"軍団最強”の男   作:いまげ

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ノスフェラとヨモへの感想がたくさんあってうれしかったです。さすがはこの作品の…
これからも感想お願いします。


12.世間話

 □霊都アムニール 【生贄】フィルル・ルルル・ルルレット

 

「おまえら…、久しぶりだなーオイ!」

 

 思わぬ再会に声を荒げてしまう俺。でもしょうがない。こいつらは俺の初めてのパーティーで…

 

「しかし、デンドロまた始めたんだな」

「?」

 

 フルメタルの言葉に疑問を受かべる俺。始めるのも何もデンドロを買った初日からログインを欠かさないデンドロガチ勢ですが?

 

「ここ三か月以上、霊都で見かけないどころか、噂の一つも聞かなかったからな」

「あんたみたいな変態ガードナーの噂が聞こえないなんておかしいでしょう?」

「もうやめちゃったのかなーってみんなで言ってましたよ」

「仕方のないことではあると話していたのであるが…」

 

 そうか、確かに三か月以上も霊都にいなければ、引退したと思われてもおかしくないか…あと、ロゼ、俺を変態ガードナーとよぶな!!

 

「デンドロをやめる人は正直、少なくはないからな」

「えっそうなのか」

 

 こんな最高のゲームほかにはないだろうに。

 

「ここを第二のリアル (人生)と考える奴もいる。それはそうだ。こんなリアルなゲームほかにはない。ティアンと接していれば、心のどこかでホントに生きている人間なのでは?という思いは当然生まれる」

「それゆえにやめる者も多いのである。第二の人生と言えば聞こえはいいであるが、悪く言えば人生のストレスをもう一つ分ためるということである」

「ストレスといってもいろいろありますからねー。ティアンやマスターとの人間関係、リアルな敵との戦闘行為。精神に悪影響があるとメディアにいわれても仕方ないですかねー」

「まあ、変態ガードナーはそんなタマじゃないとは思っていたけど…」

 

 だから変態ガードナーと呼ぶな。…しかし、そうか。考えても見なかったが、マスターがデンドロをやめる要因っていろいろあるんだな。じゃあ、ここにいないあいつ(・・・)はもしかしたら…

 

「しかし、やめるにしてもクエストの最中から見かけなかったからな。よほど大変なリアルの出来事でもあったのかと思ったよ」

「いや、実は…」

 

 そうして俺はクエスト途中に<アクシデント・サークル>の転移魔法に巻き込まれた旨を伝える。

 

「しかし、<アクシデント・サークル>による転移であるか…」

「それってログアウトすれば、霊都に戻れるんじゃなかったでしたっけー?」

「戻れるよ。だけど、そんなレアイベント俺が見逃すはずないだろう?」

「言えてる。俺もその立場だったらそうしてるかも…」

 

 俺の意見にフルメタルさんは同意を示してくれる。やはりゲーマーはこういうとき考えることは一緒だな。

 

「しかし、まだ国内で良かったね、アンタ」

「?どういうことだ」

 

 ロゼの言葉に疑問を浮かべる俺。まさか国外にとばされる奴もいんのか?

 

「うちらの元パーティーのフィガロ。覚えてるだろ?」

「…ああ。」

 

 フィガロ。【闘士】のジョブに就いているマスターで、俺たちの記念すべき初パーティークエストのメンバーだ。ここにいないから、引退したのかと思っていたが… 

 

「あのあと、俺たちはパーティーを継続したかったんだがな。フィガロは迷惑をかけたくないといってパーティーを抜けた。まあ、そのあとも交流は続けていたんだが…」

「フィルルさんみたいに急に見なくなったんですよねー」

「そうして、幾分か時間が経ったあと、アルターの決闘ランキングにフィガロがいるという情報を手に入れてな…」

「…十中八九<アクシデント・サークル>でアルター王国に飛ばされたんだろうな。戻ってこない理由はわからないが…」

「アルターにはレジェンダリアよりも大きな闘技場がある。【闘士】のあいつにはレジェンダリアよりもアルターの方が居心地がよかったんだろう」

 

 なんだ、デンドロをやめたわけじゃなかったのか。それに【闘士】として頑張っているみたいだし、良かった。

 

「案外フィルルも飛ばされた先が居心地よかったんじゃないか」

「そりゃ言えてる。俺が飛ばされたのはセプータって村で、そこに住んでいるカングゥ族には変な慣習があってな…」

 

