ソードアート・オンライン 覇王と絶剣   作:高島 秋

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かなり時間が空いてしまい申し訳ありません…!
リアルが忙しくて…

そして遂にあの子が出ます!

では!どうぞ!


ランク2位

 

誤算だった。いや、もう少し考えればこのような事になるのも想像出来たはずだ。木綿季が来るという可能性をなぜ考えてなかったのだろうか。完全に虚を突かれた俺は木綿季に対して咄嗟になんと言えば良いか言葉が出てこなかった。

 

 

「ボクに何の連絡もなしに何してたのかな〜継裕?」

 

 

怖い。とても怖い。今までにないくらい怖い。ここまで怒るのも無理はないのだが…夜中に家を抜け出し、学校には行かず、何時に帰るとも言わず、挙句の果てにはゲームをしようとしているのだから…こんなことされて怒らないわけがない。だが、こんな時になんとか言い訳を探す悪い癖が働き、咄嗟にこう言った。

 

「悪い、親父の手伝いしててな。ここにいるのもそれが理由だ。」

 

咄嗟に言ったが、決して嘘ではない。このゲームで旧アインクラッドのボスが出るという情報を聞かされ、調査してこいとも言われたので辻褄合わせが可能だ。だが、俺はこれ以上の追求を避けるすべがなかった。

 

「ここにいる理由はわかった。で、夜中に家を抜け出した理由は?」

 

先程より圧の篭もった声で聞いてきた。どうやらこっちの方が本題みたいだ。それにこっそり夜中に家を抜け出したのもバレていた。その説明は家に帰ってからすると言ったら、察したのかりょーかいと元気に言われてしまった。これは最後まで言わされるぞと俺の経験が語りかけたような気がした。現在時刻は20時58分。あと2分程でボス戦が始まる予定だ。今までにも何度か出てきたようだが、それは倒しきれなかったようだ。さて噂通りにアインクラッドでのボスなのかどうか。今、明らかになる。

 

派手な音と共に登場したのは、第10層ボス"カガチ・ザ・サムライロード"だった。こいつは俺にとっては思い入れがある奴だ。10層という低層で、結局最後までお世話になる妖刀村正が手に入ったからだ。因みに新ALOでは流石にドロップしなかった…どうやら俺たちの他にもSAOサバイバーが居たようで、視認しだい攻撃をし始めている。

 

「行くぞ継裕、皆!」

 

和人の掛け声に続き、俺達はサムライロードに向かって行く。だが、声をかけた本人はAR慣れして無いのか普段よりキレが無かった。というよりただの運動不足のように感じだ。

 

紺野姉妹に至っては流石運動は得意と言っているだけあるなと思う動きをしている。明らかに和人とは違う。個人的に驚いたのは、遼太郎率いる風林火山だ。普段はよろくし社畜をしていると思っていたので、なかなかの動きに感嘆とした。比べてみるとやはり和人が1番動けてないように思わざるを得ない。突発的な瞬発力は若いだけあって遼太郎達より素早いが、その他に至っては負けているようにしか見えない。いや実際負けてる。俺はと言うと抑えないと疑われてしまうので程々って感じだ。その時、和人がタゲを取られたのだがそれを知ってかサムライロードに向かって低空姿勢で走っていく。運動不足の割には走れるなと思ったのもつかの間。小さな段差によって和人は転んでしまった。運悪くサムライロードの真下で止まってしまった。当然斬りかかるのだが、これを普通なら当たっていると思われるのに避けてみせ、敗走してきた。反応速度がうりなのは伊達じゃないなと思いながらも、せめて1回ぐらいダメージ入れて来いよとも思った。

豹みたいなアバターの男がいかにもって感じの銃を取り出したと思いきやサムライロードに照準を合わせ撃った。だが、それは避けられ、後ろにいたユナに当たりそうになっていた。思わずやべっとと聞こえたのは気のせいだと思いたい。俺もこれは当たるなと思いながら見てたらなんと剣で銃弾を弾き返した者がいた。弾き返された弾丸はサムライロードにヒットした。見事だと思っていたらなんとランク2位の者だった。

 

「す、すっげぇ…」

 

「ランク2位!?」

 

