魔法科高校の劣等生 ~世界をひっくり返す錬金術師~   作:カイナベル

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今日最後の投稿です。これ以外に話すことはない!

それではお楽しみください。


入学編 第三話

 

 午前の課程が終わり、やっと迎えた昼休み。生徒会室に呼ばれているという約束があるが、どうにも嫌な予感しかしない。面倒ごとに巻き込まれるような。三十秒たっぷりと考えた末、俺は逃げるという選択肢をとった。だが現実は非情である。教室から誰にも見つからないように誰もいないところに逃げようとしたところで、深雪と一緒にいる達也に見つかり、首根っこをひっつかまれた。なんとか逃げようともしたが、どうしても逃げることができず、引きずられながら生徒会室に向かうこととなった。

 

 生徒会室の前に着くと先頭にいた深雪がインターホンを押し、入室を請う。俺はその間も軽く逃げようとしていたが、どうしても振りほどけず逃げることは敵わなかった。まあ、抵抗は見た目しているだけで逃げられないとわかっているので抵抗にもうその意はなかったのだが。生徒会室に入り軽くお辞儀をする。まあ、生徒会室にいる方々は深雪の礼儀作法のお手本のようなお辞儀に目が行っていたが。そのあと会長に促され、長机の椅子にに着く。深雪が一番上座に近く、俺が一番下座、達也が俺たちの間だ。席に着きダイニングサーバーで頼んだ料理を待っている間に一年の軽い挨拶を行う。その後、生徒会室にいたメンバーの紹介が行われる。

 

「入学式で紹介したけれども改めて紹介しますね。一人あの時聞いてなかった人もいるみたいですし」

 

 会長の冷ややかな視線が一番下座の俺に向く。なんでばれてるんだよ。

 

「私の隣が会計の市原鈴音、通称リンちゃん」

 

「…私のことをそう呼ぶのは会長だけです」

 

 確かにその呼び方は合わない。顔の各パーツがきつめの印象だが整っている。会長が美少女であるならば、こちらは美女といったところか。

 

「その隣は知っているわよね?風紀委員長の渡辺摩利」

 

「よろしく」

 

「それから書記の中条あずさ、通称あーちゃん」

 

「会長…お願いですから下級生の前で『あーちゃん』は止めてください!私にも立場というものがあるんです!」

 

 会長に反論する小さな生徒会書記。会長が美少女、会計の市原先輩が美女だとすると、この先輩はまるで小動物。なるほど、これでは『あーちゃん』だ。

 

「もう一人の副会長のはんぞーくんを加えたメンバーが、今期の生徒会役員です」

 

 生徒会役員ともう一人の紹介が終わると同時にダイニングサーバーのパネルが開いた。すると、会長の提案で食べながら話をすることになった。

 

 

 

 ダイニングサーバーからの料理を食べている五人と弁当を食べている二人が生徒会室であたりさわりのない会話をしながら、食事を楽しむ。

 

「そのお弁当は、渡辺先輩がご自分でお作りになられたのですか?」

 

 会話の中で深雪が渡辺先輩の弁当について触れた。

 

「そうだが…意外か?」

 

 からかうようにして口元に笑みを浮かべながら質問を返してきた。だがその答えは深雪ではなくその隣の人物から怯むことなく返された。

 

「いえ、少しも」

 

 達也が渡辺先輩の指に視線を向けながら答える。

 

「……そうか」

 

 答えに対する応対に詰まったのか、それ以外で答えることができないような応答をしてくる。

 

「私たちも、明日からお弁当にいたしましょうか」

 

「それはとても魅力的だが、食べる場所がね……」

 

「そうですね、まずそれを探さなければ……」

 

また始まったよ。この甘い空気。一体一日に何度出せば気が済むんだ。

 

「ところで、錬君の弁当も自分で?」

 

市原先輩がいちゃいちゃしている兄妹をよそに俺の弁当について聞いてくる。

 

「ええ。料理はやっていて結構楽しいので。それに実験にもなるので」

 

「そうですか」

 

 市原先輩が俺の話している内容に触れたくないのかまた顔を元の方向に戻してしまう。それによって会話が途切れ訪れる沈黙。静まった空間を嫌うように会長が今回の本題に入る。深雪が生徒会役員に入るように誘われ、達也を入れるように画策するが、生徒会役員には一科生しか入れないということにより断念。

 

 しかし、渡辺先輩の進言により、風紀委員は二科生でも入れることがわかり、渡辺先輩、七草会長、そして深雪によって達也の風紀委員入りが八割がた決定した。そして話題は達也から俺に向いた。

