魔法科高校の劣等生 ~世界をひっくり返す錬金術師~   作:カイナベル

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九校戦編 第九話 

 九校戦八日目。新人戦五日目。

 

 深夜に起こったとある事件により解決した九校戦の事故。その原因が関係者に発表された。原因が大会委員ということで驚きは波紋のように広がり、原因の追及がなされた。しかし、大会委員はスパイとして潜入していた委員にすべての責任を押し付け、自分たちは悪くないというスタンスをとった。(無論だが、委員長はあの後、烈にこってりと絞られ責任をとることとなった。哀れなり)そして学校側もとりあえずは納得し、これからは事故のことを考えずに済むという安心感に身を委ねるのだった。そして事件解決に一役買った仮面の男(マスカレイダ)、もとい園達錬は現在、一校のテント、モニター前にて正座をさせられていた。

 

「いい、錬君?昨日何をしていたかは知らないけれど、連絡にはしっかり出なきゃだめよ?これ社会の常識よ」

 

「おかげで君をモノリス・コードの選手に仕立て上げることができなかったからな」

 

 錬をモニターの前に座らせた張本人である真由美が諭し、摩利がそれに乗っかる。錬の前で映像を流しているモニターにはモノリス・コードの映像が流されており、映る森林ステージには一校の選手、達也、幹比古、レオが映っていた。その見た目は幹比古は一般的なプロテクション・スーツであるが、達也は二丁拳銃に加えて、ブレスレット型のCADと一般的には考えられないほどのCADをつけている。これは達也のCAD複数操作という能力をいかんなく発揮するためであろう。そしてレオ。彼は直接打撃禁止のモノリス・コードであるにもかかわらず、腰には剣を下げていた。これが武装一体型のCADであることを見抜けた者は一校内でも少なかった。このように一校選手は異彩を放っており、モニター前の一校生徒も彼らの戦いぶりが楽しみだといわんばかりにモニターに視線を集中させていた。

 

 そんな中でも真由美は錬に説教をしており、その意図が本当に錬を心配したものか、日々のうっぷん晴らしかはわからないが、摩利がちらちらと視線をモニターに向ける中、真由美は錬から視線を一切ずらすことなく見つめていた。

 

「まあ、もういいじゃないか。今は試合に集中するべきだと思うぞ」

 

「いいの摩利?あなただっていつも引っ掻き回されているでしょ?」

 

「今は忘れることにする。それに私は錬が出場しなければ勝てないほど彼らはひ弱ではないと思っているぞ?」

 

「むう…」

 

 年甲斐もなく頬を膨らませ、不満そうな表情を浮かべる真由美。

 

「まあいいわ。あとでしっかりと言わせてもらうからね」

 

 不満そうにしながらも、モニターに視線を向ける真由美。モニターの向こうでは試合が始まろうとしており、達也たちはポジションについていた。

 

「八校相手に森林ステージか…」 

 

「不利よね…普通なら」

 

 試合観戦に集中し始めた真由美と摩利がぽつりとつぶやく。八校は野外実習に力を入れている高校であり、普通であれば一校不利と考えるのが普通であろう。しかし、一高幹部陣はそんなことは考えておらず、錬を含んだその他の生徒も同様であった。さて話を試合に戻すがモニター内ではすでにオフェンスの達也は八校モノリス近くに迫っており、もう少しで接敵というところまで来ていた。達也が物凄い速さで八校モノリスに接敵する。その速さに八校ディフェンスはついていけておらず達也の攻撃を食らってしまう。が達也の攻撃では決定打にならず、片膝をつく程度に終わってしまう。が体勢を崩すには十分だったようで、達也は横を抜け、モノリスにどんどん近づいている。だが八校ディフェンダーも黙っておらず、ショートタイプの特化型CADを向け魔法を放とうとする。それに対し、達也は右手に握ったCADを向けていた。その直後、八校ディフェンダーが展開していた起動式が破壊された。

 

「今のは…あれは…」

 

「術式解体か………もしかしたら、と思ったけど、達也君、使えたんだね…」

 

