"軍団最強”の男   作:いまげ

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久々です。捏造設定&読みづらいかもしれませんがそれでも良ければどうぞ


After Story ”将軍■■”

□??? 【煙芸王】メビウス・セブンスター

 

 俺がデスぺナルティから明け、クラン本部へと顔を出す。今回の一件について説明するためだ。

 オーナーは大して気にはしないだろうが…必要なことだ。どちらにしても一度リセットされている。オーナーには一度会わなければならない。

 

「おやおや。メビウス君、デスぺナから明けたのかい?…それでどうだった久々の現実での煙草の味は」

「…」

 

 オーナーは俺を一瞥し、まるで現実の私を見透かしたような言動をする。流石のオーナーも現実世界の私まで見透かすことはできないと思うが…

 

「それでどうしてデスぺナしてたの?」

 

 かと思えば、全てを視っていてもおかしくないこの世界の出来事について無頓着だったりもする。要は…彼の気分次第なのだろう。

 

「フィルル・ルルル・ルルレットと対決し、敗れました」

「へー。あの【幻獣旅団】、いや【軍団最強】とか」

 

 少なくとも、オーナーは【軍団最強】のことは知っているらしい。話が早くて助かる。するとオーナーはどこか遠くを見るような素振りを見せる。

 

「それで、次はどうする?前のと同じ奴でいいかい?」

 

 オーナーは話を進めてくる。…本当に話が早くて助かる。

 

「いえ…」

 

 俺は自分の希望をオーナーに伝える。今度こそ、【軍団最強】に勝てるように。

 

 ◇

 

「しかし、【軍団最強】かー。どうしてまたそんな奴と戦おうとしたの?」

 

 オーナーが作業を進めながら話を振ってくる。どうやら彼の興味を引くような話ではあったらしい。それと同じくらい【死商王】にも興味をもって対応してくれたらいいのだが…

 

「俺のエンブリオと奴とは相性が良かったからですよ。まあ負けてしまったのですが…」

「いやそうじゃなくてさ…。報酬は何だったのか聞いているんだよ、メビウス君」

「…」

 

 オーナーとの会話はいつもこうだ。話している内にいつの間にか話が飛ぶ。けれど、それは恐らく俺の理解が追い付いておらず、彼は既に少ない情報から既に核心を見透かしているのだろう。

 

「カルディナが保有する情報です。【器神】と【死商王】の情報を。我々クランの商売敵と裏切り者の情報です」

「なるほどねー。情報に金の糸目はつけるなっていうことだねー」

 

 ホントにオーナーが言うと洒落にならない。その言葉に相応しいエンブリオを持っているからだ。

 

「メビウス君。君って【将軍最強】は誰だと思う?」

「…」

 

 また話が飛んだか。まあオーナーも暇なのだろう。その話題に付き合うとしよう。真っ先に浮かんだのは俺を倒したフィルル・ルルル・ルルレットだが…

 

「ああ。【軍団最強】とかいわないでくれよ。あれは【軍団最強】であって【将軍最強】ではない。【将軍】ではないからね」

「つまり、【将軍】を冠するジョブでなければならないということでしょうか」

「うん」

 

 そもそも、俺は他の【将軍】に明るいわけではないのだが…

 

「そうですね。俺の知っている限りだと【無将軍】ですかね」

「ふーん、その心は」

「俺自身詳しくは知らないですが【将軍】として皇国最強のティアンとして名を知られています。なんでも特典武具で千を超える兵を生みだし、圧倒的な指揮能力を持っているとか…」

 

 俺は知り得る情報の中でこれだと思う名をあげる。

 

「なるほどねー。兵の即時性と指揮能力かー」

「…」

「兵の強さはどう考える?」

「兵の…強さ…ですか?」

「ちなみに【無将軍】の兵は下級職程度。一番強くても精々伝説級の兵だよ。即時性という観点でも甚だ疑問は残るね」

 

 やはり見透かしているように言う。この分だと【無将軍】のことは視り尽くしているらしい。

 

