ソードアート・オンライン 覇王と絶剣   作:高島 秋

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2週間遅れとなってしまいました(よかった越えなくて…)
って事で投稿しますぅ!

では!どうぞ!


記憶

 

今の最前線は50層。ここが解放された時真っ先に行動を起こしたのはエギルだ。旧アインクラッドでも店を開いていたがここでも開くつもりらしい。あの阿漕な商売をまた始めるのかとキリトは顰めっ面をしていたが内心嬉しいに違いない。それはエギルの店を知っている者ならみんなそうだろうか。因みにリズベットもだ。47層が解放された瞬間、本当に女性なのか疑うレベルの表情をしながら懐かしの建物を購入しようと走ったのは今でも忘れられない。まぁそれ程思い入れがあるのだろう。

仲間が少しでも精神的に和らぐのなら俺的にはこれ以上のことは無い。少しづつだが、他のプレイヤーにも活気は戻ってきている。あれから3層突破してきたが、ここまで死者が0なのは喜ばしいことだ。あくまで攻略組としての話だが。やはり、中層プレイヤー以下のヤツらにとってここは地獄でしかない。まさにデスゲームなわけだ。

 

今この最前線を支えているのは、1度目のデスゲームでも最前線を張っていた者や、このALOにおいての最前線プレイヤーらだ。お陰で上手くバランスが取れ、攻略において何も支障はない。だからこその不安、もあるがそれはボス戦としての経験を積むほどに払拭されていく。それもそのはずだ。魔法無しの剣の世界で生き残ってきた前線プレイヤーと、魔法主体の世界での前線プレイヤー。この組み合わせが上手く噛み合えば難なく攻略することは出来る。そしてそれはボス戦への結果として現れている。

 

 

 

「ラムズ・アルサーロス!(降り注ぐ雷槍)」

 

 

今俺が放ったこの技は8つに分かれた雷槍が突き刺さる技だ。基本防ぐことは出来ない為、被ダメージが大きいのが最大の魅力だ。ただそのためなのか、消費魔力が高い。あまり基礎魔力量が高くない傾向があるノームやサラマンダーはこれほどの技は連続で3発撃てるかどうかといったところだ。ウンディーネですら10発撃てればいい方らしい。因みにこの魔力とやらを復活させるには休憩するしか無いので、基本的にはALOから使われている詠唱魔法がやはり主流だ。

ただ、やはり例外はいるようで中には基礎魔力量が高い者も存在する。そいつらは攻略においては最大の戦力となる為、かなり重宝されている。因みにスリーピングナイツにおいてこれに該当するのは、俺とユウキとランだ。他に俺の知っている人からでは、アスナとリーファ、サクヤといったところだ。他にも10名ほどいるらしいがそれはこの世界でも立ち上げられた血盟騎士団に所属しているらしい。俺はてっきりアスナは戻るものだと思っていたが戻ってはいない。理由は知らないが。因みにその血盟騎士団を率いているのは鋭二、ノーチラスだというのだから何が起こるかは分かったものじゃない。

 

暫く新たな魔法の練習をしていた俺の元に1人の女性が近づいてきた。

 

「キヒロ、ちょっといい?」

 

ユウキだ。俺は首を縦に振り返事をする。

 

「その技、アルマトランで覚えたんだよね?」

 

「そうだがそれはユウキも知っているだろ?」

 

ユウキは首を縦に振る。正直今ユウキが何を考えているかは予想できない。ユウキはこの技使えるし、なんなら空間リソースを使って威力の増大だって可能だ。俺的にはそれをどこで身につけたって思うがな。

 

「ねぇキヒロ。本当にボクのアルマトランでの姿、覚えていないの…?」

 

深刻そうな顔してたから何事かと思えばその事かと思った。この質問は1度や2度されたものでは無い。恐らくこっちの世界に囚われてから幾度となく聞いた質問だ。その度俺は申し訳ない気持ちになるが知らないものは知らない。だから答えることは出来ない。こればっかりは嘘ついてもいつかバレると思っているし、嘘つきたくもない。ただこれだけは確信していることがある。きっと、ユウキ、木綿季はあの世界でも俺を支えてくれていたのだと。

 

「すまん、覚えていない。」

 

「そう、だよね。ごめんね、変な事聞いて。」

 

 

ボクはキヒロなら名前を告げなくてもボクだと分かってくれると思っていた。だけどそんなことは無かった。それもそのはずだ。ボクの見た目は完全にSAOの頃とは別人。更に言うと声も違う。辛うじて性格が一致しているくらいかな…?そしてボクもキヒロを探し、見つけ出すまで物凄い時間かかった。ずっとそばに居たのに気づかなかった。あの時、スリュム討伐でその姿を見るまでは。だから、ボクは人のこと言えない。この世界でもその姿になれればと思っていたけど、何をしてもうまくはいかなかった。キヒロに至っては、そもそもあのアバターは別垢だから今なることは不可能だと言っていた。結構好きだったんだけどなぁあの姿。

 

 

 

 

 

「どう?今人員どのくらい?」

 

「ざっと50人ほどです。」

 

「そう、その調子でね。」

 

 

 

 

 

「キー君。」

 

俺をこう呼ぶのはこの世で一人しかいない。

 

「なんだ?アルゴ。」

 

俺の姉、葵ことアルゴだ。度々こうして会っては現段階の死亡数とかの情報を流してくれる。だが今日は違う内容だった。

 