 俺が出会ったダッツァーとコル、ガングゥ族のの話を続けていく。

 

「【獣戦士】ってジョブに就くのがしきたりらしくてな」

「【獣戦士】?」

「ああ、【獣戦士】には《獣心憑依》ってスキルがあってな。キャパシティ内の従魔モンスターのステータスを自分のステータスに加えることができるんだ」

「何だと!」

 

 ロゼが俺の話にめっちゃ驚く。なんでそんな驚いてんだ?俺は《獣心憑依》の話しか…、あっ。

 

「いいことを聞いた。ガードナーは従属キャパシティは0。そのジョブに就けば、大きな戦力アップにつながる」

「くっ、さすがロゼ。話を聞いただけで【獣戦士】とガードナーのシナジーに気づくとは…やはり天才か」

「クエストの前に転職していいかしら?」

「構わないさ」

「クエスト?」

 

 俺のボケをスルーして自分の都合を優先させるロゼ。さすがだぜ。…せっかく【獣戦士】のことは内緒にしておくつもりだったのに。特にロゼには。しかし、クエストってのは…

 

「ああ、なんでもUBMの出現情報が出てな。それと同時に討伐クエストが出された。ティアンにとってはUBMは災害と変わらない。クエストを出してでも討伐してもらいたいんだろうな」

「UBMってマジかよ…」

 

 UBMはどれも純竜を遥かにしのぐステータスと特異な能力を持っている。そんなもの、ティアンにとっては災害と変わりないか。しかし、討伐クエストか…

 

「参加したいけど、さすがに疲れたしな」

 

 セプータの村から遠路はるばる霊都に戻ってきた。途中、ノスフェラたちとの出会いもあったりして…

 

「俺の分も頑張ってくれ」

「ああ」

 

 そう言って俺たちは別れる。フルメタルたちはクエストに向かい、俺は一度ログアウトする。

 

 ◇

 

 現実世界で休んでから、再びデンドロの世界にログインする俺。向かう先は既に決まっている。

 

「よう、おっさん。久しぶりだな!」

「ん?おめえ、フィルルじゃねーか、生きてたのか?」

「マスターに『生きてた』なんておかしなこと言うねー」

「フッ。でどうしてたんだいままで。死ぬことは無いだろうがそれでも俺は…」

「心配してくれていたのか?」

「そんなんじゃねえよ!」

 

 相変わらずツンデレのおっさんだ。そうだ。

 

「《喚起》―――虎丸」

 

 そうすると俺の右手の甲から虎模様の獅子が飛び出す。

 

「…おお。虎丸か。ずいぶん立派になったじゃねえか」

 

 おっさんが最後に見た虎丸は【リトルタイガーキャット】だったからな。それが今や【亜竜虎獅】。その成長に驚くのも無理はない。

 

「この分だとすぐに純竜級の【純竜虎獅】になりそうだな」

「まじか。しかしだとするとレベル上げを頑張らないとな」

 

 【獣戦士】系統のジョブをとっているため俺の従属キャパシティは結構カツカツだ。虎丸が【純竜虎獅】になったことで《獣心憑依》が使えなくなりましたはさすがに勘弁したい。

 

「しかし、お前さんなんでそんなジョブに就いてるんだ?」

 

 さすが商人。相手のことをよく見ているねぇ。

 

「ちょっといろいろあってな。今は【生贄】のレベル上げをしてるんだ」

「【生贄】のレベル上げって、やっぱりマスターは、いやお前は変わってるな」

「おいおい。俺のどこが孤高の天才だって?」

「誰もそんなこと言ってねぇよ。しかし、この店に来たんだ。初期投資分は返してもらわないとな。買うもよし、売るもよし。商売の話といこうじゃないか」

 

 さすが商人。目先の利益に敏感だ。

 

「手持ちが薄いからまだおっさんにモンスターは売れねえな」

「となると購入か。要望は?」

「ステータスが高い奴がいいな」

 

 俺の戦術は従魔モンスターを《魔物強化》スキルで強化して、その数値分俺のステータスを上げて戦うというもの。モンスターが増えればステータスの上昇は大きくなるし、それがステータスが高いものならなおさらだ。

 

