魔法科高校の劣等生 ~世界をひっくり返す錬金術師~   作:カイナベル

8 / 38
 一瞬だけ投稿して削除してしまって申し訳ありませんでした…。以後このようなことが無いように気を付けていきたいと思います。

 それではお楽しみください。

 riva123さん誤字脱字報告ありがとうございました。



入学編 第八話

「おっさん、いつもの。」

 

「はいよ、しょうゆラーメン大盛り、ライス付きに餃子だな。」

 

 俺は今、馴染みのラーメン屋に来ていた。あんな後にと思うだろうが、祝勝会も兼ねて、というか単に食べたいからだ。カウンターに座り、情報端末を起動すると、渡辺先輩からのメールが届いていた。内容は「次に学校に来たら、たっぷりとお礼をさせてもらおう。」というものだった。はて?何も悪いことはしていないはずだが?

 

 委員長からのメールを軽く流し、ニュースアプリを開くと、一高が襲撃された事件がトップニュースになっている。まあ、当然と言えば当然だが。国立機関の第一高校がテロリストに襲撃されたとなれば世間は驚くだろう。俺としてはいろいろと言いたいことがあるのだが。まず第一になぜ襲撃を受けたのか、襲撃されることが分からなくとも、敷地内に入られないようにはできるはず。国立の機関であるにも関わらず、この警備の緩さはなんだ。いくら生徒会が主体とはいってもあんまりではないか。などと考えていると、新たに客が入ってきた。初老の男性だ。

 

「隣、いいかね。」

 

「ええ、どうぞ」

 

 簡潔に応対を済ませる。男性は味噌ラーメンを頼み、席に着く。俺は再び端末に目を落とす。一高のニュースを読むのをやめ、他のニュースを読み始める。少しして俺のラーメンが来る。さらに少しして男性のラーメンが来る。二人ともラーメンをすすり始める。その間に会話はない。半分ほど食べたのち、その静寂を嫌うかのように俺から口を開く。

 

「で、何の用ですか。閣下。」

 

「ふふ、流石に鋭いね。」

 

「何度あんたのことを見たと思っているんですか。さすがにわかりますよ。で何の用ですか?」

 

 この人は九島烈、かつて世界最強と言われた日本の魔法師の頂点であり、十師族、九島家の一員、そして俺の保護者だ。保護されるまでにはいろいろとあったんだが…それは今は割愛する。かなり魔法師界では著名な人らしいが、俺にとってはサブカル好きな少年趣味のただの爺にしか見えん。俺の家を作ったのもこの人だし。隠し扉はロマンだ!と言って譲らなかった、というエピソードがあるがそれは言ったらかなり尊厳がなくなりそうなので墓場まで持っていくことにする。ただ俺もかなり影響されている。麺好きもその一つだ。そしてさっき見た目が初老といったが実年齢は九十歳近い。

 

「君がブランシュ日本支部を壊滅させたと聞いてね。その話を聞きに来たんだ。」

 

「なんでもう知ってるんですか、あなたは…。まあいい、まずは…」

 

麺をすする手を止めることなく、俺は閣下に今回の事の次第を伝える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…これが今回の顛末です。」

 

「ふむ、今回の件でブランシュ日本支部が壊滅したか。しかし、そこまでやる必要はあったのかね?」

 

「あなたも分かっているはずですが。俺がやられたら何倍にして返すことは。」

 

「君らしいな。」

 

「で、他にも何かあるんでしょう。わざわざ仮装行列(パレード)まで使って来たんですから。用がこれだけだとはとても思えません。」

 

「特にないよ。しいて言うなら君の様子を見たといったところか…。」

 

「あっそ。」

 

「まあこの話はこれで終わりだ。話は変わるが今度私の家にきたまえ。光宣も会いたがっていた。」

 

「都合がついたら行かせてもらいますよ。」

 

「さて、用件も済んだことだし、私はお暇させてもらおう。」

 

 先に食べ終わった閣下が店を出ていく。日本の国宝レベルの重要人物のはずなのにのんきなものだ。俺もすぐに食べ終わり、店から出て、自宅に向かう。空を見上げると、星々がはっきりと見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ブランシュを壊滅させてから一日、今日は学校もその影響で休み。丸一日寝てもみたいものだが、今日は周期が合わなかったようで、全く眠くない。仕方ないのでアーカイブを見るなりCADをいじるなりして暇をつぶそう。と思い、パソコンの前に座る。と同時にほとんど鳴ることの無い端末から着信音が鳴り響いた。いったい誰だと思い、連絡を送ってきた人物名を見ると、司波達也、と液晶に映し出されていた。いろいろな意味で珍しい。一つは端末に間違いでもなく普通に知人からかかってくること、もう一つは達也からの連絡であったことだ、今まで何度か連絡をする機会があったが、すべてメールで、今まで電話を送ってくることなんてなかったからだ。

