ソードアート・オンライン 覇王と絶剣   作:高島 秋

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更新日です!よろしくお願いします!
(あまり語るべきではないと勝手に判断…)

では!どうぞ!


第1ラウンド

「どいつもこいつも。ここまで使えないとは」

 

アルバはイラついていた。ソロモンへ差し向けた3人はまだ抑えてはいるがじきに突破されることは確実。黍亞らを回した方も完全には倒しきれず全滅。双子の方も予想以上の反撃を受け敗退。更にキリトらに差し向けた螺啤及び緻繇はアルゴの活躍によって撃破。残る駒は自分一人と後方に残してある1万の魔道士部隊のみ。しかしこれらはソロモン対策へ総動員するつもりなのでこれ以上人員は割けない。通常なら痛み分けと言うべき戦力差ではある。ただ、アルバが上から受けた指示はソロモンの殺害または"捕獲"である。そのどちらも失敗となれば大敗北と言われるのはほぼ確定路線である。これ以上の失敗は自らの進退に少なからず関わるであろうこともわかり切っているため、アルバはイラつきを隠せずにいた。

ただ、この成果は評価されるだろうと。そう確信していた。5人の内の1人。ノーチラスという男。現実世界ではエイジとか言ったか。コードネーム"ヘラクレス"のこいつを仕留めた今、私は評価に値する人間だと。

 

 

1時間前。

 

「アスナ。その姿はなんだ」

「わからないわ。ただ、この姿は、私に力を与えてくれる」

 

それはそうだ。今のアスナの姿は私がアルマトランにおいて苦戦した敵のうちの一人。シバの姿なのだから。だがそれはユウキの姿であったはずだ。仮想世界においてデータは絶対。他人のデータを扱えるとしたらその持ち主が既に死んでいるかまたは、完全に譲り受けたかの二択だ。

 

だがそのどちらの可能性もない。それはアスナの体に纏う魔力が微妙に違うことからも確信を持って言えるのだが…いや、シバはアルマトランにおいては殺しているはずだ。実行したのはアルバでもあるから死んだと思っていた。だが、確実に息絶えたところを見た訳では無い。あの時の致命傷は何らかの方法により治癒、蘇生されていない限りユウキは生きてはいないはずだ。アルマトランもまた、旧SAOと同じデスゲームであったのだから。いや、1度死んだから権利が剥離した。だが蘇生したことにより権利は復活。しかし1部は回収しきれずといったところか。ユウキがシバの姿になるのに時間がかかったのも恐らくそれが原因だろう。

そう結論付け、アルバは微笑んだ。また、殺す機会を得たと心の底から喜んだ。

 

「ふふふふふ。あはははははっ!なるほどねぇ。なら、今度こそ確実に殺すわ!!」

「それはさせないさ」

 

アルバが振りかざした杖は何者かに阻まれた。アスナはその姿に驚いた。何故ならその人物は右翼に転属されていたはずの人物でありそこで指揮を取っていた者だからだ。そしてなにより、自分の記憶にある人物との差が大きかった。あっという間に懐に飛び込み、受け流しながら回し蹴り。ここまでの動きを出来ていただろうか。いや、できていれば間違いなく一軍で活躍していたはずだ。そして、FNCに陥っていた人物と同一とはとても思えなかった。

 

「ここは下がってくださいアスナさん」

「ノーチラス君!?どうしてここに!?」

「右翼は信頼に足る者に任せています。ここは僕が抑えるので」

 

ノーチラスという名前に、アルバは眉をピクっと動かし少し怪訝そうな顔になった。

 

「ノーチラス?ならあなたも、あの悪の根源と同じ…」

「そうだ。だから悪いが、お前たちの計画は阻止させてもらう」

「……そう」

 

そこから恐ろしい斬り合いが始まった。どちらもキヒロを彷彿とさせる剣技の応酬。所々に体術も交え、まさに殺し合い。アスナは先程までのアルバと自分との闘いは、アルバからしたらきっと、お遊び程度でしか無かったのだと思い知った。それ程の次元の違いだった。入り込む隙は全くなく、息をつく間もない。アスナはただ眺め、2人の闘いを見守るしかなかった。

 

「お前がNo2なのかアルバ」

「まさか。私はNo持ちではないよ」

 