「真由美、今のが何か、知っているのか?」

 

 摩利は真由美につかみかからん勢いで問いかける。その問いに対して真由美は錬の方を一度ちらっと見て、モニターに視線を再び戻す。錬は鼻で大きく一息ついてから話し始める

 

「術式解体は…」

 

 話し始めた錬に視線を向け、モニターに視線を向けつつも錬の言葉に集中する摩利。

 

「圧縮したサイオン粒子の塊をイデアを経由せずに対象物にぶつけて爆発させ、そこに付け加えられた起動式や魔法式などの、魔法情報を記録した想子情報体を吹き飛ばす対抗魔法です。事象改変のための魔法式としての構造をもたないために情報強化、領域干渉どちらにも影響されませんし、砲弾自体の圧力がキャスト・ジャミングの影響も跳ね返してしまいます。作用を一切持たないがために障害物等で防ぐことも敵わない、射程が短い以外の欠点らしい欠点の無い対抗魔法です」

 

「そ、そうなのか…」

 

 錬のあまりに完璧な回答におもわずたじたじとなってしまう摩利。

 

「ちなみに真由美。お前は…」

 

「もちろん無理。術式を乱すんじゃなくて吹き飛ばすような圧力なんて私のサイオン保有量じゃ作り出せないから」

 

「そうか」

 

そういうと摩利は錬の方に視線を向ける。その視線に錬は言葉で答える。

 

「今は試合を見ることに集中するべきでは?……といいたいところですが」

 

 モニターの向こうでは八校ディフェンダーがまたまた森林内で膝をついており、動けなくなっている。その少し後には試合終了のブザーが鳴り響く。一校の初戦は華々しい勝利で終わる。その後も摩利、果てには真由美までもが視線を送り始め、答えざるを得ない状況になる。

 

「……先輩方は一体俺に何を期待しているんですか?」

 

「ということは使えないのかい?」

 

「使えますよ。一応は」

 

「やっぱり使えるんじゃないの!」

 

 錬のあまりにあっけらかんとした回答に声を荒げる真由美。

 

「さすがにあそこまできれいに当てることはできませんが」

 

 手を銃の形にし、打つ真似をする錬。その様子を見て呆れる摩利と真由美。

 

「しかしさすがに優秀だな。まさか術式解体まで使えるとはな。ということは…」

 

「摩利、恐らくその考えは見当違いだと思うわよ。錬君その時寝てたみたいだし。でもあの時の少なくとも十人以上の重ね掛けされた魔法式を、一撃で消し飛ばしてしまうなんて…いったいどれほどの想子保有量なのかしら…。案外達也君ってパワーファイターだったのね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後も一校チームは危なげなく進み続け、その戦いは決勝戦へと突入した。その対戦相手は三校。一条将輝や吉祥寺真紅郎を擁する優勝候補である。戦いの舞台は草原ステージ。その中に立つ達也たちは注目を浴びていた。主にレオと幹比古にだが。その理由はその服装にあった。スーツの上にレオはマント、幹比古はローブを羽織っており、どこかの誰かが見たら、大笑いしそうな仮装のような格好になっていた。そして錬はそれを一高テントでもなく、観客席でもないところから見ていた。

 

「さて改めて、先日のあの件は楽しませてもらったよ」

 

「お言葉ですが不謹慎です。一応負傷者も出た事態の犯人確保のための行動だったんですから」

 

 錬は烈が観戦のためにやってきていた来賓室に来ていた。おそらくここにいたであろう大会委員はいなくなっており、この部屋には烈と錬の二人きりとなっていた。

 

「君が奴を捕まえたことで国際犯罪シンジゲート『無頭竜(ノーヘッド・ドラゴン)』の情報が集まりつつある。このままいけば奴らの本拠地もつかめるかもしれない。」

 

「それはよかった。ぜひ俺の手を使わずに済めば助かるんですが」

 

「なに、心配は無用だ。今回これ以上は君の手を借りるつもりはないよ。もっとも君が自分から関わるというならば話は別だがね」

 