 

「もしもし」

 

「もしもし、錬か」

 

「何の用だ?」

 

「少し話したいことがある。今日俺の家に来てくれないか?」

 

「別に構わないが…、お前の家はどこにあるんだ?」

 

「すまん。配慮が足りなかったな。これから俺の家の情報を端末に送る。とにかく来れるのであれば今日中に俺の家に来てくれ。」

 

「ああ、わかった。」

 

 そういうと着信が切れる。その後、すぐに俺の端末に位置情報が送られてくる。話したいこと、ねえ…。恐らく感づいたか?もしそのことを聞かれたら誤魔化す必要があるか、それとも…。…いや、今考えても仕方ないな。道中で考えよう。幸いこちらにも手札はあるんだ。最悪それを切ろう。そうと決まれば早いうちに行こう。部屋に戻り、外用の服に着替える。

 

「どうされましたか」

 

いつの間にか後ろに立っていたアストラが声をかけてくる。

 

「少し出てくる。帰りはいつにわからないから、飯の準備はいらない。」

 

「了解しました。くれぐれもお気をつけて。」

 

 家から出て、キャビネット乗り場に向かう。一応他人の家に上がるんだ。何かしら買っていこう。そう思いながら、舌戦に向けて、あるいは戦闘になることを考えて、気を引き締めた。できればそんな事態にはならなければいいんだが…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄様…」

 

「ああ、アポイントが取れた。今日来るそうだ。それと深雪、CADを手放すなよ。」

 

「はい、お兄様…」

 

 そのようなことにならなければ一番いい。深雪もそのようなことがないことを願っているのか、CADを持てと言った時、顔に影が落ちた。だが、もしそのような状況になったとき、深雪にはCADを使わなくてもいいように…。

 

「お兄様!」

 

 深雪が大声で声をかけてくる。なかなかこのような声を出すことがないので少し体が反応してしまう。だが、平静を保って答える。

 

「何だ、深雪。」

 

「お兄様一人で抱え込むのはおやめください。私たちは兄妹なのですから。」

 

「ありがとう。少し気が楽になった。でも俺は深雪のガーディアンだ。深雪を守らなくては俺の存在価値がなくなってしまう。」

 

「はい…、申し訳ありません…。出過ぎたことを…」

 

「いいんだ。深雪の気遣いで俺は救われているんだ。お前のような妹を持てて俺は幸せだよ。」

 

 深雪の頬を撫でながら、そう答える。

 

「それに…私はそのようなことがないと信じていますから。」

 

「それもそう思っているよ。」

 

 錬に敵意があるのかどうか、それを確かめるために呼び出したのだ。今回で見抜いてみせる。俺たちの平穏を守るために…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺はケーキが入った紙箱を持ちながら、住宅街を歩く。端末を眺めながら目的の場所を目指す。すると、目的の場所に着いたようだ。随分とデカい家だな。第一印象はそんな感じだった。俺が言えた義理ではないが、とても兄妹二人で住む家の大きさじゃない。そう思いながら、玄関のインターフォンを押す。すると、ほとんどノータイムで扉が開く。

 

「呼びつけてしまってすまないな。」

 

「構わない。今日は予定がなかったからな。」

 

 深雪にケーキを渡しながら、答える。達也の先導でリビングに案内される。簡素な飾りつけながら使いやすそうなリビングだ。ソファに座るように促され、遠慮なく座る。

 

「それで話っていうのはなんだ。」

 

「単刀直入に言う。お前は昨日ブランシュのアジトにいたな?」

 

 向かいに座っている達也が話を切り出す。ここで素直に認めるわけにはいかない。まずは何故そう思うのかを聞く。もしこれでちゃんとした理由がなければいくらでも誤魔化せる。

 

「……なんでそう思う。」

 

「ブランシュのリーダー、司一がお前に襲われる心当たりがあると言っていたからだ。それにお前は昨日すぐに帰宅している。」

 

「その司一はその男の顔を見ているのか?それに俺と同じように早く帰った奴なんて俺以外にもいるだろう。」

 

