遊☆戯☆王ARC-V THE KING OF SPIRITS 作:Sepia
(おいナギ。朝だぞ)
「……あぁうん。おはよう王様」
ナギ・アーネストの朝は、大抵彼のデッキにいる精霊の声によって目が覚める。
特に与えれた仕事があるわけではないのだが、彼はやらなければならないという使命感で眠い目をこすりながらも目を覚ます。
(なんなら俺様が眠気を不っ飛ばしてやろうか?)
「王様のやり方って割と雑というか……その……心が冷えてくる感覚がするからやめようよ」
(そうかい)
苦笑いしつつ、ナギは目覚めて外に出る。
彼が日課としていること。それは、
「おはよう、お姉ちゃん」
「あらナギ。おはよう」
孤児院の院長をやっている実の姉、エル・アーネストの手伝いである。
家族が必死で働いているのに、自分がぐーすかと遅くまで寝ているわけにはいかなかったのだ。
まだ11歳にしかならないナギにできることは大したことはない。
ナギが変に手伝うよりは、エルにすべて任せていたほうが彼女自身手間がかからないのかもしれないが、そういって知らんぷりを決め込むのは嫌だった。
そんな弟の様子をエルはいつも、微笑ましいものを見るような笑顔を浮かべている。
「眠たいのならまだ寝てていいのよ」
「そういうわけにはいかないよ。お姉ちゃんだってまだ眠たいのに頑張っているんだから、ボクだって」
「そう?じゃあ洗濯物持ってきてくれるかしら?今日は天気がいいから、午前中に乾きそうなの」
「わかった」
ナギは自分の顔が隠れるくらいたくさんの洗濯物を持ってくる。
そして、外に設置してある物干し竿に昨日のうちに服を通していく。
その最中に、エルはふと思い出したかのように言った。
「あ、そうだ。ねぇナギ。ちょっと思ったんだけど」
「なーに?」
「あなた、デュエルアカデミアに通ってみる気はない?」
ただ、それはナギにとっては片手間で言われるような些細な提案ではなかった。
エルが何を言い出したのかを、すぐに受け止めることもできなかった。
「きゅ、急にどうしてそんなことを言うの?」
「前から考えてはいたのよ。ほら、前にナギがやりたいっていうことを教えてくれたでしょ?正直もっと前向きな夢はないのか思ってるけど、機会のひとつとして、どう?」
「……お姉ちゃんは、ボクはいない方がやっぱりいい?」
「とんでもない!またそんなこと言ったら本気で怒るわよ!」
「……ごめん。でもお姉ちゃんだって知ってるでしょ?シティにあるデュエルアカデミアが学校だよ」
「知らないはずがないでしょ」
「確かに優秀なら学費はなくなるようにしているとは聞いてるけど、シティで暮らすにはお金がいる。かかるお金は学費だけじゃない。生活費、食費、宿泊費。とんでもないことになる。いや、それ、これはいいわけかな。正直に言うと、お姉ちゃんを放っておくのはいやなんよ」
コモンズでありながら、デュエルアカデミアを受験できるだけの金銭的な余裕がある。
これは随分と恵まれていることだ。
けど、その恵まれた立場にいなタラも、ナギの表情は晴れない。
弟の顔を見て、姉は心の底から謝罪をした。
「……ごめんなさいね」
「どうしてお姉ちゃんが謝るの?」
「ナギ。あなたがやりたいことは、本当なら私が全面的に力になれる。ただ……その、嫌なのよ。もちろんアリスあたりなら私の頼みは喜んで引き受けてくれるだろうけど、私はシティと関わりたくないの」
「……あたりまえだよ。むしろ、こんなこと相談してるボクが厚かましいんだ。お姉ちゃんが謝ることは何一つないよ」
いつかシティに行き、ジャックとデュエルをする。
それがユーゴの夢で、エルはDホイールについていろいろと教えてはいる。
ナギもリンもユーゴの夢が叶える瞬間をシティの舞台で見たいとは思う。
ナギも自身の夢のために、いつかはシティに行くことになるとは思っていたが、それはユーゴの夢をかなえる時と変わらない時だと思っていた。
