ドラクエVIIIよ、永遠なれ   作:ふーてんもどき

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もしよろしければ、3DS 版で追加された、ドルマゲスの過去のイベントムービーをご覧いただいてから、本作をお読みいただくことをオススメします。


ドルマゲス☆スター

~マスターライラスの家~

 

ドルマゲス「師匠、そろそろ本格的な魔法の修行をつけて欲しいのですが」

 

ライラス「お前にはまだ早い。それよりも、頼んでおいた軒先の掃除は済んだのか?」

 

ドルマゲス「ピカピカです。落ち葉の一枚も残さず隣家に掃いておきました」

 

ライラス「うむ、それでは、水汲みはどうだ?」

 

ドルマゲス「たっぷり桶三杯貯めてあります。街中の井戸はもうすっからかんです」

 

ライラス「なら薪割りは?」

 

ドルマゲス「……まだです」

 

ライラス「こんの役立たずめが!魔法よりそっちを先にやらんか」

 

ドルマゲス「はい……」

 

 

 

 

~夕暮れのトラペッタ広場~

 

ドルマゲス「はあ、師匠に弟子入りしてもう何年も経つのに、雑用ばかりやらされている」

 

ドルマゲス「おかげでその辺のメイドより家事の要領がよくなってしまったぞ。夢見た偉大な大魔導師の姿は遠ざかるようにすら感じるのに」

 

ドルマゲス「使える魔法と言えば、ちゃちな手品くらいなものだ」

 

町の少年「ねえ、ドルマゲスのおっちゃん!」

 

少年2「おっちゃーん」

 

ドルマゲス「ん?おお、どうしたのかな」

 

少年「またあれやってよ!あの鳩出すやつ!」

 

ドルマゲス「いいとも」

 

ドルマゲスの胸がとつぜん膨れ上がった!

ドルマゲスが襟を広げると、胸元から、白い鳩が飛び出していく!

 

少年「すっげー!」

 

少年2「あ、落ちたよ。大丈夫かなあ」

 

ドルマゲス「あの鳩は雪で出来ているからね。長くは飛べないんだよ。服も濡れてしまうし」

 

少年「でもやっぱスゲーよ。なあ?」

 

少年2「うん、おっちゃん、ピエロとかやったらいいのに」

 

ドルマゲス「ははは、ピエロね……さあ、そろそろ暗くなってきたよ。二人とも帰りなさい」

 

少年「あ、やっべ!母ちゃんにしばかれるぞ!」

 

少年2「あわわ。じゃあね、おっちゃん。」

 

ドルマゲス「うん、またね」

 

少年2「あ、そうだ。ちょっといい?」

 

ドルマゲス「なんだね?」

 

少年2「手品で服濡れちゃったんでしょ。はい」

 

少年2の手のひらから熱がはなたれる!

ドルマゲスの服がみるみるうちに乾いていく!

 

少年2「えへへ、メラの応用だよ。じゃあねー」

 

ドルマゲス「っ!……あ、ああ。ありがとう」

 

ドルマゲス「くっ、ふふっ、あははは!そうか、あんな小さな子供でも、才能があれば魔法が使えるんだな。メラかあ……」

 

ドルマゲス「それに比べて私は、なんて情けないんだ。雪で作った鳩もすぐに溶けて落ちていく。あの滑稽な姿は、まるで私のようだな」

 

ドルマゲス「ああ、悲しいなあ」

 

 

 

 

~マスターライラスの家~

 

ドルマゲス「ううん。やっぱり師匠に頼りきりじゃ駄目だよな。こっそり魔導書を読んで勉強しよう」ペラッペラッ

 

ドルマゲス「おっ、なになに、トロデーン城に封印されし伝説の杖だって?」

 

ドルマゲス「莫大な魔力……人智を越えた力……」

 

ドルマゲス「これを手に入れれば、もしかして、私も」

 

ガチャッ

 

ライラス「むむっ!ドルマゲス、何をしておる!」

 

ドルマゲス「げっ、師匠!これは、その」

 

ライラス「許可なく魔導書を読むなと言い付けていただろうが!未熟者のお前が気安く触れていい物ではないのだぞ」

 

ドルマゲス「も、申し訳ございません」

 

ライラス「まったく、こんな簡単な言い付けも守れんようなら、犬でも飼っていた方がマシじゃ」

 

ドルマゲス「!!」

 

ドルマゲスはにげだした!

