メイヴ
瞬間時が止まった。あれ?前回の夏、メイヴとクレオパトラ同時に引いたなぁ・・・
持ってるんですけど
持 っ て る ん で す け ど
見事に4人のエミヤによる女難の相が働きました。爆ぜてアーチャー!自害せよっ!あ、でもメルトガチャで2枚目のキャスギルとエレナ引けたのでそこまで悪くはなかったです。
今回は大きく物語が進行します。別名急展開。あんな本やこんな生物?やら・・・・・・。
霧が立ち込める夜、カーター家の書庫にて、蝋燭の明かりの下俺は本を漁っていた。
なかなか目的の本は出て来ない。書庫の4分の3を読み漁っても出て来ないとなると此処にヒントは無いのだろうか?
「うーん、目が痒い。」
長い間本を読んでいたせいで目が渇き痒みを感じる。ゴシゴシと手で目をこすり、少し体を伸ばし休憩する。集中力を持続させる為に別のことを思考する。
俺の起源にあたる物が何か、未だにそれは自分でも分からない。無価値なのか無意味なのか、それとももっと別の何かなのか。正解を確かめることが出来ない為、任務を果たすまでに分かるか分からなくなってきた。そもそも架空の作品の設定なのだからそんな物を持っているとは思えないが。
それと、このセイレムに来てから謎が増えた。
一つは文章。読めない文字でも視界に入ってくると文字がいきなり水滴の落ちた水面のように振動し、日本語に変わること。読んだ本をカーターさんが見ていたが驚かなかった為、俺の脳が変化したのだろう。もしくは目の機能が増えたか。
二つ目は言語。これは途中まで気付かなかった。日本語で通じるというだけでも異常なのに相手も日本語で応答してくれるのは可笑しい。ここは日本じゃない。
まぁ正直どうでも良い上にシュブニ様ならそのようなことでもしていそうだ・・・わざわざ人体改造する位に重要な願い、もしくはそれを達成するのに必要なことだったのだろう。
とその時の俺は思い、この2つの謎については深く考えるのを止めた。考えてもきりがない。
しかし問題は3つ目、魔女裁判の始まり方だ。
本来、セイレム魔女裁判の正史通りならアビゲイルが突然暴れだしたり奇妙な行動をとるようになり、医師によって悪魔憑きと診断される筈だった。しかし、アビゲイルはそのような仕草を見せず、ティテュバさんは完全にホプキンスの想像と拷問だけで殺された。そこに告発などは無かった。ここから俺が導き出した結論は5つ。
1つ、俺が既に幻覚を見ている。
2つ、此処はセイレムでは無く死後の地獄であること。
3つ、俺の知っている史実が間違えで、本来はこのセイレムが正しかったということ。
4つ、このセイレムは俺の知っているセイレムでは無く、違う世界、違う結末や過程を送ったセイレムだということ。
5つ、歪んだセイレム。セイレムの歴史に何か大きな異物が混じり、結果史実と全く違うセイレムの姿になったということ。
1と2があるのは完全に否定出来る材料が無いからだ。幻覚なんて見ているのかわからないし、地獄だと言われても死後に地獄が見れていないからだ。そもそももしかしたら地獄は複数あるのかもしれないし。
3は正直難しい。セイレム魔女裁判の記録が博物館に残っている為あまり信憑性が無い。しかし絶対に史実通りだったとは実際にこの目で見ていない為断言することも出来ない。
4は根拠が薄い。死後に放り出された場所が普通の場所とは少し考えずらかったからだ。平行世界か並行世界か・・・どっちでも構わないがこれは3と見分けがつかない。
5は・・・正直一番それっぽくあり一番根拠が無い。シュブニ様が探している門番という存在がセイレムの歴史を狂わせているのでは?という位だ。確証は無いが関わっていても可笑しくは無い。そんな気がするという理由だけだ。
「・・・はぁ、疲れた・・・ふぁあぁぁ゛ぁ゛ぁ゛・・・」
大きな欠伸をして本を片付け始める。これ以上は少しキツい。ここらで作業を取り止めておかないと徹夜しそうだ。俺は興味を持ったモノに関してはストーカーがドン引きする位にはしつこく知りたがるからだ。
