<Infinite Dendrogram>-枝葉末節:超級異譚-   作:チャシェ

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異譚の外伝ってこれもうわかんねえな
書くって言ったので


異譚:外伝 “不屈”レイ・スターリング特別独占インタビュー!

 王国・皇国間の戦争、第二次騎鋼戦争が迫る昨今。

 今回、我々<Dendrogram(デンドログラム)Information(インフォーメーション)Network(ネットワーク)>は()()レイ・スターリングに話を聞くことができた。

 “不屈(アンブレイカブル)”といえば、つい数か月前にこの世界に舞い降りたルーキーでありながら、フランクリンのギデオン襲撃を始め、様々な事件に大きく関わり、特典武具も既に三つ所有。

 いまや<超級>を二人抱えたクラン、<デス・ピリオド>のオーナーでもあり、更に<超級>が後二人加わる予定もあるとのこと。

 未だ超級職でも<超級>でもない身でありながら、確実に戦争の台風の目となるであろう少年。

 戦争を前に、彼は今何を思うのだろうか。

 

――――

 

――今回はインタビューを快く受けていただき、ありがとうございます。

 

いえ、報酬が魅力的、というのもありますが、自分を客観視するにもいいと兄に言われまして。

俺はこういうの慣れてないので、失礼があったらすみません。

 

――とんでもない。兄、というのは王国討伐一位、【破壊王(キング・オブ・デストロイ)】シュウ・スターリングさんの事ですね。やはりリアルでも御兄弟なのですか。

 

はい、兄にはよく色々と助けてもらっています。起こした事件関係で迷惑をかけられることも多いですけど(苦笑い)

 

――広範囲を高火力で破壊する広域殲滅型の方にはありがちですが、彼は特に環境破壊が大きい方でもあります。そして私も個人的に親しくさせていただいておりますが、少々人命以外の犠牲を厭わない所もありますし。

――少し話が逸れてしまいましたね。普段は<超級>であるお兄さんと共に冒険することもあるのですか?

 

いえ、今は戦争前ということもあって手ほどきを受けていますが、普段は特にないですね。

現状実力が離れすぎていますし、兄はソロの方が向いてますから。

パワーレベリングは技術が伸びないから良くない、とも言われました。

 

――実にお兄さんらしい判断だと思います。

――さて、レイさんは今や<超級>を複数抱えた世界有数のクランの主となっています。何か思うところは?

 

特にはないですね。兄が入ってくれたのは今回の戦争に参加するという目的のためで、他の<超級>が入ってくれるのは兄がいるからというのが大きいですから。

さすがに戦争が終結したからといって解散することはないですが、それを自分の力として誇ることはできません。

いつかこのクランのクランマスターとして誇れるような存在になりたいですね。

 

――噂通り、真面目な方ですね。クランマスターとして誇れる存在、ということは<超級>になることも見据えている、ととっても?

 

いえ、さすがに今はそこまでは。でも漠然とですが超級職は憧れますし、第六までにはなりたいと思っています。

クランマスターに相応しい経験や実績等、実力以外でも何かがあればと。

 

――世界最強のクラン、<セフィロト>のオーナーも非<超級>ですし、意外と<超級>クランのオーナーに求められているのは戦闘力以外の何かかもしれませんね。例えば、熱い精神とか。

 

よく暑苦しいとは言われますが、自分ではそんなつもりはなく、ただ真剣に思ったことを言ってるだけなんですよ。

まあ客観視するとやっぱりこっぱずかしいことを言ってるんですけど(笑い)

しかもそれが大抵人前だったりするので毎回後で顔が赤くなります。

 

――周囲が気にならないほど真剣だということですね。世界派の<マスター>には稀にそういう方もおられます。

――実はお兄さんもこっぱずかしい、もとい熱いことを結構言ってるんですよ。いつか名言集とでも名付けて世に出しましょうか。

 

俺の分は勘弁してください(真顔)

 

――さて、ここからはレイさん個人の事、過去の経歴やその時の思いを聞いてみたいと思います。

――まず、この世界に来たきっかけというのは何でしょうか。

 