「いつの間にそんな情報を…」

「商売上だよ、メビウス君。ちなみに皇国に属する【魔将軍】は神話級UBMに匹敵する存在を複数体呼び出せるそうだよ」

「…。それでも【将軍最強】は【無将軍】だと考えます。兵の強さなど戦略次第では覆せます」

「それはどうだろうね。戦略で覆せるのは数の利だけだよ。圧倒的な兵の強さは戦略なんかじゃ覆せない」

 

 オーナーのその言葉は多くのことを視っているからこそ出る言葉なのだろうか。自分などでは違う、この世界で<超級>として生きるオーナーには…。

 

「…ではオーナーは【将軍最強】は【魔将軍】だと?」

「いやそれはないよ。あんな闘技場だけの強さ、【最強】には程遠い」

「…」

「即時性に指揮能力、兵の強さ。他にもあるかもしれないねー。【将軍最強】を決める指標は。だからこそ…【軍団最強】と呼ばれている彼は一体どれほどの強さなんだろうね?」

「…」

 

「ああでも」

「?」

「【将軍最速】の二つ名はあの子のものだろうねー」

 

 ◇

 

□??? 【屍骸王】ノスフェラ・トゥ

 

「男の子ってのはよくわかんないもんだネェ」

 

 私はある作業を続けながら、今もドンパチやっているであろう相方に思いを馳せる。

 意思を持つ特典武具。神話級特典武具とは言え、その実情はイレギュラー。フィルルの言葉を信じるならば性能自体は神話級特典武具に準ずるものらしいけど、それも未知数な所があるらしい。

 

 神話級武具と超級武具、そしてイレギュラーの特典武具。この辺の明確な違いはヘルプを読んでみても詳しくは知れない。

 ただし、例え同じランクであっても、特典武具の性能が著しく違うことがあるというのは確度の高い情報だ。区分の違いなど大した問題ではないのかもしれない。実際に私の手に入れた【山竜王】の神話級特典武具とフィルルの手に入れた神話級特典武具とを比べてみてもその情報は正しいと感じてしまう。

 

「…まあ素材と武器という違いがあるから仕方ないんだろうけどネェ」

 

 それが【屍骸王】ノスフェラ・トゥにアジャストした結果だと言われてしまえば、そう納得するしかない。実際、私以外があの特典武具を手にしたところで文字通り山にしかならないだろう。

 

「ふう…」

 

 …作業の7割型は既に終わっている。

 といってもこれだけでも十二分に使える性能はしている。後は細かい武装などを追加するだけだ。だからこそ、作業の合間に考えごとをする余裕もある。しかし、私が何度かこういった作業をしているがやはりあれを感じたことはない。

 

 特典武具それ自体が宿した意思というものを。

 

 ◇

 

「特典武具が意思を持つなんて聞いたことがない」

 

 私のエンブリオである【浄穢境界 ヨモツヒラサカ】は怨念の作成に特化してる。それ故にヨモは魂を見ることができる。だが、ヨモに聞いてみても特典武具となったUBMはその魂さえもまとめて特典武具になるらしい。

 その過程で魂も意思さえも特典武具のリソースとなるため特典武具が意思を持つことは滅多に無いとのことだ。

 

「無論、例外はあります。私たちのように怨念駆動のアンデットではなく、魔力を用いるタイプのアンデット作成では、その魂の意思を宿すことはあります」

 

 ほう、それは初耳だ。私がいままで作ってきたアンデットももしかしたら意思を持っている可能性があったかもしれない。

 

「お勧めはしません。ノスフェラ様自身がさほど魔力をお持ちでないことに加えて、そのアンデットは自由意志を持ちます。丹精込めて作ったアンデットが自分の言うことを聞かない可能性がありますから」

 

 なるほどねー。

 本来であれば、怨念駆動のアンデットも暴走のリスクはあるんだろうけど、うちのはヨモの怨念を使った特別製だし、よほどのことがない限りその心配はないし、今のままがベストか。

 

「自由意志を持ったUBMの召喚。まして、相手があのメテロだからネェ」

 

 今、フィルルが何をしているかといえば、調教だか屈服だかもしれない殴りあいだ。

 