 この言葉から、まだ何か起こるかもしれないが、巻き込まれるかもしれないということを示しているように錬は読み取り、何か起こるかもしれないという事態に頭を抱えそうになった。

 

「それであればいいです。っと、そろそろ始まるようです」

 

 錬は烈に背中を向け、部屋から退出しようとする。がしかし烈はそんな錬を見て引き留める。

 

「まあ待ちたまえ。ここでも試合は見れる。ここで見ていくといい。」

 

「………ではそうさせていただきます」

 

錬は少し考えるようなそぶりをした後、了承し烈の斜め後ろに立つ。

 

「座っても構わないんだが?」

 

「いえ、ここで結構です」

 

 この言葉が始まりの合図だったかのように新人戦モノリス・コード決勝戦の幕が上がった。最後に立っているのは果たしてどちらか。どちらに軍配が上がるか、それが楽しみなように烈は口の端を吊り上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結果を伝えると、新人戦モノリス・コードは大方の予想を覆し、一校の優勝で幕を閉じた。達也が将輝を、幹比古が吉祥寺を、レオがもう一人を倒すといった活躍をした。達也たちがモノリス・コードで優勝したことにより一校の新人戦優勝が確定した。新人戦優勝はともかくとしても、モノリス・コード優勝は予想していなかったらしく、一高は大いに盛り上がっていた。しかし、達也たちの都合により、新人戦優勝パーティは後日に持ち越しということになり、その後は各自解散ということになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 九校戦九日目。今日から新人戦から本選へと戻り、行われていなかったミラージ・バットとモノリス・コードが行われる。本日はミラージ・バットが行われる。天候はあいにくの曇天。しかし、競技の特性上、ミラージ・バット日和であるといえる。深雪が出場するため、達也は今日も忙しなく走り回っていた。一方錬は観戦のためにミラージ・バットの会場に足を運んでいた。その隣にはなぜか三校の沓子と栞が座っていた。

 

「……いいのか?一校生徒と一緒にいて」

 

「むう?なぜじゃ?わしがだれと一緒に見ていようと関係なかろう?」

 

「私は沓子の付き添いですから」

 

「お前たちがいいのならそれでいいが…」

 

 沓子に向けていた視線をステージに向けなおし、ちらちらとむけられる視線を気にしないようにする。既にステージ上には選手たちがそろっており、その中には三校の愛梨と、一校の小早川がいた。観客の視線がステージ上に集中し注目する中、始まりを告げるチャイムが鳴った。空中にホログラムの投射され、選手が一斉にホログラムに飛び込もうとCADを操作する。そして跳び上がろうとするが、その動きは視界に映った光景に中断されてしまう。目に映りこんだのはすでに跳びあがっている愛梨の姿だった。その速さは周りの選手など比にならないほどの速さであっさりと得点してしまう。競技終了までこのペースは維持され、愛梨は他の選手に大差をつけ予選を突破した。小早川は張り切っていたようだったが、惜しくも予選敗退してしまった。しかし、本来の歴史のように事故が起こって魔法を失いようなことがなかっただけでも百倍ましである。その隣で一校生徒がいるにもかかわらず喜んでいる沓子が騒いでおり、栞が申し訳なさそうな表情をしている。周りは本当に一年が本選で活躍できることに驚きの声が上がっている。

 

「しかし、一色はずいぶんと早かったな。さすがは稲妻と呼ばれるだけはあるな」

 

「ふふん、そうじゃろ。これで今回の優勝はもらったもんじゃな」

 

「そうでもないかもしれんぞ。こっちにもいい選手がいるからな」

 

そこで注目を浴びるのはもう一人の一年生。

 

「ほう、あの司波という選手か?」

 

「アイス・ピラーズ・ブレイクでも圧倒的な力を見せているし…、強い魔法力を持っているのは確実ね。そこまですごいのかしら?」

 

「伊達に入試成績二位じゃないとだけ言っておこう」

 