 

ライラス「お、おいこら!待たんかドルマゲス!出て行くなら飯を作ってから行かんか!」

 

~トラペッタ付近の森~

 

ドルマゲス「くっそ!言いたい放題言いやがって!そもそも、まともに教えてくれない師匠が悪いんじゃないか!」

 

ドルマゲス「でも、いきなり飛び出てしまったのは、さすがに駄目だったかなあ。一応麦のお粥は作り置きしておいたけど」

 

ドルマゲス「あ、薪割り忘れてた……ふっ、私は本当に役立たずなのかもな」

 

ドルマゲス「変わりたい。万人に認められる力を手に入れて、賢くもなって、師匠を見返したい」

 

ドルマゲス「トロデーンの国宝か……」

 

ドルマゲス「このまま枯れゆく人生であるならば、いっそ、一か八かやってみるか」

 

 

 

 

~後日、トロデーン城~

 

ドルマゲス「お初にお目にかかります、道化師のドルマゲスにございます。この度は私の拙い芸を披露する機会をいただき、恐縮でございます」

 

トロデ「よい、面を上げよ。では早速、お主の芸をみせてくれんかの」

 

ドルマゲス「はい。どうぞご覧ください」

 

 ドルマゲスの手品は最初、地味なものだった。頼りない輝きの光球がふよふよと宙に現れては弾けていき、か細い余韻を残すのみである。

 

トロデ「ふーむ」

 

ミーティア「まあ、綺麗ですわ」

 

ドルマゲス(くっ、ウケが良くないな。これでは警戒を緩めるどころか、泊めてすらもらえないかも)

 

ドルマゲス「さらに参ります!」

 

 続いてドルマゲスは袖の中からハンカチを取り出した。端が結ばれ連なった色とりどりのハンカチがスルスル出てくる。全部出せば数十枚という数におよぶ。そのうちの一枚を手に被せて思わせ振りな仕草の後に取ってみれば、一輪のバラがドルマゲスの手にあった。

 

ドルマゲス「この赤いバラを貴女に捧げます、姫様」

 

ミーティア「わあっ!見てくださいお父様、すっごく立派で綺麗です。うちの庭にも植わってないんじゃないかしら」

 

トロデ「うむうむ。良かったのう」

 

トロデ(こいつ、もしやミーティアを口説きに来たのではあるまいな)ギロッ

 

ドルマゲス(!?悪寒がしたぞ。睨まれてる?……まだ足りないのか)

 

ミーティア「エイト、見て見てっ」

 

エイト「綺麗ですね、姫様」

 

 ドルマゲスはあらゆる芸を見せた。

 水芸を繰り出し、トランプを自在に操り、ハンカチで作った即席の綱渡りを、トランペットを吹き鳴らしながら見事二往復した。演奏した曲はトロデーンの国家であった。

 魅せてやると夢中になり、息を切らせて大仰に深々とお辞儀をしてみれば、王座の間は割れんばかりの拍手喝采に包まれていた。

 我に帰り、あまりの盛り上がりに呆気にとられるドルマゲス。

 

ドルマゲス「え、何これ」

 

トロデ「素晴らしい!今まで見てきた中でも最高の芸じゃ!」

 

 トロデの言葉の合間、合いの手を入れるように口笛と拍手が鳴り響く。

 

トロデ「今夜は城に泊まり、自由にしていくが良いぞ。食事も用意させよう。いいやそれだけでは足りんな。大臣よ」

 

大臣「はっ。見事であったぞ、ドルマゲス。これはお主の華麗な技術に対し支払うものである。しかと受け取るがよい」

 

ドルマゲスは3000ゴールドをてにいれた!

