ソードアート・オンライン 覇王と絶剣   作:高島 秋

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煮詰まった()

いやここまでで既に何人死んだことやら…
(もう増えないで…)w

では!どうぞ!


望外

中央部隊隊長として指揮を振るってはいるけど、正直なところ、勝ち目が見当たらない。いやそもそも勝ちを拾いに行くという気持ちでは駄目だとか怒られそう。本の数秒前までは勝てるような気がした。キヒロ君の復活。この絶縁結界の消滅。確実に良い方向に向かっていると思った。でもよく考えたら、敵の方が魔法については数段上だったということを失念していた。だからこの惨劇が起こってしまったのだろう。まさか、"私以外の人達が死んでしまうなんて"。

 

「貴方がアスナ、で、あってるかしら?」

 

「……えぇ、そうよ。」

 

目の前にいるのはアルバ。魔法陣が上空に現れたと思ったらアルバが出てきたのだ。転移魔法の一種なのだと悟るが次の瞬間、私の仲間達は全員、切り裂かれた。私は辛うじて防壁魔法を張れたので助かった。いやこれも次はない。たった一撃が当たっただけなのにヒビが入りそして、割れてしまったのだから。もう、次はない。アルバが放った魔法はその空間を全て切り裂くような、そんな魔法だった。まるで呪うかのように、複雑に、鋭利に、空間、地面を切り裂いた。500人ほどいた中央部隊は全滅。全員が選りすぐりの魔道士であったはずなのに。それすら撃ち砕くとは、やはり魔道士としての格が違うのだろう。こうも見せつけられると、反撃する気も失せる。今までにも強いひとは沢山見てきたけれど、群を抜いている。

 

「貴方、ソロモンについてどこまで知っているかしら?」

 

「あなたに話すことなんてないわ。」

 

そう言うと、アルバは限界まで引き攣った笑みを見せた。なんだろう。私に、"怒っている"ような気がする。これはまぁ、女の勘ってやつだけどね。

 

「ふぅーん、ま、いっか。彼の姉であるというアルゴという女に聞くとしようか。だからそこどいてくれる?」

 

「…通すとでも…?」

 

「それもそうね。なら死んでくれる?」

 

そう言うとアルバは杖を構えた。魔力を纏っているあたり、あの杖は容易く私を斬るだろう。そして私は死ぬ。でも、これは本能的なものなのだけれど、あの人を、アルバをここから先へ行かせては行けない。そう強く訴えかけている。ここにはもう、私以外残っていない。だからきっと、私の最後を知る人はいないのだろう。死ぬ前に言いたかったこと、伝えたかったこと、多くの人に、沢山ある。ならば、

 

「私は…最後まで…抗ってみせる!」

 

 

右翼左翼共に既に敵陣へ突入していた。とその時、後方で爆音がした。あの位置は、アスナが率いている魔道士部隊のはずだ。そしてそのすぐ後ろにはアルゴ達が。間に合うだろうか、今から行って…

またしても爆音。今度は前方だ。右翼左翼共に高出力大魔法を撃たれた模様。半分生きていればいいほうか。敵の注意が散乱している今、敵陣へ一気に突っ込めるチャンスだ。この気を逃したら、散っていった者達へどう顔向けすればいいのか。まだ万全ではないが、行くとしよう。

 

 

 

「あんたらは敵陣へそのまま突っ込め!ワイらがあの化けもんの相手しとるさかい!」

 

「でもキバオウさん!」

 

「ちんたらするな!さっさと行かんかい!」

 

わいは多分死ぬ。いや、確実に死ぬやろう。良く考えればわかる。こんな奴らに、敵うはずないって…昔の自分やったら迷わず他の奴らを犠牲にしてでも逃げた。でも今はそんな気が起きない。今脳裏に浮かぶのはどのようにして耐え、次へと繋ぐか。今までわいの所為によって死なせた人数しれず。これがせめてもの手向けや。こんなおっさんの命なんて要らん!なんて言うなや。もう、償わせておくれ。

