ドラクエVIIIよ、永遠なれ   作:ふーてんもどき

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3DS 版の要素はない設定です。


つまりはこれからも、どうかよろしくね

~トロデーン城、貴賓室~

 

エイト「いやーお待たせ。ごめんね、折角来てくれたのに。最近公務が立て込んでてさ」

 

ククール「別に。のんびりくつろいでたよ。なあ、お嬢さん」

 

 ククールは側にいたメイドの手を取って、その甲に口づけをした。

 メイドは頬を赤らめている。

 

ククール「また会いましょう。麗しの君」

 

メイド「まあ、ククール様ったら」ポッ

 

エイト「んー、こほんっ」

 

メイド「あっ。そ、それでは新しくお茶を淹れて参りますので、どうぞ、ごゆっくり~」

 

 メイドはそそくさと部屋を出ていった。

 

エイト「困るよー。うちのメイドさん口説かないで」

 

ククール「おいおい、俺の性格は知ってるだろ?むしろお前がわざと、あの子を案内役に付けてくれたのかと思って感謝してたぜ」

 

エイト「じゃあ今度からは、あらくれ男に出迎えさせることにするよ」

 

ククール「え、やだ。やめてくれよ」

 

エイト「もしくは研究職のお爺さんの御高説で暇を潰すっていう手も」

 

ククール「やめて」

 

エイト「ふふっ。まあ久々に顔が見れて嬉しいよ。ヤンガスやゼシカはちょくちょく遊びに来てくれるけど、君は珍しいよね。いつぶりだっけ」

 

ククール「お前とミーティア王妃様の結婚式以来だから、半年近くになるな」

 

エイト「ああー、そっか。もうそんなに経ったんだねえ」

 

ククール「光陰矢のごとしってのはよく言ったもんだ」

 

エイト「シャイニングボウ使える君が言うと含蓄あるね」

 

ククール「親父ギャグかよ。トロデ王の義息子になってついにその辺のセンスが移っちまったか?」

 

エイト「酷いなあ。まあ、確かに、そろそろ親父にはなるんだけどさ」

 

ククール「ん?親父……」

 

ククール「んんん!?」

 

エイト「どうしたの」ニヤニヤ

 

ククール「親父ってお前、つまりあれだよな!父親ってことかよ!」

 

エイト「そうそう。ミーティアが今月で妊娠四ヶ月目」

 

ククール「なんで教えてくれなかったんだよっ!?」

 

エイト「だってククールはあんま遊びに来ないじゃんか」

 

ククール「くう~!手紙のやり取りはしてんだから、そこに書きゃいいだろうに」

 

エイト「あはは。ごめんごめん。こうやって驚かせたくてさ」

 

ククール「いやマジで驚いた。でも、そっか、お前がついに親になるのか……おめでとさん」

 

エイト「うん。ありがとう」

 

ククール「ゼシカとヤンガスはもう知ってるのか?」

 

エイト「ゼシカとはこの前、有力者会議の席で会ったから言っておいたよ。ククールと同じ反応してた。ヤンガスがまだだなあ。最近ゲルダさん達と大きな仕事やってるとかで、大変そうなんだよね」

 

ククール「あいつが姫様の大きくなったお腹を見たら絶叫しそうだな」

 

エイト「それそれ。あー楽しみ」

 

ククール「『あっしに黙ってるなんて水臭ぇでげす!』」

 

エイト「あはははは!似てる似てる」

 

ククール「だてに長い付き合いしてないからな」

 

エイト「実はゼシカにもそう言われて、もう凄い怒られてさ。挙げ句の果てに赤ちゃんの成長記録を逐一送るように強制されたんだ」

 

ククール「変わんねえなあ、あいつも」

 

エイト「そうだね。あ、でもその時は重要な会議だったから正装してたよ。髪も下ろしてたし」

 

ククール「ツインテール以外のゼシカが想像できんな。今度からかいに行ってやるか」

 

エイト「やめなよ。また燃やされるよ」

 

