Infinite Dendrogram総合掲示板 作:レイティス
■【大教授】Mr.フランクリン
決闘施設のないグランバロア以外の六大国の闘技場は大小の差異などはあれど基本的に構造的に似通っている。
そのどれもが先々期文明以前に作られた代物であり、決闘に関する職業やその条件でもある"決闘ランキング"の存在を考えれば、国家間で差異を設けるのは好ましくなかったのか。
ともあれ、その
つまり何が言いたいかと言うと、襲撃のためにギデオンの闘技場に行った時はその後の大仕事と慣れないアナウンスで機能を使う事もなかったけど、今の私はただの観戦でありボックス席の機能を存分に活用していた。
『ゼタ:《コードⅦ:フォール》』
『MGR:《サイコキネシス》』
「へェ、モンスターも分かるんだ。《魔物言語》系統の仕組みも入ってるなのかな?」
「いえ、スキルを感知する効果が仕組まれているんですよ。例えば無詠唱とかでも使用スキル、魔法は分かるらしいですよ?」
つい零れた独り言だったけれど、この場にはそれに答える声があるのを失念していた。
<叡智の三角>サブオーナー、【
「兵装のスキル確認に良いなぁ。どこか安い闘技場買い取って実験場に出来ないかなぁ?」
「全て国営なんですから、いくらなんでも闘技場を手放すなんて余程の理由がないとしませんよ……」
もしかしたら国庫の蓄えを危惧したヴィゴマ宰相が利用率の低い闘技場を売ってくれるかもしれないじゃない?
「言うだけならただですね本当……それより、あの秘密兵器はどうしたんです?」
「んン? 【プロトタイプマーシャルⅡ】は班長からのお願いで特に極端な改装なく基本性能の底上げをした機体のはずだけど」
「……分かってて言ってますね? ミュウの事ですよ当然」
ジト目でこちらを見てくるランブルに苦笑を返す。
その間にも【MGR】──No0151は念動力でゼタの妨害をし、グラン班長は《即自放出》で出した【MGWT-001 プロトタイプマーシャルⅡトランプルカスタムver2.80】に乗り込む事に成功したようだ。
『……驚愕。まさかミュウと相対することになるとは思いませんでした』
『そりゃ、特典素材使ってオーナーの
『ゼタ:《コードⅠ:フォーミング》』
『MGR:《サイコキネシス》』
『グラン:《バルカン式ナパームグレネード》』
三者三様にスキルによる攻撃を行うが──その結果は最初とは違っていた。
不可視の攻撃は相殺しきれず、【MGR】が恐らく空気弾による痛撃を受けて鳴き声を漏らす。
範囲より威力を取られるとダメ、と。
そしてグラン班長が空気操作阻害のために射出したナパーム弾はしかし──燃焼を起こさずに掻き消される。
『……そこまで出来るのかよ』
暴風で掻き消された……訳ではなく、恐らくは着弾地点を真空状態にしたのだろう。
そして、真空状態にできるならその逆も出来るということ。
対腐食効果の装甲を持つはずの【プロトタイプマーシャルⅡ】も少しずつ錆が浸蝕していく。
これで火薬式武器は封じられてしまった。
やっぱり機体の気密性って重要ね。【MGR】も呼吸はしないし。
『グラン:《探索者の宝珠》《審判者の王笏》』
あら、リビルドの判断が早い……動きは鈍くなってない。
少しだけ錆の浸蝕速度が遅くなっているからDEXからEND?
