
だが一夏のほうはどうかな? ここには望んで来ていないかもしれないな。
「……貴様等、『自分は望んでここにいるわけではない』と思っているな?」
……一夏はそうかもしれないな。
「望む望まざるにもかかわらず、人は集団の中で生きなくてはならない。それすら放棄するなら、まず人であることを辞めることだな」
『まず人であることを辞めること』か……手厳しいなー。
♦
「ちょっとよろしくて?」
「へ?」
「ん?」
二時間目も終わり、休み時間。一夏にわからないといっていたとこを解説していると俺たちの元に一人の女子生徒が現れた。なんか偉そうな金髪巻き毛の女子。腰に手を当てたポーズもなんか偉そうだ。
「聞いてます?お返事は?」
「あ、ああ。聞いてるけど……」
「何か用か?」
「まあ!なんですの、そのお返事。わたくしに話し掛けられるだけでも光栄なのですから、相応の態度というものがあるのではないかしら?」
「「……………」」
何なんだこいつ、急に人の前に現れて偉そうに………
「なあ、魁人、この人誰だ?」
俺に聞くのか? まあ、知っているから答えてやろう。
「セシリア・オルコット、イギリスの代表候補生だ」
「あら、あなたはわたくしのことをご存じのようですね」
「ああ、セシリア・オルコット、イギリスの代表候補生でありイギリス製の第3世代型IS『ブルー・ティアーズ』の操縦者」
「そのとおりですわ! あなたはそこそこ勤勉なかたですわね、感心しましたわ」
「そりゃどうも」
なんかこいつに褒められてもうれしくない何で?
「あ、質問いいか?」
「ふん。下々の者の要求に応えるのも貴族の務めですわ。よろしくてよ」
「代表候補生って、何?」
がたたたっ。聞き耳立ててクラスメイト数名がずっこける。
「まあ、あれだ。読んで字のごとく、国家代表のIS操縦者の候補生のことだ」
「なるほど」
「まったく、信じられませんわ。極東の島国にはテレビもないのかしら……」
全くだ、こいつは世間を知らなさすぎる。
「簡単に言えばエリートなのですわ!」
そこまでランク上げなくていいだろ。
「本来ならわたくしのような選ばれた人間とは、クラスを同じくすることだけでも奇跡……幸運ですのよ。その現実をもう少し理解していただける?」
「そうか。それはラッキーだ」
一夏の気のない返事に怒りを隠せないオルコット。そろそろ本題に入ってもらっていいかな?
「大体、あなたISについて何も知らないくせに、よくこの学園に入れましたわね。」
「俺に何か期待されても困るんだが」
「ふん、まあでも? わたくしは優秀ですから、あなたのような人間にも優しくして差し上げますわよ」
オルコットに優しくされる………なんかいやだな、それぐらいなら織斑先生にやさしk……あ、無理か。
「ISのことでわからないことがあれば、まあ……泣いて頼まれたら教えて差し上げてもよくってよ。なにせわたくし、入試で唯一教官を倒したエリート中のエリートですから」
さらにちょうしずくオルコット嬢。
「入試ってあれか? IS動かして戦うやつ」
「それ以外に入試などありませんわ」
「あれ俺も倒したぞ、教官」
「は……?」
一夏が言ったことに相当ショックだったのか、オルコット目を驚き見開いている。
「つ、つまりわたくしだけではないと……?」
「いや知らないけど」
「あ、あなたも教官を倒したっていうの!?」
おー、やるな。俺は引き分けだったけど。
「うん、まあ。多分」
「わ、わたくしだけと聞きましたが?」
「女子ではってオチじゃないのか?」
ピシッと氷にひびが入るような嫌な音が鳴る、しかしここで。
キーンコーンンカーンコーン
三時間目開始のチャイムが鳴り試合終了っと。
「っ………! またあとできますわ! 逃げないことねよくって!」
出来れば会いたくない。
♦
「それではこの時間は実戦で使用する各種装備の特性について説明する」
一、二時間目と違って織斑先生が教壇に立っている。よっぽど大事なことなのか、山田先生までノートを手に持っていた。
