魔法科高校の劣等生 ~世界をひっくり返す錬金術師~ 作:カイナベル
錬特有のBS魔法。手に触れたものを物体を電子、陽子、中性子に分解して再構築することにより、別の物質に変えることができる。この魔法を使うことにより、有機物から無機物を作り出すことも可能。しかし無機物から生物などを作り出すことは不可能。(紙などの有機物は作り出せる)物体の形状を変えることもでき、これによって触れたものを戦闘用に即座に加工することも可能。
人を分解、再構築することでけがの治療も行えるが、それにはその人物の人体構造をすべて知っている必要があり、基本は自分以外には使わない。分解だけを使い、即死攻撃としても使える。
達也の分解、再成と似た能力ではあるが、遠距離から攻撃できる達也に対して、錬の錬成は手に触れなければならないため、遠距離からの攻撃が多い、現代では攻撃用魔法としてはいまいち。だが、レアメタル等も生成できるため、技術用魔法としての側面が強い。
構造を知っているものであれば、ありとあらゆるものを作り出せる。(これ重要)
こんなところですね。こんな感じで錬の能力をこれから前書きで紹介していきたいと思います。明日は異能の方です。
それではお楽しみください。
「それでは一応ルールを説明します。直接攻撃、間接攻撃を問わず相手を死に至らしめる術式は禁止。回復不能な障碍与える術式も禁止。今回は相手の肉体を直接攻撃することは禁止です。勝敗は一方が勝敗を認めるか、審判が続行不能と判断した場合に決します。このルールに従わない場合は…、ここから先はいりますか?」
「必要ない。お互いにわかりきっていることだ。」
俺の前に立っている渡辺先輩から凛とした声で二人の間に立っている達也に返答が成される。そのすぐそばには七草先輩と深雪の姿。そして俺が今いる場所は演習室。これから行われるのは俺と渡辺先輩による「正式な試合」。このようなことになってしまった原因で頭を痛ませながら、俺は心の中で深くため息をついた。
「錬君、君には私と試合をしてもらう。」
「は?」
先輩に失礼だと思いながらもこの声が出るのを我慢できなかった。放課後、いつものように本部で仕事をしていたところ、生徒会室から降りてきた深雪に生徒会室に来るように呼ばれた。何の用かと首をひねりながら生徒会室に入ったところ、あの言葉だ。あんな声出てしまっても不思議じゃないと思う。なぜ俺が、思い、心当たりを探したところ、自分でも思い出したくはなかったが、すぐに見つかった。ブランシュ事件の後、ラーメン屋にいるときに見たメール。あの時に内容は「登校してきたら、お礼をさせてもらおう。」という内容だった。ちょっと時間が経っていたため、忘れていたが、その時書かれていた
「君はブランシュ然り、狙われることが多いようだからな。実力行使ができないといっても自衛のための力くらいはつけておくべきだ。そのための訓練を今から行う。」
そんなことは望んでいない。あなた方に訓練を受ける前から何度もやりあっています、と言いたかったが、その言葉をぐっと飲みこんだ。訓練というのは建前でお礼をするための口実でしかないのだろう。そう考えると納得がいく。何とかして回避しようと、俺のことを知っている、深雪に助け船を出してもらおうとしたら、作業に集中しているようにしてこちらを向こうとしていなかった。やはり深雪は俺に何らかのうらみがあるのだろうか。辺りを見渡すと七草会長は軽くうろたえている俺を見てにやにやしているし、市原先輩は作業に集中している。こちらを見ていた中条先輩は俺が見た瞬間、睨んでいると錯覚して、「ピッ!?」と何とも不可思議な声をあげて作業に戻ってしまった。ちなみに服部会長は今いない。どこかにでも出ているのだろう。どうしようか、と考えながら渡辺先輩の方を向く。すると俺はよほどいやそうな顔をしていたのか、嬉しそうに口角を少しだけ上げて言葉を発する。
「ちなみにだが君には拒否権はない。強制的に受けてもらうぞ。」
どうやら逃げ場はないようだ。断ることを諦めて覚悟を決めることにした。学校を巡回していた達也に審判を頼み、渡辺先輩に連れられ、その後ろに七草先輩、深雪を連なって演習場に向かうこととなった。
そして現在に至る。正直今でも断ることができないかの案を探している。どうにかできないかという視線を達也に向けると同じように視線で「諦めろ」と返ってきた。
「まずは君の実力を見せてもらう。その後にどんな訓練をするかを考えさせてもらう。」
一体どれだけ俺をしごくつもりなのだろうか。それ以前に気になることがあるので質問する。
