<Infinite Dendrogram>-枝葉末節:超級異譚- 作:チャシェ
□■大海・船上
【
強盗系超級職の座に就いたPKにして、その実力は
エンブリオも第六形態という極少数の<超級>を除けば最上に近い段階にまで進化させており、強力な力を持つのは間違いないことだろう。
犯罪クラン<ゴブリンストリート>を率いアルター王国で名を轟かせていた凶悪な犯罪者であり、今はグランバロアに移って海賊としても犯罪行為を続けている、筋金入りのPKだ。
また様々な<超級>との交戦経験を誇る稀有な人材でもある。
その量はドライフとレジェンダリアを除いた全ての国の<超級>と一戦交えているほどだ。
類稀なる実力から仲間にも慕われ、超音速駆動をも可能なステータスと相手の部位を奪い取るスキルを持つ。
同じPKにもその実力を認められている、まず間違いなく強者の枠に入る<マスター>だといえるだろう。
それが現在、いつものようにより格上の<超級>に襲われ、なすすべもなく地/船底に這い蹲っている彼のプロフィールである。
ちなみにそこは海に出た彼の所有する古舟の上。
幾度となく<超級>に破壊されながらもなけなしの金で買った中古の安い舟である。
「《グレーターテイクオーバー》……《グレーターテイクオーバー》! クソっ、何で使えねえんだ!」
エルドリッジの就いている【強奪王】の固有スキル《グレーターテイクオーバー》は射程距離(半径百メートル)にいる相手の部位を強奪する凶悪なスキルだ。
エルドリッジはこれまでこのスキルを使って相手の首を奪い、数多の敵を殺してきた。
発動する前に殺されたこともあったが、使う時間さえ稼げばほぼ確実に勝利をもたらしていた力。
しかし今、その信を置いている力が
「何度繰り返しても無駄だ。お前のスキルは使えない。だいぶ遅くなってしまったが、かつての初心者狩りの報いは受けてもらう……と言いたいところだが」
そう話しかけたのはエルドリッジの前に立つ男だ。
ファーの付いた黒いコートを着込み、右手にはギロチンの刃を無理矢理柄に備え付けたような剣を持っている。
そう、その姿はまるで
「お前<超級>に殺され過ぎだろう。俺が働くまでもなくもう四回はデスペナルティに追い込まれているとは予想外だった。仲間もさっき殺した二人だけとは、天下の野盗ギルドもずいぶんと落ちぶれたものだ。
“魔法最強”、“応龍”、“人間爆弾”に“断界”まで。殺されても笑われないそうそうたる面子ではあるが、お前呪われてるんじゃないか?
これを機に犯罪からは手を洗って、おとなしく真面目に生きた方が――」
「ふざけるな。俺は腐っても【強奪王】エルドリッジだ!
たとえ何度命を奪われたとしても、俺のこの誰かから奪う生き方は奪えねえ!
それが【強奪王】エルドリッジとしての俺のプライd……」
地に塗れながらもそう高らかに宣言しようとし、その中途で首を切断され命を落とし、光の粒子となって消滅した。
「なるほど、流石は【強奪王】。たいしたものだ。これはリスキルしても無駄だろう。ある意味で立派な大人だ」
男は心底エルドリッジを称えるかのような口調でそう告げ、手を叩いて敬意を表した。
そして踵を返し、
「次はアルター王国か。さて、今度はちゃんとこなせるかね……」
憂鬱そうに、それでいて目には殺意を灯して、その男――無所属の<超級>、SFMは歩き出した。
◇◇◇
□【
それは講和会議の少し前の事。
俺がPKクラン<K&R>のサブオーナー、【
所用によりマリーと先輩はギデオンに行き、兄もそれについていったのでパーティーはルークと俺だけ。
王都アルテア周辺の狩場にでも行こうという話になり、俺達は王都の外に出ようとしていた。
その時、唐突に一人の男に話しかけられた。
「“
……誰だろうか。
全身黒づくめで寒くもないのにコートを着ている……のはまあいいにしても、いきなり話しかけられると少し驚く。
俺もフランクリンのギデオン襲撃や【魔将軍】との戦いでそこそこ有名になったから、名を知られてること自体は不思議ではないんだけど、いきなり慇懃無礼な対応をされるのはちょっと困る。
「えっと……そうですけど、あなたは……?」
「失礼した。俺は処刑人系統超級職【
めっちゃ丁寧な対応だった。
PKKってのは確かPK専門のPKだったか。他のMMOでは盛んなところもあるけど、そういやこのゲームじゃあんまり聞かないな。
にしても処刑人系統ってなんだろうか、聞いたことのない職業だけど。
「【
ありがとうルーク。そんな系統もあるのか。
そんな人が俺に何の用だろうか。PKKに狙われるようなことをした覚えも……、ん?
