fate/stone river   作:挨拶番長

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()fate /stone river

 

0話

 

 

「憎い」 「憎い」 「憎い」

 

ーーー少女は心の中で雄叫びをあげる。

 

「殺す」 「殺す」 「殺す」

 

少女の咆哮は収まらない。

 

私の身体を処刑の直前まで弄んだ男どもも、

 

私の身体が焼かれる姿を嗤った民衆どもも、

 

私の悲劇の原因である勝利王も、

 

そして何よりも、

 

ーーー神が憎い。

 

生前愚かにも私が熱心祈りを捧げて来た神は私を救うことは無かった。

 

これが何よりも憎い。

 

この憎しみをどうしてくれようか。

 

少女の(にくしみ)は収まらない。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

リョウスケとダイチは国の博物館に来ていた。

 

 

「ねえリョウちゃん本当にやるのか?」

どこか臆病なところがあるダイチは声を上擦らせながら言う。

 

「ああ。調子に乗ってる魔術師供を黙らせるには偉人の宝が必要らしいぜ。しかも有名であれば有名であるほど良いらしい。ったくわかんねえよなぁ〜金持ちの思考ってのはさ。」

「だからってセキュリティもハイレベルな博物館に来るって...安直すぎるでござるよ」

 

「平成のルパン3世と言われた俺に死角はねえよ...ほら行くぞ!」

 

2人は熱照射で窓をそっと円状にくり抜きそこから侵入を試みる。

 

「案外楽勝だったでござるね」

ダイチはホッとしたように胸を撫でる。

 

「おいダイチ...なんだアレ...?」

 

ダイチとリョウは物陰に隠れ、博物館内部で行われているその異様な光景に目を丸くした。

博物館の床には巨大な魔法陣が描かれ、その中には少女とよく分からない書物が供えられていた。

 

まるで生贄のように。

 

魔法陣の外に立つロープの男は何か呪文のような物を唱えている。

 

「告げる。汝のーーー」

 

リョウスケは直感的に察した。

 

このまま見過ごせば、この少女はこの儀式で死ぬ。

 

武者震いなのかリョウスケは手足が震わせる。

 

「ーーーおし。ダイチてめーは帰れ。帰って親方に宝は無理だったって伝えろ。」

 

「リョウ...!ダメでござるよ...!そんなことしちゃ...!」

 

ダイチが全ての台詞を言い終わる前に、

 

リョウスケはローブの男に向かって駆け出した。

 

「やめろォォォ!!!」

 

リョウスケはタックルを喰らわせんと突っかかるものの、翻され、

 

ーーーパン

 

何かが破裂した。

 

破裂したのは、

 

リョウスケの内臓であった。

 

ーーー嗚呼。

 

ーーー何だったんだ?俺の人生?

 

ーーー俺は結局名もない泥棒で悪人の筈なのになんであの子を助けようと思ったんだ...?

 

ーーー善人になりたかったのか...?

 

ーーーもうわかんねえや。

 

ーーー童貞でハーレムも築けず、貧乏人のままで人生終わりとか

 

ーーーついてねえなぁ...。

 

リョウスケの命は無慈悲にもここで終わった。

 

だがローブの男にとっては少年の命を終わらせたことが、

 

最大のミスであった。

 

少年の腹から流れた血が

 

少女の代わりに触媒となり、

 

英霊を召喚する儀式が発動してしまったのだ。

 

魔法陣は英雄の召喚を開始した。

 

 

そして

 

 

ーーー心臓は動き出す。

 

少年の目覚ましは令呪の刻印による火傷のような痛みであった。

 

失われた内臓は再生し、少年は見事に蘇った。

 

「クヒヒヒ...大天使アザゼル様死にかけの少年を依り代にここに参上ってね」

 

ローブの男は目の前の悪魔に怯え、絶望した。

 

「早速だけどさぁ...」

 

「...死ぬ?」

 

「あァ!?あああああああ!!!」

 

「やっぱ腸って長いなァ〜こんな長いのが人間の中にしまってあるとか考えにくい...クヒヒ不思議だなァ」

 

「あァ!!!いだい!!いだぃァ!?ァァ!?」

 

後から聞いた話この男のリアクションが面白いから、黒い翼の天使は一晩中男の肢体を楽しむこととにしたらしい。

 

本当に一回死んで悪魔に憑かれるとかなんともついてないな。

 

そんなことを薄れゆく意識の中で考えていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ぺちぺちと頬を叩かれる感触がした。

 

「おきて」

 

ううん...なんか臭い...なんだこれ...

 

「おまえわたしのつかいま、いうこときけ」

 

使い魔...?アレ...?なんだ...力...的なものが体に流れてきてる...