 メテロは召喚されてもまともにフィルルの指揮を受けず、自爆攻撃を繰り返す困った存在である。生前のスキルを全て使えるはずなので、私を損壊させたウォーターカッターや水を使った兵隊の作製なども使用可能なはずなのである。

 だというのに、メテロは自爆しかしない。むしろ自爆にフィルルを巻き込んで殺そうとする意思すら感じられる。

 

 そのせいでフィルル本来のバトルスタイルとメテロの召喚は非常に噛み合わないものとなっている。フィルルの戦いの起点である胞子すらも巻き込んで広域殲滅自爆をするからである。

 

 そのメテロをフィルルは制御下に置くべく今日も殴りあいをしているのだが…

 

「殴りあいではメテロは屈服しないと思うけど…」

 

 そして私は極当たり前のことを思うのだった。

 

 ◇

 

 作業もひと段落し、一息つく私。殴りあいの喧嘩はまだ続いているらしい。最も私の作業のせいでここ最近は身動き取れなかったから、フィルルからしてもちょっとした暇つぶしなのかもしれない。

 

 私は久方ぶりに街の方に出向き、散策でもしようかと思ったら、

 

「ノスフェラ様!」

「髄骸」

 

 ヨモの声に反応して、即座に遺骸を起動する。怨念によって動くアンデットは迫りくる敵を右手に生まれた剣で切り裂いた。

 

「これは…天使か」

 

 髄骸が切り裂いた相手を認識する。だとしたらヨモが予知できたのも理解できる。天使はその性質上、【聖騎士】が持つ《聖別の銀光》と似た能力を持つ個体がいる。そこに存在するだけで、弱い怨念ならば浄化されるほどの光を持っているのだ。

  

 逆に言えば、その天使の周りでは怨念が浄化されて弱まるということ。怨念を扱うエンブリオであるヨモは怨念の増減に敏感である。怨念が減ったことで天使の存在を知覚できたのだ。

 

 だとしてもヨモが反応できてよかった。なぜなら今の天使の速度は…超音速だったのだから。その速度で接近されていれば私は為すすべなくデスぺナになっていただろう。なんせ、【大死霊】が持つ不死身に近い耐久力も天使の持つ光の前では意味を成さない。

 

「天使自体が珍しいというのに、超音速起動する個体がこんなところに…」

「ノスフェラ様!」

 

 再度、ヨモが叫ぶ。

 天使がさらに四体、私目がけて飛翔する。AGIにして2万近くの数値を誇る四重の閃光を本来であれば、為す術なくやられていただろう。

 

 だが、髄骸は古代伝説級UBMを超える性能を持つ。AGIのみに特化した天使など少し数が増えた程度ではやられはしない。事実、天使のAGI以外の数値は亜竜級モンスターにすら劣る。

 攻撃力など、私がアンデット種族になる【大死霊】ではなく、また天使が《聖別の銀光》にも似た光を持たねば生産職の私ですら耐えきれる程度。

 相手の耐久力にしても同じで、髄骸の剣が当たるだけで天使の肉体は即座に砕け散っていった。

 

 数が少し増えた程度では負けることは決してない。

 

 最も…敵の数が五体だけであればの話だが…

 

「ノスフェラ様!天使が最低でも90。こちらに目掛けて…」

「…レギオン?いや将軍職か!」

 

 ◇

 

 【天将軍(ヘイヴンジェネラル)】。それは【魔将軍】と同じく自身で配下モンスターの召喚を行えるジョブである。

 最も召喚されるモンスターは悪魔などではなく天使である。それ故に【天将軍】と【魔将軍】では大きな違いいくつか存在する。

 一つは召喚されるモンスターのステータスである。【魔将軍】のスキルで召喚される悪魔のステータスは固定されている。インスタントな悪魔召喚であるが故のステータス固定だ。

 そして、【天将軍】の天使召喚もまたインスタントな天使召喚である。だが、そのステータスは悪魔とは違い、固定値ではなく変動値である。では、そのステータスが何で変動するかといえば、召喚者のステータスである。

