ソードアート・オンライン 覇王と絶剣   作:高島 秋

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最近ペース良さげ!(これからも続けるぞっ…)

ってことで投稿です!現実サイドのみだから早く終わった!

では!どうぞ!


第62話 Underworld Edition Complete

継裕の入院先にて。

 

 

 

 

 

「なにを、しているんですか…?」

 

ボクは目の前の光景を理解するのに時間かかった。目の前で"行われている事"は継裕のお父さん曰く、"実験"らしい。でも、どこからどう見ても、虐待に近い行為には変わりはないのではって思った。そこには、何かしらの薬を撃ち込まれ、もがき、苦しんでいる継裕が居たからだ。ボクはただそれを見ているだけなんて御免だ。ボクと継裕はあの世界から、互いを助け合うって決めたから。

 

「継裕を解放してください!」

 

「それは出来ない。」

 

「何故です!?」

 

継裕のお父さんは未だに心の奥底がよく見えなくて怖い。ここで歯向かったらボクにも何かされるかもしれない。でも、それでもやらないといけないと、言われた気がした。

 

「継裕は来るべき戦いに備え、このような実験に"協力"しているのだ。邪魔することは、彼の意志を無視する事になる。」

 

あれが、協力?

 

正直、継裕のお父さんは正気の沙汰では無いと思わざるを得なかった。息子を実験台にする親が普通いるのか…?少なくともボクの周りにはそういう人達はいなかった。継裕の話で聞いた事があるのは、海外の王家で、毒殺されないように少量の毒を事前に飲み、耐性をつけるというものがあると聞いたことがあるが、目の前のこの光景はそれを遥かに凌駕していると思える。拘束具で手足の自由を奪い、地面に寝台を固定し、完全に身動きを封じている。あれの何処が"協力"なのか。それとも他に何か意図があるのか。それを確認するためにボクは1歩半前に進んだ。

 

「危ないから下がりなさい。」

 

1歩半進んだと言ってもまだ1メートルは離れている。さらにガラス越しにも2メートル程は離れていると思われるから、幾らボクの目が良くても詳細は想像でしか補えない。それにこのガラスはどう見ても強化ガラスだ。そういうステッカーが貼ってあるし。それでも尚、何が危ないのだろうか。答えは数秒後にわかった。

 

なんと、継裕を固定していたはずの拘束具は引きちぎれており、寝台は地面から完全に離れている。いや、離れたのだ。そして起き上がった継裕はそのままこちら側に向かってきて、力の限り強化ガラスを殴った。

ボクはその光景に目を疑わざるを得なかった。普通に考えれば人の手が粉砕骨折して、強化ガラスは無傷だ。だが、実際に起きたのはその逆だった。ギリギリのラインで継裕のお父さんがボクの前に立ったから無傷だったけど、ガラス片の飛び散り具合的にお義父さんは無傷では無いはずだ。そう思って声かけようと思ったその時、

 

「だから言っただろ?危ないと。」

 

 

そしてお義父さんが右に避けて目の前に現れたのは、両手首が拘束具が付いたままの継裕だった。目は本当にボクの知っている継裕と同一人物なのか疑うほど殺気に満ちているし、露出している肌からは血管の浮き出がハッキリわかる。少々血管フェチでもあるボクでも少し引くレベルのだ。そして殴ったとされる右手からはガラス片が刺さってる以外の外傷は見当たらなかった。

 

 

 

 

「おい、何故木綿季がいる。ここには呼ばない約束だろ親父。」

 

 

 

緊迫した空気があたりを覆う。継裕がお義父さんにあんなにも鋭い眼光を向けたのを見たのは初めてだった。これがもし親子喧嘩と言うのであればその空気はかなり異様だ。

 

「いずれ知ってもらなくてはいけないものだ。」

 

「時期尚早だ。」

 

「適切な時期だ。お前に情を芽生えさせた木綿季君には知ってもらうべきだと思ったのだがな。」

 

情を、芽生えさせた?