ククール「くくくっ。まあ、何はともあれ、皆息災そうで良かったよ」

 

エイト「君はどうなんだい。確か各地を巡礼して教会の振興に手助けしてるんだよね」

 

ククール「それはついでだ。俺は自由人さ。手紙にも書いただろう。一ヶ月前はアスカンタの辺りでバカンスしてただけさ」

 

エイト「ああ、孤児院の子供たちにホイミを教えたんだよね。しかも無償で」

 

ククール「おい、そんな情報どっから聞いた」

 

エイト「王様ともなれば何処からでも入ってくるよ」

 

ククール「ちっ、恥ずかしいったらないぜ」

 

エイト「まあまあ。心底偉いと思うよ。尊敬する」

 

ククール「ふん。王様にそう言われるのは悪い気はしねえが……ああーむず痒い」

 

 部屋にノックの音が鳴る。

 

メイド「お茶をお持ち致しました」

 

ククール「ありがとう。入ってくれたまえ」

 

エイト「君がそれ言うのかい」

 

 ククールとメイドはまた馴れ合っている。しばらくして、メイドは主であるエイトの白けた視線に気づくと、大慌てで謝って逃げ去った。

 

エイト「まったく……さてと、それで今日はどうしたのさ。伝書鳩にも用件は書いてなかっし、急でビックリしたよ」

 

ククール「悪いな。大した用じゃないんだが、お前のモンスターチームいるだろ?あれを貸しちゃくれないか」

 

エイト「いいけど、何をするんだい?」

 

ククール「モリーのおっさんに頼まれてな。パーフェクトな美形の俺と伝説のチャンピオンのチームとの演舞で、会場を盛り上げて欲しいんだとよ。面倒だが報酬は良かったんで、エイトの可否次第で受けるって言ってあるんだ」

 

エイト「へえ、いいなあ。僕も参加したいや」

 

ククール「王様が無茶言うな。ミーティア王妃様も絶賛妊娠中だってのによ」

 

エイト「わかってるわかってる。もちろん貸すのは大丈夫だよ。二チームとも今は国防に就いてもらってるんだけど、平和すぎて実際には何もしてあげられてないし」

 

ククール「助かる。ていうか最上級のモンスターチーム二つに暗黒神を倒した勇者って、どんな戦力過多だよこんちくしょう」

 

エイト「軍縮はしたんだよ?そう言われると弱いけど。なんならチーム二つとも持っていっていいけど、どうする?」

 

ククール「いや、一つで十分だ」

 

エイト「じゃあ『ムチムチむちうち団』と『はつらつカツレツ族』のどっちがいい?」

 

ククール「ムチ……前者で。ずっと思ってるんだが、どうにかならないもんかね、その名前」

 

エイト「僕は好きだけどなあ。ヤンガスも二つ目は好きだって言ってたよ」

 

ククール「カツレツだろ。あいつは食い意地が張ってるだけだぜ」

 

 再びノックが響きメイドが扉越しに言った。

 

メイド「エイト王。申し訳ありませんが、大臣様が新事業のことで御相談があるとのことでして」

 

エイト「わかった、今行くよ。ごめんククール、席を外すけど、君も来るかい?」

 

ククール「流石に仕事中の邪魔はできねえよ。それに肩慣らしも兼ねて、モンスターチームと色々調整しときたいから、俺ももう出るわ」

 

エイト「ゆっくりしていけば良いのに。泊まるならご馳走も出すよ?」

 

ククール「いや、いい。あんまりお前の厄介になるのも悪いんでな」

 

エイト「僕らは大丈夫だけど……わかったよ。それじゃあ、またね」

 

ククール「ああ。モンスターたちを返しに近いうちにまた来るさ。ところで新事業ってのは一体何をやってるんだい」

 

エイト「つい最近メダル王女様が貿易業に乗り出していてね。トロデーンも新しく道路を開発したりして協力してるんだ」

 

ククール「あの人は可愛い顔して大胆だなあ」

 