「それは…」

 

 達也が言葉を紡げなくなる。これで終わりではないはずだ。と思い、改めて気を引き締めると、お茶を持ってきた深雪が兄の援護射撃のためか口をはさんでくる。

 

「そういえば、錬さんは何をブランシュにされたのですか?」

 

「いや、特に何をされたわけじゃないぞ。」

 

 しかしこの回答が悪手だったのか、息を吹き返した達也が再び質問をしてくる。

 

「それじゃあなぜブランシュが襲われる心当たりの中に入るんだ?」

 

 どうやら援護射撃は成功してしまったみたいだな。さてどう返してやるか。適当に言ったんじゃないのか。という案は無理やりすぎるので却下。今度はこっちが答えに困ってしまう。…仕方ない。手札を切るか。

 

「…取引をしないか。」

 

「何だ?」

 

「そっちがなぜわかったのかを教えてくれれば、こちらも話せるだけのことを言おう。」

 

「一つ聞かせてくれ。なぜいきなり。」

 

「正直に言うと誤魔化すのに困ったからだ。」

 

「あそこにいたことは認めるんだな。」

 

「ああ、どうだ、悪い話ではないと思うが…。」

 

「ということはあれをやったのもお前か?」

 

「それは取り引きに応じるかだ。どうだ、四葉達也、四葉深雪。」

 

 このままでは一方的に情報が引き出されてしまうと思ったので、切り札を切る。すると完全に二人の顔色が変わる。

 

「なぜそのことを!」

 

「それも取引の内容だ。どうだ?あとそんなに殺気をぶつけて来るな。話もできない。」

 

「…分かった。取引に応じよう。しかし、一つ条件がある。俺たちのことは」

 

「分かってる。それはお互い様だ。」

 

 取引成立だ。二人の顔色が元に戻る。

 

「まずは俺たちから質問させてもらうぞ。それをどこで知った?」

 

 警戒心を全開にしながら達也が開口する。無理も無い。恐らく極秘のことをあっさりと知られてしまったのだから。

 

「俺の魔法、というか異能でだ」

 

「どういう事ですか?」

 

「俺の頭にこの世界の全ての知識が図書館のように並んでいて、そこに任意にアクセス出来る。と考えてもらえればいい。」

 

 二人の顔が本名を言われた時と同じほど驚愕に染まる。俺もこの異能はチートもいいところだと思う。この世にはフリズスキャルヴなるものがあるらしいが、それとはまったく比にならない。あれは世間にある情報しか集められないが、これは世間だけじゃなくこの地球のすべて、太陽系、果てにはこの宇宙のすべてを知ることができる。俺の頭が追い付かないため、せいぜい太陽系の断片までしか知ることができないが、それでも壊れ性能だと思う。どんなに秘匿とされている情報であっても俺にはわかってしまう。

 

「つまりお前には...」

 

「隠し事は一切不可能。どんなことでも調べられるからな。」

 

二人が気が抜けたように脱力する。

 

「じゃあ俺たちの周りについても…」

 

「もちろん知っている。興味がないから調べていないが、調べようと思えばすぐに調べられる。恐らくやらないがな。」

 

 達也が気が抜けたように背もたれに体を預ける。一気に疲れたのか、さっきから今までで表情が少し違う。さっきよりも大分穏やかになった。それでも気力を振り絞るように体を起こして、俺に質問を投げかけてくる。

 

「じゃあ二つ目だ。お前があの時載っていた車。その素材は何だったんだ?」

 

「あれは俺が造った素材だ。」

 

「造った?」

 

「これが俺の魔法だ。錬成、と言って、素材を一度分解して別のものに組み替えたり、それを構成している原子を別の原子を変化させる魔法だ。」

 

 達也は驚いたような顔をするが、深雪は理解が追い付かないといった顔をする。まあ当然だが。一回聞いただけじゃなぜその素材のことにつながるかがわからないだろうからな。達也はなんとなくわかったような顔をしているが。

 

「……つまりどういうことですか?」

 

「深雪、この世の中にない素材を作ることができるか。」

 

「いえ、それはほぼ不可能です。もし新たな素材を作りだしたといってもそれは技術的な意味しか持たず、産業的な活躍をさせることはできないでしょう。」

 

「そうだな、だけど錬はそれができる。架空の素材などを造り出せる。」

 