 

 例えば、【天将軍】のスキルの一つ、《コール・エンジェル・レジメンツ》は【ソルジャー・エンジェル】を100体召喚し、30分使役するものだが、その【ソルジャー・エンジェル】のステータスは【天将軍】のステータスの10分の1としたものである。

 このように【天将軍】が召喚する天使のステータスは自身のステータスを参照とするものが多い。それは【天将軍】の天使召喚のコストにも密接する話である。

 

 【天将軍】の天使召喚のコスト。それは【魔将軍】のような生贄ではなく、純粋な祈りである。

 

 祈りそのものが天使の肉体を作り、スキルを与え、動かすのである。皮肉なことに在り方としては怨念駆動と似たようなものである。

 あちらが人のマイナスの感情、恐怖や妬み、恨みなどをリソースに変換してスキルを行使するのに対して、こちらは人のプラスの感情、賛美や感謝、慈愛などをリソースに変換してスキルを行使する。

 

 だが、祈りをコストにスキルを使うには相応の時間を必要とする。怨念と比べて祈りのリソース効率は悪い。【天将軍】の初歩的なスキル《コール・エンジェル・レジメンツ》でさえ、常人であれば三日三晩の祈りを必要とする。

 

 だが今の【天将軍】セイヴァ―にはエンブリオがある。TYPE:ワールド・ルール【祈主宣誓 ミサ】の能力である。

 ミサは同系列のスキルの上位互換を重ね、必殺スキルもそれに準じたモノ。ミサが有する唯一の能力《洗礼祈祷(ミサ)》は祈りの間のみ、AGIを100倍にし、その上で体感時間を10倍にするというもの。

 その能力を以って、本来なら三日三晩かかる祈りも他の者からすれば1分にも満たない時間でスキルの発動を行うことができる。

 

 超音速で動く天使を即座に展開し、弾丸のように射出し続ける戦法をもって、【天将軍】セイヴァーは【将軍最速】の異名をとっている。

 

 ◇

 

「百、いや二百を超えたかネェ」

 

 突撃してくる天使を髄骸で蹴散らしつつ、殺した天使の数を目算する。

 

 全くもって厄介。一匹でも討ち漏らせば、その一体が怪物()を倒すシルバーブレット(超音速天使)となる。先ほども髄骸のミサイル攻撃などの広範囲攻撃を仕掛けて延命している。だが、これもそう長くはもたないだろう。

 

 救いがあるとしたら、天使のAGIと他のステータスとの解離が大きすぎて、突撃する際に一度ストップをかけていることか。おそらく超音速のまま突撃すると、その衝撃に攻撃した天使そのものが砕けてしまうのだろう。今の内に何か打開策を…

 

 …言ってる側からストップをかけなくなった。相手が将軍職であの【魔将軍】と同じ、配下のモンスターを自在に補充できるとしたら、天使が自壊しようが関係ない。天使は替えのきく存在であれば、突貫突撃で天使が砕けても問題ないと判断するだろう。

 

 少し、ヤバイかネェ。

 

 【海玉唯在 メテロ】のときと同じだ。いくら髄骸がステータスで天使達を上回っていようが私を落とされてしまっては意味がない。そのためのタンク役が欲しい常々思っていて、そのための対応策を講じていないわけではない。だがまだその対応策は完成していない。完成していないが…

 

「仕方ない。未だ完成度は7割程度だが…使うか」

 

 ◇

 

「…」

 

 天使の自壊を勘定にいれずに突撃させれば…あと1分もたたずに落とせる。思ったより粘るから少し計算がずれたが、このままいけば十分にやれる。

 

「ん?あれは…」

 

 【屍骸王】の周りに展開していた天使が一気に蹴散らされた。それと同時に【屍骸王】が消え、その代わりに戦艦の如き竜が鎮座していた。

 

「状況から考えたら…【屍骸王】の隠し玉。だとしてもアンデットには変わりない。ならば天使達の弾丸突貫で」

 