 

「物分かりの悪い豚野郎ダナァァ!?テメェはよォ!」

 

羊のマスコットみたいなやつがいきなり罵倒してきた。

「うわぁ!?なんだテメェ!!!」

 

「あァ!?みんな大好きアザゼルちゃんに決まってるだろォ!?」

 

「その羊の姿でアゼザルとかたいそうな名前だなオイ」

 

「まあ細かいことは言い。聞けよ。契約者」

 

「我らがマスターイリヤスフィールフォンアインツベルンは命を狙われててな」

 

「恐らくこの後魔術師がここを攻めに来る」

やっぱり魔術師の仕業か...どうりでうさんくせえと思ったぜ。

 

「だが我らがマスターは魔力切れを起こしててな」

 

「さっきみたいに本体のアザゼルには変身不可能なのよ」

 

えっ...

 

「つまり生身でファイトしてくれ」

 

うっそぉ...生身でファイトってお前...

 

なんて思ってた時につんつんと肩をつつかれる

 

「おっどうしましたイリヤさん」

 

禍々しい魔術書みたいなものを渡された。

 

「いやこれでどうしろって...俺は魔術の才能なんて...」

 

「おまえれいじゅある。たたかいさんかけんある。よべ。」

 

んなこと言われても...えーとなになに触媒に英雄に関する品が必要...なるほどなるほど

 

テキトーにそこらへんにある剣でいっかかっこいいし

 

えーと次に魔術陣を血で描く...ふーんなるへそー

 

「オイ早くしろ呑気にやってる場合じゃないぞ」

 

「うるせーバーカ羊の癖に調子乗んなよ」

 

「あァ!?誇り高き堕天使アザゼルちゃんになんて口利きやがる」

 

その時だった。

 

 

いつのまにか イリヤが朱い槍に胸を貫かれていた。

 

「なッ!?」

 

そしてイリヤは身体から大量の朱槍を吐き出すようにして爆散した。

 

「オイこれって...」

 

影からぬらりとフードを被った男が現れる。

 

「マスターの命でここにきてみたらなんだ?餓鬼が遊んでただけか」

 

「なわけねェなァ...」

 

その男はニタリと笑った。

 

身体がその男の威圧で凍ったように動かない。

 

「オイ生臭坊主俺の宝具の贖罪の羊(スケープゴート)で時間を稼ぐからさっさとサーヴァント召喚しろ」

 

「すまんアザゼル様!!!よろしく!」

 

「こういう時だけ様呼びしやがって...」

 

「させねぇよ...オレの前では時間稼ぎがどれだけ無意味か教えてやる」

 

とにかく全力で逃げ回りながら詠唱するしかない!

 

「告げる!汝の身は我が元に!汝の命運は汝の剣に!」

 

アレ...?ページが破れてる...!?これ以上の詠唱が書いてない...

 

「狙うは心臓...!」

 

フードの男は朱い槍を構え始めた。

「チックショォー!なんか来いヨォー!!!」

「宝具展開 贖罪の羊(スケープゴート)

 

アゼザルは自身と同じ姿の羊を大量召喚する。

だが、

 

「生憎お前の宝具とオレの槍は相性が悪かったな。」

 

「なにッ!?」

 

「俺の槍は狙った心臓は外さない呪いの魔槍。身代わりいくら用意しても意味ねーんだよ」

 

突き穿つ死翔の槍(ゲイボルグ)ッッッ!!!」

 

男の腕から放たれた槍は見事に贖罪の羊をすり抜け俺を貫き、

 

俺は槍ごと博物館の外へぶっ飛ばされた。

 

骨は様々な場所が折れ、心臓は貫かれている。

 

ーーーにも関わらず俺は生きていた。

 

なんで生きてんだ...俺...

 

「しぶといな...お前さん...」

 

いつの間にか追いついたフードの男は胸ぐらを掴んで言った。

 

「だがここで終わりだ...流石のお前も朱槍で脳天貫かれりゃ死ぬだろう」

 

「嫌だ...」

 

俺はなぜか反抗した。

 

「はァ?」

 

男は鋭く俺を睨む。

 

「ここで死んだら...俺は意味のない人間だ...意味のないまま死ぬのは嫌だ...だから死なない...死ねない...」

 

「なに意味わかんねえこと言ってやがる...」

 

そのまま俺は男に投げ飛ばされた。

 

「だから力を貸してくれ...英雄...!!!」

 

「俺に意味をよこせ!!!英雄!!!」

 

 

 

 

まるで少年の方向に応えるように、少年の描いた粗末な召喚陣は光を纏い始める。

その光から産まれた影は肉となり

 

夜に英霊は顕現する。

 

月夜に現れたのは銀色の鎧に身を包んだ騎士であった。

 

 

 

闇夜に煌めく金髪は夜を照らし、

 

 

 

真紅に輝く瞳は真っ直ぐにリョウスケを見つめる。

 

 

少年は思わずその瞳の力強さに見惚れてしまう。

 

 

 

これが...俺のサーヴァント...

 

 

「クラスはセイバー」

 

 

 

騎士は少年に問う。

 

 

 

 

 

「答えよ。其方が余のマスターか?」

 

END

 

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