 

ドルマゲス「えっ、えっ」

 

トロデ「実は三日後にサザンビークからの使者が来るので、小さなパーティーを開こうと思っておるのじゃ。ついてはドルマゲスよ、お主さえ良ければ、それまでここに留まり、手品を披露してくれんかの」

 

ドルマゲス「」

 

 

 

 

 トロデーンに来て三日後、開催されたパーティーの主役はドルマゲスであった。

 彼の芸は誰しもを感嘆させ、腹を抱えて笑わせた。サザンビークの使者も上機嫌に酔っ払って壇上に上がり、笛を演奏するドルマゲスと肩を組んで歌い出す始末。パーティーは近年稀に見る大成功をおさめ、トロデ王も鼻高々である。

 これほどの道化師が今まで無名であったことに、皆驚きを隠せず、メイドから近衛兵までドルマゲスに握手を求めるため行列ができ、さながら握手会のような様相さえ呈した。その中に密かに混ざっていたミーティア姫は酒気を帯びて赤ら顔であった。

 宴もたけなわになった頃に、ドルマゲスは多額の報酬と、四方八方から投げられたおひねりを両手に抱えていた。一夜にして巨万の富を得たのである。

 しかし彼の心には、身に余る金銀などには動じない、ある思いが滾っていた。

 

 

~トロデーン城、客室~

 

ドルマゲス「はあ、疲れたなあ。こんなに頑張ったのは初めてだ」

 

ドルマゲス「王様も皆も、喜んでくれていたな」

 

 彼の胸に満ち溢れているもの。

 それは達成感であった。他にも多幸感、充足感、万能感。人生史において感じたことがなかった様々な心地良さにドルマゲスは打ち震えていた。

 

ドルマゲス「もう、杖とか、どうでもいいな」

 

ドルマゲス「私は、私の生きる道を見つけたんだ。私の芸で人々を驚かせたい。喜ばせたい。笑いと感動をあまねく三千世界に届けたい!」

 

ドルマゲス「見せつけて、やるんだ!」

 

 

 

 

~トロデーン城、王座の間~

 

トロデ「そうか、もう行ってしまうか」

 

ドルマゲス「ええ、これから世界中を旅しながら、芸を披露していくつもりです。大変お世話になりました」

 

トロデ「気を付けて行かれよ。そなたであれば、何処でも受け入れられるじゃろうて。是非またここにも立ち寄ってくれよ」

 

ドルマゲス「ありがたき御言葉、感謝の極み。それではまたいつか会う日まで」

 

大臣「では皆、我らが友、ドルマゲス氏に別れの挨拶を」

 

兵士1「さようならー!」

 

兵士2「お元気でー!」

 

兵士3「一生忘れないであります!」

 

メイド「私も連れてってー!」

 

ミーティア「また来てほしいですね。ね、エイト」

 

エイト「ええ、本当に。頑張ってください、ドルマゲスさん。応援しています!」ニコッ

 

ドルマゲス「ああ、ありがとう!」ニカッ

 

 

 

 

 そらからドルマゲスは世界各地を旅して歩いた。

 

 

~リーザス村~

 

ドルマゲス「よっ、はっ、それ火吹き芸!」

 

ゼシカ「すごい!私のギラでも出来るかしら。ねえサーベルト兄さん」

 

サーベルト「出来るとは思うけど、令嬢が口から火を吐くのはどうなんだい」

 

アローザ「楽しい人ね。子供たちも喜んでいるし、リーザス塔で催すお祭りにも参加してもらおうかしら」

 

 

~マイエラ修道院~

 

ドルマゲス「この水をご覧ください。ほら、グラスに注いだそばから深紅のワインに!」

 

ククール「ひゅ~、やるもんだなあ。ちょいと頂くぜ」

 

マルチェロ「おいククール!仮にも聖堂騎士団の一員でありながら、昼間から酒を飲むとは何事だ!」

 

オディロ「良い味じゃのう」ヒック

 

マルチェロ「院長まで!」

 

 

 ドルマゲスは飽くことなく、次々と新たな芸を開発し、技を磨き、研鑽を積み続けた。

 

 

~アスカンタ城~

 

ドルマゲス「あなたの心を慰めましょう」メダパニ

 

パヴァン「ああ、シセル!情けない夫でごめんよ。これからは前を向いて頑張るからね」

 

