大急ぎで更新しました。
誤字脱字多いかもしれません……。
また、一話の内容を大幅に説明を加えてあれやこれや話をさせてるだけなので、更新前の1話を見ている人にはつまらないかもしれません。
すみません。
002
机を叩いて立ち上がったフラホーン。それを頭を抱えたジョージとイライラしながら見つめるデイヴィッド。ため息をついたデイヴィッドが言う。
「戦争をするんだから当然ではないか?」
「当然?ここは、我々転生者達の利益調整の場という側面もあったはずだ。その観点から見れば、この行動案では私……ではなく我が社の利益が薄まるばかりではないか」
「お前は、帝国への投資に一番金を出してねーだろーが!!その癖利益は寄越せっていうのかよ!」
「応とも!大体、私の投資が少なかったのは、秋津島への投資の直後の話だったからで本意だった訳じゃない!武器商人ごときが、地球人類の生活を支えるGEの利益に口を挟むな!!」
「言うに事かいて、武器商人ごときだとぉ!!?エジソンが居なけりゃ、飛躍すらできなかった田舎モンなんぞに世界を語る口があったとは驚きだな!」
「田舎者だと!貴様!前世はマフィアのボスなどという犯罪者だった癖に大きく出たな!社会のはみ出し者め!パスタ屋で生地でも捏ねてりゃよかったんだ!」
「何だと!?お前なんて、大統領選の最中に腹心に裏切られて歴史に残る大敗をした負け犬ではないか!パスタを馬鹿にした事を後悔させてやる」
「キサマァ!!言ってはならん俺の古傷を抉ったな!生まれてきた事を後悔させてやろう!!」
「スタァァッァァァアアアアップ!!いい加減にせんか!!この馬鹿ども!!」
ジョージが止めなければ、二人は既に殴り合っていただろう。なにせ、もう胸倉をつかみ合っている有様だからだ。息を落ち着けると、ジョージは再び話を進める。
「お前ら毎回いい加減にしろ。喧嘩しないと会議が始められんのか」
「す、すまないジョージ。だがあいつがだな―――」
「悪かったよジョージ。でも奴が人の好物を馬鹿にするのが――――」
「日本には喧嘩両成敗という言葉がある。次回は残りのメンバーが揃う、全員参加予定なんだ。いい加減にその短気を直せ。次回もやらかしたら、今度から会談の費用はお前ら持ちだ」
「ぐぬぬ」
「だが……なんでもない。そう睨まないでくれジョージ。お前の怒った顔は、YAKUZAにしか見えないぞ」
「はぁー。お前ら財布なんて気にする立場じゃないんだからそんなに嫌そうな顔をするな」
一拍置いて、ジョージの空気が切り替わった。
「さて、真面目にいこう。実はフラウホーンの利益が削れる事に関しては、俺も思うところがあったが現実的に考えて難しいと結論付けた結果あのようになったんだ。そこでアイディアを募集したい。デイヴィッドも考えて欲しい」
「まあ仕方がないか……。とにかく貿易を続ける事を考えれば良いんだよな?」
「そうだな。冷静に考えてみると問題は山積みだ。我が社の利益と言ったが、実際”セカンドライフ”の利益を確保するとなると、まず我らのステイツと完全に敵対するまで、なあなあでやり過ごさねばならないか」
彼らの口が重くなる。というよりも、お互いに考えながら会話しているせいで、あまり簡単に会話が進まなくなったというべきか。
彼らは、幼少期から巨大な自我を芽生えさせていた。そのため、赤ん坊の小さな脳みそで、高速で思考することを繰り返していたのである。その結果かどうかは、分からないが彼らの頭脳は常人を軽く凌ぎ、天才とよばれる人間達と互角の領域にある。
そのため、複数の思考をしながら会話をするという芸人のような事が可能だ。
「色々可能性はあるが……。可能性を勘定できるパターンだと、数パターンで限界だ。投資の際につくった人脈を使えば帝国内での協力者は得られるだろうから、成功する可能性は非常に高い方法がある」
「密輸……になるか?」
「ああ。実を言うと、帝国に対して武器を密貿易する準備自体は進めていた。原作から考えると泥沼化するのは確定だ。戦略資源が限定されることは間違いない。そこで話を付ければ話は整えられるだろうと考えていた」
「相変わらずえげつないことを考える。鉄にレアメタル。そして燃料。まあ食いつくだろうし、我々を金の亡者だと蔑んでいれば疑いなく我々を利用してやろうとするだろう。連中の自尊心を傷つけない範囲で金をむしりとれるわけか」