エイト「君はそんな人を密かに狙ってたよね。ゼシカに何度もツッコミ入れられてた」

 

ククール「よせやい」

 

 

 

 

~バトルロード格闘場~

 

モリー「よおく来た!ナイスガイ!」

 

ククール「まさか門前であんたに出迎えられるとはな。もしかして外でずっと待ってたのかい」

 

モリー「なに、風が噂していたのさ。そろそろ君が来るってね」

 

ククール「風ねえ。まあ、今日は俺のバギクロスで盛り上げてやるよ」

 

モリー「うむ!頼もしいな。では控え室に行こうか。衣装に着替えてもらいたいんだ」

 

ククール「衣装か。ピエロの服でも着ろって言うんじゃないよな?」

 

モリー「……ダメか?」

 

ククール「ダメだ」

 

 ククールとモリーは格闘場の中に入った。

 

ミリー「きゃー!モリー様、今日もステキー!」

 

モリー「はははっ、ありがとうミリー。君も相変わらずキュートだね」

 

ミリー「や~ん。あ、ククールさん久しぶり~。元気してたあ?」

 

ククール「こんにちはマドモアゼル。いつ見ても君はチャーミングだ」

 

ミリー「ククールさんまで、もうミリー困っちゃう。も、ち、ろ、ん、モリー様に誉められるのが一番嬉しいんだけどね」

 

ククール「手厳しいね。そんな一途なところも魅力的なんだがな」

 

 メリーとも挨拶を交わし、地下に降りて行く。

 ククールはスパンコールのスーツを装備した。

 

モリー「それでは、控え室でゆっくりするなり、バトルを観戦するなり、時間までは好きに過ごしてくれ。もし何か不都合があれば、遠慮なくスタッフを呼んでくれたまえ」

 

ククール「ああ。しかしいつ来てもここは暑苦しいな。スーツが汗ばんじまう」

 

モリー「喉が乾くかね?飲み物を持ってこさせよう。おーい、そこの君ー」

 

 モリーの呼び掛けに、一人のスタッフがやって来た。

 

マルチェロ「はい、なんでしょうか」

 

モリー「彼に冷たい飲み物を持ってきてくれ。アルコールは無しでね」

 

マルチェロ「かしこまりまし、た?」

 

ククール「えっ」

 

 その瞬間、ククールの耳から一切の音が遮断された。頭の中が真っ白になり、目は驚愕に見開かれる。

 考える余裕もなく、彼は人生史最大の大声で叫んだ。

 

ククール「兄貴ぃぃぃぃいいいいい!?!?」

 

マルチェロ「く、ククール!?なぜ……!」

 

モリー「ん?知り合い、いや、兄弟だったのかな。水を差しては悪そうだ。私は行くとするよ」

 

 モリーは空気を呼んで立ち去った!

 

ククール「なぜって……そりゃこっちの台詞だぜ。あんた今まで何処にいたんだよ」

 

マルチェロ「ふんっ。どうでもいいだろう、そんなことは」

 

ククール「ちっ……」

 

マルチェロ「……お前こそ、なんだその格好は」

 

ククール「モリーのおっさんに出演を依頼されてな。似合ってるだろう?」

 

マルチェロ「相も変わらずナルシストな奴だ。まったく……暗黒神を倒した英雄とは、思えんな」

 

ククール「兄貴?」

 

 長い沈黙が流れる。

 やがて先に口を開いたのはマルチェロだった。

 

マルチェロ「……見ての通りだ。俺はここで働いている」

 

マルチェロ「お前たちに敗れたあの日から世界各地を回ってはみたが、俺には何も残されていなかったからな。正直、自分が生きているのか死んでいるのかも分からなかった。お前が言った通り、惨めなものだったよ」

 

ククール「…………」

 

マルチェロ「酒に溺れた。金がなくて窃盗の誘惑にも駆られた。何度も死のうと思った」

 

マルチェロ「しかしここに来て、ただの一般人として働いてみて」

 