 ここでやっと深雪が驚愕する。そこで口をしっかりと隠すあたりは育ちがしっかりとしているということか。

 

「ああ、俺の錬成と異能はかなり相性が良くて、知識の魔法を活用することで作るのが難しい合金はもちろん、この世に存在していない素材、架空の素材なども造りだすことができる。話を元に戻すと、あれはアンチ・マジック・マテリアルという素材で、素材のエイドス情報を固定し、どんな魔法であっても改変を受け付けないというものだ。心配しなくても、これを市場に出したりすることはないがな。」

 

「もう驚くのもつかれてきたな…。」

 

 達也が苦笑する。深雪はまだ驚いている。かなり情報を与えたが、こちらがかなり情報を握っているといってもかなり譲歩した方だろう。

 

「それじゃあ、お前の協力者についてだが…」

 

「おっとそれはだめだ。今までのは俺だけの情報だったが、そこから先は他人の情報も入ってくる。向こうのプライバシーもあるから、それは言えない。」

 

 胸の前で腕を×に組んで拒否の反応を示す。すると、達也が事情を理解したのか、踏み込んでこなくなった。

 

「分かった。それじゃ……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで最後だ。あの時の格好は何だ。」

 

「あれは単なる趣味だ。特に深い意味はない。」

 

「趣味ならば悪趣味としか言えないんだが…。ともかく今日は呼び出してすまなかったな。」

 

「こっちとしてもだいぶ有益だったから、別に構わない。」

 

 暇つぶしに困っていたので、そのネタ程度にはなった。情報を大量に与えたが、結果的にはよかったかもしれない。

 

「あと一つ。」

 

「「…?」」

 

「今回でお前たちの情報を握っているといったが。俺はそれを一方的に使ったりはしない。」

 

「…そうか。じゃあこちらからも質問だ。なぜ俺たちにこんなにも情報を与えた?これではこちらがあまりにも有利だ。」

 

「俺がお前たちを味方につければ、こちらにも有利だと考えたからだ。」

 

「…そうか。わかった。今日はありがとうな。」

 

「それじゃあな。」

 

「ああ。」「また学校で。錬君」

 

 達也の家を後にする。結構長く話していたようで空が赤く染まり始めていた。特に何もすることもないのでもう家に帰ろう。アストラに連絡を入れ、飯を作っていてくれるように言う。アストラの食事にありつくために帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…お兄様。」

 

「ああ、今は錬を信じよう。」

 

 今は信じることが最善であろう。あれだけの情報を自分から切れる時点で俺たちと敵対しようという意思はないとみていいだろう。それに味方につけておけば俺の目的に役に立ってくれるかもしれない。

 

「……叔母上に報告をしなければな…」

 

 どのようにして伝えるか。俺は、というか俺たちはあいつを敵でないと認識している。しかしあの魔法。知れば悪用しようとする輩は必ず出て来るだろう。特に叔母上は狙ってくるだろう。だから俺はあいつを叔母上に悪用されないようにして誤魔化しながら伝えなければならない。あいつを守るために。俺たちの友人を守るために。

 

 

 




 いかがでしたでしょうか。今回で錬が使える能力が明らかになりました。戦闘向けではありませんが結構チートです。

ここで錬君の紹介を簡潔にしたいと思います。

 園達 錬(16歳)男

 身長170センチで体重62キロ。運動神経は普通よりいい程度。顔は魔法力に見合ってイケメン(死ねばいいのに)。だが目の下のクマのせいでイケメンが薄まっている。(ざまあ)だがそれがいいという女子生徒も少なくないらしい。達也が表情豊かだと思えるほどの無表情。不眠症の気があり、ある周期で来る睡眠の日が来ないとまともに眠ることができない。

 魔法力、サイオン保有量ともに世界でもトップクラスで一校では深雪と十文字以外まともに相手にできない。特意な魔法、苦手な魔法はなく、ほぼすべての系統の魔法を使いこなす。魔法力はとある事情からここまで大きくなっている。

サブカル好きでアニメ、ゲームが好き。休みの日はこれらで遊んでいることが多い。

九島烈には恩を感じており、この人かラーメンが最優先事項。

麺類に目がなく、餌として出されると簡単に食いつく。

現在はAI一台、自動車一台と一軒家で暮らしている。

 こんなところですね。魔法の説明は次からの前書きで紹介したいと思います。分からないことがあったら質問ください。

それでは次回までお楽しみに。あと評価ご感想お待ちしています。




  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。