あちらこちらから驚きの声が聞こえる。それもそうだ。2階相当の所から飛び降り、ユナに当たりそうになっていた銃弾を弾き返し、ダメージを与えるという離れ業を見せたのはSAOで俺達と共に戦った戦友、の弟だ。そして父からの命令により、探していた男の一人でもある。という事を知っている者だから、今の彼の動きに対して疑問等は湧かないが傍から見たら体操の選手…いや軍関係者と思われる動きっぷりだ。そんな彼の活躍もあり、無事にボスを倒すことができた。その後に"ARアイドル ユナ"がボーナスと称して藍子の頬にキスをしたのは少々驚いた。木綿季達も驚いていたがその中でも特に和人は驚いていた、いや衝撃を受けていたと言った方が正しいのかもしれない。何せ目の前で彼女がキスされたのだ。いくら同性とは言えそうなるのも無理はないだろう。もし俺がその立場になっていたらと思うと…いやこの先を考えるのはやめておこう。などと考えてたその時だった。

 

"仕事用の携帯"から通知が来たのだ。内容は、

 

"アメリカに行く"という内容だった。人数及び人選を見る限りどうやら捜査が進展しているようだ。期間は1週間。となると学校は丸々休むことになる。更に言うと出発の日時が明日の早朝。これは木綿季と話している時間もなさそうだ。などと考えていたらある人物が俺の耳元で囁いた。

 

「僕は貴方を許さない…」

 

一瞬何を言っているか分からなかったが、人物を見て確信した。彼は鋭二。SAOでのノーチラスの弟だ。彼を保護しに行った時既に彼の兄は命を絶っていた。原因はユナ、悠那を守れなかったことにあるだろう。鋭二はその二人ともとても大事に思っていた。ユナとノーチラスを最前線に連れ出したのは俺だ。許されなくて当然だと思う。だから、天国にいる彼らが残した人を守っていくつもりだ。本人はそれを望んでいないが…

 

「継裕〜帰ろ?」

 

木綿季がそう言ってきたのでこれより帰宅することにする。近くに停めていた車まで歩き…一瞬迷ったが今更なきもしたのでそのまま歩を進める。木綿季は驚いた顔をしたが暫く車を眺めた後助手席に乗り込んだ。シートベルトをしたのを確認してからアクセルを踏み、俺らを乗せた車は闇夜に消えていった。

 

「なぁ、あいついつ免許とったんだ!?」

 

遼太郎がそう叫んでるとも知らずに…

 

 

 

「ねぇ継裕。いなかった理由ってお仕事?」

 

なんの脈絡もなく聞いてきた為少し動揺したが、特に隠す必要も無いのでそうだよと答えた。木綿季はそれを聞いたら納得したのかそれ以上は追求してこなかった。

 

「木綿季、あのな。」

 

俺が話しかけると顔をこっちに向けながら、な〜に?と聞いてきた。一つ一つの仕草が最早国宝級なのだがそれは抑えて、

 

「俺、来週はアメリカに行くことになる。さっきメールがきてな…」

 

木綿季はそう聞くと、少し考えた後、行ってらっしゃい。と言ってくれた。木綿季がこういうのに駄々を捏ねるタイプじゃなくて良かったと思ってしまった自分がいるのが恨めしい。ただ、寂しくなるな、と小声でボソッと言われた時は、心臓が張り裂けそうになるくらい辛かった。それに対し俺はごめんな、しか言えなかった。その後はさっきまでの会話を忘れようとお互いしてるのか明るい話で盛り上がった。木綿季が体育祭楽しみだね!と言った時は少々驚いた。まさか知らなかったのと言われたがちょうどその時俺は居なかったという事で色々説明して貰った。いくつかの種目があり、それは完全に組対抗なんだそうだ。組は全部で5組あるらしく、それで頂点を狙っていくとのこと。所属組も発表されており、俺と木綿季は同じで黄色組だそうだ。ちなみに組名は"麒麟"とのこと。めちゃくちゃ強そうなネーミングだなって言ったらそれぞれの組は中国に伝わっている四神よりとってるらしい。てか今はまだ4月。だいぶ早いと思ったら体育祭自体は5月の中旬開催とのこと。一瞬出られないかもと思ったがその心配は無さそうだ。

 

「楽しみだね!よぉーしいっちょ頑張るぞー!」

 

気が早いなとか思ったけど、俺も同じ気持ちだったのは内緒だ。そうこうしてるうちに家に着き、木綿季が物凄いスピードで部屋まで向かいこれまた強烈な勢いでベットに突っ込んだらしい。ドアの向こう側から悶絶しているのかドタバタを騒がしい音がする。暫くしたら音が休まったので寝たかな?と思い俺も睡眠をとることにした。こうして少しハードな1日が終了した。この時はまさかあいつがあんな事するなんて想像がつかなかった。

 




初鋭二かな?
(SAOでのやつはノーカンで…あまり絡んできてないので…)
なるべく期間が開きすぎないように頑張ります!

(*´∇`)ノ ではでは~

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