クールタイムの都合もあるでしょうけど。
「念動力もあくまで
「あ、やっぱりあれだけじゃないんですか。どういうコンセプトなんですか? まさかラーニングとか?」
ラーニング……モデルを考えればそれも案ではあったけれど、そんな能力を持たせるなら最初から欲しい能力を持たせた方がいいのよね。
テスト用にドーブルも作ってみたけれど、【マーシャルⅡ】並の資金費やしたのに精々アクティブスキル2~3個ラーニング出来る程度の容量しかないし。(同様に再現性に満足の行かなかったモンスターは販売禁止にした)
何より、そんなことの出来る素材を落とす都合の良い<UBM>は見たことがない。
「全てのポケモンの遺伝子を併せ持ち、その影響か全ての技マシンに適応するという最初の幻のポケモン、ミュウ──」
その図鑑の説明文をより再現させ、特性に特化させた【MGR】はこちらでは種族:キメラという扱いになっている。
「幻のポケモンだし対戦とかでデータを気にすることは少ないけど、そのとくせいは「シンクロ」なんだよねぇ」
『MGR:《キメラテック・ミューテーション》』
特殊デバフ特化モンスター、【MGR】の固有スキルがゼタに発動された。
目には見えず、簡易ステータスには【突然変異】の文字と胚と『?』のアイコンが見えるだけだろうが、少し困惑しているような様子のゼタを見れば<超級>にも問題なく効果を発揮したようだ。
「今のが……?」
「そう、【
『グラン:《鏡鳴装填:聖銀弾頭》』
『そら、顔色が悪くなったぞ。包帯の下だから見えないが!』
『……《コードⅡ:シェルター》』
魔力式に換装した銃砲に込められるのは退魔の力を秘めた銃弾の特殊効果付与。
クランメンバーのエンブリオによって付与された魔力の銃弾に実弾の特性を写し取る銃だ。
そうして更なる魔力を消費して放たれた戦場を埋め尽くす程の銀色の弾幕はしかし、相手に届かなかった。
亜竜級の悪魔も一発で仕留める弾丸も圧縮空気の防壁で阻まれてはその特攻効果を発揮できずにいた。
「《風蹄》とは偉い違いだねぇ。出力……だけじゃないな、圧縮強度が桁違いなのか」
「今のは対【魔将軍】用の対魔弾でしたし種族は悪魔にしたんですよね? 種族変更があるなら種族に対応したバフかデバフで一点突破になりますかね」
「種族バフデバフ? ないよそんなの」
班長は【
固有スキルの異常強度、範囲、効果時間に特化しているのだ。
「それじゃあ対ゼタとしてはあまり効果がないんじゃ……?」
「そうなんだよねぇ。種族変更の副次効果で感覚変化にも期待してたんだけど、スキルとかの参照が変わる以上の効果はなかったんだよねぇ」
種族をスライムにしても液状生命体になるわけじゃないし。
とはいえ、逆にスライムに使用したら分裂しなくなっていたし、種族に紐づく能力は使えなくなるようだ。
「本来は閣下(笑)以外にも将来的な脅威であるカルディナの"七死変貌"用にもと思ってたんだけど、流石に検証も出来ないからねぇ」
「それに念動力は後付けで……種族変更だけが能力特性とか、変な<UBM>もいたものですね」
「兄弟みたいな種族特攻能力を持つ<UBM>と一緒だったからねぇ。そっちの特典は私が貰ったけど」
雑談の間にも試合は進んで──否、膠着している。
班長はゼタの圧縮空気防壁を突破出来ないでいる。
しかし、どうやらゼタの方も防御と攻撃は同時に出来ないか、あるいは出力の問題でしないのか定かではないが、今は防御と観察に徹している。
今は防壁に集中させているために班長が弾幕を張っているけれど──
「魔力式、稼働分のMPを考えたら、先に仕掛けるのはグランになるでしょうね」
「少しずつでも錆もあるからねぇ。万能性と持久力を活かした後出しじゃんけんだ。班長の切札で一矢報いれるかどうか……無理そうだねぇ?」
「自分のクランの戦闘班長信じましょうよ……」
「【MGR】がいれば閣下には届くかもしれないけどねぇ……どっちかは分からないけれど、空気中の水分を凝縮して<
それだけに気体操作の万能性は凄まじい。
ドライフではあまり問題にならないが、専用の対策がなければ戦闘にならないのだから。
とはいえ相手は広域指名手配中の<超級>。あまり手札を晒しはしないだろうというのは楽観でもなんでもない。