「ああ、その前に再来週行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めないといけないな。クラス代表者とはそのままの意味だ。対抗戦だけではなく、生徒会の開く会議や委員会への出席……まあ、クラス長だな。ちなみにクラス対抗戦は、入学時点での各クラスの実力推移を測るものだ。今の時点で大した差は無いが、競争は向上心を生む。一度決まると一年間変更は無いからそのつもりで。誰か立候補はあるか?推薦でも構わんぞ?」
つまり学級委員か。うん、俺は無理だな。まだ週一で病院にいかなかなきゃいけないし、何かあったらそれを言い訳にしよう、うん。おい誰だ今その設定まだ生きていたのかと思ったやつ。
「はいっ! 俺は織斑くんを推薦します!」
よしその調子でどんどん一夏に票を入れてくれ。
「私もそれがいいと思います!」
すまん、一夏俺のために生け贄になってくれ。
「では候補者は織斑一夏……他にはいないか?」
「お、俺?」
「織斑。席に着け、邪魔だ。さて、他にはいないのか?いないなら織斑に決まるが」
「はい!だったら俺は魁人を推薦する!」
「………はい?」
なに言ってるの? ま、まあいいこっちには
「待ってください!納得がいきませんわ!」
おっとここでセシリアが打って出るのか?
「そのような選出は認められません!大体、男がクラス代表だなんていい恥晒しですわ!わたくしに、このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?」
……はい?
「実力から行けばわたくしがクラス代表になるのは必然。それを、物珍しいからという理由で極東の猿にされては困ります!わたくしはこのような島国までIS技術の修練に来ているのであって、サーカスをする気は毛頭ございませんわ!」
おい待て猿ってなんだ猿って。
「いいですか!?クラス代表は実力トップがなるべき、そしてそれはわたくしですわ!大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で――」
おい、そこまでにしとけよ。
「イギリスだって大してお国自慢ないだろ。世界一まずい料理で何年覇者だよ」
一夏、それは言ってやるなよ………
「あっ、あっ、あなたは!わたくしの祖国を侮辱しますの!?」
「お前らいいかげんにしろ!」
ついに俺も堪忍袋の緒が切れどなり声をあげてしまう。
「一夏! お前は例え事実だとしてもそれを心の中にとどめておこうとは思わないのか!」
「うう……」
「それ見たことですか!」
「オルコット、お前もだ!」
「わたくしもですか!?」
あたりまえだ!!
「『クラス代表を極東の猿にされては困る』? お前は日本人を馬鹿にしているのか! それに代表候補制ともあろうものがデリカシーに欠けることを言うな!」
「じ、事実でしょう!」
「へー。って言ってますよ? 第一回IS世界大会モンド・グロッソ総合優勝及び格闘部門優勝者、織斑 千冬先生?」
「ほう、そうか、あれは猿でも優勝できる大会だったのか」
「ええ、猿に負けているイギリスは何なんでしょうねー全く」
「ッ………!」
辛いか? 辛いか~? だが俺の口から出る言葉の攻撃、略して
「それにここを島国だと? 一回地図を見直したほうがいいんじゃないか? イギリスも島国だろう?」
バンッ!と机を叩くオルコット。
「なんだ? 何か言いたいのか?」
「決闘ですわ!」
「いいぜ。やってやるよ。なあ、一夏お前もそれでいいか?」
「ああ、いいぜ」
「ハンデはどれくらいつける?」
おい一夏? いきなりハンデをお願いか!?
「あら、早速お願いかしら」
「いや、俺がどれくらいハンデをつければいいのかなーて」
そっちかよ。
と、そこまで言ったらドッと爆笑が巻き起こる。
「お、織斑君それ本気で言ってるの?」
「男が女より強かったのって、大昔の話だよ?」
「織斑君達は、確かにISを使えるかもしれないけど、それは言いすぎよ」
「じゃあハンデはいい」
「さて、話はそれくらいでいいか。それでは勝負は一週間後の月曜。放課後、第三アリーナでおこなう。織斑と戦極、そしてオルコットはそれぞれ用意をしておくように。それでは授業を始める」