ソードアート・オンライン 覇王と絶剣   作:高島 秋

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ついに来ましたね!(何が来た…)

あまりここで言っちゃうとネタバレになるので控えます!

では!どうぞ!


第6章 UW編
第59話 失踪


最近、継裕は学校を休むようになった。木綿季に聞いても分からない。そもそも家に帰っていないのだ。わかるはずがない。継裕の姉だという葵ことアルゴに聞いても風邪なのだとくらいしか分からなかった。詰まるところ、ここ暫く顔を見せないのは誰も知らないという事だ。それも本当かどうかは怪しいところだが…気掛かりなのは彼の父親も失踪しているという事だ。継裕の馬鹿でかい実家にも皆で訪問したのだが、出てきたのは執事らしき人と、お母さんだけだった。そこで俺は継裕のことを知っていそうなもう1人の人物、菊岡にも聞こうと思ったのだが家族が知らないことを知っているわけもなかった。

数日後には学校から継裕は休学中だと教えて貰った。理由は病院にいるとの事だが、どこかは教えてすら貰ってないらしい。見舞いに行こうにも行けないのが現実だ。ただ、継裕が病院に居るとしたら父親が経営してる病院で間違いないだろうとの事で、明日奈、藍子、木綿季を含めた4人で向かったのだが、名乗ったら木綿季を除き、門前払いをされてしまった。帰ってきた木綿季に問うても何も答えてもらえず、俺達はただひたすらに、口を開いてもらうのを待つしか無かった。

そんな時だった。俺が菊岡からバイトの話が来たのは。なんでも次世代のVRに関するバイトとの事で、そっち系の進路を希望している俺がそれを、断る理由がなかった。快く、という訳では無いがそれを引き受ける事にした。残念とでも言うべきなのか、バイト中の記憶は一切無いことだ。普通に考えて、ただの一般高校生に過ぎない俺が、そこそこ時給のいいバイトをさせてもらっているだけでも感謝するべきなのかもしれない。でも内容を知りたいとは思うのは些か身勝手すぎるか…?

いつも通りバイトをこなし、藍子と詩乃とダイシーカフェでティータイムを楽しみながらバイトの事に付いて少々話した帰りのことだった。

 

「すみませぇえん、あの〜駅ってどこですぁあ?」

 

今どきスマホで調べないなんて変わっている人だなぁなんて私は思いながら、少し身長の高めの痩せ細った男性の質問に答えようとした。それを和人さんは横に割って入ってきた。

 

「お前、随分前から俺らの後をつけていたな…なんのつもりだ。」

 

その言葉の意味を理解するのに、私は数秒、時間がかかった。私達をつけていた。その理由が全く掴めなかった。ただ、それを理解するのには時間はかからなかった。

 

そこから先のことはあまり覚えていない。和人さんと敦と名乗った男、ジョニー・ブラックはそれぞれ傘と薬品を刺しあった。和人さんに刺さった薬品、サクニシルコリンは心臓などの筋肉を止める、劇薬だ。死銃事件の証拠品ともなっている劇薬を撃たれ、救命隊が到着するまでの5分ほどの時間。

奇跡的に彼は助かったが、脳に何かしらの致命傷が残っていても可笑しくない状況へとなっていた。そんな時に再び、事件は起きたのだ。

 

 

 

「お兄ちゃんが消えたのは菊岡さんが防衛大病院に移送するってときなんだよね、ユイちゃん。」

 

「はい、そう考えて間違いありません。防犯カメラ等にも映ってないことからそう考えられます。そして、キリトさんの最終的な移動先はこちらです。」

 

ユイが説明したキリトの最終的な位置情報は、港区のとある場所だった。ここから2手に分かれ、遼太郎ら車組は和人の最終位置へ、詩乃らはラースの現住所へと向かったのだが、何方もそれといった収穫は得られなかった。

 

 

結局、直接向かうことにした。ユイのハッキング能力をフル活用し、和人さんと面識のある神代凛子博士の力も借り、和人さんが居るとされる"オーシャン・タートル"へと向かった。現地に着き、何重にもなる顔認証を受けさせられ、ある人物の元へ向かった。

 

 

「遥々ようこそ、神代博士。お待ちしてました。」

 

そう話したのは、1ヶ月もの間、ここに居るとされる菊岡さんだった。

 