「その通りだ。我々を崇高な連中だと思っていれば、プライドが邪魔して見栄を張るだろう。しかし、我々を卑しい商人だと思っていれば利用するとのたまって縋るのさ」
「だが、密貿易となると会計関係が面倒になるね。関係書類はウチと関係が深くて口の堅いところを紹介しよう。銀行としては、見てみぬ振りをするさ」
デイヴィッドの提案を簡潔にするなら、伝手を頼って武器の密貿易を行う際に相乗りして弱電関係の貿易を行うということだ。しかし、そうなると『輸出していないはずの商品が生産されている』という状況に陥る。そして、それは各種書類を辿っていくとどんなに複雑に処理しても分かってしまうことである。
書類から粉飾を見抜く一流のバンカーしかり、経験豊富な官僚であれば時間をかければ理解できてしまうのだ。だが、それらの書類を作成する会計事務所を抱き込んでいれば偽装は可能なのだ。事情を知っている権力者の知り合いに実弾をプレゼントしておくことも忘れてはならない。
「デイヴの密貿易に相乗りするのはいい。問題はルートだ。大西洋ルートだと連合王国が黙っていないだろう。ロイヤル・ネイヴィーはあなどれない。戦時中であれば、”臨検”を断った場合に如何にされるのか予想するのは簡単だろう」
デイヴの提案に、懸念を追加したのはフラウホーンだった。
彼は続けざまに、問題点をあげる。
「問題はそれだけじゃない。デイヴの貿易船に相乗りすると、我が社の製品を搭載している理由の説明が難しくなる。賢い人間はそこに気がつくだろう」
「ん?いや、それほど問題には……。そうか、貿易船が共和国や連合王国への貿易船と偽っていたら、そもそもGEの製品を搭載していることに違和感があるな。今までのルートで問題ないはずだし、ウチだって相乗りさせるなら武器を満載したほうが利益になる。なるほど。説明がつかないか」
フラウホーンの懸念は、デイヴにとって納得できるものだった。
彼の考えていた密貿易ルートは、堂々と大西洋ルートを使って共和国に荷物を降ろし、現地の『ディロン・ライト』支社から大陸ルートを使って行うモノである。
民製品であるGEの製品を混在していれば、誤魔化しも効きやすいと考えたが、それは大きく間違っていたことに気がつけたのだ。
さらに、二人の間には大きなズレがある。それを見抜いたのはジョージだ。
「ちょっと待って欲しい。GEの利益を求めるのであれば、戦争初期から密貿易を開始しなきゃならなくなる。おそらくだけど、デイヴの考えている密貿易ルートは物が必要だけど足りなくなる戦争中期以降の話だろう?そうなるとGEの利益はやはり薄まるし、その頃になると弱電製品よりも衣食など、人間の生命活動の根幹に関わる品物が求められるようになっているはずだ。売れない製品は密貿易でも受け入れられない。最初期から、密貿易で製品を届けても先細りする市場へ製品を届けるっていうのは不経済だと思う」
フラウホーンとデイヴの表情が渋くなる。
言われてみればその通りなのだ。弱電を売ろうにも、そもそも売れないのでは意味がない。
フラウホーンは、確かに利益を望んでいるが、それは単純な儲けの話だけではない。彼の根っこにある考えは帝国弱電業界に常にGE製品を供給して市場においてGEの立場を維持することなのだ。
しかし、その市場自体が大幅に縮小する未来は、考えてみれば容易に想像が付くことだった。
戦争を続けていれば、多くの金は軍に注がれる。
特に、帝国という国はそういう国だ。だからこそ、軍需産業に食い込むことを画策して、合州国政府に孤立主義を一部だけでも捨てさせるという巨大なプロパガンダまで”セカンドライフ”主導で行った。
そういった国では、国民の生命を維持するために食品や衣服等の生活必需品は求められても、生活をより便利にするための品物というものは後回しにされやすい。
GEの取り扱う製品はエンジンから電球まで幅広いが、その商売のやり方は非常に特殊だ。
しかし、そのやり方であればGEの製品が求められないということはない。
”現地の子会社の判断による”という特殊な前提が発生するけれども、GEの輸出するアイテムは需要自体はある。
どういうことか。それは、GEが他社とは違って、完成したアイテムを輸出しているのではないことだ。合州国内では、GEがパーツの製造から組み立てまで行う。しかし、外国においては、まずGEがGEの製品の特許を取得し、その後現地の企業を買収し、その現地の子会社にパーツを買わせて現地で製品を組み立てて、現地企業が販売するのだ。