キラ「王様が立ち直った……!良かったよお」グスッ

 

大臣「左右の目が逆方向に向いてるんだけど、あれって混乱してるんじゃないかなぁ」

 

 

~パルミド~

 

ドルマゲス「フラワーフェスティバール!ならず者の町にハンカチで花を咲かせましょう」

 

闇商人「あのハンカチ欲しいなあ」

 

ゲルダ「うはあ!いいねいいねぇ!おいヤンガス、お前もいっちょ腹芸でもやって来な!」チョークスリーパー

 

ヤンガス「ぐええ、久しぶりに帰ったと思ったらこれでげす」

 

 

 時に賑やかに、時に厳かに。もはや芸のみに留まらず、真の道化の覇道を歩む。人々に幸福を届けるため、海さえ越えて。

 

 

~メダル王城~

 

ドルマゲス「小さなメダルによる恵みの雨をお楽しみください。アモーレ!」ゴールドシャワー

 

メダル王「うひひぃ!こりゃ病床に伏せとる場合じゃないわい!」

 

メダル王女「メダルじゃなくてお金が欲しいわー」

 

ホイミスライム「あれ、これメッキ塗った銅貨だ」

 

 

~ベルガラック~

 

ギャリング「勝負せい!」

 

ドルマゲス「望むところです。ごうけつの腕輪にバイキルトかけてのアームレスリングだあ!」ヌググ

 

ギャリング「ぬおおお!こんなに血が滾るのは久しぶりだぞ!」グググッ

 

ユッケ「ありえなーい!パパと張り合える人がいるだなんて!」

 

フォーグ「ふっ、僕も男なら、父や妹を守れるくらい、強くならなきゃな」

 

ユッケ「ん?何か言った?お兄ちゃん」

 

フォーグ「いいや。何でもないさ」

 

 

 その名はいつしか世界中に轟き、多くの人々がドルマゲスの来訪を心待にしていた。

 

 

~サザンビーク城~

 

ドルマゲス「お久しぶりです。今日はとことん盛り上がりましょう」

 

使者「おおっ、待っていたぞ!王様、彼こそ私がトロデーンで出会った稀代の道化師ですぞ!」

 

クラビウス「なるほど、彼が。噂は常々聞き及んでいる。どうか我が国のバザールを盛り上げて欲しい」

 

チャゴス「と、トカゲは無しだぞ!」

 

 

~リブルアーチ~

 

ハワード「おお、これぞ至高の彫刻!素晴らしく立派な鳥の氷像だ!」

 

ドルマゲス「実はこれ、飛ぶんですよ。そおら!」

 

ハワード「なんと麗美な。マヒャドにも匹敵する大呪文、しかと拝ませてもらったぞ」

 

レオパルド「わおん!わおん!」

 

ハワード「はっは!レオパルドちゃんも喜んでおる。ほれチェルス、お前も火の輪くぐりくらいやらぬか」

 

チェルス「ええ!?」

 

ドルマゲス「大丈夫です。私がサポートしますよ」

 

チェルス「ひ~」

 

 

 旅をする上で、モンスターに襲われることは避けられない。しかしそれがドルマゲスを鍛え上げた。さらには、いつしかモンスターと心を通わせられるようにすら、なっていった。

 

 

~オークニス~

 

ドルマゲス「キラーマシンを使ったアクロバティックショーです!私が華麗にジェットキラーアタックを避けきりましょう」ヒョイヒョイ

 

メディ「息子の顔を見に来たら、こんなスリリングな見せ物にお目にかかれるなんてね。若返る気分だよ」

 

グラッド「あわわ……あの人が怪我しても治せるように準備しなくては」

 

 

~バトルロード格闘場~

 

モリー「遅かったではないか、スーパースター」

 

ドルマゲス「ふふっ、お待たせしてしまったようですね」

 

マリー「モリーちゃんね、貴方がモンスターを連れて旅をしているって聞いてから、ずっと来るのを楽しみにしていたのよ」

 

メリー「風が運命を運んできてくれる、ってね」

 

ミリー「いつかモリー様との夢の対決を見たいですう」

 

ムリー「まさかここまで来てバトらない、なんてこと言わないよね?そんなのムリムリー♪」

 