 

 

「何故私がここに居るかおわかりでしょう!?」

 

努めて冷静に接するつもりだったのだが、今回は我慢がならない。和人さんを無断で、こんな異地に連れてきたことに対して等、色々な疑問をぶつけた。彼はどれに対しても曖昧な答えしか返さなかったが、ここで予想外の人物が現れた。

 

 

 

 

 

「そこで何をしている。藍子。」

 

 

 

 

継裕君だった。

そして彼は続けてこう言った。

 

「菊岡、警備体制は万全のはずでは無かったのか…?」

 

菊岡さんにそう問うていた。菊岡さんの表情から焦りが読み取れることから、立場的に継裕君の方が上なんだろうなと何となく感じた。そして、続けてこう言った。

 

「少し制裁が必要だな。」

 

そう無機質とも言える声で言い放った瞬間、彼は菊岡さんの腹を殴打した。1発で菊岡さんはその場に倒れた。一体どれほどの威力なのか。少年が大人1人を拳を加えるところなんて初めて見たものだから、私は震えてしまった。ただ、震えているのは私だけでなく、隣の神代博士や比嘉さんも含めたその場にいた全員が怯えていたのは言うまでもない。菊岡さんは殴られても、無抵抗と言うのが恐ろしさを物語っている。

 

 

「さて、話を戻すか。何故、藍子がここにいる…」

 

私は隠しきれるとは思っていなかったので、ありのままに話した。それに対しての反応とは、

 

「なるほど、中々面白い話ではないか。この話によれば、多少俺にも責任があるようだが、

 

何故自分の足で、確認しに行かなかった…?」

 

いつもの彼からは想像もつかない低い声が全身の毛を逆立たせる。これ程までに恐ろしさを感じる声を聞いた事があっただろうか。上手くは説明出来ないけど、なんと言うか、"感情を全く感じない"。そんな声だ。ここで菊岡さんは継裕君に対して疑問を述べた。

 

 

「確かに、僕が確認しに行かなかったのは謝罪に値するだろう。だけど、君がいくら公安とは言え、役人である僕に手を加えるのはどういうつもりだ…?」

 

継裕君が公安だとは知らなかったが、良く考えれば菊岡さんも総務省の役人だ。何も問題ないとは言いきれなさそう…

 

「何も問題はない。菊岡、お前は俺の部下なのだからな。」

 

その瞬間明らかに菊岡さんの顔が強ばった。2人も同様だ。公安と総務省。どう考えても上司部下の関係にはならない。まだ何か、2人を結びつけるものがあるのか…?

 

「確かお前は、菊岡2等陸佐、だったけか?」

 

「な、何故それを君が…!?はっ!まさか…!?」

 

「そうさ。俺の父親がそっち方面でも多少パイプを持っているのは知っているな…?で、俺に与えられた役職は、自衛隊特殊部隊所属、隊長ってわけだ。」

 

「そ、そんな階級は聞いたことが無い…!そもそも、自衛隊は陸海空ともに不可侵であって、それぞれのトップ以上はいないはず…」

 

「確かにその通りだ。だが、それは内閣総理大臣というトップを除いてだろ…?俺は総理直属とも言える立場に当たるわけだ。つまり、

 

 

 

お前の上司に当たる存在でもある。」

 

 

そこから暫くは継裕による菊岡さんへの指導があり、その場はお開きになった。神代博士にも厳重注意がされ、次は私の番、だと思われた時、こう言われた。付いてこい、と。

 

彼に付いて行った先に居たのは、ナーヴギアの何倍もある、機器だった。後で、あれはナーヴギアを元にしたVR機器、メディキュボイドの派生系だと言われた。

更に、私はここから出ることは許可され無かった。継裕さんが何かしらの判断をするまで基本自室で待機。アミュスフィアの使用は許可されたけど、妙な事をしたと判断された場合は即使用禁止。等、厳しい制限を数多く掛けられた。

そして、私に明日奈達へ報告の義務を言い渡した。勿論、継裕君の監視付きで。

 

ログイン早々、皆キヒロさんが居ることに戸惑いも感じていたが、彼自身がそれを素っ気なく対応していたので、次第に私が話せる空気が生まれた。

結果はどうなるか分かっていた。だから彼に、それでも来るのか聞いてきた。彼はそれでも行くと言ったが、やはり置いてくるべきだったのだと思う。皆、キヒロさんを冷たい目線で見てる。それをキヒロさんも同じような目で返してる。そんな空気を更に凍りつかせることが起こった。いや、起きてしまった。