班長の切札がゼタの見せ札を上回ったとしても、ゼタにだって皇国以外での目的がある以上自身の必殺の札を切ることはない。
「出し惜しみに付けこむのは当然。でないと万能型がより上位の万能に勝てる道理はないからねぇ」
「……特典素材産の自爆モンスター造る人が言うと説得力が違いますね。──あ、動きます」
銀色の弾幕をばら撒く銃の逆手に何かを構える。
続いて投擲したそれはグレネード……ではなく、魔法が封じ込められた【ジェム】だ。
《エメラルド・シリンダー》、発動と同時に範囲内に竜巻の暴風を巻き起こす【翠風術師】の奥義がゼタを包みこむ。
当然ゼタ相手には何の痛痒にはならないだろうが、その妨害効果はしっかりと発揮されている。
『──《
瞬間、【プロトタイプマーシャルⅡ】が少し煌めいた。
◆
ゼタは自身を取り囲む暴風を見て相手が勝負を仕掛けに来た事を確信した。
出力が違うため《エメラルド・シリンダー》で1もダメージを喰らう事はない。
しかしそれでは相手の必殺スキルを前に後手に回る事となる。
竜巻に逆巻く旋風により《エメラルド・シリンダー》を弾き飛ばしたゼタの眼に映ったのは、自身に向けて人を両断出来る程の大剣を振り下ろそうとする相手の機体の姿だった。
「──《コードⅥ:アクセル》」
「ちィッ!」
咄嗟に発動した突風による瞬間移動により大剣を回避することは成功したが、【プロトタイプマーシャルⅡ】は尚も先程までを遥かに超える速度で追撃を仕掛けて来る。
「必殺。それが貴方の必殺スキルですか」
「あぁ。そっちも必殺スキルで対抗していいんだぜ?」
『mew』
ミュウ──【MGR】を後衛としてそれに近づけさせないように立ち回りながら距離を詰めようとするグランを前にゼタは《看破》を発動していた。
本来、搭乗しているグランを視認する事は出来ないが、【盗賊王】であるゼタは《透視》スキルでその対象を見抜いていた。
グラン
職業:【大機戦士】
レベル:100(合計レベル:4631)
HP:46132
MP:731529
SP:32354
STR:27648
AGI:32321
END:29753
DEX:31245
LUC:493
(事前に調べていた限りでは自己強化系の必殺スキルとしか分かりませんでしたが、こういう理屈とは)
合計ジョブレベルの大幅な増加。
サブジョブ数の制限の完全な撤廃に加えて、今まで就いたジョブのレベルが保存されているからこそ出来る強化。
それがTYPE:アームズ、
(しかし、短期決戦で来るというのならば望むところです)
ゼタは超級職をも超えるステータスを手に入れるその必殺スキルは効果時間が短いであろう憶測を立てていた。
それを裏付けるものとして、今も刻一刻と変化するものがあった。
グラン
職業:【大機戦士】
レベル:100(合計レベル:4628)
(一秒毎に減少する合計レベル。全合計レベルが尽きるまで持続するのは重すぎる……恐らくは、指定した一ジョブのレベルのみを代償としている)
超級職を持たない以上それは五十秒か百秒か。
無論、
(時間内に決めようと焦れて白兵戦で来たところに装甲ごと吹き飛ばす)
時間稼ぎに徹した方が勝利の確率は高い。
しかし、【MGR】をはじめとした不確定要素の存在は危険であるとも理解していた。
まだ特典武具を隠し持っていたら?
必殺スキルがクールタイムなく決闘においては失う事のないジョブレベルのみで再使用する事が出来るなら?
それらの要因とほんの少しの苛立ちから、ゼタは時間稼ぎではなく逆撃の選択肢を選んだ。
「まだ逃げるか!」
(……巧い)
一転攻勢で攻めようとしている相手を迎撃しようと隙を伺っていてゼタは気付いた。
必殺スキル使用前よりも動きにキレがある。
ステータスの急激な上昇はそれを扱う者が振り回されることも多々あると聞くが、その様な様子はまるでない。
互いに超音速を超える機動をしているというのに常に【MGR】を護れる立ち位置を崩さず、少しずつ結界の端へと追いやられて行く。
(これが必殺スキルの副次効果ですか)
それを成しているのは大量に修得したジョブに含まれる汎用スキル。
感覚を強化する《視力強化》《反応速度強化》や《空間認識》《殺気感知》などの感知スキル、《並列思考》《心眼》といった様々な補助スキルが動きを最適化しているためだ。
