Fate/Grand Order 創作特異点 極限閉塞闇夜 平城京   作:三代目盲打ちテイク

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原作にやられるまえにやるのだ。

注意
1.5部で登場したサーヴァントの真名を出しています。
ネタバレされたくない方はブラウザバックをお願いします。

ネタバレ関係ねえぜヒャッハーな人は自己責任で読んでください。



極限閉塞闇夜 平城京  暗殺御伽草子
アバンタイトル


 人に歴史あり。

 国に歴史あり。

 世に歴史あり。

 

 歴史ありて世はあり、国はあり、人はある。

 歴史とは積み上げられた欠片の堆積。

 記録が積み上がり、編纂され書にしたためられて、それは歴史となる。

 

 歴史失くして世はなく。

 歴史失くして国はなく。

 歴史なくして人はない。

 

 歴史こそ最も重き、人類の足跡。

 かつて、彼の王が行ったが如く。

 殺してみせよう――。

 

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 自室(マイルーム)で目覚めた藤丸立香は、いつものように管制室へと呼び出される。

 こういう時は何かが起きた時。

 七つの特異点を修正したマスターとしての予感が、彼にカルデアの廊下を急がせる。

 

「先輩、おはようございます」

 

 管理室へと入ると、マシュ・キリエライトが藤丸を迎える。

 いつもと変わりない彼女の姿は、彼にとっての安らぎであったが、彼女の表情は少しばかり暗いものがある。

 

「おはよう、マシュ。状況は?」

 

 朝の挨拶を返すと同時に藤丸は状況を問う。

 まずは状況の把握をしなければ、どう動いてよいのかもわからない。なにより、この場にいるサーヴァントたちの存在が確実に何かがあったのだと告げている。

 

 神秘殺し――源頼光 

 頼光四天王――坂田金時

 五代目風魔忍軍頭領――風魔小太郎

 竜殺し――俵藤太

 甲賀忍、大蛇巫女――望月千代女。

 傾国――玉藻の前。

 

 早々たるメンバー。

 しかも全員日本の英霊であった。

 

「やあ、やっと来たね。早速で悪いけれどブリーフィングを始めよう」

 

 全員が揃ったのを確認して、現在の指令代行であるダ・ヴィンチちゃんが話を始める。

 

「もう察しがついているだろうけれど、今日未明に新しい特異点が発見された。西暦711年の12月。日本のある都市:平城京だ」

「平城京」

「はい。先輩には解説は不要かもしれませんが、奈良時代の日本の首都です」

「そう。これまで同様過去の特異点だ。発生源もわかっている。これまでの亜種特異点とは毛並みが違っているし、なにより、あらゆることが観測できるんだ。未確認、異常というものがなく全てが明瞭。

 この特異点からは魔神柱の反応は一切ないことが判明している。どうやら、いつもの微小特異点(イベント)と同じ観測数値だ」

「了解。いつも通りレイシフトして修正すればいいんだね」

「そうだとも。そして、今回はそんな君にお役立ちアイテムがある」

 

 じゃじゃーんとダ・ヴィンチちゃんが取り出したのは衣類。魔術礼装の類であるが、そのデザインは和風のそれであった。

 

「これは?」

「今回の魔術礼装だね。今回は711年の日本の都市だ。さすがにまだまだ海外との取引も薄い。そんな場所に、現代の服装でいけば非常に目立つ。何が起きるかわからない特異点だ。なるべくなら目立たない方が良い」

「確かにそうだ」

 

 単純なことではあるが、実はこれが効果的。

 溶け込む努力をすることで敵に見つかりにくくなることもそうであるが、情報収集などを行う際の信用にも関わる。

 人間誰しも自分に近しい者ほど話しやすくなるものだ。身分が違えばそれだけ話にくくなる。親身になってより多くの情報を集めるならば似た格好をするのが良い。

 

 しかし、平城京はシルクロードの終着点でもあることから、国際的な都市であった。なんと京内には唐や新羅、遠くはインド周辺の人々までみられたという。

 その時代をうかがわせるのが東大寺正倉院の宝物で、有名である。

 

「だが、あのホームズがわざわざやってきて、これを用意した方が良いとまで言ったんだ。何かあるに決まっている。なにより、今回はちょっとすごいんだぞぅ。なんと今までの魔術――」

「ダ・ヴィンチちゃん、礼装の解説はまた今度に。ひとまずの説明は終わったのですから、方針の確認をお願いします」

「――む、そうだね、そうしよう」

 