 

 

「ユイ、お前は色々知り過ぎた。暫く眠っててもらう。」

 

そう言った彼は、何やら物凄いスピードでホロキーを打ち、そして…

 

 

ユイちゃんは消滅した。

 

 

その場の空気は更に硬直する。それを切り裂いたのは、アスナだった。

 

「キヒロ君!ユイちゃんになんてことするの!?」

 

アスナのそれを切っ掛けに、リズ、シリカ、リーファがキヒロ君に対して激昂し様々な言葉を投げる。それを打ち破ったのはキヒロ君だった。

 

「当たり前だろ。これ以上知られてはこちらに支障をきたす。だから、消えてもらった迄だ。」

 

「だ、だとしても…!」

 

「本来なら貴様らも処罰の対象だ。勝手に政府関連の情報を知った罰は重いぞ…?幸いそれに気づいたのは俺だけだったからユイが残した痕跡を消すのは簡単だったが…」

 

自らも処罰の対象。そう言われ、皆は黙るしか無かった。私達がした行いによって、ユイちゃんが消された…

 

「二度とこういうのするな。ラン落ちるぞ。」

 

そう言われたら私は落ちるしかない。キリトさんの為にも、今は言うことを聞くしかない。後で事情は全て聞くことにして…

 

 

「そうだ、言い忘れていた。もし、この事を世間にバラしてみろ。和人の命はないと思え…」

 

「なっ!貴方にとって守るべきものはなによ!?」

 

リズがそう投げかける。帰ってきたのは、予想もしてなかった答えだった。いや、その現実から目を背けたかったのかもしれない。

 

「優先順位の問題だ。今、俺が守るべきものがキリトより優先順位が高い。ただ、それだけだ。」

 

 

そう言って彼はログアウトしていった。もう私の知る継裕君はもう居ないのかも知れない…

 

 

 

 

「菊岡、悪い知らせだ。既に奴らは潜伏していると思われる。」

 

「なっ!?一体、どうやって!?」

 

「恐らく、藍子が来たようにここのシステムをハッキングしてきたのだろう。今は神代に監視してもらってはいるが、

 

既に近くに敵が潜んでいると思え…っ!」

 

 

俺は菊岡の袖に付いていた小型の盗聴器を見つけた。それはすぐ様潰したが、思ったより敵が近いと考えた方が良さそうだ。一応重要人物の身体検査を全員し、発信機及び盗聴器は全て破壊したが、この艦内に仕掛けられていないとも限らない。中々骨のおれる仕事だな…

例え仲間に嫌われようとも、俺は、この命が果てるまで、この国を守らなければならない…その為に、迷いを無くすために、"昔の俺に"戻らなければ…邪魔する者は…排除する…

 

 

 

 

 

 

 

 

とある海域…

 

 

 

 

 

ザザっザザっ…

 

 

「既に近くに敵が潜んでいると思え…

 

ブチッ…」

 

 

つーつー…

 

 

「The communication was cut off.(通信が途切れました。)」

 

「It's just as I expected.Who do you think he is?(予想通りだわ。相手を誰だと思ってるの?)」

 

「Japan's only pride as a genius boy...(日本が誇る天才少年としか…)」

 

「If you don't know, that's fine.(知らないならそれでいいわ。)」

 

 

 

It's no different from the boys we boast of.You are a master of murder.You all know that with your own hands.

 

I will take everything away from you, who took everything away from me.

 

Even if this body dies, I will do my best to kill you.Yeah, like that world...

I'll let you win this time.Wait.Solomon.

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっ…」

 

Come on!I'll make a clean breast of it.

 

 

両者の対決まで、残り僅か…




久しぶりに早めに出来ましたァ!
(って言っても、構想自体はずっと決まっていたんですけどね…)

ダーク継裕君はどうでしたか?w
主人公が闇堕ちってのも中々いいですよね!?

最後の方の英語は何個か訳していますが、訳していないのもあります!気になる方は是非!訳してみてください!面白さ倍増!(のはず。)

(*´∇`)ノシ ではでは~

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