 

「本来生徒会には、入試成績一位、つまり錬君にも入ってもらう予定だったんだけど…。総代を断られちゃったし、生徒会に入ってもらうのは断念するとしても…」

 

「こちらとしても優秀な生徒を遊ばせておけるだけの余裕はないんだ」

 

「というわけで、錬君には風紀委員に入ってもらいます」

 

「………条件、というかお願いしたいことがあるんですが」

 

「何だ。行ってみたまえ」

 

「デスクワーク専門がいいんですが…」

 

「緊急時にそれを押し通すことはできないが…、普段であれば構わないだろう」

 

 風紀委員長の渡辺先輩が了承してくれる。この条件であれば入ってもいいだろう。なぜか聞こえてきた「何故風紀委員が事務仕事ができないことがばれているんだ?」という言葉には不穏さしか読み取れなかったが

 

「それであるならば謹んでお受けさせていただきます。」

 

 こうして俺は風紀委員に入ることを了承したが達也はまだ納得できないらしく、続きの話を放課後に話すことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 午後の課程が終わり迎えた放課後。俺の話はすでに終わっており、再度生徒会室に向かう、こともないのでさっさと帰ろうと思ったら、昨日とは違うベクトルのトラブルに巻き込まれた。森崎グループに一緒に帰ろうと誘われたのだ。どうやら深雪には番犬達也がついているため近づけず、それなら。と思ってこっちに来たようだ。普通ならば素直にOKというところなのだろうが昨日のトラブルで俺には悪印象しかない。やんわり断って帰ろうとしたが、すでにその時には半包囲されており、逃げようにも逃げられなかった。

 

 こうして俺は森崎グループと一緒に帰宅していた。森崎たちが俺をほめるようにして話しかけ、それが俺が表向きは謙遜するように返す。このやり取りが三回ほど続いた時、唐突にリーダー格の森崎が口を開いた。

 

「園崎君、単刀直入に言おう。君は今すぐあの二科生との付き合いをやめるべきだ」

 

 森崎の声に同調してほかの連中も同じように声を上げる。

 

「……一応理由を聞いておこうか」

 

 俺も返答する。すると、森崎の顔つきが変わる。どうやら一応の意味を「付き合いをやめるつもりはない」という様にとらえたらしい。まあ、間違ってはいないのだが。

 

「何故かって、あの二科生たちは入試成績一位の君に悪影響しか与えられないからじゃないか!」

 

 一体その言葉を何を根拠に話しているのだろうか。俺からしてみれば自衛以外の使用を禁じられている魔法を使おうとした犯罪者まがいのお前たちといる方があいつらより学ぶことは少なそうなんだが。

 

「二科生から学ぶことがないなんてことはないと思うが。それに俺に友人を雑に扱う理由なんてないよ」

 

「な!?二科生が友人!?」

 

その言葉を発した森崎は溜息を吐きながら、言葉を発する。

 

「入試成績一位だと聞いてみたから話してみたが、君には失望したよ…。君には一科生としてのプライドはないのかい?」

 

「プライドで魔法力が成長するのであれば、俺はぜひそのプライドとやらを持たせてもらおう」

 

 さっきまでの褒めるような口調と違って今度は蔑むような口調で言葉を発してくる。いったいこいつらに俺の何がわかるのだろうか、と思うし、このまま言われるのはいまいち癪なのでとりあえず言い返すことにする。すると、これがよほど刺さったのか、今までの口調が嘘のようにたどたどしくなる。

 

「な、な!?」

 

「俺は別に学校に友人と乳繰り合いに来ているんじゃない。学校に学びに来ているんだ。学ぶことを妨げるようなプライドならそんなもん捨てちまえ」

 

 森崎たちは何かを言おうとしているが言ってこない。このまま行っても俺に言い負かされると予感しているのだろう。居心地の悪い空気が流れる。これ以上この空気の中にはいたくない。

 

「じゃあ俺はこっちだから失礼させてもらう」

 

 答えも聞かずに俺はその場を立ち去る。森崎たちと早いところ逃げたかったのだ。あのまま一緒にいたら、さらに険悪な空気が流れる臭いがプンプンしていた。森崎たちと別れてキャビネットに乗り、家の付近までやってきた。ここからは家まで歩くだけなのだが、どうもそうはいかないらしい。

 

 先ほどから何者かに尾行られている。俺が気付いている分からせるためにわざとと裏路地に入っていくと、途端に取り囲んでくる。

 

「園達 錬だな」

 