 少しの間、二人と世間話をしているうちに第二試合が始まろうとしていた。ステージに立つ選手たちの中でも深雪は特に注目を集めており、生来の美貌に加えて、妖精を模した服装も相まってもはや神々しい雰囲気すら感じられる。試合開始のチャイムが鳴り、選手たちが一斉に跳び出す。がさすがは九校戦。深雪の独壇場とはならず、二校の選手と深雪の接戦となり、第一、第二ピリオドと熱戦を繰り広げていた。第二ピリオドも終わり、第三ピリオドに突入しようとしたところで三人が深雪の変化に気付いた。

 

「CADが変わっている?」

 

 栞が変化の内容を口に出し、視線を錬に向ける。

 

「あいにくだが、あれが何かの正確な情報は知らないぞ。大体の見当はつくがな」

 

「本当か!わしに教えてくれ!」

 

 沓子が錬の腕をつかみ、振り回すようにゆする。錬の身体はほとんど動いていないがうっとうしそうな表情をしている。

 

「黙ってみていろ。見ているうちにわかる」

 

「むう。もったいぶらずともよいのじゃが…」

 

 全員が視線を集中させたところで第三ピリオドが開始される。深雪含めた選手たちが跳びあがる。最初の得点は二校の選手。二校の選手は満足そうな表情をしながら降りるための足場を探す。が、深雪は足場を探すことなく、そのまま水平に移動しホログラム向かってスティックを振り下ろしていく。その回数が五回を超えたあたりで誰かが小さくつぶやく。

 

「飛行魔法…?」

 

 誰かがつぶやいた言葉を皮切りに言葉の波紋が広がっていき、連鎖するように言葉が発せられる。

 

「トーラス・シルバーの……?」

「そんなバカな…」

「先月発表されたばかりだぞ…」

「だがあれは…」

「まぎれもなく、飛行魔法…」

 

 観客たちの疑問の声は大きくなり、視線は深雪から離れることなく見つめ続けていた。錬の隣に座る二人は驚愕の表情を浮かべ、言葉を発することができなくなっている。試合終了の合図が鳴り、深雪が退場しようとしたところで疑問の声は驚愕と歓喜の声へと変わり、同時に発せられた拍手とともに会場を包み込んだ。優雅なしぐさに目を話せるものなどほとんどおらず視線は深雪の一点に集中していた。そのため、メッセージに見入っている男の気づくものなどほとんどいなかった。

 

「いやー、しかし司波の飛行魔法はすごかったのう!」

 

 第二試合の興奮冷めやらぬうちに沓子が席を立ちあがり伸びをする。

 

「圧倒的だったからな。あれを見せられちゃ驚くだろう」

 

錬は席を立ち、どこかへと向かおうとする。

 

「おと、どこに行くんじゃ?」

 

「腹減った」

 

 錬は一言で今から何をしに行くかを伝え、錬は外の屋台へ向かおうとする。が沓子が何か言いたそうな視線をしており、その意味に気付いた錬は小さくため息をつく。

 

「何が欲しい」

 

「ハンバーガー!」

 

 年齢に似合わない屈託のない満足そうな笑顔を浮かべながら、食べたいものを錬に伝える。その笑顔を見た後、栞にも視線を送る。

 

「私はクレープでお願いします」

 

 その言葉を聞き終えると、錬は会場から出ようとする。歩いている最中、錬は制服の袖をまくり上げ、ブレスレット型のCADが見えるようになる。一歩歩くごとにCADのスイッチを押し、魔法の発動一歩手前の状態まで持っていく。そのまま歩き続け、スタンドの外へ続く通路の手前までやってくる。通路にはいろうとしたその瞬間、無表情、いや表情が消えうせた大男が鉤爪のような指で首を掻き切ろうと、腕を振り下ろしてくる。しかし魔法待機状態にしていた錬にスキはなく、待機状態だった魔法をコンマ一秒で発動する。発動する魔法は移動系魔法。大男の振り下ろした腕をそのままつかみ取り、そのまま移動系魔法とともにスタンドの外へ投げ飛ばす。そして錬も跳びあがり追撃のドロップキックを叩き込む。大男は吹き飛びながら、重力に従い落ちていく。大男は慣性中和の魔法で、錬は移動系魔法で安全に着地する。

 