俺向こうでは学生なんですが、大学受験が終わったのがきっかけですね。

以前から兄に誘われていたんですが、ちょうど受験勉強を始めた高二の頃に被っちゃったので、必死に誘惑に耐えた二年間でした。

それで受験が終わってひと段落したので始めて、今に至るって感じですね。

 

――なるほど、心中お察しします(笑い)

――次にこちらに来て思ったことなどを。

 

リアル、ですね。完全に世界って感じで。ティアンの方も自然ですし、とても別の人間とは思えませんでした。

 

――世界派の方がよく言われることですね。一部の遊戯派の方も認められていることでもあります。

――その後あのリリアーナ・グランドリアのクエストを受けたと。外の自然ダンジョンに行ってしまった妹さんを助けるものだったとか。

 

はい、兄と一緒に受けたんですが、【亜竜甲蟲(デミドラグワーム)】に襲われる中、途中で調子に乗った兄が<エンブリオ>の形態を変化させようとして硬直中に地下に連れ去られまして。

必死でミリアーヌを連れて逃げたんですが、追いつかれ、なんとか<エンブリオ>が目覚めて倒すことができました。

状況にメタしていた能力だったのが幸運でした。結局その後兄とリリアーナ…さんと合流し、クエストをクリアしました。

 

――それが後の“不屈(アンブレイカブル)”レイ・スターリングの最初の冒険だったんですね。

――そしてその事件の功労もあり【聖騎士(パラディン)】となり、<伝説級U(ユニーク)B(・ボス・)M(モンスター)>、【大瘴鬼 ガルドランダ】 との闘いで勝利されました。

 

騎獣をルークたちが引き付けてくれたこと。マリーがくれた【快癒万能霊薬(エリクシル)】。第二形態に進化し能力がメタだったこと。

多くの要因が重なり、仲間と共に掴んだ勝利だと思います。

それに……<超級殺し>の助力もありました。

 

――準<超級>の身でありながら、<超級>を単独で殺した規格外。彼女が関わった<ノズ森林>の初心者殺しでレイさんも殺され、それが縁となったとか。

 

よく知ってますね……。はい、それから彼女との縁が生まれました。

そのときに兄が暴走して、<ノズ森林>が焼失したのは申し訳なく思ってます。

 

――まあそこは本人が十割悪いでしょう。一番悪いのはそれで殺せてないことですが。

――さて、その後レイさんは賞金首であるゴゥズメイズ山賊団の討伐に向かい、頭目のなれの果てである<UBM>と戦われます。

 

弟を誘拐された女性と出会い、救出を依頼されたのがきっかけでした。

相性もあり俺がメイズを、その時一緒に来てたユーゴ―という友がゴゥズを倒し、あとは人質を助け出すだけ。

そんなとき、メイズの怨霊が死後ゴゥズや他の団員を取り込み、<逸話級UBM>、【怨霊牛馬 ゴゥズメイズ】となって立ちはだかりました。

ユーゴーに子供たちをギデオンまで運んでもらい、俺は単騎で挑みました。

結果的には倒せましたが、一歩間違えれば失敗していた、努力の結果としての奇跡の勝利だったと思います。

 

――低レベルかつ上級職一つで<UBM>を倒すという行為は過去にほぼ例を見ないことです。運だけではなく、やはり諦めなかったレイさんの闘志があってこそだったんでしょう。

 

――そして時はしばらく経ち、アルター決闘一位のフィガロと黄河決闘二位の迅羽による<超級激突>。そしてMr.フランクリンのギデオン襲撃事件が起こります。

――ギデオン襲撃では、フランクリンの悪辣な計画により、開始当初熟練の<マスター>が動けなかったこともあり、レイさんはアルター側の中心人物として活躍していました。仲間であるルークさん達と共に、闘技場外に備えていた敵側に寝返った<マスター>を倒し、フランクリンが出した天敵、【RSK】をも倒しました。

 

闘技場外の<マスター>を倒したのにはルークの力の方が大きかったと思います。

【RSK】はかなりギリギリの戦いでした。ただ、諦めたくはなかった。

それにミリアーヌの事件を仕組んでいたのがフランクリンだと知り、犯人をなんとしても“ブン殴る”と決めていたのもありましたから。

一か八かの綱渡りの結果、なんとか倒すことができました。

……そのあとも、色々あったんですけどね。

 

