今回は曜ちゃんのどちらかをヒロインに書いていきます。
時系列は堕天物語の一年前にあたります。
気ままに読んでいただければ幸いです。
物心ついた時には、いつも彼女は隣にいた。幼稚園、小学校といつも当たり前のようにともに時間を過ごしてきた。ここ沼津で彼女とずっと一緒に過ごしてきた。そしてそれはこれからもずっと変わらないと思っていた。ただ、別れる日は突然のように訪れた。いや訪れるの方が正しいだろう。その時はまだ未来の話だ。今はそれよりも以前の話をしよう。
新学期、桜が舞い散る中学校の廊下に新学期、廊下に新学期からのクラス分けが張り出されていた。その中から自分の名前と幼馴染二人の名前を探していた。
「あっ!あった!綾斗君、曜ちゃんあったよ!」
2組のクラス表を見ていたみかん色の髪にアホ毛をはやした一人の幼馴染、高波千歌が僕ともう一人の幼馴染を呼んだ。1組のクラス表を見ていた僕は、他の生徒をかき分け、千歌のもとに向かった。
表に目をやると、真ん中の方に自分の名前が書かれていた。
2年2組20番 水崎綾斗
「・・・ほんとだ。」
少し左には千歌の名前も書かれていた。そういえば彼女とは小学校からも合わせると約4年ぶりだ。やっぱり顔見知りがいると少し気が楽だな。
少し遅れてもう一人の幼馴染の僕たちのもとにたどり着いた。
「千歌ちゃん!私の名前もあるの?」
肩まで伸ばした髪をなびかせながら、渡辺曜が僕の隣にきた。曜が付いたと同時に千歌が表の右端を指さした。
「ここ!2組の一番後ろに曜ちゃんの名前あるよ!」
そうなのか、気づかなかった。自分の名前が書かれていた場所から右に目をやると、曜の名前があった。彼女とも小学校以来同じクラスになったことはなかった。
「あ!綾斗君も一緒だ!」
「そうだね。」
いつものように彼女は僕に笑顔を向けてきた。小さいころから見てきた彼女は今日も変わらない笑顔をしている。やっぱりかわいい。ずっとこの表情を見ていると、顔が赤くなってしまいそうだ。
「と、とりあえず。一年間よろしく」
「うん!」
「ヨーソロー!」
いつものように曜は船乗り特融の掛け声をした。ずっと昔から曜はお父さんの真似をしてこの『ヨーソロー』という掛け声を使っている。小さいころからこのヨーソローを使っていた。いつごろから使っていただろうか。僕の知る限り幼稚園ぐらいからは使っていたような気がする。一度自分もヨーソローと言ったことがあるが、みんなの前でこれを言うのはなかなか勇気がいる。あの時は結構恥ずかしかったな。
そんな昔、と言っても三か月ほど前の思い出に浸っていると、チャイムが鳴った。
「そろそろ、新しい、教室に向かわないと。」
「そうだね!2組の教室はどこだっけ?」
「・・・千歌ちゃん。朝、先生の説明聞いてた?2年生のホームルーム教室は3階だよ。」
「あれ?そうだっけ?」
「まあ、千歌がこういうことを覚えてるわけないから、階段に向かおう。」
「ちょっと!綾斗君!さりげなく千歌のことバカにしてるでしょ!」
「気のせいじゃないか?行こう、進級そうそう遅刻は避けたいし。」
「なんだか、話をそらさせた気がするんだけど。」
「まあまあ、千歌ちゃん。綾斗君は昔からこうだし。私たちも行こう。」
曜と千歌は僕の後に続いて階段を上ってきた。3階に上がるとすでに新2年生がぞろぞろとそろいつつあった。1年生の時や小学校の時に見知った奴から、まだ顔を合わしたくらいの奴まで、計200人程集まっていた。この200人は6クラスに分けられている。さっき下の階に貼ってあった表で確認した顔見知りの2組になった生徒たちを探した。しかし後ろからついてきている幼馴染二人以外は誰も見つからなかった。おかしいな、もしかしてすでにみんな教室に集まっているのだろうか。
2組の教室に入るとすでに大半の生徒がそろっていた。どうやら僕の予感は的中したようだ。進級早々クラスの女子と一緒に入るのは思春期の男子にはつらい始まり方だな。しかも曜も千歌も美少女の部類に入る、かたや僕はというと飛び向けて美形という訳でもなく、中の中か中の上くらいだったらいいな。要するに僕は、スタンダートで、一般的で、標準で、普通な顔をしているの。そんな奴が美少女二人と教室に入るのはきついのだが。ハードルが高すぎるよ。新学期早々不安しかあふれ出てこない。
最初のホームルームで席順を決めることになった。くじ引きで。こういう時は妙に運があるんだよな。そして結果は、僕の席が奇跡のように曜と千歌に挟まる形になった。なんでだよ。なんでこんな新学期始まってからこんなハーレムみたいな展開になってるんだよ。もうやだ。帰りたい。左隣に目をやると千歌はすでに周りのクラスメイトと会話をしていた。千歌は昔から、こういうコミュ力は高いんだよな。羨ましい。
きっとこの時の僕は憂鬱そうな顔をしていたのだろう。右隣の曜が訪ねてきた。
「綾斗君、大丈夫?」
「えっ?う、うん。大丈夫。」
何が大丈夫なのかはよくわからないがとりあえず返事はしておこう。曜はこういうとき結構勘が鋭いからあまり心配はかけないようにしよう。
「ちょっと、休みの感覚が抜けなくて。まだ眠いんだ。」
「そっか。じゃあ、私が朝、起こしに行ってあげようか?」
曜から放たれた驚きの言葉に数秒思考回路がストップした。周りの声が頭に入らず、耳から耳へと抜けていった。多分、間抜けな顔をしていただろう。口をあんぐりと開け、言葉を失っていただろう。それくらい衝撃的な一言だった。
「・・・よ、曜が朝、起こしに?」
「うん。・・・ダメかな?」
僕よりも少し背が低い曜が上目づかいで聞いてきた。
「・・・いや、全然大丈夫だけど・・・」
「そっか、よかった。明日朝楽しみにしててね!」
曜が明日の朝僕を起こしに来るのか。なんというか凄く恥ずかしいな。
今作品でEIMZ作品4作品目となります。どの作品もラブライブ作品です。他の作品もよければどうぞ。
読んでいただいた皆様に神々の祝福があらんことを