 

「キバオウさん。俺達もついて行きます。」

 

何言ってんのや。はよ先行けや。2度、そう言ったが一向に聞く気配が無い。はぁ、こやつらを巻き込みたくは無かったんやがなぁ。しゃーない。じゃあ、ともに宜しく、と短く言った。

 

「さて、華々しく、散ろうか!」

 

「五月蝿いわねぇ。ねぇ、早くあれ消してよ。」

 

ファーランの命令により、高出力大魔法が放たれた。きっと、走馬灯を見ることすら叶わず、感傷に浸ることも出来ないまま、そこに、約50の尊い命が、終わりを告げた。

 

「あーあ、どうしよ。あっち側にこれ向けて撃つ訳にはいかないしなぁ。かと言って私が出る訳にも行かないし。と言うより、"あっちに行く方が危険なのにねぇ"。大人しくこっちで死んでた方が良かったのに。」

 

たのトゲトゲ頭、余計なことしてくれてぇ。再チャージするまでの間に何人か死んじゃったし。本っ当に余計なことを…まぁ跡形もなく消せたのは少しスッキリしたけど?満足は出来ないけどね。はぁー、何かこう、パァーっと出来ることないかしら?

 

「ファーラン、今すぐ中央にこい。」

 

ビリビリ男が通信してきた。相変わらず端的過ぎて何を伝えたいのか分からない。これだからモテないんだぞ。友達いないんだぞ。あっ、そもそも"私達に友達なんていなかった"。あぁ、なんでか聞かないと。

 

「なんでよ。」

 

「俺達じゃなきゃ、奴は殺れん。」

 

よを言い切る前には返事が来た。会話の相槌もろくに打てないんじゃモテませんわこれ。さて、奴かぁ。奴。あーアルバがお熱なやつ?勝手にしていいのかしら?いやまぁ命令は?生け捕りか殺すかどっちかだったけど、まぁ殺すよねぇ。ふふふ。楽しみができたぁ。

 

「………なーるほど?りょーかい。」

 

 

 

私とシリカ、リーファらと、スリーピングナイツの皆。そしてキバオウから預かった100人。彼らと共に私達は敵陣へと突入していた。その矢先に現れた3人の、子供、達?何故こんな所に。明らかに歳は12歳頃の子供だ。

 

「ようこそおいで下さいました。私は甕穹。」

 

「俺は那霊。」

 

「私は黍亞。」

 

 

甕穹には色欲が両手の甲に。那霊には強欲がお腹に大きく。黍亞には暴食が両頬に。どっかで聞いたことあるようなものが、それぞれの場所に刻まれていた。甕穹は黒髪短髪の落ち着いている女の子。那霊も黒髪短髪で少し子供らしさが残っている。黍亞は白髪の長髪。無である。色素が抜けているのと同様に、感情もどこかに落としてきたのかと言うよう。落ち着き具合は甕穹の比にならない。ある意味、1番の恐ろしさを備えている子だ。

 

「では、仕事をこなしましょう。」

 

「って事で、俺達が相手してやる。死にたいやつからこい。」

 

白髪の美少女がそう言うと、残りの2人もそれに呼応し、私達に襲いかかってきた。

 

 

 

 

「リリース・リコレクション!」

 

ユージオの記憶解放術で何人か足止め。それらは取り囲み倒す。上空に逃げた者はアリスの武装完全支配術によって、防壁を壊し、他の整合騎士達によって倒されていく。少人数とは言え、これ程の連携が取れていれば魔道士など恐るるに足らん。という状況だった。実際、推しているのは明らかにこっちだ。皆もそれを感じ取っているから士気は高まる一方だった。

 

「ふーん。様子見に徹していたが中々歯ごたえのある奴が何人かいるなぁ。あいつらはそうだなぁ。相手してやれ。晴明、蓮香。俺はイスナーンに呼ばれたんでな。」

 

「「御意。」」

 

「という事で、ここからは僕達が相手致します。晴明と申します。」

 