ドルマゲス「もちろん参加しますとも!しかしエンターテイナーたる私が観覧席で見ているしかないのは我慢なりません。どうか私も闘技場に立たせてください!」

 

モリー「ん~ナイスガッツ!君の情熱はよぉく分かった!許す!」

 

マリー「ちょ、いきなり許可しちゃダメでしょ、モリーちゃん」

 

 

 そして遂には天空に浮かぶ島や隠された大地など、到達不可能、または人跡未踏の地へと赴いた。

 

 

~ザウェッラ大聖堂、法皇の館~

 

ドルマゲス「出でよ聖なる炎の鳥よ!宙を舞うのだ!」

 

ニノ「ベギラゴンが鳳凰を象って、あんなにも神々しく……素晴らしい」

 

法皇「なんと荘厳なのだ。かような力強さを見ると、寿命が伸びていくようだ。ドルマゲス殿、どうか常闇で罪を償っている煉獄島の囚人たちにも光を届けて欲しい」

 

ドルマゲス「喜んで馳せ参じましょう」

 

ニノ「では、すぐに手配してまいります」

 

 

~三角谷~

 

ドルマゲス「私の水芸による海竜つがいの舞い、いかがでしたか」

 

ラジュ「とても楽しかったです。海竜の美しい愛の物語には感動しました。旅立ったチェルスにも見せてあげたかった。今は生きているかどうかも分からないというのに……」

 

ドルマゲス「チェルスさんですか?彼とは旅先で会ったことがありますよ」

 

ラジュ「なんですって?そ、それは本当ですか」

 

ドルマゲス「ええ。もしよろしければ、また会ったときに帰郷するよう言伝てしましょうか」

 

ラジュ「嬉しい!」

 

ギガンテス「おお、良かった。ラジュが元気になった。ありがとう、道化の者よ」

 

 

 ドルマゲスの旅路はそれでも終わらない。もっと、もっと多くの人に笑顔を。その思いのみで、異次元の壁さえ越えて行く。

 

 

~闇のレティシア~

 

レティス「助かりました。貴方が来てくださらなければ、我が子の命はありませんでした」

 

ドルマゲス「いいえ、当然のことをしたまでですよ」

 

村長「おかげでレティスに対する誤解も解けた。こちらからもお礼を言うぞ、光の世界の人よ」

 

ドルマゲス「平和になって何よりです。さあ、それよりも今夜は宴ですよね?最高に楽しもうじゃありませんか!」

 

懲らしめられて改心したゲモン「イエーーイ!!」

 

 

~竜神族の里~

 

竜神王「ありがとう旅の者よ。お主が私を止めてくれなければ、この手で愛しい村を滅ぼしてしまうところであった」

 

竜神族の若者「しかしまさか、人間に助けられるだなんてなあ」

 

長老「お主なら暗黒神ラプソーンにすら勝てるじゃろうて」

 

ドルマゲス「ラプソーン?聞いたことがあるような、ないような」

 

竜神王「ところでお主、竜の試練を受けてみる気はないか」

 

長老ズ「「!?!?」」

 

ドルマゲス「いえ、やめておきます。私には世界に笑顔と幸福を届ける使命があるので、一所に留まることはできないのです」

 

竜神王「そうか、残念だが仕方ないな。また来てくれ。恩人であるそなたはいつでも歓迎しよう」

 

 

 旅を始めてから、長い月日が経った。そして……………。

 

 

 

 

~マスターライラスの家~

 

ドルマゲス「ただいま戻りました、師匠」

 

ライラス「ぬ?お、おお!ドルマゲスお前、今までどこに行っておったのだ?」

 

ドルマゲス「修行の旅です。黙って出て行ってしまったことは、言い訳のしようもありません。しかしこうして、帰って来ました」ニコッ

 

ライラス「うむ。あの時はワシも言い過ぎたからな。すまんかった。そうだ、長年研究していた薬が、ついに完成したのだ!と言ってもお前が出て行ってすぐ出来上がったのだがな」

 

ドルマゲス「薬、ですか?」

 