「それで、どういったご用件でしょうか。レイさんは清廉潔白、心優しい人ですから、悪意を持ってPKに及んだことはないと思いますが」
いや待てルーク、そっちじゃない。
そうだ、俺達が組んでるパーティメンバーって……!
「<超級殺し>マリー・アドラーと<
そうだ、マリーはPK専門の殺し屋で、先輩はPKクラン率いてたんだった。
そりゃPKKにも狙われるわ!
この人は知らないのかもしれないけど、今は俺が作ったクランのメンバーでもあるし、なおさらマズい。
「ちなみに居場所を教えた場合、そして教えなかった場合どうなるのでしょうか」
「別に君達に手荒な真似をする気はない。PKと親しくしているとしても君達はPKでもなければ犯罪者でもないのだからな。教えなかった場合は俺が少し困るだけの事だ。
教えた場合にしても、
それほど殺すつもりはないっていくらか殺すつもりってことだろうか……。
どうだろう、教えてしまっていいものか。まあ二人とも自業自得みたいなものでもあるし、自分で何とかすべきことかもしれない。
でも大事な仲間だし、ここは少し心苦しいけど黙っておく方向で……。
「そういうことでしたら協力させてもらいます。あの人たちは今ギデオンで決闘をしていますね。」
ちょっ、ルークおま。
「あの人たちも立派な大人ですし、ある程度の事は自分でなんとかすべきです。それに僕らよりも経験もレベルも上なんですから、かばう必要もないでしょう。
戦争にまで影響させることはSFMさんも望んでないようなので、そちらの方も問題はないでしょうしね。
あ、ちなみにSFMさんは戦争の講和会議のことはご存知でしょうか。僕たちはあれに参加するつもりなので、できればデスぺナは一度ぐらいで済ませておいてほしいのですが」
結構シビアな判定だなルーク……。
まあ言ってることはもっともではあるし、大事にならないならそれでいいってことにしておこう、うん。
「そうか。礼を言おう、レイ・スターリング、ルーク・ホームズ。これ以上何かを要求するのは図々しいとは思うのだが、急に出て行ってこちらの意図を誤解されるのも本意ではない。
できれば詳しい案内と彼女らへの説明を手伝ってもらいたい。無論謝礼は出そう」
「いや、それぐらいはいいですけど……どうやって行くんですか? 竜車でもそこそこの時間がかかりますけど」
同じ国内とはいえ王都からギデオンまではそれなりの時間がかかる。往復ともなれば結構時間がかかってしまう。
流石にそれほど長くはつきあえないしな。
「なに、足はある。安心していい。おそらく
もっとも速い、とは中々の自信だ。
移動手段ということであれば、天竜に乗ったりするんだろうか。
◇◇◇
王都の外まで出てきたが、特に何も見当たらないな。
これからアイテムボックスとかから出すのかな。
「まあ少しだけ待ってほしい。おそらくすぐに来る」
すぐに来る、ということはある程度自立行動ができるモンスターだろう。でも地上には姿が見えないし、やはり天竜なのか、天竜に乗るのか。
飛行能力のある竜に乗るのは初めてだし、できれば乗り心地がいいといいな。
「御主、実は竜に乗って空を飛びたいだけなのではないだろうな?」
ギクッ。
ま、まさかそんなことを考えてるわけないだろ。
それに別にいいじゃないか天竜に乗りたいとか思っても! 男のロマンだろ!