 説明が長くなりそうだったのをマシュが遮る。

 

「まず場所はご存じ、平城京です」

「平安の都と同じく、いえ寧ろ平安の都がというべきでしょうか。古くは唐の都長安などを模して造られた碁盤状の街です」

「おう、実際に行ったわけじゃあねえが、中々に活気のあった町だって聞いたぜ」

 

 頼光や金時の言う通り、平城京は長安や北魏洛陽城などを模倣して建造されたとされ、現在の奈良県奈良市及び大和郡山市近辺に位置していたとされている。

 

「そうですねぇ。そういう感じでしたが。今回は711年でしょう? ならば、内裏と大極殿、その他の官舎が整備された程度ではないです?」

「その通り。

 さっき玉藻の前が言った通り、711年当時なら内裏と大極殿、その他の官舎が整備された程度だったとされている。

 寺院や邸宅は、山城国の長岡京に遷都するまでの間に、段階的に造営されていったと考えられている。だが、あくまでもそういう話ってだけで実際は解らないからね。用心するにこしたことはないのさ」

「ええ、用心するに越したことはないでしょう。我ら風魔も、任務の前はしっかりと準備を行っていました」

「拙者も備えは万全でございますお館様」

 

 用心に用心を重ねること。

 それこそが肝要。無作為に突っ込めばどうなるかなど、これまでのことで散々わかっている。だからこそ、今回は、メンバーの選出からしっかりと準備を行っている。

 礼装の準備も万端。何があろうともしっかりとサポートできるようにカルデア側も全ての工程を完了させて、このミッションに臨んでいる。

 

「なにせ、藤太殿もおりますれば、並大抵の化生など鎧袖一触でしょう」

「おお、源の棟梁に言われてしまっては、こそばゆいが、任されよる。なに、糧食もほれ、俵がある」

「藤太さんの俵のごはんはおいしいですからね。調理のほうは良妻にお任せあれ」

「ありがとう」

「さあ、藤丸君。準備は良いかい?」

「もちろん」

「先輩、どうかお気をつけて」

 

 マシュの言葉を受けながらコフィンへと入る。

 

『アンサモン・プログラム スタート。

 

 霊子変換を開始 します。

 

 レイシフト開始まで、あと。3、2、1――。

 

 全工程、完了クリア。

 

 アナライズ・ロスト・オーダー。

 

 レムナント・オーダー探索(サーチ)を 開始 します』

 

 そして、レイシフトが始まった。

 

 その瞬間――。

 

「なッ――」

 

 ともに、レイシフトしていたはずの頼光の霊核が砕け散った。

 

 同時にカルデアでも警報が鳴り響く。

 

「なにがあった!」

「わかりません。レイシフトに干渉だなんて――!」

「魔術の痕跡がありません。正体不明!」

「藤丸君は!」

「無事です。ですが、このままでは!」

「く、こうなっては、レイシフトの中断そのものが危険だ」

「先輩――!」

 

 渦中の藤丸らもまた、混乱の最中にあった。寧ろ、混乱の度合いは

 突然、強大な力を持つサーヴァントである源頼光が消滅したのだ。

 何が起きたのかまったくもって不明。

 むしろ、カルデア職員側よりも混乱の度合いは大きい。

 だが、何も出来ない。

 

「頼光さん! ――大将ッ!?」

 

 これを襲撃と仮定し、マスターを護るべくいち早く動いた金時もまた頼光と同じ運命をたどる事になる。突然、その霊核が砕け散る。

 

「なんだ、一体何が起きている――」

「わからない。何が――。

 

 風魔の忍。

 甲賀の忍。

 

 二人の忍が、その目を以てしても、わからない。

 

「魔術!? しかし、そんな痕跡など。そもそも、レイシフトに干渉なんて、キャスターが出来ること超えてますよ!?」

 

 玉藻の前すら理解できない。

 

「とりあえず、マズイ。こちらからは何もできんぞ――」

 

 ただ過去へ遡行している途上。カルデア側からは、何一つとして出来ることなどありはしない。

 故に、この場にいるあらゆるサーヴァントの運命は決している。

 

 瞼を閉じれば、次の瞬間には、また一人。また一人と、仲間が減っていく。

 その

 

「く、もはや拙者一人に」

 