――まさに“不屈”の闘志、といったところでしょうか。格上に何度も勝利を収めているレイさんの強さの一端に触れた気がします。

――そしてレイさんの言葉通り、ギデオンのモンスター解放が<超級殺し>によって阻止されてもフランクリンは諦めず、五万体以上のモンスターによるギデオン殲滅を開始します。

 

あいつならまだ何かある、とは思っていましたが、さすがに予想以上でした。

それでもただ時間を稼ぐことだけを考え、騎士団の方々や<超級殺し>、そして闘技場に閉じ込められなかった<マスター>の助力の結果、なんとか間に合いました。

 

――闘技場を解放し、ついにその姿を衆人環視の元に晒した元“正体不明”、レイさんの兄でもあるシュウさんの登場。あの瞬間空気が変わったと言う方もいました。

――でも個人的にはその前のレイさんの言葉、「――眼前に、お前と悲劇が在る限り」が一番好きですね。

 

止めてくださいほんと!

あとで改めて言われると恥ずかしいんですよ……。

 

まあ、兄がいなかったら確実に俺は殺されてたでしょうし、危ういところではありました。

やっぱまだまだ遠い存在ですね。それでもいつかはとは思いますが。

 

――そして宣言通りフランクリンに一撃入れて倒し、事件はひとまず幕を下ろしました。

――しかしそれでも平和にならないのがレイさんです。今度は<アルター王国三巨頭>の一人、扶桑月夜に誘拐されました。

 

いやほんと我ながら波乱万丈ですよね……。

その際はちょっとした縁でフィガロさんが助けに来てくれたのでなんとかなりましたが。

下手するとフランクリンより俺メタってましたねあの女化生。

 

――ぶっちゃけ軽い気持ちで調べていたらここまでどさどさ出てくるとは思いませんでした。そういう星の生まれなんでしょうね。

――その後<マスター>の父親を捜してほしいというティアンの子の依頼を受け、オーナーのいない<K&R>や新たなるPKクラン<ライジング・サン>の襲撃を受けながらも、その村に封じられていた<古代伝説級UBM>、【黒天空亡 モノクローム】との死闘を征します。

 

<K&R>は結局オーナーのカシミヤが出てきて仲裁、<ライジング・サン>に関しては先輩が全部やっちゃったんですけどね(半笑い)

ちょっとした因縁があったみたいなので。

【モノクローム】はギリギリの戦いでした…っていつもギリギリですね俺。

先輩の協力、能力の相性、諦めないで勝ったのも同じです。

依頼もいい具合に終えられたので、ほんと良かったです。

 

――仲間と助け合い強敵に挑む。レイさんが英雄と呼ばれる日も近いかもしれません。

――さて、次の遺跡編は王国や運営からのカット要求が甚だしかったので省略して、【魔将軍(ヘル・ジェネラル)】ローガン・ゴッドハルトの死亡シーンのみにしましょう。レイさんとの戦いの前に非<超級>であるベルドルベルさんと戦い、敗北寸前でティアンの子供を人質に取ることで辛くも勝利。しかし最後に油断して悪魔軍団の大半とブローチを失った彼と戦い、レイさんは勝利を収めました。

 

あいつそんな方法でベルドルベル氏相手に勝利したんですか。なさけないですね。

まああの戦いだけは間違いなく相手が精神的に弱く、馬鹿だったから成立した勝利、と言えます。

俺には珍しいパターンでした。

 

――さすがその精神性だけで<超級>最弱格と言われるだけのことはあります。とはいえあの時が初出の<UBM>の召喚には驚かれた方も多いのではないでしょうか。

――そして愛闘祭での一件を経て<超級>所属数が五人になった王国に、皇国から講和会議の申し込みが来ます。しかしそれは皇国の罠であり、それを看破したのもレイさんだったとか。

 

はい。でもそれは本来なら兄やルークなら看破できたはずです。

兄は【獣王(キング・オブ・ビースト)】ベヘモットを、ルークはあまりにも内心が読めないクラウディアを最大限警戒してきたからこそ、俺だけが気付けたってだけです。

さすがあのフランクリンを擁する皇国の王族とでも言うべき悪辣な策ではありましたけどね。

 

