"軍団最強”の男   作:いまげ

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たくさんの評価ありがとうございます。

こんな作品をみてくださって重ねて感謝です。

これからも原作へのリスペクトを忘れず頑張っていきます。


幻獣旅団編
22.超級職


□霊都アムニール 【獣戦鬼】フィルル・ルルル・ルルレット

 

 セプータでの一件が落ち着いたあと、霊都アムニールに戻ってきた俺たち。ある理由によって戻ってきたのだが、それよりも気になるのは…

 

「しかし、やっぱり超級職のスキルってのはチートだな」

「またその話かい」

「だってそうだろ?虎丸を復活させてしまうなんて」

「復活じゃなくて、アンデット化。そこをはき違えてもらっては困るネェ」

「それだって十分チートだろ」

 

 アンデットの制作には素材が必要となる。それが【完全遺骸】や【全身骨格】となれば、アンデット化するのが楽だし、各部位のドロップアイテムを繋ぎ合わせて作ったりする。ほかにも、生者をそのままアンデットに変える方法もある。

 

 つまり、どの方法も実際に存在する素材が必要であるが、虎丸達の場合は一片の肉片もドロップアイテムを残さず死んでしまった。本来ならアンデットの制作は不可能である。

 

 ただし、数多ある方法の中で素材無しでもアンデットを制作する方法がある。それは魂や怨念といった情報を基にゼロから肉体を再構築する方法である。無論難易度は極めて高く、できるものはティアンとマスター合わせてもできるものはまずいない。

 

 しかし、その難易度を下げ、魂からの再構成を可能とするのが【屍骸王】のスキル。それが《リ・コントラスト・デットマン》である。アンデットの制作に特化した屍屋系統の超級職だからこそ使用可能なスキル。

 

 しかし、魂からの再構築を可能とするスキルとはいえ、完全ではない。より強い魂もしくは怨念でなければそもそも使用が難しい。

 さらに仮に強い情報を持っていたとしても、それでも完全な肉体の再構成は難しい。現に虎丸は【純竜獅虎】ではなく、その進化前【タイガーキャット】のアンデット、【アンデットタイガーキャット】としてしか、アンデット化はできなかった。

 

「《観魂眼》でもあれば良かったんだけどネェ。ヨモの目を頼るしかなかったから他の従魔達はアンデット化させられなかったし、虎丸だって…」

「にゃー」

「なー。それでも、十分だよなー」

「…まあ、君も今からはその超級職のスキルを振るう側になるんだ」

「まだ、確定したわけじゃないけどな」

 

 そう俺たちが霊都に戻ってきた理由。それは俺の超級職の転職クエストのためだ。

 

 ◇

 

 【転職の試練に挑みますか?】

 

「YESっと。…うおぉぅおぉ!?」

 

 いきなり、奇妙な空間に飛ばされた。もうちょっとどうにかならなかったですかね?てか、ノスフェラもどうなるか教えてくれれば良かったのに…

 

 なお、ノスフェラの弁は、教えない方が面白そうだったからである。

 

 【試練の軍団を集団戦で撃破せよ】

 【成功すれば、次代の【軍神(ザ・レギオン)】の座を与える】

 【失敗すれば、次に試練を受けられるのは一か月後である】

 

 で、これが転職クエストか。正直、転職条件の焼き直しだな。…しかし、俺がスキル特化超級職【(ザ・ワン)】シリーズの転職クエストに挑むとはなー。色々いわれそうである。

 

 【神】はスキル特化職。他の超級職とは違い、類まれなる才覚が要求される。多くの【神】にティアンが就いていることがそれを示している。ティアンは<マスター>よりも技巧という一点で優れているとされているからだ。

 

 しかし、中には<マスター>の身で【神】に就く者たちがいる。そこには二種類のタイプがある。

 

 一つは純粋な才能。ティアンすら上回る圧倒的才覚によってその【神】の座に至る者。

 

 もう一つがエンブリオである。一定以上の才覚があることはもちろんだが、それをさらに自身のエンブリオによってブーストさせ【神】の座に喰らいつく者。

 

 俺は明らかに後者だけど…それでも軍団スキル特化超級職の【軍神】を就くことができるのなら、

 

「挑んでやるさ!《エレメンタル・プロダクション》!!」

 

 【三源輝套 クリスタリヴ】のスキルによって即座に千の胞子の軍勢を生みだす。すると、試練の軍勢が召喚される。その数、胞子の十倍。おそらくステータスも胞子の十倍以上は確実。

 

 ならばと、俺はさらに【アンフィテアトルム】のスキルを発動し、胞子達のステータスを亜竜級の三倍以上のステータス上昇させる。さらに俺自身も神話級に匹敵するステータスを手に入れて、試練の軍勢に戦いを挑む。

 

 ◇ 

 

 それは確かに転職条件の焼き直しといえるだろう。

 

 しかし、【神】は才覚によって初めて認められるもの。一度、転職条件を満たしたということは才覚を認められたということ。転職できないということ自体がまずありえないため、転職クエストが転職条件の焼き直しとなっている面がある。

 

 では、そもそも軍団スキルの、いや軍団を率いる上での才覚、才能とはいったい何か?