「渡辺先輩、他人の特訓メニュー考えられるんですか?」
するとこの質問がよほど面白かったのか、七草会長が噴出し、渡辺先輩が不機嫌そうな表情をする。
「失礼な奴だな。私だって他人一人くらいの練習メニューくらい管理できる。」
「自分の所属している委員会の本部も片付けられない人が言っても説得力ありませんよ。」
この言葉で七草会長の笑いは加速し、とうとう声をあげて笑い始めた。対して渡辺先輩は先ほどよりもさらに顔が赤くなっている。達也は顔色一つ変えていないが、深雪はこのカオスな現状に動揺している。七草会長の笑いが不愉快だったのか、「やめろ」という意思を込めて七草会長を睨みつける。すると、その視線に気づいた七草会長が笑うのをやめる。だが、まだ止められないのか、いまだに肩を震わせている。だが、渡辺先輩はもう気にしていないようだ。場がだいぶ落ち着いたところで始まりの雰囲気になる。渡辺先輩は腕につけているCADに手を添え、俺も同様に手に持ったCADを地面に向ける。演習場が完全な静寂に包まれる。
「始め!」
渡辺先輩と俺との火ぶたが切られた。
今回私が錬君に試合を挑んだ理由は二つある。一つ目は、単に生意気な後輩をシメたかったからだ。こんなことはどうでもいい。もう一つは錬君の実力を見たかったからだ。今年の入試成績一位、司波深雪以上の魔法力の持ち主、その魔法力から繰り出される魔法がどれほどのものかが知りたかったのだ。自衛の練習を言う理由で引っ張り出してきたが、正直、その必要もないと思っている。練習をつけるなど、今回引っ張り出してくるための建前でしかない。そんな理由で私は演習室で錬君と向かい合っていた。達也君からルールの説明がなされ、私は一応建前として言葉を述べる。
「まずは君の実力を見せてもらう。その後にどんな訓練をするかを考えさせてもらう。」
正直そんなつもりは一切ない。正直考えられるほど私は器用ではない。
「渡辺先輩、他人の特訓メニュー考えられるんですか?」
核心を突かれるとは思わず私は動揺してしまった。私の顔は今赤くなっているだろう。この言葉を聞いた真由美は噴出している。だが、ここで考えられない、などと言っては先輩としての威厳がなくなってしまうので、できるという意を返すことにする。
「失礼な奴だな。私だって他人一人くらいの練習メニューくらい管理できる。」
「自分の所属している委員会の本部すら片付けられない人が言っても説得力ありませんよ。」
端で見ている真由美が声をあげて笑い出した。私の顔もさらに赤くなっているだろう。別に片付けられないことはわかっているが、ここまで言われると、さすがに私も少し腹が立ってくる。だが、連君よりも今は真由美に腹が立っている。いつまで笑っているんだ。真由美のことを睨みつけると、やっと笑うのをやめた。いまだに肩を震わせているが、もう気にしないことにしよう。チラリと達也君の方を見ると、特に気にした様子もないようだ。
少しすると、演習場に静寂が訪れ、始まりの空気になる。
「初め!」
合図が出され、私はCADを操作する。まず発動するのは、単純な移動系魔法、かつて服部が達也君との試合で発動しようとしたものと似たものだ。これで後方に吹き飛ばそうとし、魔法発動のために手を前に出した。私の魔法が発動し、錬君は吹き飛ぶと思った。しかし、錬君は吹き飛ばなかった。錬君を見ると、特化型CADを持ったまま、汎用型CADを操作、硬化魔法を発動し、自身の相対位置を固定し、吹き飛ぶのを阻止したのだ。私は戦闘中ではあったが、素直に錬君のことを尊敬してしまった。一校の三巨頭と言われ、魔法力には自信があった私よりも速く魔法を発動、正しく対処して見せた。これでは私の闘争心が燃え上がってしまう、などの一瞬の思考のうちに錬君が動いていた。特化型CADで発動したのは単純な加重系統、だがこれならばいくらでも対処できる。自己加速術式を発動し、効果範囲内からすぐさま離脱する。
「どうした!君の魔法はそんなものか!」
挑発の意を込めて、錬君に話しかける。答えない。が別にそれでいい。この会話に意味などない。この言葉は思考をまとめるための時間稼ぎでしかないからだ。再びCADを操作し、次の魔法を発動するために互いにCADを操作する。発動したのは同じ魔法。
「エア・ブリット」