俺は読んでいない本と読んだ本を次読みに来る時に読んでいない本が分かるように1冊の本を少しだけ外に出っ張らせた。名前は・・・
「『イスラムの琴』・・・・・・これは題名からして何か御伽話っぽいな・・・いや、もしかして聖書か?」
良くこんな本まであるなぁと感心しながら、俺は片手に火のついた蝋燭を持ち、木製のドアノブに手を掛ける。
ガチャッとドアが開くと同時に、背後から何かが落ちた音がした。そっと背後を見ると、落ちたのは先程名前を確認した『イスラムの琴』だった。
「げっ、折り目付いて無いよなぁ・・・!」
本のページが木の床に面していることによりとても心配になった俺は落ちた本の近くに戻った。
ページをパラパラと捲り確認したが、特に折り目は付いていなかった。
「ふぅ、安心安し・・・ん?」
ページをパラパラと捲っていたら、本から何かのメモが出て来た。カーターさんが栞として使っていたのだろうか?だとしたら怒られてしまいそうだ。
「何か今日は不幸じゃないか?・・・・・・っ」
メモを見て、出て来そうになった叫びを必死に出さないように押し込める。咄嗟に周りに誰も居ないか確認し、メモを本に挟んで元の位置に戻す。
書かれていたのは2つのワードだけ。しかし字体は誰の物なのか分かった気がする。
「『銀の鍵』『外なる神』・・・・・・。内容は分からないが、この2つのワードの内の1つである『銀の鍵』は俺の目的である窮極の門の番人に関係している可能性があるな・・・・・・調べてみるか。」
これで『イスラムの琴』の内容を読まなければいけなくなった。このメモが挟んであった本は重要なヒントになり得る可能性があるだろう。しかし問題はメモを書いた人物だ。もし本当に想像している人物ならば、今後俺は少しその人物の行動を注意して見た方が良いかもしれない。このメモを書いていたとなればまず普通の人では無い可能性があるということになる。シュブニ様ほどの者が頼むことに関係しているということなのだから。
「外なる神・・・・・・もしやシュブニ様はそういった分類の中に当てはまる者なのか?・・・読んで見れば分かるだろうか・・・。」
俺は本を机の上に置き、椅子に座って読み始めようと本の表紙を捲ろうとした。しかし、扉の外から歩く度に起きる木の床が軋む音が段々此方に向かって来ていることが分かった。俺は急いで本を棚に戻した。直後、扉がゆっくりと少しだけ開き、ドアの隙間から青い目が此方をジッと覗く。
「・・・・・・旅人さん、調べ物は終わったの?」
「あ、はい。たった今終わりました。」
ビ、ビックリした・・・・・・。
アビゲイルは俺が調べ終えたと聞くと俺の座っている近くにまで来てカーターさんが出て行ったきり家に帰って来ていないけれど知らないか?と聞いてきた。どうやら俺が調べ物をしている間に村人が此処を訪れていたらしく、その村人にカーターさんが付いて行ったらしい。
「一緒に探しに行かない?」
「いや、カーター様をお待ちしま・・・すみません。」
断ろうとしたのだが、アビゲイルが少し寂しそうな顔をしていることに気付き取り止める。勝手に消えたことを今日反省したのにまたやらかすのかカーターさんは・・・・・・。それとも――
「アビゲイルお嬢様一人を夜の散歩に出してしまいますと、私もカーター様も心配になってしまいます。カーター様を探すのに私が付き添いましょう。」
そう言うとアビゲイルはパァっと咲いた花のように明るい表情となり、行きましょう!と俺の手を引っ張って玄関まで走り出す。俺はアビゲイルの走るテンポに合わせて小走りする。あ、光は必要だな。玄関に置いてあったランプを借りよう。
「行きましょうか。」
「えぇ!」
ザワザワザワ・・・・・・
村の広場まで来ると夜にも関わらず多くの人が集まっていた。良く見れば人だかりの奥に人の姿が見える。どうやら村人達はそれから距離を取っているようだが・・・・・・?