「流石に効いていないな。組織の兵器、ジェネレーターか」

 

 ジェネレーターは錬の言葉を聞き終える前に、錬の息の根を止めるために走り始める。自己加速術式で錬の喉をえぐり取ろうとする。が、錬も甘くはない。同じく自己加速術式で回避し、距離を取る。

 

(あの硬さということは俺の物理攻撃では効き目は薄いか。動きを止めてあとは軍の人間に任せるのが一番手っ取り早いな)

 

 錬はCADを操作し、魔法発動のための準備をする。その後、手を地面につき、魔法発動のための準備をする。ジェネレーターは錬に向かって一直線に走り始める。錬は後ろに跳び、立っていた場所を離れる。そして待機させていた魔法を発動する。発動するのは加重系魔法、摩利との対戦時に使ったものよりもさらに強力なものだ。しかし、ジェネレーターは気にすることなく突っ込む。あと数メートルといったところでジェネレーターの動きに異変が起こる。地面にまるで飲み込まれるように沈んでいく。ジェネレーターもなんとか抜け出そうとするが加重系魔法でますます沈み込み、太もも付近まで沈み込み一人ではどうしようもないほどに沈んでしまい、地面は途端に固まってしまう。ジェネレーターが見ると錬は地面に手をついている。その手は閃光に包まれており、その閃光は地面を伝わり、ジェネレーターの付近を照らしている。

 

「やっと捕まえた」

 

 錬は小走りでジェネレーター付近へと近づき、後ろに回る。そして、移動系魔法を発動し、それを前蹴りとともに、背中にぶつける。すると、ジェネレーターはその衝撃に耐え切れず、前に倒れ手をついてしまう。すると、手が地面に沈み込み、手首まで入ったところで流動性のあった地面が固まる。これでジェネレーターは四つん這いのような状態になり、全く身動きが取れなくなる。錬は動きが取れなくなったのを確認すると、懐からスタンガンを二本取り出す。今回のは少々強めのタイプ。一般人は少し当てただけで昏倒。運が悪いと絶命するレベルのものだ。錬はそのスタンガンをジェネレーターに二本とも充てる。すると、その威力にさしものジェネレーターも耐え切れずに意識を手放す。錬はそれを見ると、何事もなかったかのようにその場から立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…いったい何があったんだ」

 

 このホテルに宿泊していた独立魔法大隊の柳と真田は眼前に広がる状況に困惑を覚えずにいられなかった。地面に四肢を埋め込み、完全に気絶しているジェネレーター。これを不自然と言わずに一体何といえばいいのか。

 

「仕事が減ったのは良いことだけど、別の仕事が増えそうだね。この人物を掘り出すこととか」

 

「これをやった人物を見つけるとかか?」

 

「そうだねえ。とりあえずはこの人物を速いところ連行しちゃおうか」

 

 柳はジェネレーターの首に手を当て、脈があることを確認する。そして真田はジェネレーターを顎で指す。この一連の光景を後ろの方で見ていた藤林はある人物に対して深く驚いていた。藤林にはこの状況を作り出せる人物に心当たりがあった。あの時話した少年。確証こそないものの、もしこれをやったのが彼であるのならば、と考えた時、体が震えた。齢十七歳にもならないような少年が国際犯罪シンジゲートの構成員を暴き、ジェネレーターと単身で発見されないように戦闘を行った。これは同じく独立魔法大隊の司波達也と並ぶレベルの力であると。これを今は同僚に話すわけにはいかないと、一度この思考は飲み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、やっと帰って来たか」

 

「屋台が混んでいたんだ。ほら、ハンバーガーだ」

 

「お、すまんのう」

 

 沓子はハンバーガーを受け取り、うれしそうな顔でハンバーガーを頬張る。

 

「ほら、クレープだ」

 

錬は栞に頼まれたクレープを手渡す。

 

「ありがとうございます」

 

「そういえば制服が汚れておるが、何かあったのかのう?」

 

「いや、特になんでもないぞ」

 

「そうか」

 

 三人は各々の食事を並んで頬張り続けていた。

 

 

 

 

 

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