空気を圧縮して打ち出す魔法。だがこれ単発では私には当てることはできない。互いに右に移動し、空気弾を躱す。が、躱した先で私は体が急激に重くなった。下を見ると魔法の痕跡。加重系魔法で体を地面に縫い付けられているのだとわかった。が、そこまで分かった私の頭は混乱を極めていた。なぜ魔法が発動しているのか、分からなかったのだ。錬君から目を離してもいなかったし、CADを操作した兆候もなかった。そのように混乱した頭で考えていると、魔法が終了し、体の重さが消えた。なぜこんな短くとも思ったが、チャンスだと思い体を起こした。が既に勝負は終わっていたのだ。視界には私の頭にCADを突き付けて立っている錬君が映っていた。私はここから挽回する策を持っていない。私は両腕を上げる。
「降参だ…」
「降参だ…」
この言葉でやっと俺と渡辺先輩の試合が終わる。俺は渡辺先輩に手を出し、捕まった渡辺先輩を引き上げる。七草会長の方を見ると、達也を除いた深雪と七草会長が驚いたような、困惑したような顔をしていた。その困惑を代弁するように渡辺先輩が口を開く。
「錬君。あの時の加重系魔法は一体いつ発動したんだい?最初の魔法発動から私は君から一切目を離していないんだが?」
多分、疑問に思っている人物全員が同じ疑問を持っているのだろう。七草会長たちが聞きたいという顔をしている。俺はその疑問を解消するために説明を始める。
「最初に加重系魔法を発動した時に汎用型で同時に発動したんですよ。渡辺先輩の視線は特化型に集中していましたから。」
左右のCADで同系統の魔法を同時発動。いわゆるパラレル・キャストというやつだ。これを実行したことか、はたまたそれを全く気取られること無く実行したことにかは分からないが、三人は驚いていた。
「だが、どうやって魔法を悟られないようにしたんだ?発動してからずっと発動しっぱなしではさすがの私でもわかるぞ?」
解決した後に新たな疑問が上がる。だが、これには俺ではなく、手持ち無沙汰になったのであろう、達也が答えてくれた。
「恐らく、魔法発動時間と効果発現時間をずらして発動したのでしょう。わざとラグを作り、渡辺先輩がその場に来るタイミングで発動するように設定し、魔法に気付かれないように偽装したのでしょう。特化型に意識を集中していた渡辺先輩では同時に放たれた魔法に気づくことができなかった。そうだろ。錬。」
俺は首を縦に振る。まったくもって達也の言う通りである。これ以上の説明が要らないほど完璧な説明だ。
「でも、じゃあ摩利があの方向によけなかったらどうしたの?」
七草先輩から疑問が呈される。俺はそれに特に何も考えることなく答える。
「その時はその時です。まだやり様はいくらでもありましたから。」
会長たちが絶句する。これは本心だ。まだまだ使える魔法はあったし、見せるわけにはいかないが俺には奥の手もある。正直、勝つこと自体は簡単だった。
「なんかもう言葉にできないわ…。」
「ああ、ここまでの魔法師だとは思わなかったな…。」
二人から感嘆の声が溢れる。
「でも、錬君。これほどの実力があるのに何でデスクワーク専門なの?ここまでの実力なら校内でも勝てる人なんていないと思うけど?」
七草先輩が口に人差し指を当てながら聞いてくる。これに関しては別段特別な理由ではない。
「俺はそもそも荒事が好きではないといっただけで、荒事が苦手でもないですし、ましてや嫌いなんて一言も言っていません。」
この言葉に達也ですら絶句する。渡辺先輩に関しては頭を抱えている。ちょっと意地悪かもしれないが荒事が好きではないというのは本心だ。好きではないというか、戦闘から少しは離れる時間を作りたい、の方が近いだろうが。
「かといって、俺を巡回には出さないでくださいね。」
このままだとデスクワーク以外の仕事を有事以外にもやらされそうなのでくぎを打っておく。すると、そんなつもりはないよ、と返ってくる。これで一安心だ。そうしていると、回復した渡辺先輩が口を開く。
「しかし、喜ばしいことだな。達也君といい、錬君といい優秀な後輩がそろっているようで。」
この言葉に真っ先に反応したのは七草先輩だった。
「そうね。これで私たちが卒業しても安泰だわ。それじゃそろそろ戻りましょうか。そろそろ終わりそうだしね。」
七草先輩がそういうと、一人、また二人と出ていく。しかし俺は最後の二人の会話で何故だかいやな予感しかしなかった。
後日、このことを話の流れで雫たちに話したところ、とても祝福してくれ、特にエリカが祝福してくれた。その勢いは渡辺先輩に親でも殺されたかのようだった。
いかがでしたでしょうか。今回の戦闘シーン、無理がないものにはなっていると思います。ここで錬の戦闘能力を説明しておきますと、殺し合いなら、達也と九重八雲にぎりぎり勝てるか勝てないくらい。その他であれば普通に勝てます。
気になることがあればご質問ください。
それでは次回までお楽しみに。あと評価ご感想お待ちしています。