「実は最近中層プレイヤー間において不穏な空気が漂ってて。」

 

「内容は?」

 

「プレイヤーが次々に消えていくって話。これはちゃんと調べたから間違いないと思う。」

 

なるほど。にしてもなんで中層プレイヤーなのだろうか。何か意図があるのだろうか。

 

「更に言うと、消えていく人の傍には必ず杖を持った女の人がいるらし」

 

「どんな杖だ!?」

 

キー君がこう乱れるのは珍しい。冷静沈着。それがキー君という人間だからだ。ただこうなるのは決まって嫌な予感がする時だ。案の定、説明をしていくにつれ顔が青ざめていく。そして言ったことは、

 

「いいか、落ち着いて聞いてくれ。恐らく、中層プレイヤーが消えていくのは序章に過ぎない。恐らく時間が経つにつれ攻略組も消え始める。これは"奴ら"が動いていると見て間違いない。」

 

なるほどそういう事か。だから慌てたような表情をしているのか。

そのあとこの怪事件を新聞に載せることに決めた。キー君が言う奴らはもちろん伏せて、だ。ただ例え新聞に載せることにしても被害は勿論止まらないし減ることもないだろうとキー君は言っていた。

 

 

 

51層から60層間で印象に残った層は、55層、58層、60層だ。

 

55層ではハクビシン・ザ・ブレイズコアというボスモンスターだったがこれは名前からは想像もつかない凶暴さだった。ハクビシンは漢字で書くと白鼻芯と書く。その名の通り、額から鼻先にかけて白い線があるのが特徴的なネコ科の可愛い動物なのだ。中国等では昔食用とされていたらしいが…決して大き過ぎないし人間に対して害を与えることは無い。昔とある病気に関して媒体源だと疑われていたらしい。結局コウモリだったのだがそれは置いといて。兎も角、名前からは想像もつかない凶暴さだった(大事なことなので2度言った)。

 

58層はアヌビス・ザ・イビルサーガというモンスターだった。名前の通り、アヌビスというから形態は犬なのだろうと想像していた。実際は違ったが…見た目は確かに犬だった。だが、動き方は人間そのものだった。お陰で腕が2本空いたからか巨大な大剣を持っていたから驚異の他なんでもない。俺らの攻撃が虚しくなるほどに攻撃力が凄まじいのだ。それはもう泣きたくなるほどに…大剣を振っているから大振りなのだろうと思っていたら急に剣を手放し犬らしい動きしてくるし、兎に角手を焼いた相手だ。ボスには珍しいパワーとスピードの合わせ技だ。こん時はかなり理不尽だと思った。せめてどちらかにステ振りしてくれと思っていたのは俺だけではないはず。という程手を焼いていた。ただ手は焼いたが死者は出ていない。

 

60層はナラカ・ザ・パニッシャーと言う奴だった。こいつも酷かった。武器は刀1本だったのだが何が酷いって重厚な鎧を着込んでいることだ。お陰でまずパワー至高の奴らで鎧を壊すことから始まったのは言うまでもない。まぁ敵もそれをみすみすさせてくれるわけはなかった。仕方なく鎧の隙間を上手く攻撃しダメージを与えるしか無かった。案の定鎧というだけあって膝裏や肘裏は守りきれていなかったのでそこを重点的に攻撃していった。ただここで待ち望んだことが起こる。いや人によっては悲劇だろう。なんと鎧を破壊することに成功したのだ。恐らくダメージ量によって破壊される設定なのだろうが、これには唖然とする者がいたのもお察し出来るだろう。中にはこのことにキレて見違えるほどの活躍を見せた者がいたのは想像するに固くないだろう。

 

 

 

そんなこんなであっという間に10層突破して行った。この調子ならすぐ終わると、誰もが思っていた。相変わらず中層プレイヤーが消えていくという謎の事件が未解決のまま、攻略は進んで行った。それが鮮明化するのはもう少し先の話。

 

 

 

 

「ざっと100人って所かしら?どう?いい感じ?」

 

「はい。ですがそれもそろそろ打ち止めかと。」

 

打ち止め…?この計画を完成させるにはより多くの人材が必要。なら打ち止めなんて手段は有り得ないわ。理由を聞かなくては。

 

「何故?」

 

「我々が放った者らからの情報によると、こちらを探っている者がいるようです。名は確かキヒロとか言うものです。」

 

やはり貴方なのね。キヒロ。でも、幾ら勘づいても無駄よ。貴方は、あの力を使うことは出来ないのだから。私達が負けることは無いわ。

 

「そっ。」

 

「まぁ我々の驚異にはならないでしょう。"かの王"でさえ無ければ。」

 

「おいおい、"あいつ"がこの世界にいるって言うのか?ま、だとしても何一つ問題は無いがな!」

 

そう。何一つ問題は無い。たとえ彼がどんなに偉大な王であったとしても、それは過去の話。今の私たちに適うはずはない。彼はもう、ただ、待つことしかできないから。

 

 

 

 

 

The game against the boss is just a passing point.The enemy they really should fight against may be unexpectedly close.Yeah, I might be next door to you at this moment too.

 

If so, would you pull out your sword first and be slashed?If I can't do it, I'll just die.without knowing why.

 

In this world, the ruthless survive.Kindness alone cannot produce anything.




展開早くて申し訳ない。ただここでダラダラやってると
長くなりすぎちゃうので省略を許して頂きたい…

(*´∇`)ノシ ではでは~

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