闇の帝王の気まぐれ   作:ベルガシード

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ベルガシードです。
本当に投稿遅くなってすいません。
取り敢えず罰としてヴォルちゃんにクルーシオかけられてきます。
それでは、どうぞ!


怒りの相手

最高の魔法使いって、誰だろう。

私は該当しそうな人物をまだ知らないが、もし選ぶなら、二人の人物を選ぶ。もっとも、もうここにはいないけれど。

 

* * * * *

 

あれから、どれほどの時間が経ったのだろう、

壊れなかった玄関から入ってきたその人は、中の様子を見て愕然としていた。

 

「…なんてことですの。何でこんなに滅茶苦茶に…フランク?フランク!起きなさい!貴方の家が…フラン…ク?…ああ…」

 

ばあちゃん…ごめんなさい。

 

「…フランク…もう…逝ってしまったのですね…アリス?アリス!ジル!」

 

やめて、ばあちゃん。私にはそんな——心配される価値はない。

 

「ああ、アリス!良かった…」

 

見つけてしまった。義理の娘——アリス・ロングボトムだった人を。

 

「アリス…誰?私の事ですか?それより…貴女は誰ですか?」

「え?何を言っているの?貴女はアリス・ロングボトム。私の息子、フラ…フランク・ロングボトムの妻ですよ?」

「…えっ、私が…結婚を?」

「…何も…覚えていないのですか?…何もかも…」

 

その事に気づいたばあちゃんは顔を覆った。覆ってはいたけれど、零れ落ちる涙は隠しきれていなかった。

 

「…ジルは?ジルは何処ですの?」

「じ…る…?」

「まあ、それすらも…ジル!ジル!何処ですか?」

 

泣いたらすぐに見つけてくれただろう。でも私は泣かない。此処で気づいてなんか欲しくない。わたしに、そんな価値はない。

私のせいだ。

みんなみんな、私のせいだ。私が生まれ直さなければ、こんな事には…

 

「ジル!…良かった…生きていましたか…」

 

その思考を断ち切るかのように、私は見つかり、抱えあげられた。

なんで。

何で私なんかを。

こんな奴、救う価値もないのに。

激しく自己嫌悪に陥っていたはずなのに、何でだろう。何で、ほっとしているんだろう。見つけて欲しくなんかなかったはずなのに。

気がつけば、私は泣いていた。

 

「あらあら…怖かったでしょう…本当に…もう、大丈夫よ」

 

何で落ち着きがあるんだろう。何で安心しているんだろう。何で…

 

「無事で何よりですよ…ジル」

 

その時気が付いた。

嬉しかったからだ。

この世界で、原作も何もなく、ただただ無事だと喜んでくれる事が、嬉しかったんだ。

結局、私はこの世界を原作というフィルターを通してしか見ていなかったのだろう。そうでないなら、父と母の犠牲で残ったこの命が要らないなんて思わない。見つけて欲しくないなんて思わない。

生きよう。

両親の命まで預かった以上、死ねる訳が無い。予言なんて関係ない。泥臭くてもいい。多少逃げたっていい。でもそこで、死ねはしない。あいつが襲ってきても、死ぬ覚悟で飛び込んだりはしない。臆病者だと、笑われるかもしれない。それでも私は、何としても、生きたい。

そう思った。同時に、こうも思った。

 

絶対に許さない。

 

私の両親を殺したあいつを。私から幸せを奪ったあいつを。私の平穏を消し去ったあいつを。

 

ヴォルデモート。

 

私は、絶対にお前を許さない。

 

* * * * *

 

それからばあちゃんは私と母家へと運び、すぐに出ていってしまった。

心配が顔に出たのだろう。出ていくばあちゃんを見送る私を見たアルジー大叔父さんが元気づけてくれた。

 

「心配するな。ちょっとあの方を呼んでくるだけだ。大丈夫。オーガスタならすぐ戻るさ」

 

それを聞いて少し安心した。何しろあのばあちゃんだ。簡単には死なないだろう。そう思うと同時に、新たな疑問も生まれた。

あの方って誰?

 

しばらくすると、玄関が上品にノックされた。エルド大叔母さんが慌てて出ていく。

 

「誰ですか?」

「私ですよエルド。それと…」

「わしじゃ。開けてくれんかの、エルド」

「…ダンブルドア先生?」

「そうじゃ。本物であるかは、証明できんがの」

「エルド、わしが代わろう。先生、僕の学生時代の得意教科は?」

「薬草学じゃ。キミがO・W・Lで優・Oをとったときは、とても誇らしかったのう」

「本物だな。お入りください、先生」

 

大叔父と大叔母が警戒をとくと?開いたドアからばあちゃんと、見知らぬ——いや、正確には「こっちに来てから見知らぬ」長身の男性が入ってきた。長い銀髪と髭をベルトに挟み込み、紫のローブを纏っている。透き通るようなブルーの目からは、X線で透視されているような感覚を覚える。何もかも見透かしてしまうような。

 

「入れてくれてありがとう。エルド」

「先生だと分かって、入れない訳が無いでしょう。先生、これは…」

「エルド、アルジー。貴方がたの思っている通りじゃろう。あの家に、ヴォルデモート卿が、訪れた」

 

その名を聞いた途端、「先生」以外の体が震えた。

ばあちゃんと大叔父、大叔母は恐怖に、そして私は——

怒りに。

 

「ヴォルデモート卿がやって来たのは他でもない、この子を殺す為じゃった」

 

私を指しつつ言う。

 

「だが、あやつはこの子を殺し損ねた。もちろん、犠牲者は出したが…」

 

その途端、静かに聞いていたばあちゃんが崩れ落ち、泣き出した。

 

「オ、オーガスタ、どうした」

「わたく…私のせいなのです。私があの場を離れなければ、私がつまらぬ意地を張って出ていかなければ、あんな事には——」

「いいや、君のせいではない」

 

「先生」がそれを遮った。

 

「それを言うなら、それはわしのせいでもあり、ヴォルデモートのせいでもある。こうなったことは、一人に責任があることではないのじゃ」

 

その言葉を聞いた瞬間、私の心にさっき——ヴォルデモートに対するものでない、新たな怒りが満ちるのを感じた。

 

知っていたのに。

誰が危険か、誰が襲われるかもしれないのか、知っていたのに。守れなかったどころか、最近まで護ろうとしなかったのはどこの誰だ。予言に当てはまる人物が二人いた時点で、知らせるべきじゃなかったのか。たとえ、襲う気配がなくとも。そのせいで私の両親が死んだのだと思うと、もはや怒りを抑えきれなかった。

 

「しかし、この子は生きておる。ここに居る。それが大事じゃ」

 

そう言いつつ伸ばしてきた手を、私は全力で払い除けた。こんな奴の手になど、触られたくない。

そう思って払い除けた時、微かにその顔に悲しみがよぎったが、私は気が付かなかった。だって、もう顔も見たくないから。

 

* * * * *

 

最高の魔法使いって、誰だろう。

私は該当しそうな人物をまだ知らないが、もし選ぶなら、決して選ばない人物が、二人いる。

ヴォルデモート卿。

そして——

アルバス・ダンブルドア。

 

この2人は決して許さないと、私は心に誓った。




誤字報告ありがとうございます。
遅れましたがUA3000件超え、お気に入り登録60件超え本当にありがとうございます。
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