ライラス「ああ。喜べ。これさえあれば、お前に眠っている魔力の才能を呼び覚ませるだろうて」

 

ドルマゲス「師匠……」

 

ライラス「なんじゃドルマゲス、泣いておるのか?」

 

ドルマゲス「ふふっ。そうですね。昔の自分のバカさ加減に呆れて、少し涙が出てしまいました」

 

ライラス「まだまだ未熟者じゃのう。さあ、ほれ、飲んでみよ」

 

ドルマゲス「はい。ありがたく」ゴクゴク

 

ライラス「どうじゃ?どうじゃ?」

 

ドルマゲス「……そうですね、少し外に出て、試してみましょうか」

 

~トラペッタ地方、拓けた場所~

 

ライラス「ええい、早くせんかい」

 

ドルマゲス「まあ待ってください。誰かに被害が出ない場所まで行かないと」

 

ドルマゲス「うん、ここら辺かな」

 

ライラス「はよ、はよ」ウズウズ

 

ドルマゲス「ではご覧ください。私の旅路と、師匠の研究の成果を!」

 

ドルマゲスはメラガイアーをとなえた!

ドルマゲスはギラグレイドをとなえた!

ドルマゲスはマヒャデドスをとなえた!

ドルマゲスはバキムーチョをとなえた!

ドルマゲスはイオグランデをとなえた!

ドルマゲスは地獄からいかずちを喚びだした!

ドルマゲスはビッグバンをひき起こした!

ドルマゲスはれんごく火炎を吐いた!

 

ドルマゲスは、大空へ向けて、すべての魔力を解き放った!

魔力の奔流が神鳥の姿となって翔んでゆく!

 

ライラス「」

 

ドルマゲス「ぜえ、はあ、どうですか師匠。これも全て、あなたのおかげです」

 

ライラス(え、あの薬って、こんな効果あったかな。なんか知らない呪文とかいっぱいあったし)

 

ドルマゲス「長かったような、あっという間だったような。グスンッ、こんなところまで来たんだなあ、私」

 

ライラス「まあええか。ほれ泣くな。これで終わりではないぞ。探求の道は広く深く、果てなどないのだからな」

 

ドルマゲス「ぐすっ、はい、そうですね!まだ世界には悲しみの底に沈む人々がいます。これからは師匠も一緒に、世界を幸せで包みましょう!」

 

ライラス「そうそ……んえっ?」

 

 ドルマゲスという男の旅路は果てなく続く。海を越え、大地を渡り歩き、空さえ夕暮れのような優しさで包もうとした彼を語り継ぐ伝承は、数多く存在する。

 あるところで彼は道化師であり、あるところでは大魔導師であり、またあるところでは英雄として奉られている。

 しかし無数にある彼の物語の末尾にはいつも、誰が書いたのか、こう記されている。

 

 『嬉しいなあ。嬉しいなあ』と。

 

 

 

 

ライラス「ところで本当にあの薬は成功していたのかのう。その辺がもうよく分からん」

 

ドルマゲス「何をおっしゃいます。てきめん効いたではありませんか」

 

ライラス「ううむ。まあ、それなら、よいのだがな」

 

ドルマゲス(……ま、道化だから、ね)

 

 

 

おわり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

 

~トロデーン城、封印の間~

 

杖に封じられたラプソーン「あー、暇。暇だわー」

 

ラプソーン「誰も取りに来てくれないぞ、これ。暇すぎて死ねるわ」

 

ラプソーン「ずっと放置されてると、世界征服とかどうでもよくなってくるよね。ただ外に出てうまい空気を吸って、羽を思いっきり伸ばしたい」

 

ラプソーン「なんか最近、この城の外ですっごい賑やかな宴会やってたみたいだしさ。羨ましい。吐きそう。リア充とかホント爆発しろって感じだよ」

 

ラプソーン「あーあ。どうにかして暇潰しできないかなあ。この際、話相手だけでも欲しいわ」

 

ラプソーン「ワシのところに、色んな芸ができる道化師でも来ないかな。多少血色とか悪くてもいいからさ」

 

ラプソーン「ああ、退屈だわあ。寂しい。悲しいなあ」

 

 

 

 

おわり




 
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