そうこうしていると空から赤い物体が。これは、バイクか? しかも背中に人が乗ってる。
いや、バイクに化けた竜である可能性もワンチャン…!
「いや、さすがにそれはないでしょう」
ルークは無慈悲だった。夢は潰えた。
とは言え空を翔けるバイクというのもそれはそれでロマンかもしれない。
そして少しずつ高度を下げていたバイクが目の前の地面に停車し、乗っていた男が降りてきた。
鋭い目つきが特徴的な、俺より少し年上ぐらいの青年だ。
バイクと同じ赤色のヘルメットに、肩や肘等に強化パッドの付いた青いライダースジャケットのような服を着ている。グローブやブーツ等他の服と合わせてまさにバイク乗りといった風貌だ。
どちらもこちらの世界ではあまり見るものではないし、おそらくは特注品の一点ものだろう。バイクは<エンブリオ>だろうか。
この人がさっき言っていた「足」か。でもこれじゃあ二人乗り以上はできなさそうだけど……。
「追加の乗客か。いいだろう、サイドカーを展開しよう」
うおっ、大きなサイドカーが出てきた。これなら少し詰めれば二人までなら乗れるな。
ネメシスは申し訳ないが紋章に戻っていてもらうとして、SFMさんは……。
「俺は彼の後ろに乗るから心配しなくていい」
なら大丈夫か。世界最速の移動手段という他称、その力を体感する時が来た。
どれほどの速さなのか、しかと体に刻み込もう。
「《
《
◇◇◇
速かった……世界最速は伊達じゃない。
最初の状態ですら超音速どころじゃない速度だったのに、途中で更にスキルを使って速度を上げたりしてくるとは思わなかった。
しかもスキルなのか地面に潜ったり空を駆けたり、地面を走っても直角に曲がったりしだしたから心底驚いた。
《
でもジェットコースターみたいな感じで楽しかったし、かなりの短時間で着くことができた。
一応礼を言おうとしたら軽く手を振っていなくなってしまったし、クールって感じの人だったのだろう。
「いつもより飛ばしていたな。おそらくバイクを見た時の君の眼の輝きと期待に応えようとしたのだろう。奴はああ見えて熱い男だ。できれば気を悪くしないでやってほしい。」
一見クールなようですぐ熱くなるタイプの人だったのか。最後まで予想以上の人だった。
そもそも俺の周りに予想の範囲内で物事をこなす人がいない気もするが、まあ気にしないようにしよう。
「にしてもあの速さ……彼も超級職なんでしょうか」
「ああ、奴も超級職の一角。騎兵・操縦士系統速度特化超級職【
超級職の運び屋とは豪華だな。でもそういった職業を活かして仕事をしている人はきっと他にもいるのだろう。
速度特化ってことは純粋な戦闘系じゃないのかもしれないし、意外とよくあることなのかもしれない。
にしても超級職か……。
「超級職って、どうすればなれるんですか?」
俺の周りには超級職の人が多い。たまに超級職に就いている人と模擬戦すると、やはり職業由来のステータスやスキルの強力さを味わうことが多い。まあ差はそれだけじゃないんだけど。
今はもちろん下級・上級職の選択とレベル上げで手一杯だけど、いつかは超級職に就きたいという気持ちはある。
「超級職になる方法か……、それならまずは自身に必要な超級職を考えるところからすべきだな。
発見されている超級職の数は千を越えたが、未だ数百以上未発見の職業があるとも言われる。しかし、ある程度は系統で予測できる。
自らの<エンブリオ>とのシナジー、自身の得意とする戦法と照らし合わせて自らに合いそうな超級職を探すところから始めるべきだろう。話はそれからだな」
なるほど、確かにその通りだ。
ただでさえネメシスはスキルが多いタイプなんだし、色々考えてみるべきかもしれない。
しばらくは地道に死兵のレベル上げを繰り返さなければいけないんだし、時間はたっぷりあるんだからな。