ノーチラスはここでアルバの評価を改める。現実世界でのキヒロとの戦闘ではほぼ互角だと報告で聞かされていたがそれはあくまで、キヒロ、継裕が周りの者を庇いながらであり、少なからず油断もあったからなのだと思っていた。だが今直に剣を交えて思う。継裕の腕を切り落としたのもまぐれでは無い。実力だ。元からの不利な相手に対してもそれを互角にまで持っていってしまう実力。生半可な努力でどうにかなるものでは無い。その差を埋めるほどまでの何かが、アルバを突き動かしてるのだとノーチラスは知った。

既にノーチラスはリミッター解除をしている。それも第2段階の50%だ。あと段階は2回分あるが、それを使う前までに出来れば決着をつけたい。リミッター解除は使えるようになったが、まだ継裕みたいに使いこなせる訳でもないし、持続時間も短い。言わば短期決戦用でしかない。だがアルバがついてきてしまう以上、段階を上げるしかない。

70%。まだついてくる。というより、アルバもノーチラスに合わせ、スピードが上がっていく。杖にかける重みも増していく。

ここで初めて、ノーチラスに焦りが生じた。思っていたよりアルバの適応が速いこと。そして戦い方を知っていること。そしてなにより、感情を完璧にコントロールしていること。いやコントロールというより二分していると言った方が的確かもしれない。言動や表情はまるで狂戦士だが、その実、武器に乗る思いは洗練された殺意のみ。無駄な感情を武器に乗せることは一切無いためブレることは無い。二重人格とはまた別なのだろうがはっきり言って恐ろしいと感じていた。

 

これが、恐怖か。

 

「あら、もう限界ですか?」

 

なんだと。

 

「私まだ、上げられますよ?」

「………そうか。なら付き合ってやろうじゃないか」

 

正直、戦えるのは後20分程だろう。

そして更に上げるならその半分程だろうか。そしてそれで決着はつくのだろうか。考えても分からない。この女に関しては確信を持てない。

アルバはスピードを上げるついでのつもりなのか、二刀流に切り替えた。手数は増えスピードも上がる。はっきり言って捌き切るので精一杯だ。リミッター解除は既に90%。今の俺の中では最終段階。これ以上上げられはしない。つまり今出せる最高のスピードのはずなのだが、アルバは顔色変えずにこれを対処しきる。これ程までの強敵だとは。想像だにしてなかった。

負けた。気の緩みは無かったはずだ。つまり純粋に、剣の腕で負けたのだ。両腕を切り落とされそのままの流れで体を吹き飛ばされた。もう戦えない。死んだも同然だ。

でも、まだ死ぬ訳にはいかない。何とかして、何とかしないと。俺が何とかしないといけないのだ。そう思うと、自然と身体が動いた。

 

「…っ!?」

 

アルバは自分に向かってくるノーチラスを見て思考が一瞬停止した。何故まだ戦おうとするのか。何故抗おうとするのか。何故、切り落としたのはずの腕が生えているのか。

その思考の間に生まれた隙により、アルバは対処しきれず、左腕を失った。そしてある考察に至る。

 

「………なるほどねぇ。ヘラクレス。あの伝説から取っているのだとしたら納得いくわ」

「まだ、死ぬ訳にはいかないんでな」

 

ノーチラスの特異体質。それは、超回復であった。ありとあらゆる傷を瞬時に回復する力を持つ。着想はトカゲの尻尾からきているとか。ただ、これには限界がある。

そもそもヘラクレスという大層なコードネームをつけられている理由は、その超回復の回数故だった。かの大英雄ヘラクレスはヘラから与えられた七つの試練を乗り越えた半神半人の英雄。そう、この超回復は7回までであったら、たとえ即死攻撃であろうと回復が可能である。そう、7回までは。

 

「いいわぁ。何度でも殺してあげる!!」

「そう何度もやられるか!」

 

そしてノーチラスはあることに気づく。先程切り落としたはずのアルバの左腕が新たに生えているのだ。少なくともこちらと同じような能力と有していると仮定して対戦した方が吉と判断し、これまで以上に慎重に、的確に攻撃を重ねるのであった。

 