 闘技場を囲みモンスターを一心不乱に応援する人々を見て、マルチェロは微笑んだ。微かだったが、確かに笑顔になった。

 

マルチェロ「悪くないと思えるようになった」

 

 ククールはただ黙って、マルチェロの話を聞いている。

 

マルチェロ「これまで成り上がることだけが生き甲斐だった。母と俺を捨てたあの男親を、世界を平伏させてやることだけが俺の存在意義だった」

 

マルチェロ「だが何もかも失い、開き直ってみると、意外にも楽になれたよ。団長として聖堂騎士団に君臨していた時よりも、法皇に手が届きかけた時よりも、一人のウェイターとして人の近くで働いている方が生を実感できている。生きていると、思えるのだ」

 

ククール「兄貴……あんた、変わったんだな」

 

マルチェロ「そうだな。貴様などにこんなことをベラベラと話してしまうくらいには、俗物になったよ」

 

 マルチェロの笑みに以前のような酷薄さはない。

 ククールに似た皮肉るようで、しかしどこかスッキリとした面持ちだった。

 

マルチェロ「それで、そろそろメインイベントが近いが、お前の出番なんじゃないのか」

 

ククール「おっといけねぇ」

 

 モリーがとつぜん現れた!

 

モリー「話は済んだかね?」

 

マリー「もう出番よ、二人とも」

 

ククール「ああ……って、二人?」

 

ムリー「せっかくだもん!二人一緒に出演しちゃってよー!断るなんて、ムリムリなんだからー♪」

 

マルチェロ「も、モリー様。これはどういう」

 

モリー「行ってきてはくれないか。前から君はただ者ではないと思っていたんだ」

 

マルチェロ「……」

 

モリー「さあ、君たちの力を、存分に魅せてくれ」

 

マルチェロ「……足を引っ張るなよ、愚弟」

 

ククール「こっちの台詞だぜ、クソ兄貴」

 

 

 

 

 その日、バトルロード格闘場にて、歴史に刻まれるであろう演武が行われた。

 かつてバトルロードの最難関Sクラスを制覇したチャンピオンチームと、美麗な二人の剣士が対峙した。

 剣と爪がつばぜり合い、火炎が燃え盛り、地獄のいかずちとグランドクロスの輝きが縦横無尽に駆け巡った。その二人のコンビネーションは素晴らしく、観客たちの予想を覆し、最強のモンスターチームを難なく破ってみせたのだ。

 あまりの華麗さにその場で彼らのファンを名乗る者が続出し、ついには女性陣を中心としたファンクラブが出来る始末であった。二人はたまにゲリラ出演し、その度に重度のファンが必ず何人かは失神する事態になったりもした。

 そして客たちの熱い要望により、バトルロードの頂上にあるチャンピオン像の横には、レイピアを携えた二人の剣士の像が建てられ、いついつまでも、崇め続けられたという。

 

 

 

 

モリー「よぉし!次の企画だ!ウルトラスライム、グレートドラキー、マジーンを一つのチームに入れて大バトルをするぞ!」

 

マルチェロ「待ってください」

 

ククール「訳がわからん」

 

モリー「なに、それぞれを一匹のモンスターと見なせば問題ない。それに君たちなら、どんな試練も乗り越えられるはずだ!……乗り越えられる」

 

マリー「モリーちゃんったら。最後に同じことボソッと呟くのカッコ悪いって、ずっと言ってるでしょ」

 

ムリー「どう?やれる?」

 

ククール&マルチェロ「「ムリ!!」」

 

 

 

 

おしまい




 マルチェロの行方、気になりますよね。
 いや、実際はククールのキャラがツボだから、ククールが主人公と会話している前半が私にとってのメインだったりもします。もちろんマルチェロと絡ませることもできて万々歳です。まあ、ククール好きなんだぜ!という、ただそれだけの話です。その気持ちが高じてククールが丸くなりすぎている気もしますが、それだけ平和になったということでご了承ください。
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