ガールズ&パンツァー ~もし西住まほが大洗に転校していたら~   作:アイアンクラッド

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第9話:これが西住流です!②

 

「戦車道はその名に“道”を冠する武道だ。1つの“道”を通して自己の精神の修練を行うことが根底にある」

 

 なればこそ、己の信じる“道”に迷いがあってはならぬ。雑念を滅し、自ら信じる道にひたすら没頭して邁進する。

 

 

「元より“技”というものは邪道の類、自分が相手より劣ると考えるから小手先の奇策でその場限りの勝利をもぎ取るもの。そのすべてを否定するわけでは無いが、目先の勝利にとらわれてあちらこちらへ飛びつくというのは、己の中で“道”が定まっていない事の裏返しでもある」

 

 

 真に“道”を極めた者ならば、いかなる事態に遭遇してもその芯が揺らぐことはない。

 

 

「一芸は万芸に通ず、多芸は無芸……ただひたすらに、己が極めた“道”を進むことこそ王道なのだ」

 

 

 だからこその、重戦車。それゆえの正面突破。

 

 

「西住流において“速さ”とは、単なるスピードを意味しない。対戦相手との相対的な“速度の差”の事をいう」

 

 いわばウサギとカメの競争だ。最高速度においてカメはウサギに敵わないが、ウサギが休んでいる間にもカメは歩き続け競争に勝っている。

 

「たしかに重戦車の最高速度は軽戦車に劣る。だが相手の反撃を受けた時、装甲の薄い軽戦車は後退せざるを得ないのに対し、重戦車は前へ進み続ける事ができる」

 

 西住まほが何を言わんとしていたのか、ようやく戦車長たちも理解した。

 

 相手を速度で上回ろうとするならば、それには1つの大前提が必要となる。

 

 

 即ち、“何があろうと自分が停まってはならない”――ということ。

 

 

 母から受け継いだ言葉を、西住まほは全員の前で口にする。

 

 

「西住流は、何があっても前へ進む流派」

 

 

 圧倒的な火力は相手の動きを止め――

 

 厚い装甲は砲火に耐えて前へと進み――

 

 隊列と規則によっ何があろうと動じない――。

 

 

 堂々と胸を張り、これ以上ないほどに誇らしげに。

 

 西住まほの口から、流れるような言葉が紡がれる。

 

 

「撃てば必中 守りは固く 進む姿は乱れ無し 鉄の掟 鋼の心 ――それが西住流」

 

 

 **

 

 

 西住流の根幹は機動戦である。戦いに勝つためにはスピードが必要であり、そのためには全てにおいて高速であることが必要であった。

 

 それは「素早い機動」「素早い判断」「素早い準備」「素早い攻撃」の4つに集約され、この中でも特に重視されたのが「素早い判断」であった。

 

「車長メンバーはこれから毎日、小テストを解いてもらう。答えは決まっている。それは戦車道の長い歴史の中で生み出された答えだ。我々が為すべきことは、ただひたすらにそれを覚え、脊髄反射のごとく即答できるように」

 

 まほはチームの根幹を担う車長たちに、常に素早い判断を可能にするような教育を施した。

 

 問題を一晩じっくり考えるような宿題は出されなかった一方で、その場で己の有する知識を総動員し即答する面接試験やペーパーテストが課せられた。

  

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