 

「ペラペラ喋ってんじゃねぇよ…」

 

「それすらも話していないのか。ではこれも知らないだろうな。」

 

そしてお義父さんはボクの方へ向き直ってこう言った。継裕は必死に言わせるのを避けようとしてたけど、お義父さんの口が開く方が僅かに早かった。

 

「継裕はな、"○○○○○○○○"なんだよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「迎えに来たぞ、菊岡君。任務ご苦労だった。」

 

他に声掛けが無いのかと思ったがこれに期待するだけ無駄だと思い出した。継裕君を引き取りに来たのは彼の父親だった。どうやら近隣に停泊中のイージス艦は既に買収された後だという事だ。それなら敵がこんなにも容易く侵入してきたのにも説明がつく。既に管理者は捕縛済みだと言うがそれにしてはここに来るのが遅いと思っていたら、戦闘することを踏まえ事前準備も兼ねて来た様だというのは明らかだった。彼の父へ謝罪と共に継裕を引渡した時驚きのあまりか目を見開いていたが口から出た言葉は、父としてなのか軍人としてなのかは分からなかった。

 

「一体誰が継裕をここまでに…」

 

 

 

 

 

オーシャン・タートル内に残された他のけがも全て運び込まれ、残ったのは無傷の人らと、神代凛子博士、そして和人と藍子だった。この2人はアリシゼーション計画の最終目標でもあるアリスを保護することに尽力した結果、2500万倍に加速されたUW内に取り残されたとの事。15分後には開放されたが何せ、中で200年ほどの時を過ごしただけあって、目覚めることは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか自らを死なせる"設定"にするとは驚きましたよ。

 

 

 

菊岡さん。」

 

 

こう言うのは比嘉君。本当のところ僕より適任な人が居たのだが、その人にすると世界規模で問題になってしまうと口止めされたので、今回世間に公表される死亡者は僕となっている。それと実際に亡くなったのは自衛隊員。彼らを守りきれなかったのは僕の責任なので、彼が戻ってきたら真っ先に謝罪と、お礼を言いに行かなくてはと誓った。もっとも、目覚めたらの話だが。

 

 

 

今、木綿季と共にある人物の見舞いに来ている。その人物は言わずもがな継裕だ。俺がUWに囚われている間にあった現実サイドでの戦闘において致命的ダメージを負ったらしく、こうして長い間入院している。遂に木綿季の口からあの時のことについて聞くことは無かったが、何かしら事情があるのだろうと読み取った。今いるのは紺野姉妹と俺だが、あと2分ほどで他のメンバーも集まる予定だ。早速、1人目だ。

 

直葉だ。なんでもUW内では地神テラリアを扱い、ダークテリトリー、いや海外サーバーの奴らと戦い抜いた凄腕剣士。これは後で聞かされたのだが俺のフラクトライトの治療に力を貸してくれたのも彼女らしい。

 

次に来たのは遼太郎基クラインとエギルだ。相変わらずエネルギッシュな存在感を放つ2人だが、表情は決して明るくはない。この2人もUWを守る為に尽力してくれた。俺の大切な仲間だ。

 

更にリズ、シリカ、シノンが到着。3人ともUW内でこれまでに無い戦いっぷりだったそうだ。特にシノンは暗黒神ベクタ基サトライザーに一撃見舞った凄腕狙撃手。すぐと同様に、俺の回復するのに手伝ってもくれた命の恩人だ。

 

最後に明日奈。これはこっちに帰ってきてから知ったのだが、元々は継裕の許嫁だったらしい。だから、という訳では無いだろうが継裕の事を大事に思っているひとりだ。UW内でも流石元血盟騎士団副団長と言うだけあって見事な指揮っぷりだったとみんな褒めていた。勿論本人はあまり宜しくは思ってはいないが。ただ、役に立ったのなら良かったと言っていた。この辺が彼女の優しさが滲み出ているところであり、魅力の一つなのだろう。