「蓮香です。よろしく。」

 

晴明と蓮香とやらはまるで双子だ。15歳ぐらいに見える男の方は晴明。12歳ぐらいに見える女の方が蓮香。晴明は背丈が180ばかりあり、手足が異様に長い。目は真っ赤に純血している。蓮香は如何にも女の子という感じでまだ大人の女性になる前の段階に位置する。両手の爪が5センチ程あり、綺麗に研がれている。まるであれで攻撃しますとでも言うような感じだ。更に、晴明は右目には傲慢。蓮香の左目には嫉妬の文字が刻まれている。一体あれは何を意味するのか。

 

「ん?あぁこれ?気になるやっぱり?そうだよねぇ気になるよねぇ。じゃあ僕に勝ったら教えてあげるよ。」

 

「あらそれは優しすぎるわお兄様。私、嫉妬してしまいますわよ?」

 

「あれは…」

 

アリスがぼそっと呟く。ユイとの会話の中で出てきた欲の話。確かその話の中にあったやつだと。the seven major crimes。通称、"七つの大罪"。

 

「さてさて、あまり時間かけると怒られるから。さっさと片付けようか。」

 

「はい。お兄様。」

 

 

 

爆音が聞こえてから約10分。音がした方向へ向かおうとしたその時、行先を阻むものが現れた。

 

「我が名は螺啤。」

 

「余は緻繇。」

 

「暫くはここで足止めしろとの命令でな。」

 

「まぁ、殺しの許可も得ている。」

 

なんなんだこいつら。螺啤と言うやつには額に憤怒の文字が刻まれている。緻繇と言うやつには胸に怠惰と刻まれている。歳は恐らく同い歳ぐらいだ。ただ、体つきは全然違う。螺啤の方は全身の筋肉が鍛え抜かれている。そんなイメージしかわかない。一方緻繇の方はすごく痩せている。いや比較したからそう見えるだけで、実際は俺と同じくらいかもしれない。いやそんな情報は後回しだ。

 

「なんでここで足し止めなんだ。そもそもここはこちら側だぞ。どうやってここまで攻め入ってきた。」

 

「は?馬鹿か貴様は。俺らがソロモンの相手なんかするかよ。」

 

「落ち着け緻繇。我らはアルバ様の転移魔法によってここまで来た。今頃本隊へ突入している頃だろう。」

 

何言っているんだこいつは。ソロモンの相手はしない。なのに本隊へ突入する。そもそも目的はソロモンのじゃないのか!?いやそれは間違いない。きっとこれは陽動だ。だから俺達が出来るだけ早く、こいつらを出し抜く必要がある。にしても、敵の戦力はまるで測れないな。

 

「アスナは!?アスナはどうなってるの!?」

 

「あすな?そんな奴知らんが、アルバ様を相手にしているならもう死んでいるだろうなぁ。まぁ詳しくはわからんから見に行くといい。」

 

「そうさせてもらうっ!」

 

ユウキが強引に突っ込もうとしたら物凄い勢いで蹴飛ばされた。数十メートル後ろへ吹き飛ばされたユウキを一瞥しながらこう言った。

 

「何勝手に通ろうとしてるんだ。ここを通すか通さないかは"我がきめる"んだよ。勿論、死体としてな。嫌なら倒してみるがいい。」

 

「なら強引にも、通させてもらう!」

 

 

果たしてキリト達はアスナの窮地に間に合うか。

 

 

 

 

「やっとお出ましか。お前ら…」

 

 

アルバに何言われているかは知らないが、今、楽にしてやる。

 

 

「お前の相手は俺らだ。ソロモン。」

 

 

教えてやるよ。何故俺達が、お前を"恨むのか"。

 

 

 




タイトル一応2つ意味かけてるよ!
(簡単でしかもつまらなくてすまん!w)


今回は短めだし、戦闘シーンほぼ無いけど、許して!w
次回は多めになるはず!

(*´∇`)ノ ではでは~

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