 言葉を言い切らないうちに、天使達を突撃させる。天使の命を考えずに速度を加速させたままぶつければ、あの髄骸と呼ばれたアンデットでさえ砕ける。その一撃が百も重なればあの戦艦すらも破壊できるだろう。

 

「…傷ひとつつかんとは」

 

 百の天使が突撃してもあの戦艦には1ダメージすら与えることすらできなかった。このまま並みの天使を追加しても結果は同じ。だが、相手は相手であの図体じゃ身動きはどうせ取れない。加えて相手はまだこちらの位置すら把握できていない。…仕方ない、ここは神話級天使を召喚し一気にケリをつける。心を磨り減らすことになるが問題はない。

 

「えっ…?」

 

 神話級天使の召喚のための祈りを捧げた直後、目の前に戦艦の巨爪が迫る。スキル発動中であったため、相手の攻撃はスローモーションで迫る。しかし、その攻撃を私はどうすることもできずに屠られる。

 

「なぜ、私の場所が…」

 

【致死ダメージ】

【パーティ全滅】

【蘇生可能時間経過】

【デスペナルティ:ログイン制限24h】

 

 ◇

 

「完成度は7割だけど、仕事は充分だネェ」

 

 天使を率いていた〈マスター〉をデスペナルティに追い込んでから、一息つく。

 全く相性としては最悪の部類だったけど、やっぱり地力の差って出るからネェ。しかし、あの銀の弾丸ともいうべき天使の突貫攻撃でさえ、傷ひとつつかないとは…クオリティは十二分。

 私は鎮座している戦艦を見下ろしてながら更なる改修に思いを馳せる。

 

 【屍山竜骸】

 

 【山竜王完全遺骸 ドラグマウンテン】を【屍骸王】の奥義、《圧縮義骸》を用いて作った戦艦の如き竜である。《圧縮義骸》は遺骸を圧縮して別物の遺骸に作り替えることができる。魚から鳥の遺骸を作ることも、竜から蝿の遺骸を作ることも可能。そして、元の性質を残しながら、新たな遺骸の性質を宿す。

 

 今回は山のサイズをもった【山竜王完全遺骸】をまずサイズを極限まで圧縮させて、そこからさらに戦艦という遺骸に作り替えた。

 

 その上で戦艦でありながら、【山竜王】の耐久力と《竜王気》を兼ね備えている。さらにその戦艦に乗り込むことで、私自身の安全も確保される。

 

「誤算だったのは、【山竜王】の頃よりよほどスピードが出せることだネェ」

 

 【山竜王】の巨体を圧縮したことで、結果としてAGIの大幅上昇を獲得できた。それこそ、超音速機動か可能なほどに。

 

相性の良し悪しは考えものだネェ。相手は隠れていたつもりだろうが、召喚された天使はそれだけで周りの怨念を減らしてしまう。逆にいえば、怨念が極端に減っているところが天使達の召喚点、つまりは相手の居場所ということになる。しかし…

 

「いったいどうしていきなり攻撃されたんだろうネェ?」

 

 ◇

 

□??? 【煙芸王】メビウス・セブンスター

 

 オーナーはまた遠くを見るような顔をしている。俺はオーナーのスキルで調整をしてもらい、ようやくデスペナ以前に…デスペナ以前よりも強い状態になった。

 

「まあでも…」

 

 一作業を終えて、オーナーはまた口を開く。

 

「最速では最強には程遠いよねー。やっぱり最強って称号には興味がつきないよー」

「…」

 

 先ほどの話の続きのようでいて、それはまるで今この瞬間にどこかで繰り広げられた戦いを見た感想のような口ぶりだった。

 

「まあ、今は損失を取り戻すとしますかー。マルス君には見つけた先々期文明の工場を横領されたし、ラスカル君には折角見つけた遺跡を破壊されたしねー」

 

 そういってクラン《ゴルゴネイオン》のオーナー、【発掘王(キング・オブ・エクスカーヴェ―タ―)】ユテンはまだ見ぬ彼方へとその足を向けた。

 未知への発見を求めて…

 

 




【屍山竜骸】…翼のないインペリアルドラ○ン

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