「じゃあいいモンスターがいるぞ。【純竜猛狼(ドラグウルフ)】っていってな。つい最近仕入れたんだ」

「それって純竜級のモンスターじゃないか!」

 

 純竜級のモンスターがパーティーに入れば戦力は大幅に上昇する。是非ともほしい逸品だ。いやー最初の純竜級モンスターは虎丸かと思っていたけど、おっさんの店で手に入れるっていうのもいいかもしれない。

 …しかし、最近仕入れたということは純竜をテイムしてかつこの店に売った奴がいるってことになる。

 

「ちなみに仕入れ先は?」

「お得意様の情報をしゃべる訳ねえだろ」

 

 そいつは確かに。

 

「でどうする?買うのか、買わねえのか」

「買うよ。買う買う、もちろん買う」

 

 おいくら万リルなのかしら?

 

「5千万リルだ」

 

 …ほわっつ?

 

「5千万リルだ」

「おっさん、後生だ。まけてくれ」

「いやだ。純竜を仕入れるのにいくらしたと思っている!それにこいつはお前に売らなくとも引く手数多の優良品なんだよ」

「そこをなんとかー」

 

 店先で土下座する男の図がそこにはあった。

 

「頼む」

「いやだ」

「そんなー」

「でしたら私が買ってもよろしいでしょうか?」

 

 そこには白髪の少年が立っていた。

 

「四方都じゃねえか」

「はい。先ほどぶりですねフィルルさん」

 

 俺たちが霊都に着くや否や、ノスフェラはログアウトしてしまった。いったいどうしてしまったんだろうと考えていたものだったが…四方都が腰を下ろしてが耳打ちしてくれる。

 

「先ほどは失礼しました。ノスフェラ様はアンデットのアバターのため、日光が刺している間は休憩を兼ねてログアウトしているんですよ」

「あー、なるほど」

 

 マスターだし、アバターだしでそこまで行動に制限はないはずだが、それもロールプレイの一種だろう。

 

「ん?でも四方都ひとりか?ノスフェラはどうした?」

「ノスフェラ様は別の店で取引中です。本当はこの店にもきたかったんですが、あの見た目ですから…」

「あーあ、そりゃ納得」

 

 あんな骸骨がこんなところうろついていたらいろいろ言われるわな。…いやあの見た目でも取引してくれる店ってなんだよ?

 

「おー。平坂さんじぇねえか。どんどん買っててくれ」

「知ってるのか?」

「お得意様だからな。モンスター購入の」

「ええ。ご贔屓にさせてもらってます」

 

 なるほど、平坂四方都って名前はマスター(骸骨)が立ち寄れない店で取引するための名前か。そりゃ名前なかったり、エンブリオ丸出しの名前だといろいろ怪しいしな。

 

「てか、5千万リルだぞ。お前に払えるのか?」

「大丈夫ですよ。これでもノスフェラ様の実入りはいいですから」

「まじか…」

 

 上級マスターの稼ぎなんてそう変わらないもんだと思うんだが…

 

「取引成立だな」

「ありがとうございます」

 

 そうしている間に四方都とおっさんの取引が終わる。四方都が店を後にするので、おっさんに挨拶して俺も退出する。

 

「いやーわるいねー四方都君、僕のためにお金を出してもらってー」

「何を言っているんですか?」

 

 四方都は訳が分からないというように首を傾げる。

 

「えっ、だから俺の代わりにお金を払ってくれたんじゃ?」

「そんなわけないじゃないですか。これはノスフェラ様のもの(・・)ですよ」

 

 飽きれたようにいう四方都君。

 

 嘘だろ。

 

 【純竜猛狼】、ノスフェラに取られちまったー!

 

 ◆

 

 襲ってくる人間を殺す日々。

 奇妙だ。

 モンスターたちは俺を恐れて近づきすらしないというのに

 今日も人間たちが襲ってくる。

 まるで俺が至高の宝物のように。

 多くは個人だったが…

 今度は違うらしい。

 四人の人間が襲ってきた。




ノスフェラの格好でいける店(【死霊術師】専門店)
ノスフェラの実入り(怨念のクリスタルを【死霊術師】専門店で売りさばく)
ノスフェラ様のもの(アンデットの素材)

これは酷い。自分のエンブリオフル活用ですね。

【純竜猛狼】はノスフェラに取られました。まあフィルル君はノスフェラの狙っていた【ドルイド】コンビをゲットしたから多少はね。
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