「それでいくつか候補を選んだら後は条件探しと条件を満たすための努力が必要となる。仮に条件が解らなくてもある程度は予測できるから、探している間はそれを試してみるのもいいだろう。
基本的には条件は大きく三つに分かれ、その職業の下位の職業を必要とするもの、その職業が最も得意とすることを一定数させるもの、それ以外の特異なもの、となる。最後は【
例えば俺の【断罪王】なら一定人数の犯罪者の殺害、下位職業をすべて取ること等が求められる。おかげで俺はおよそ犯罪者以外には攻撃力が著しく欠けるステータスとなっているが、その分犯罪者相手には強力だ」
条件にも色々あるんだな。
にしても武器を生涯身に着けないって兄でもやってないぞそんなこと。しかも神系統ってことはかなり才能がないと取れないんだし、おそろしい条件もあったものだ。
俺は取れてももうちょっとまともな条件だろうな。
と、そうこう話している間に目当ての闘技場に着いた。
ちょうど決闘が終わっての休憩時間だったようで、結界内でマリー、先輩、そして狼桜の三人が休んでおり、兄は外でカシミヤと談笑していた。
『おお、我が弟と弟子ではないかクマ。今日はレベル上げをするって言ってなかったクマか?』
「いや、ちょっと案内を頼まれちゃってさ。あの三人の決闘はどうだった?」
今回、マリーと先輩は狼桜の「王国で
カシミヤは狼桜の監視をしているらしい。まあ自分がいない間の行動がアレだったから無理もない。
『結局一度じゃ終わらずに何度かやったが、基本的には流石と言ったところか<超級殺し>が一番勝率が高いな。スキルの多様性と必殺の威力の高さが圧倒的、それに超音速機動が地味に強い。重力結界によって速度を落とせるビースリーや闘技場だから高いコストを払える狼桜でも厳しい戦いって感じだ』
一度じゃ終わらないのは予想外じゃないけど、やっぱりマリーは強いな。まともにリベンジができるのはまだまだ遠い。
おっとそろそろSFMさんを紹介しないと。ってあれ、いつの間にか姿が見えない。いったいどこに……。
「<超級殺し>マリー・アドラー、<凶城>元オーナーバルバロイ・バット・バーン、<K&R>サブオーナー狼桜だな」
「げっ」
『ああ?』
「なんだい?」
その姿は、既に結界内で三人と対面していた。
「かつての王都封鎖、初心者PKの件で、話がある」
◇◇◇
とりあえずなんとか俺とルークが間に入り、話を成立させた。
というか理由ってあの王都封鎖だったのか。通りで最近はめっきりPKしてない二人が指名されるはずだ。
先輩についてはマリーが依頼を受けてたけど、結局PKはできなかったって言ってたしな。
「なるほど、つまりそちらの方はあの時の被害者に依頼されてきたと。それにしては少し時間が経ち過ぎていませんか?」
「それに関しては返す言葉もない。リアルが忙しく、最近はほとんどログインできていなくてな。しかし依頼は依頼、少なくとも釘刺しぐらいはと思い今更ながら来たという訳だ」
まあリアルは大事だからな……。だれもが休業中のマリーや無職の兄の様に四六時中ログインできるわけじゃない。
俺も大学がこれ以上忙しくなったらどれくらいログインできるかはわからない。
それでもできるだけはこの世界を離れずにいられるように勉強頑張らないと。
「その節においては本当に申し訳ないのです。一応被害者の方には弁償と謝罪に回ってはいるのですが……」
あ、カシミヤが小さい体をさらに小さくしている。自分がいない間のことなんだからそこまで気にしなくても。
小学生の割に責任感が強いカシミヤとしては、クランオーナーとしての責任を感じているのか。
「いや、君に対し責任を問おうというつもりはない。リーダー以外の暴走が原因だという話も聞いている。そも君がいるときの<K&R>の優良さは歴然だ。王国最強のPKだというのにもかかわらず俺に依頼が一件も来ていない事がそれを証明している。しかも<K&R>に関しては君主導で既にほぼ賠償は済んでいるんだ。気に病む必要はない」