「…誰だお前らは」

 

「お前に話す必要はない」

 

「……プロっぽく見せた素人か…」

 

「!!」

 

「すぐに後ろから襲わなかった時点で素人丸出しだ」

 

「そんなことを言っていていいのか。お前は囲まれていることを自覚した方がいいな」

 

 にやけながら、ナイフを出してくる。周りのやつらも鉄パイプなどの武装をしている。

 

「お前は魔法師だがこんな街中では魔法は使えないだろう。おとなしく捕まる方が身のためだぜ?」

 

 じりじりと間合いを詰めてくる。仕方ないので撃退用の武器を取り出す。

 

「覚悟はいいな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのあと普通に帰宅した。あの連中は護身用のテイザー銃やスタンガンで撃退した。それにあれらが無くても暴漢をあしらうくらいの実力はあるつもりだ。

 

「おかえりなさいませ。錬様。少々の戦闘の痕跡が見られますが?」

 

 家に入るとアストラが迎えてくれる。それに少しの衣服の汚れで戦闘を見抜くとは優秀な使用人だ。

 

「単純な悪漢だ。大した問題じゃない」

 

「そうですか。今日のご夕食はどうなさるおつもりで?」

 

「今日はいつものラーメン屋に行ってくる。その後はいつも通りだ。行っている間にそのための準備をしておけ」

 

「承知しました」

 

「着替えたらいってくる」

 

「そういえばあいつの様子はどうだ?」

 

「外に出ることが最近は少ないので、ストレスが溜まっているようですね」

 

「そうか、そのうち出られるといっておけ」

 

 その会話をしながら、私服に着替える。とはいっても簡素なパーカーである。私服なんて一、二枚しかもっていない。

 

「よし、行ってくる」「いってらっしゃいませ」

 

 家から出てなじみのラーメン店に向かう。ちなみに俺はまあまあの麺好きだ。一週間に一度ほどは行く。ラーメン屋が近くにあるだけでほかの麺類も大好きだ。

 

 さっきみたいに悪漢に襲われる。俺にとっては珍しいことじゃない。俺の魔法はかなり特殊であり、使い方によっては大きく世界がひっくり返るほどの力だ。この生活にも慣れてはいるが、つらいことの方が多かった。だが、高校で知り合った兄妹やその周りを取り巻く環境、それに出会ったことでこれから楽しくなっていくような気がする。不確実なことは信じないタイプだが今回は信じてもいいと思う。…これからの研究も捗りそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄様、それは?」

 

「園達 錬のパーソナルデータだ」

 

 深雪が俺の持っている端末を覗き込みながら、問いかけてくる。彼に違和感を感じ、俺の師匠、九重八雲に調べてもらったものだ。悪いやつではないのだろうが、深雪に勝る魔法力、自慢ではないが同世代には負けない自信があった俺の知識も上回る能力に違和感を覚えずにはいられなかった。

 

「どのような内容だったのですか?」

 

「…必要最低限の情報しか載っていない。個人情報はわかっている。がそれしかわからない。魔法力も過小評価されているくらいだ」

 

 深雪が軽く驚きの表情を浮かべる。軽くでしかないのは深雪も違和感を覚えていたからだろう。それにしてもこの結果はおかしい。ここまでパーソナルデータを隠蔽するのは一般人では普通出来ない。

 

「となると、何か大きな力が後ろにいる可能性が…、ナンバーズ…もしくは十師族のような…」

 

 すると深雪が俺の考えていたことを読んでいたかのように言葉を発する。

 

「…今は何とも言えないがその可能性もある。…もっと詳しく調べてもらうように師匠に頼んでみる必要があるな。最悪の場合は…、叔母上にも伝える。もう掴んでいる可能性もあるがな」

 

「そんな!それでは叔母様に貸しを…」

 

「ここまで完璧にパーソナルデータを隠蔽できる人物が後ろについているとなると俺たちだけではどうにもならないかもしれない。それにあいつが俺たちの日常を壊すような人物であるのなら……、それは必要経費というやつさ」

 

 深雪の頭を撫でながら答える。

 

「お兄様がそういうのであるならば……。……あともう一つお願いしたいことがあるのですが…。」

 

「何だい。遠慮せずに行ってごらん」

 

「…もう少し頭を撫でていただけませんか?」

 

「それくらいならばお安い御用だ」

 

 両者ともに黙り込み、静寂が広がる。リビングに広がるのは達也が深雪の頭を撫でる音だけだった。

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか。

もう話すことはない。

次回までお楽しみに。アディオス!
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