「一撃。それでも、勝利するのは私です」
「言ってろ!」
宣言と共にゼタは後方に跳び退きながら短剣を投擲する。
妖しく黒光りする短剣は真っ直ぐに【MGR】に迫る。
それは容易く射線上に振るわれた大剣に弾かれたが、その動きは正しくゼタの予想通りだった。
「《コードⅥ:アクセル》」
『……mew!』
弾かれたはずの短剣が風により無理やり軌道にグランを背後から捉える。
神話級金属によって作られた貫通力に特化した短剣が投擲を超える速度──超音速の数倍で飛来する。
念動力によって作られた障壁をも突破し、マジンギアの装甲を貫──
「《
くことなく、独楽のように急旋回した機体により叩き落された。
MPを大量に消費して一時的に機体の運動性能を更に底上げする【疾風操縦士】の奥義である。
やはり必殺スキルや
その様子はこちらを待ち受けて迎撃しよう、という姿勢ではなく、全力で守りに入った姿勢だった。
「静止。ようやく足を止めましたね。」
「なっ──」
先程までと明らかにスタイルを変えたゼタにグランが計器に意識を向けると、彼の予想以上のペースで装甲の耐久値が減少していた。
それは空気弾によるものではなく、錆の浸蝕が速まっていたからであり、
機体のレーダーには短剣以外に自分の足元に見えない石ころ大の物体が転がっている事を示していた。
「起動」
次の瞬間、
◆
「景気良い花火だねぇ。やっぱり慣性消去構造にするべきだったかな? でも操作性とのトレードになるんだよねぇ」
「……」
高濃度圧縮酸素の領域に放たれた上位炎属性魔法により結界が撓む程の爆発が巻き起こっていた。
心配か緊張からか無言のランブルとは裏腹に、フランクリンは愉快そうに爆発に対する対策について考えていた。
二人にはボックス席の恩恵でゼタが空気の
グランも同時に【装甲操縦士】の奥義である《
『決着。爆心地にいながら生き残った事は驚きですが、もはや死に体ですね』
爆炎が晴れた時、闘技場にて相対する二人の損耗の違いは明白だった。
方や<超級>の挑戦者は傍目にはダメージを負った様子はなく、
防衛者の藍色の機体からは所々より火が噴き出ており、四肢をそのままに立っていられる事がおかしいと思える程の惨状だった。
携行していた兵器も大剣以外は喪失しており、その操縦者も衝撃や【火傷】により機体を動かす
後方にいたはずの【MGR】も僅かな光の粒子となって消えている。
だが、それでも──
「この状況でもまだ引き分け狙いぐらいは出来るんだから凄いよねぇ【マジンギア】」
『《瞬間装着》──【MGWT-004 マーシャルΩ】』
止めを刺そうと空気弾を発射したゼタの前で、機体が消え、そして再び出現した。
しかし、その機体は先程までの瑠璃色に近い藍色の機体から一変して黒紫色を基調としており──そのサイズも半分程となっていた。
それは<叡智の三角>が名前の通りその叡智を結集して造った人型機動兵器【マーシャルⅡ】ではなく、その前身たる
装甲により空気弾を受け止めたグランに対し、ゼタは予備の短剣を構えて走り出した。
「防衛側は
「……結界、壊れないですよね?」
「推定威力は同系超級職……【
「ちょっと!?」
グランが素早く両手に持つ大型の銃砲に機体の色と同じ黒紫色のエネルギーが収束する。
それは特典素材の力で唯一制御に成功した怨念動力、周囲の怨念とアンデッドの力を吸収・貯蔵する《怨燃動源》の効果により怨念から魔力に変換された物だ。
『グラン:《超高速魔力充填:【超重砲弾・レプリカ】》』
そして、渦巻くほどの魔力が込められたのは特大級の存在だった。
クラン<叡智の三角>が【マーシャルⅡ】の納品等様々な取引をドライフ皇国と結んでいるが、今の皇王ラインハルトとなってからはより密なクエストの依頼をしている。
それもマスター故の力……もっと言えば<エンブリオ>の特異性による依頼もその中に含まれている。
その依頼内容も千里眼による諜報、旧ルニングス領の開拓支援、<遺跡>の保全・技術の復元等様々だが、中でも<叡智の三角>に依頼されているクエストで最も重要度が高い依頼には『エンブリオによる【四禁砲弾】の解析、可能ならば増産』というものがあった。