 

と、ここで予想外の人物。菊岡さんが現れた。なんでも継裕に関して俺らに伝えておきたい事があるらしく急遽参加という形だ。そして彼の後ろには継裕の姉である、アルゴ、葵さんがいた。

 

 

「おほん、今日は皆に伝えたいことがあってこの場を借りることになった。」

 

皆、静かに聞いている。今か今かと菊岡さんが発する言葉を急いている様にも感じた。

 

「事前に藍子君から継裕君がALO内で発した言動、それについて弁明させて頂きたい。そう思ってここに来た。」

 

心当たりの人間がいるのだろう。その当人達はしっかり、耳を傾けていた。俺は何があったか全くわからないが。

 

「まず分かってもらいたいのは、あれは彼の本心ではない、という事だ。」

 

その時、勢いよく立ち上がったのはリズ、里香だった。

 

「そんな事は言われなくても分かってるわよ!ただ!その理由を知りたいの!」

 

これには明日奈、シリカ、すぐも同調するように首を縦に振る。菊岡さんはまるで用意してたかのように、その質問を答えた。

 

「そうだね。理由はね、簡単に言うと彼はいつも"最前線で戦っているから"。では駄目かな?」

 

「私達にもわかりやすく、お願いします。」

 

こう言ったのは明日奈だ。まぁ確かに何が言いたいのかはよく分からないが引っかかる言い方でもあるなと俺は思った。

 

「うーん。君達が守りたいものを守るように彼も守りたいものがあるでも、駄目かな…?」

 

どう見ても明日奈達は納得している様に見えなかったので、菊岡さんは、ため息を付きながら覚悟を決め話そうとしていた時、それを制止する声が後ろから聞こえた。

 

 

「そこまでだ。菊岡。」

 

 

発したのは継裕だった。すすり泣きが聞こえると思ってはいたがまさか起きてたとは。因みに木綿季は直ぐに気づいたらしい。流石と言わざるを得ない。これは後で言われたのだが、姉である葵さんも気づいてたらしい。みんながあまりにも気づかないから笑ってしまうところだったと言っていたが目が純血していたのでこれは嘘だろうなと思った。

 

「い、いつから起きてたのかね…」

 

冷や汗が出てるような気がするのは気の所為だろうか。そう言えば俺は、結局のところ、2人の関係を知れなかったのだと唐突に思い出した。

 

「守りたいものがある、からだな。いいんだ菊岡。別に俺は弁明される必要は無い。」

 

「体起こす?」

 

そう問いかけたのは木綿季だった。かなりの涙声なのは致し方ないが継裕の行動を見るまではなんて言っているか正直分からなかった。木綿季の頭をポンポンしながら、柔らかい微笑みを木綿季に向けてたのはかなり木綿季的に嬉しかったようだ。いつの間にか涙も引っ込んでおり今は満面の笑みでいっぱいだ。なんか久しぶりに木綿季の笑顔を見たような気がしてこっちまで笑顔になる。周りの皆も気づいたら泣いていたり鼻をかんでいたりでティッシュが秒で無くなりそうな勢いだ。

数分経たないうちに継裕の父親が来て色々検査し、1週間もすれば退院出来るとのこと。またこのメンバーが揃うんだ、と思うと涙が止まらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「How about it?Are you on?(どう?進んでる?)」

 

「Yes.I will be able to link it soon.(はい。もうすぐリンクさせることが出来ます。)」

 

「so,Please let me know as soon as you are ready.(そ。準備が完了次第連絡ちょうだい。)」

 

 

 

 

 

A new battle is not so far off in the future.And it's the biggest war ever, war.




よしっ!取り敢えずUW完結かな?
(ちょくちょく話題では出すかもだけど…)

次からは新章!こっからは完全オリジナル!
(色々ぶっ込むぞー!)

(*´∇`)ノシ ではでは~

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