~トロデーン城~
ミーティア「お料理がしたいの」
エイト「え、料理って、なんで」
ミーティア「なんでって、私たち、結婚するじゃないですか。それなのに私は花嫁修行の一つもしていないわ」
エイト「そりゃあ君はお姫様だからね。料理は召し使いに任せるべきだよそうすべき」
ミーティア「あら、エイトらしくもない。エイトは近衛隊長でも掃除や洗濯をするし、お料理のお手伝いだってしていますわ」
エイト「いや、うーん。それはそれとして」
ミーティア「私もやってみたいのです!」
エイト「......」チリンチリン
女中「お呼びですか?近衛隊長様」
エイト「ミーティアが料理の勉強をしたいって言ってるんだ」
女中「えっ」
エイト「頼んだよ」
女中「近衛隊長様、待ってください。あ、逃げないで!ちょ、エイトさーん!?」
エイトはにげだした!
ミーティア「エイトったら、ここ最近忙しそうなんだから」
女中(は、嵌められた......)
ミーティア「まあ、私ももう大人ですし、ワガママは言えませんね」
女中「ミ、ミーティア様。すみませんが私も仕事がありますのでこれにて」
ミーティア「あら、あなたはエイトの専属じゃない。エイトがああ言ったのだし、私に料理を教えてくださいな」
女中「」
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~書斎~
ミーティア「お父様ー、お父様はおりませんか」
トロデ「おお、どうしたのだミーティアよ。まるで子供みたいにはしゃいでからに」
ミーティア「はい!私、お料理を作ってみました!」
トロデ「......りょーり?」
ミーティア「はい!」
トロデ「ななな何故ミーティアがりょり料理なんてて?」
ミーティア「もちろん、花嫁修行でございますわ。王妃と言えど妻になることに変わりはありませんですので」
トロデ「い、いやあ、召し使いがいるし、やらなくてもいいんじゃないかな?」
ミーティア「まあ、お父様までエイトと同じ事をおっしゃって。それでは妻としての面目が立ちません!」
女中「お、おうざま......」ヨロヨロ
トロデ「ひっ!?ん、じょ、女中ではないか。エイト専属の...」
女中「た、食べて、あげて、ください......姫様の、珠玉の一品で、こざいます......うっ」バタッ
トロデ「た、倒れた......!どうしたというのだ。まるでおっさん呼びを一身に受けた魔物のようになってるではないか」
ミーティア「彼女には先ほどまでお料理の手解きを受けていましたの」
トロデ「あ......」
ミーティア「とても熱心に教えてくれていたので、疲れてしまったのでしょう。ここのソファーに寝かせても構いませんか?」
トロデ「う、うん」
ミーティア「よいしょと」ヒョイ
トロデ(人を軽く抱えて......旅で逞しくなりすぎたのう)
ミーティア「さて!お父様、ぜひこれを食べてくださいませ」
トロデ「これは......」
ミーティア「クッキーです」
トロデ(形は不恰好。しかし実に良く焼けている。香りは芳ばしく、見た限りダマになっているところもないようだが......)
トロデ(とても過去の惨劇を忘れられん)
トロデ(ワシの腹は長い野外生活で鍛えられておる。雑草を食うくらい朝飯前じゃ。そう、信じるのだ、自分を......!いけ......!)パク
トロデ「サクッ......ん、おお?う、美味い」
ミーティア「やったあ!」
トロデ「美味い!?美味いぞ、ミーティアよ!」
ミーティア「大変でした。砂糖と塩の見分けから始まり、小麦粉の扱い方、作業ごとの力加減、そんな艱難辛苦を乗り越えたのです」
トロデ(それは女中の苦労じゃろうのう)
トロデ「ともかく、良くやったぞミーティア!これならエイトの奴も喜ぶじゃろうて」
ミーティア「嬉しいわ。あ、お父様、目を閉じてくださる?」
トロデ「ふむ?閉じたぞ」
ミーティア「はい、あーん」
トロデ(ふふっ、まるでミーティアが幼い時に戻ったかのようじゃな)
トロデ(あの頃は、妻も健在だった。こんなに大きく成長したミーティアを見せてやりたいのう)
トロデ「あーん」パク
トロデ「......!?!?!?」
ミーティア「どうでしょう。珍しいお酒入り(ハブ酒とスピリタスのちゃんぽん)のチョコレートにも挑戦してみたんです」
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~兵士宿舎~
ぎゃああああああああああああ
エイト「トロデ王の悲鳴が聞こえる......アーメン」
部下1「隊長、行かなくてよろしいのですか?」
エイト「ミーティア姫とお戯れになられているから、行っても野暮なだけだよ」
部下2「なるほどっ!安心しました!」
部下3「それにしても隊長は本当に万能でありますな」
部下1「確かに、このキルシュは絶品です」
部下3「訓練で疲れた身体が癒されるであります」
エイト「ありがとう。昨晩に仕込んだ甲斐があるよ」
エイト(それにしても、ミーティアはいったい何を作ったんだろう)パクッ
エイト「......!?!?!?」
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~書斎~
女中「」
トロデ「」
ミーティア「お父様まで倒れてしまうなんて、私のお料理のせいだったらどうしましょう......」
ミーティア「失敗なんてしていないはずだけど」
ぎゃああああああああああああ
ミーティア「あら?兵士さんの宿舎の方から声が......」
ミーティア「きっと訓練で、エイトが張り切ってるのね」クスッ
ミーティア(そういえば冷蔵倉に、私が作ったものと同じ形のチョコがあったわね)
ミーティア(あれは誰が作ったのかしら)パクッ
ミーティア「ん~美味しい♪」
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おわり
ミーティア好きなんです。
プレイしていた当時はまだ小学生でして、マセガキたった私はストーリーもろくに進めていないくせに、ミーティアに会いたいあまり不思議な泉にリアルタイムで一時間ごとに足しげく通うという奇行を繰り返していました。エンディングの幸せなキスをして終了した二人を見たくて、ラプソーンを倒しまくったのも私です。
チョコのすり代わりの経緯には少し難があるとは思いますが、そこはミーティア姫の愛すべき超常的なドジっ子属性(偏見)として寛容なお心で補完していただきたく存じます。