――そしてそれを看破したレイさんたち王国組と、皇国組の戦闘になりました。皇国の姫クラウディアを王国の国王代理アルティミア殿下が、お兄さんが【獣王】の<エンブリオ>、【怪獣女王 レヴィアタン】を、そして<超級>を欠いたレイさん達<デス・ピリオド>と<月世の会>の<超級>扶桑月夜とその秘書月影永仕朗が、皇国最大戦力【獣王】ベヘモットを相手にすることとなります。

――そういえば、皇国側にはもう一人の<超級>、【魔将軍】ローガンがいたはずですが……?

 

扶桑月夜の合計レベル600以下を即死させるコンボにやられました。

一応超級職のため600以上あったはずですが、何かの職業をリセットして、他の職業に就きレベルを上げていたのかもしれません。

さすがにあの状況であと一人<超級>がいたら勝てなかったでしょうし、そこは助かりました。

 

――なるほど。ローガンは度重なる敗北で決闘一位の座すら失いました。ようやっと自分の欠点を省みて強化を図っていたとすれば、それが仇となって今回は死んだとはいえ、戦争では彼の逆襲も見られるかもしれませんね。見たい人いないと思いますが。

――さて、余計な話はさておき、レイさんたちとベヘモットの戦いに話を戻しましょう。率直に言って、勝てると思いましたか?

 

はい。少なくともそのための策と努力は積んできたつもりでした。

最終的には【獣王】の隠し持っていた()()()()ととっさの判断の結果勝てませんでしたが、それでも多少の貢献はできたと思っています。

勝てなかったのも事実なので、まだまだだなという気持ちが強いですが。

兄が多くを背負ってくれましたし、最後には扶桑月夜に全てを任せてしまいました。

これからも戦争に向け精進を続けていきたいです。

 

――動画を見る限りでも、【獣王】の命に何度も迫っていたことがわかります。惜しくも敗れましたが、<デス・ピリオド>を低く見る者はいないでしょう。皇国の攻撃を、自国の<超級>の多くがいない状態で凌ぎ切った王国の多くの方々の尽力には目を見張るものがあります。

――最後に、戦争が間近に迫ってきている昨今。戦争に向けて、意気込みなどをお願いします。

 

必ず勝つ、とは言えません。それは俺だけがどうこうしてかなえられるものじゃない。

それに今はまだ、戦争でどう動くかということもはっきりとはしていません。

それでも、決して諦めず、自分にできる限りのことをして、王国の勝利の一助となるつもりです。

諦めない限り、可能性はいつだって、俺たちの意思と共にある。

俺はそう信じていますから。

 

――力強いお言葉、ありがとうございました。国に属さない記者ではありますが、それでも応援しています。がんばってください。

 

はい。こちらこそありがとうございました。

 

――――

 

未だ若輩の身であることを認めつつも、諦めないで全力を尽くすと誓ってくれたレイさん。

その姿は悪鬼羅刹も慄くようなものでありながら、その()()の精神はまさに勇者英雄のもの。

戦争だけではなく、これからも彼の前には高く険しい壁が立ちはだかることだろう。

しかし、彼ならば打ち破ってくれると信じられる。

そんな彼が率いる<デス・ピリオド>の活躍には、今後も目が離せない。

我々<DIN>は、戦争後も彼らの動きに注目し続けるつもりだ。

 

※ティアンの方への配慮などから、一部発言を修正・編集しております。ご了承ください。




聴き手:紗記礼汰
これまで書いた主な記事
・徹底検証:三人の“最強”で結局誰が一番強いの?
・突撃インタビュー! <IF>きっての常識人、“遺跡殺し(レガシー・デストラクター)”【器神(ザ・ウェポン)】ラスカル・ザ・ブラックオニキスに聞いてみた<IF>のここが知りたいベスト10
・伝泥都市伝説:“化猫屋敷”【猫神(ザ・リンクス)】トム・キャットの分身操作能力の秘密に迫る! 機械人間説から妖怪説まで
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