それはエンブリオによる力ではなく別世界の知識により【マーシャルⅡ】の開発を成し遂げた<叡智の三角>に対する期待なのかもしれない。
『まだサイズも威力も本来の三分の一程だが、携行火器としては十二分だ……!』
『阻止……っ』
込められた魔力の量に脅威を感じたのか、瞬時に
『──っ?』
「あはぁ。ナイスガッツだねぇ、流石【MGR】」
だが突然、その体勢が不意に崩れる。まるでいきなりデバフを喰らったかのように。
もしゼタが詳細ステータスを見ていたら気付けたかもしれない。
「突然変異」によって変更されていた種族が「悪魔」から「アンデッド」になっていた事に。
しかし現実には【大教授】が造ったその悪辣な罠に気付く事はなく、【MGR】の「おきみやげ」により攻撃を数瞬遅らせる結果になった。
そして、その数瞬で最期の準備は整っていた。
『超重砲弾・レプリカ、発射ァ!!』
裂帛の気合と共に漆黒の砲弾が発射される。
今も疾走するゼタの足元、既に全力離脱しようと範囲から逃れる事は出来ない。
──衝撃。
「……え?」
舞台は黒の重力球に呑まれたと思いきや、何も起こらない。
瞬きの内に詰められた残りの距離が零となり、装甲を貫かれた黒の防衛者が光の粒子となり消えていく。
直後、闘技場の舞台と観客を分ける結界が消える。
『決着ぅ! 勝者は【盗賊王】ゼタ! ゼタが決闘ランキング第二位に昇格しました!』
アナウンサーが勝者を告げる。
喝采と悲鳴が観客から響き渡る。
「オーナー、今何が起こったんです? 確かに【超重砲弾・レプリカ】は発射されましたよね?」
「そのはずだねぇ……お、あったあった。これだ」
事態を飲み込めずにいるランブルを後目に、フランクリンは先程の戦闘のログを確認していき、目当ての箇所を見つける。
『ゼタ:ビッグポケット』
「……これってつまり」
「【超重砲弾・レプリカ】に触れてから、発動までの間にアイテムボックスの中に強奪したってことだねぇ。怖いねぇ<超級>」
オーナーが言うことじゃない、そう言おうとしたが意見自体には全面的に同意するのであった。
「これで次は『超級激突』かぁ。閣下がどれぐらい戦えるか楽しみだねぇ」
「凄く悪い笑顔してますよオーナー……それでは、班長拾って帰りますよ」
「はいはぁい。引き分けに賭けてたのに負けちゃった班長は次の任務までは精々データ取り頑張ってもらわないと」
二人は立ち上がり、選手控室に歩を向ける。
新たな第二位となった広域指名手配の<超級>の思惑、皇王の謀略、王国との因縁。
大きな流れが近づいている事を感じながらも、仲間たちとの家に帰るのであった。
Episode End
〇【マジンギア】について
<叡智の三角>が開発した【マーシャルⅡ】は量産段階においてその「亜竜級マジンギア」とも称される機体性能において既存の【マジンギア】を上回っていた。
しかし、既存の【マジンギア】にも長所があり、現在においてもオーダーメイドやカスタムにより性能が向上されたそれらが使用される事はある。
例えば
戦車型の【ガイスト】は複数人で搭乗する事が可能で、操縦士と砲手等を分ける事で潤沢にMPを使用する事が出来、魔力式の砲をより効率的に運用する事が出来る。
【MGST-004 マーシャルΩ】
特典素材の【死樹果実 モーメント・デイ】を素材とした怨念動力を搭載している【MGWT】シリーズの【マーシャル】。
怨念及び周囲のアンデッドに対しデバフ+吸収を行い貯蔵する点が【紫怨走甲 ゴゥズメイズ】 との違い。
その分SPへの変換は出来ず、稼働用や兵器運用用のMPを担保している。
基礎性能面では特典素材による効果で「《人機一体》の効果値に+50%する」能力を持つ【MGST-001 プロトタイプマーシャルⅡ】には劣るため、グランの予備兼特化兵器運用機体となることが多い。
【無貌神晶 ナイアーラトテップ】
<マスター>:グラン
TYPE:アームズ 到達形態:Ⅵ
能力特性:ジョブ制限緩和
スキル:《統制者の王冠》《審判者の王錫》《探索者の宝珠》
必殺スキル:《
モチーフ:クトゥルフ神話の無貌にして千の貌を持つ神格ナイアーラトテップより
備考:アクセサリー枠として装備されているジョブクリスタルのエンブリオ。
《探索者の宝珠》はCT付きジョブチェンジ能力、条件を満たせば他国のジョブにも就く事が出来る。