 もはや残るは、ただ一人。望月千代女のみ。

 姿なき凶手の業前に、誰一人として反応すらできなかった。

 どれもが一撃必殺。それがどのようなものなのかすらわからない。魔術の痕跡はない。宝具を使った際の魔力の動きも。 

 何一つ、ありえない。そもそもレイシフト中である。

 魔法とも呼べるしろものの最中に干渉できるものなど、同一のことが出来る者以外にあり得ない。だが、そんな英霊が存在するのか。

 

 何一つわからない。

 ただ、わかっていることは、ここで終わるということ。

 そう誰もが思うだろう。この状況、絶望的な状況になれば。

 しかし――。

 

「まだだ――」

 

 まだ、藤丸は諦めてなどいなかった。最悪の状況。どうすることも出来ない。だが、そんな状況などいくらでもあった。

 そのたびに、何とかしてきたのだ。諦めない。最後の瞬間までは。

 

 その意思が天に届いたのか――。

 レイシフトが完了する。

 

 しかし、そこは設定された平城京などではなく、中空。雪降り積もる真っ白な大地へと藤丸は落下する。

 

「くっ――」

 

 しかし何とか無事。起動した魔術礼装があらゆる衝撃に対しての防御を発揮してくれた。新宿において落下した時のことを考えてのセーフティ。それが藤丸の命を救った。

 

「ここは?」

 

 辺り一面の銀世界。どこかはわからない。

 

「千代は……」

 

 望月千代女ともはぐれてしまった。だが、令呪を通じてつながりを感じることが出来た。

 

「……行こう」

 

 まずは合流。

 話はそれからだ――。

 

『GRUUUUU――』

 

 無論、無事に合流出来ればであるが。

 

 現れたのは、異形だった。

 この時代にはありふれた化生だ。人外魔境平安時代よりも以前の時代。ここには、神秘殺しの英雄源頼光は誕生していない。

 未だ、この時代、人と神、妖が存在していた魔の時代。

 

 月に人がいる時代。

 竹から赤子が生まれる時代。

 

 当然のように、存在する。

 異形。

 人を喰らうもの。

 

 それは大百足。山を七巻するには足りないが、巨大と言っていいだろう。そして、これの大好物は肉であった。冬であり食物は少なく、何よりこの百足が求めるものは、人肉であった。

 久しく食べていない血潮。殺したばかりの臓物の味は甘美である。それが、目の前にある。ならば、食わずにおれるだろうか。否、それはありえない。

 

 巨大な顎を鳴らし、藤丸へととびかかる大百足。

 

「くっ――!」

 

 藤丸は、それを躱そうと一歩を踏み出した、瞬間に、落下した――。

 

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

「ふん。報告を聞こう、ランサー」

 

 暗がりに、声が響いている。

 男の声だ。

 この場を取り仕切るものの声。

 大上段から響く、主上の声であった。

 

 その場にいるのは彼に仕えるサーヴァント、その中の一人に男は語り掛けている。

 

「はい。レイシフト中のカルデアを襲撃。残り一名を残し、すべてのサーヴァントを排除いたしました」

「俺はすべてと言ったぞ」

「はい。いいえ。可能な限りと言っていたと私は記憶しています」

「ふん、まあいい。残りは女の忍が一人。カルデアのマスターを護るには役不足よ」

「呵々。それはどうだろうか」

 

 暗がりの影の一つがそういう。

 

「カルデアのマスター。いくつもの特異点を制した剛の者。その慢心、後ろから刺されぬといいのう」

「…………」

 

 暗がりの影の言葉に男は黙る。

 

「いいだろう。行け、キャスター。おまえに任せる。こちら側ではないサーヴァントも多数、現界している。殺せ。おまえが生前成せなかった者を成せ」

「…………御意に」

 

 暗がりから気配が一つ消える。

 

「誰にも邪魔などさせぬ。

 貴様らの暗殺御伽草子も。

 我が悲願も。

 全てを以て、勝利する」

 

 暗がりから一つ。

 また一つと気配が消える。

 残ったのは、哄笑だけだ。

 あらゆるものを嘲笑う。

 ナニカの――。

 

 




というわけで、活動報告にはいろいろしてたけど、落ち着いたので本格的に、こちらでの活動をぼちぼち復活させていこうかなと思います。
第一弾はこれ。

まあ、ゆるーく待っててね。

あと友人も投稿始めたから読んで。面白いから。
Fate/Grand Order 亜種特異点 神座争奪零界ヴァルハラ
https://syosetu.org/novel/141333/
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