ガールズ&パンツァー ~もし西住まほが大洗に転校していたら~   作:アイアンクラッド

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第7話:筋トレです!

 

 翌日――。

 

 この日のまほは、装填手メンバーの特訓をする予定になっていた。早速グラウンドに呼び集められた装填主メンバーは……。

 

 

「「「「うっ、重い……」」」」

 

 

「まだまだ!あと2セットはいけるはずだ!」

 

 

 ひたすら筋トレをさせられていた。

 

 

 

「~~~~~っ!」

 

 いつも元気一杯な秋山優花里も、この日ばかりは苦しそうに顔を歪めていた。彼女は現在、腕立て伏せの真っ最中である。

 

「バレー部、ふぁいとぉ~……67、68、69ッ!」

 

 その隣では磯辺典子が気合で無理やり身体を持ち上げているが、顔は真っ赤である。

 

 必死に腕立て伏せを続ける装填手メンバーの耳に、西住まほの無慈悲な声が響き渡った。

 

 

「よし、あと12分だ! それまでに腕立て300回が出来なかった者は、グラウンド10周とする」

 

 

「「「できるか!」」」

 

 

 どう考えても普通の女子高生ができる回数ではない。結局のところ、目標に到達したものは誰もおらず、まほは地面に這いつくばったメンバーを見回す。

 

「ふむ、全滅か……磯部は惜しかったな。だが前言撤回はあり得ない。これより、全員でランニングを始めよう」

 

 そう言うが早いか、西住まほは先頭に立って走り始めた。他のメンバーも息を切らしながら、後を追って必死に走りはじめた。

 

 

「装填手の基礎は実に単純だ。筋肉と体力――この2つさえあればいい」

 

 

 走りながら、西住まほは全員に聞こえるよう声を張り上げた。腕立て伏せの疲労で息が苦しくなっている装填手メンバーは、ヤケクソ気味に「はいっ!」と答えるのが背一杯だ。

 

「なぜなら装填速度は、装填手の体力に依存するからだ。もちろん速いに越したことは無い」

 

 単純な話、相手の2倍の速度で装填できれば時間当たり火力は2倍になる。実に分かりやすい理屈だ。

 

「よって装填手はとにかく筋トレをすることだ。練習量がそのまま実力に結びつくから、地道な努力を怠るな!」

 

「「「はいっ!」」」

 

 その後も西住まほのトレーニングは続く。腹筋やらスクワット、鉄棒運動など運動部かくもやといった猛訓練に、装填手メンバーは内心で悲鳴を上げた。

 

「というかこれ、わざわざ西住殿が付き合う必要があるんでしょうか……」

 

「………」

 

 

 皆が口に出さずとも思っていたことが、ついポロっと秋山優花里の口から洩れてしまう。ジロリ、と厳つい顔をして振り向いたまほを見て、慌てて口を手でふさぐが時すでに遅し。

 

「いや、これは決して意味がないとかそういう意味じゃなくてですね、えーと……」

 

「気にするな。普通の部活動の筋トレではそこまで専門性は無いからな」

 

 まほが肩をすくめる。

 

「だが、私は先ほど指導したのはただの精神論に基づくトレーニングではない。たかが筋トレ、されど筋トレ……きちんとした科学的知識に基づいたトレーニングを行えば、体に負担を抑えつつ効率的に筋力と体力をつけることが出来る」

 

 聞けば、黒森峰では外部から専門のコーチを雇ってメニューを組ませている。まほは残った妹のみほに頼んで、遠く熊本から大洗まで資料を取り寄せたのだ。

 

 

(そういえば……いつもより体が軽いかも)

 

 

 ハッとしたのはバレー部の磯部だった。いつもより遥かに過酷なメニュー内容のはずなのに、不思議と体が動く。やみくもに体を動かすのではなく、きちんとどの筋肉にどれだけの負担をかけているか計算しているからこそ、こんな芸当が可能になるのだ。

 

「……とは言っても、疲れるものは疲れるんだがな」

 

 最後のカエサルのぼやきは、無かったことにされた。

 

 

 

 ***

 

 

 

「ふむ……そろそろ休憩にするか」

 

 2時間ほどのトレーニングの後、ヘトヘトになったメンバーを見てまほが呟いた。彼女が合図を出すと、まるで糸がぷっつりと切れたように倒れ込む装填手メンバーたち。

 

「も、もう無理……」

 

 バレー部で鍛えられているはずの磯辺典子ですら音を上げるのだから、他のメンバーは言わずもがな。地面に倒れ込んだ彼女たちを見て、まほは大事な事を一つ教える事にした。

 

「みんな、疲れているのは分かるが地面に倒れるのはおススメしない。特に晴れた日の地面は熱を吸収してかなり熱い。熱中症のリスクもあるから、まずは日陰まで移動してそれから水分補給だ」

 

「「「は~~い……」」」

 

 ゾンビのような呻き声をあげながら、よろよろと移動を始める装填手メンバーたち。その姿に憐れを催したのか、まほは特別に褒美をあげることにした。

 

 

「私が特別にブレンドした黒森峰秘伝のドリンクをやろう」

 

 

 そう言ってカバンから取り出したのは、乳白色に濁った怪しげな液体。どう見ても美味しそうには見えない。

 

「………」

 

「心配するな、ただのプロテインだ。バナナ味」

 

 

 

「「「遠慮しておきます」」」

 

 

 

 **

 

 

 そして午後16時30分、やっとのことで地獄の体力トレーニングが終わった時、装填手メンバーは疲れ果てて全員が地面に倒れ込んでいた。

 

 唯一立っている人間が西住まほだったが、その彼女でさえポーカーフェイスに疲労の色が見える。しかし流石は西住流後継者、鋼の心によって見事耐え凌いでいた。

 

「今日の体力トレーニングはこれで終了だ。後はこれを日々、継続していけば晴れて一人前の装填手になれる。体力は装填手の基礎、絶対に疎かにしないこと」

 

「はいッ!」

 

 全員が笑顔で返事をするのを見て、西住まほも満足そうな表情になった。

 




まほなら筋トレの水分補給にプロテインとか飲んでそう(勝手な思い込み)
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