「人が多いですね・・・アビゲイルお嬢様は此処で少々お待ち下さい。私が少し様子を見てきますので。」
俺はそう言って村人達の方へと向かい、人の波を掻き分けて先頭に出た。一体何が起きていると言うのだろうか・・・
「・・・・・・は?」
瞬間、全身に冷水を掛けられたかのような感覚を覚える。人、そのように見えていたソレは、肌の色が青白さのある灰色のようであり、焦点が合わず、爛れた口を持って此方にゆっくりと歩いて来ていた。一歩進む毎に腐敗臭が襲って来る。
最速それは、人というにはあまりにもかけ離れていた。これを見た人は誰しも一度は思うだろう。
――死者が蘇ったと
「・・・・・・」
『・・・・・・・・・ァ゛ァ゛・・・』
良く見ればソレは此方を向いては居るが、なかなか此方へ向かっては来ない。注意深く仕草や全身を見ているととある事に気付き、偶然ソレと目が合った。
『ァ゛・・・ァ゛ァ゛ァ゛・・・・・・』
声帯が潰れているのか、息を吐く音しか聞こえない。しかし、目が先程より見開かれているのははっきりと分かった。
見られている。俺をアイツは見ている。異様な姿をしたソレを見て、自然と足が動いた。
逃げよう。
「・・・・・・!」
俺は人混みを掻き分けてアビゲイルの居る場所まで走り出した。後ろは振り向かない。徐々に背後から村人達の悲鳴が聞こえてくる。追って来ていると言うのだろうか?
「旅人さん、どうしt――キャッ!」
「静かに、目を瞑って、耳を塞いで下さい。後ろを振り向かないで・・・!」
アビゲイルをお姫様抱っこして走り出す。取り敢えずはカーター家まで戻る。それで駄目なら森で撒く。
「ハァ・・・ハァ・・・」
走る、走る、走る――
耳を澄ませば背後から呻き声のような物が聞こえる。アビゲイルは言った通りに耳を塞いで目を瞑っている為気付いていないのだろうが、何かが起きていると確信している為か少し怯えている。
「・・・・・・よし!着いたっ!」
『ァ゛・・・ァ゛・・・!・・・ァ゛ァ゛!』
屋敷の扉を開けて中に入り、即座に鍵を閉める。
腐った肉が扉にぶつかり、ぐちゃっ、ぐちゃっと音を立てる。
「た、旅人さん・・・アレは・・・」
「気にしないで下さい。ただの劇団員です。ここまでわざわざ演技しに来てくれているだけですよ。でも少し迷惑ですね、アビゲイルお嬢様は部屋に居て下さい。私は少し彼女と話をして来ますので。」
アビゲイルの潤んだ瞳を見て自分の部屋に行くように促す。こうして話している間にも扉が壊されて入って来てしまうかもしれない。そうなればアレから逃げるのは難しい。
俺は書庫の部屋の窓を開け、そこから再び外に出る。まだ扉の前に居る爪が真っ赤に濡れているソレに向かって窓を閉めて走り出す。
「おい、こっちだっ」
『ァァ゛・・・ァ゛・・・ァ゛ァ゛・・・』
鬼ごっこが再開し、俺とソレはアビゲイルが熱を出したあの森へと走り出す。森で上手く撒いて逃げる、もしくは――
殺られる前に・・・殺るしかない。
覚悟はした。アレはもう人じゃない。別の何かだ。例えどれだけ知り合いに似ていたとしても、アレは彼女じゃない。逃げられたなら逃げる。が、それが無理ならどうにかして先に殺すしかない。
『ァァ゛ァ゛・・・ァァ゛・・・!』
俺は、まだここで死ぬ訳にはいかないんだ。
深い霧が立ち込める夜、狼の居る森にて、狩る者と狩られる者の競争が始まった。
すまない、駄目文なんてレベルじゃない急展開ですまない。セイレムの終盤以上の急展開で本当にすまない・・・。深夜帯に書くことが出来なくなり遅くなってしまい本当にすまない。