 

 数多の事例が挙げられるが、この世界では転職条件に明確に表れている。

 

 一つ目が千以上の配下を所有していること。軍団スキル特化職であるため、最低でも千以上の配下を所有していなければお話にならないということだ。

 

 そして二つ目が、戦力比、千倍以上の相手に集団戦で勝利すること。神懸かかった采配によってその戦力差を覆すことが軍団を率いる才能を示している。

 

 戦力比は彼我の数、元々のステータスの合計の数値によって決定する。千倍以上の戦力比をひっくり返し勝利する。それは地形や天候、数多の算術、技能、武具、そして天運によって初めて生みだされる奇蹟。それを為した者はまさしく、【軍神】と呼ぶにふさわしいだろう。

 

 ただし、フィルルはエンブリオと神話級特典武具によってそれを成し遂げてしまった。

 

 【クリスタリヴ】の生みだしたエレメンタルの残党と【スポアエレメンタル】との戦い。数は自軍は千、敵軍は一万。ステータスは自軍が十としたら、敵軍は千以上。その戦いはまさしく戦力比千倍以上の集団戦と言え、【軍神】となるための戦いに十分であった。

 

 故にそれをクリアしているフィルルは既に【軍神】に就いているといっても過言ではなかったし、事実、試練の軍勢を容易く打ち負かした。

 

「【軍神】、GETだぜ!」

 

 ここに試練は達成され、フィルル・ルルル・ルルレットは【軍神】の座に就いた。

 

 試練が終わり、元いた場所に戻るとそこでノスフェラが待っていた。

 

「やっぱり、超級職には就けたようだネェ」

「おう、意外と余裕だったぜ」

「転職クエスト自体がティアンを想定しているからネェ。エンブリオやそれによって得やすい特典武具の存在はそれだけ転職を楽にするから」

「そういうもんか、【神】だから身構えていたんだが。よし次はあそこか」

「…ほんとに行くのかい?」

「一応の礼儀ってやつさ」

 

 そういって俺が向かったのはモンスターショップ。俺と虎丸が初めて出会った場所だ。

 

 ◇

 

「久しぶりだな、おっさん」

「ああん?…なんだ、一年以上姿を見せなかった薄情モンのフィルルじゃねえか」

「悪かったな」

「どうした?頼りのないのは元気な証拠。そんなお前が今日は随分潮らしいじゃねえか」

「…ふう。悪いおっさん、アンタからもらった虎丸死なせちまった」

 

 俺は頭を大きく下げる。

 

「………」

「せっかく、おっさんにもらったってのに俺が情けないばっかりに虎丸を死なせちまった」

「…いやそこにいるのは虎丸じゃねーのか?」

「にゃー」

 

 そう、そこには今死んでしまったと報告した虎丸が呑気な顔をして足を舐めていた。…虎丸さん、主人が真剣な話してるんだから、君もさあ。いや死なせてしまった俺が悪いんだけどね?

 

「いや、これはアンデットとして蘇らせてもらったんだ、知り合いのマスターに」

「確かに前見たときよりも姿が縮んでいるし、種族はアンデットになってる。しかしマスターってのはすげえな。じっくり見なきゃわかんなったぞ」

「…まあ優秀な奴だから」

 

 なんつったって【屍骸王】だし。

 

「まあなんだ。初めての従魔で最後まで戦い続ける奴の方が少ないんだ」

「?どうしてだ?」

「お前みたいに従魔を殺しちまう奴。あるいは自分の従魔を見限っちまう奴。色々さ。ここで購入した従魔を大事にしないやつなんて珍しくないからな、マスターにしろ俺たちティアンにしろ」

「それは…そうなのかもな」

 

 否定しようとしたが、実際に虎丸を殺してしまった俺が言える立場ではないし、ノスフェラのように素材として従魔を求める奴もいる。弱い従魔だからと捨てる奴もいる。

 

「買った従魔をどうしようがそいつの自由だからな。だがな、謝りにきただけてめえは上等だ。その気持ちだけで十分だ。それでも謝りたいっていうなら、これからもうちの店をご贔屓にってことだな」

「…おっさん」

 

 おっさんの言葉にジーンと感動していると

 

「ん?いやまてよ。…さっきのは無し。どうしても謝りたいって言うならあるクエストを受けてもらう」

「…え?」

 

 おっさん、感動してた俺の気持ち返して…

 

「”幻獣旅団”ってしってるか?」

「いや知らんけど」

 

 なにその漫画で出てきそうな名前。

 

「マスターだけで構成された盗賊集団だ。一年前から各国で猛威を振るっているらしい」

「そんなやばい奴らがいるのか」

 

 マスターだけで構成された盗賊団って。エンブリオとかログアウトとか不死とか、犯罪に使えばいろいろできそうなくらいやばいんだけど…

 

「なんでも慈善活動をしながら、金を貯めこんでいる小悪党の住居を見定める。そして予告状を出してから盗んで、貧しい奴らにばらまくっていう奴らだ。世間じゃ義賊だなんだと言われているらしいがな」

「ん?義賊ってことはいい奴らなのか?」

 

 なんだ、幻獣旅団っていい奴らじゃん。

 

「わからん。だがな俺のお得意様の家にそいつらから予告状が届いてな。それをどうにかしたいってことでマスターを雇っているって話なんだが…」

「俺にそれに参加してほしいってことか」

「…お得意様の頼みだからな。商売人のつらいところだ」

 

 おっさんも顔をしかめていた。…なるほど、義賊に狙われる程度の家ではあるってことなのね。そしてそれを警護しろってことね。まあ、おっさんの頼みなら断れないな。

 

「いいよ。そのクエスト引き受けた」

「済まねえな。フィルル」

「謝るなよ。それよりなんでそんな名前なんだ。”幻獣旅団”って」

「ああ、なんでも構成員のエンブリオすべてが幻獣をモチーフにしているかららしい」

 




正直、超級職はめっちゃ迷ったし、批判は出るだろうけど、一応これで確定します。
いやどこが【神】やねんって話ですが。
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