完成したアイテムを輸出するというのは、この時代において当たり前である。組み立てるノウハウ自体が重要な技術だし、どのように組み立てているのか分かれば、先進国の技術者ならばどうやって動いており、どの部分がGEの特許なのか理解できてしまう。
技術流出を防げないのだ。
さらに、GEは現地企業に販売する際の権限を現地企業の属する国家に限り自由に認めている。これは革命どころか、この時代においては暴挙である。どれぐらいの暴挙かというと、現地企業のロゴマークの方が大きくて、GEのロゴは内側にちんまりあるだけでも問題なしとしているぐらいである。ただし、秋津島皇国等、資本主義経済が浸透しきっていなかったり、後進的な国家においては一部制限をかけていたりする。
これは、フラウホーンが断行し、フラウホーンがCEOに収まる前からの子会社にも徹底的に意識改革を行った。
結果として、現地企業が求める限り密貿易であってもGEが輸出する製品は必ず存在する。
しかし、市場が縮小するのであれば求められる数は間違いなく減少するのだ。
市場の縮小――――GEの存在感の縮小――――それらを勘案しフラウホーンはある決意を胸に燃え上がらせながら口を開く。
「ならば。GEとしては別の方法で利益を確保したいと思う」
フラウホーンの目つきが変わったのに二人は気がついた。
目を瞑りながら、フラウホーンにジョージが続きを促す。
「それで?どうするつもりだい」
「連合王国と共和国に市場を解放させる」
「待ってくれ。どうやってその結論に至った?」
疑問を投げかけたのはデイヴィッドだ。
「連合王国は、合州国に自分達に肩入れするように要求するのは間違いない。大西洋ルートという貿易上の要点を抑えているし、合州国は元々連合王国寄りの立場をとっている。しかし、我々の介入によって帝国寄りに合州国が動いているのを気にしているはずだ」
一度話を切って、フラウホーンは二人を見る。
ジョージとデイヴィッドの二人は、同意するように頷く。
それは、フラウホーンに続きを催促するものでもある。
「外交を重視する連合王国は合州国の動向を掴みきれていない。一部とはいえ、孤立主義を曲げた合州国が、連合王国と帝国のどちらを選ぶのか確信を持てる材料が減っている。そこに、交渉の機会がある」
返事を促すようにフラウホーンは押し黙る。
「なるほど。しかし、政府を巻き込む以上、弱電部品の関税障壁を下げる、ないし撤廃させるには総合的に考えなければならない。その点はどう考えている?先に言っておくが、銀行としては現在の民主党政権に一つ貸しがある。そこから押し切ることは可能だが、出来る限り金融業界を守るために使いたい。私から出せる支援は、最後の手札だと思って欲しい」
フラウホーンに即座に答えたのは、目を瞑りながら話を聞くジョージだった。
ジョージは、他人の話を吟味するときには目を瞑りながら話を聞く癖がある。失礼になる場合も多く、公の場では行わないが親しい人間達の前ではこの癖を隠さない事も多い。
フラウホーンは不適に口角を上げて答える。
「連合王国系の弱電企業の特許取得数が年何件か知っているかね?我がGEの4分の1という少なさだ。さらに、発展改良による特許や軍事関係の特許ばかり。つまり民間は、今までの遺産で飯を食っているだけの足手まといなのさ。うちの研究開発チームが優秀すぎるせいかな?」
「そういうことか。自国の弱い部分を切り捨てさせる訳か」
「その通りだ。ついでに、潰れた企業の人材はウチの現地子会社が買収すればいい。それから話をしていて思ったのだが、たしか自動車に関しても連合王国は少々遅れ気味だったな。帝国の自動車企業と、ウチの自動車馬鹿が幅を利かせている」
「クックック。ついで、というには随分と”セカンドライフ”の利益が多いんじゃないか?」
ジョージはフラウホーンの言わんとすることを理解し、デイヴィッドは、こらえきれないとばかりに嗤う。フラウホーンも、良い事を思いついたと言わんばかりに目が笑っている。
「その工作については、次回全員揃う時に話し合おう。GEだけでなく我々の利益になるのなら僕も大きく動きやすい。さて、次は銀行の利益についてどうすべきか話し合いたい」
ジョージはそう切り出した。
次は来週末までに更新します。
プロットは一応完成しましたので。