丁寧なフォローだ。でもやっぱり優良なPKクランってなんともいえない気分になるな。
『PKKねえ…。しかも<超級殺し>と同じ様な殺し屋プレイか。変わった奴だな。殺される奴は弱かったからだろ』
「たしかにそうかもしれない。弱い者が強い者の主義主張によって殺されるのは仕方のないことだ。だが弱くても楽しむ自由も殺された相手を何とかしてほしいと誰かに頼む自由もある。そしてPKは俺の主義によって殺されるだけだ。
それと俺をそいつと一緒にするのはやめてもらおう。俺は依頼だからと言って無闇矢鱈と初心者を虐殺するようなことはしないし、内情を把握せずに依頼を遂行することもない」
「あ、すみません私が悪かったので勘弁してくださいはい。ちょっと心が痛くなりますので」
「そんな後悔するくらいならなんでやったんだいアンタ……」
マリーに対して当たり強いな……。事実だから何も言えないみたいだけど。
そういえばさっきもマリーは一人だけ「面倒なのが来た」みたいな顔をしてたな。
「マリーはひょっとしてこの人と知り合いなのか?」
「ちょっと仕事柄共闘したり、私と相性が悪い彼の条件に合う依頼を流すぐらいです。まあそこそこ長い知り合いではありますね」
「深い訳ではないがな。
さて、しかしいきなり実力も知らない者から釘を刺されても反応に困るだろう。どうだ、一戦交えてみないか。無論
……三対一だって?
いくらなんでも余裕が過ぎるだろう。仮にも準<超級>が三人、しかも一人は格上である<超級>を殺し、<超級殺し>と呼ばれている者。自分の実力を示すにしても、返り討ちにされたら元も子もない。
あるいは
『ほう、なら試してやろうじゃねえか』
「ダーリンが見てる前で売られた喧嘩を買わないわけにはいかないねえ!」
「流石にイラッと来たので殺しますね」
三人とも非常に乗り気になっておられる……、いやまあ一人じゃ相手にならないみたいなこと言われたら仕方ないとは思うけど。
俺でも言われたらイラッとする。俺達への対応の丁寧さを見る限り、敵に対しては多少対応が荒くなる人なのかもな。
しかし俺の知り合い三人対謎のPKKの決闘か。あれだけの自信、間違いなく見応えのあるものになるだろうけど……。
「ルークと兄貴はどっちが勝つと思う?」
「なんとも言えませんが、SFMさんの自信は相当なものです。なにか強力な札があるであろうことは間違いないでしょう」
『しかも相手を調べてるPKKってことは三人の能力もよく知ってるだろう。それに対してSFMの情報は一切ない。三人がかりとはいえどうなるかは読めねえな』
情報の有無ってのはやっぱり大きい。切り札の存在を知られていたら格上に勝つ確率はかなり落ちるし、知らない相手なら初見殺しにかかる可能性もある。そういう意味ではSFMさんが有利なのは間違いない。
しかし三人も経験豊富なPKだ。能力もデバフ楯・中距離射撃・近接と上手く分かれてる。やっぱ読めないな……。
「そうだ、カシミヤはどう思う? さっきからずっと無言だけど」
「勝敗については特に言えることはありません。ただ、なんとなくなんですが……」
なんだろう。気がかりでもあるのだろうか。
決闘をするうちの一人は自分のクランのサブオーナー、心配になっても無理はないけど、どうもそういう感じじゃない。
「先程から、
……あの“断頭台”とも称されるカシミヤが、首を落とせるイメージがしない?
尋常じゃない才気を持ち、小学生の身でありながら【
ただの勘と軽視はできない。
『まあ試合前にごちゃごちゃ言ってもどうしようもない。ほら、始まるぞ』
気付けば四人は既にかまえ、始まりの合図を待つばかりとなっていた。
確かに考えても仕方がないか。今は模擬戦を見守るしかない。
合図は兄の<エンブリオ>から放たれる銃声らしい。兄が第二形態のガトリングを上にかまえ、引き金を引き、ついに試合が始まった。
To be continued