互いに何度も手足や頭を切り飛ばし、胴を切り離し、穴だらけになるまで刺し、雑巾を絞るように捻り、互いを殺しあった。

ノーチラスは限界を超えても尚、剣を振り続ける。たとえ自分が勝てなくても、次へ繋げるために。そうして戦い、全てを尽くしたにもかかわらず、アルバを倒すことは叶わなかった。

何度無様に転がっても立ち上がりそうして足掻いてきたノーチラスだが、アルバを倒すには明らかに経験が足りなかった。これは人を殺すことに長けているアルバ相手には、致命的だった。それをわかっても尚、立ち向かい続けた彼を賞賛しないものがいるだろうか。後にこの話を聞いたものは涙を交えながら、ありがとうと口にした。

 

「さて、あとはあなただけね。アスナ」

「………」

 

目の前で、あの激闘を見せられた後に、勝てるプランなどアスナには湧かなかった。ノーチラスみたいに時間稼ぎが出来るとも思わなかった。確実に死ぬとまで思っていた。そんな彼女がこの状況下で思ったこと。

 

逃げたい。目を背けたい。現実に返して。

なんで私が。死にたくない。生きたい。

嫌だ。嫌だ。嫌だ。

会いたい。話したい。伝えたい。

まだ、やりたい事沢山あるのに。

どれ1つとして叶えられる気がしない。このまま、何も出来ないまま、誰に知られることも無いまま、死んでいく未来しか見えない。

あぁ。私の人生は、一体、なんだったのだろうか。

こうして死んでいくのが私なのか。

認められず、否定され、必要とされず。

そんな私だから。あの時、切り離されたのだろうか。

 

否。

彼は違う。彼は私を認め、肯定し、必要としてくれそして。

支えてくれた。

それが偽りなわけがない。

ならば私は、まだ死ねない。会って話して、伝えたいことだってある。まだまだ知りたいこともあるし、一緒にやりたいこともある。まだまだ一緒にいたい。

その気持ちが、止まりかけていた私の命を、動かし始めた。

 

「…ゃやぁぁぁぁぁぁあああ!!!」

「やっとやる気になった?!でも、もう遅い!」

 

鋭利な切っ先が喉元に迫る。だが、既のところで張られた膜によって、貫かれることは無かった。

防御結界。

まだ未熟だが、それでも、アルバの攻撃を止めることに成功した。この究極の極限状態だからこそ成し得た奇跡と言ってもいいだろう。

更にここから反撃に転じ、ほぼゼロ距離でソードスキルを放った。カドラプル・ペイン。ユウキのお墨付きのOSSだ。流石に全て命中したがまだ足りない。刺突攻撃は数がものを言う。だからまだ続ける必要があった。そこで咄嗟に選択したのは、

 

「はぁぁああ!!」

「くっ!!!!」

 

マザーズ・ロザリオ。ユウキのを真似しただけなので完全に同一とは言えないが、軌道はほぼ一緒。右肩から左腰へ5回、左肩から右腰へ5回。そして重なった中央へ一突き。最大最高の重さを乗せていく。

計16連撃を食らったアルバは胸から下には大穴が開き次第に分離していき、完全に切り離された。胸より上を残し、それ以外の残された部分は次第に消えていく。様々な想いがのったであろう攻撃は通じたのであろう。アスナの目にはアルバが苦しんでいるように見えた。

 

「……けんなよ」

「…え?」

「……っ!ふざけんなぁぁあああ!!!!」

 

思わず耳を塞いでしまう声量を出すアルバの様子にアスナは目を疑った。完全に分離したと思っていた部分には、黒い球体がありそれに黒い魔力が吸われているのが可視化出来たからだ。次第に黒い球体は大きくなりそして、アルバの体を新しく作ってしまった。

一体、どうやったらアルバを倒せるのだろうか。

そう考えてしまうのも無理はなかった。自分に出せるものは全て出した。にも関わらず結果がこれなのだ。もう、諦めるしかない。

でも、こんな絶望的な状況でも、光を求めるのが人だ。そしてアスナも例外じゃない。もう声出す気力も無くしつつあったが、心の中でどこかにいる彼へ届くように、強く、強く

 

助けて

 

と願った。

 

 

 

 

 

 




終わりが見えてきたと言っても平気かな?w
まだかよ!って人もいると思いますが、まだお付き合いお願いします。

(*´∇`)ノ ではでは~
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