けれどそのときエルは、シティには来ないだろう。
そうナギは思っていた。
「あなたがどんな選択をするにせよ、応援だけはしたいと思うわ。その気になったら、言ってね」
「うん、ありがとう。お姉ちゃん」
結局どうするかの結論がでないまま時間は過ぎ、朝食の時間だと全員がそろった。
朝は昨日の夕食のスープが少々残っていたため、それを小さなパンが用意されていた。
いただきます、とユーゴは大口をあけてパンにかじりつくが、すぐにリンに注意されていた。
「ユーゴ!パンはこぼさないようにして食べなさい!パンくずがボロボロと落ちているじゃない!」
「お、悪い悪い」
「何度言ったら分かるのよ!いつも先生のものを見習って食べなさいって言ってるでしょ!」
「そうはいうけどよ、先生もナギも食べ方が上品すぎるんだよ。あれをいきなりマネしろって言っても無理だって」
「努力くらいはしなさい!」
「リン。そう怒らなくていいわよ。どのみち掃除はあとでするし、急にやれっていっても窮屈でしょう。私もナギも、食べ方は親がいたころに強制されたものだから、習慣として逆に乱暴には食べられないの。食事は気持ちよく食べましょう」
「そうだぜリン!いいじゃないか、これくらい」
「うぅ……ナ、ナギからもユーゴに何か言ってよ」
「…………」
「おい、ナギ?どうかしたか?」
「え、あ、うん。ゴメン、なんでもないよ。気にしないで」
朝は、どこか上の空となってしまった。
デュエルアカデミアに行ってみないか。その答えが出てこないのだ。
やりたいことはやればいい。
エルはそんな考えをする人間だ。実際にちょっと前までは好き勝手やっていた。
けれどそんな姉が弟ながら大好きだった。
孤児院の院長の座について人の感謝されるようなことを多くやりだした姉を誇らしいと思う反面、少しだけさみしくも思う。
ナギが行きたいといえば、行かせてくれるだろう。
けれど、ナギ自身はデュエルアカデミアに行きたいかというと、正直言って微妙であった。
将来のために役に立つかなと、その程度の思い入れしか込めていない。
気分転換として朝の散歩に出かけたけれど、どうにも決心がつかなかった。
そこで、彼の精霊が話しかけてきた。
(……ナギ。考え事か)
(あ、やっぱりわかっちゃう?)
(当然だ。オマエのことは昔から知っているからな。どうしたんだ)
(ちょっとお姉ちゃんの意図がよく分からなくてね)
(エルの意図だと?)
(どうしてデュエルアカデミアを受験してみないかって言ったのかということだよ。まさか、そんなこと言い出すとは夢にも思っていなかった)
デュエルアカデミアという存在は知っていた。
シティにある程度の期間滞在できる方法を考えていた時に、かつて思いついた手段の一つである。
そして、合格できたとしても、自分が通うことはないだろうとして破棄した案であった。
「お姉ちゃんに悪い。ボクにはやりたいことがあるけど、それは家族と天秤にかけるようなものじゃない。贖罪のために、また別の罪を犯すわけにはいかない」
ナギは自分のデッキから二枚のカードを引き抜き、右手で見つめた。
それはナギのエクストラデッキに存在するカードであり、ナギが持つすべてのシンクロモンスターであった。そして、かつて自身の姉が、プレゼントとして自分に渡したものである。
「お姉ちゃん、今デュエルをしないんだ」
(それがどうした)
「本当なら、お姉ちゃんこそあのシティの大舞台で活躍できる人なんだよ」
(いや……それは厳しいんじゃないか。デュエリストとしての腕はともかく、その……)
「ありがとう王様。わかっているよ。ボクのことなんて関係なく、お姉ちゃんはそれを望まない」
デュエリストにとっての最強カードとは、自分のデッキに眠る最も信頼するカードのことを言う。
例えば、シティのキングであるジャック・アトラスが自らの魂だと主張するエースモンスター。
紅蓮の魔龍。
レッド・デーモンズ・ドラゴン。
「ボクにとっては最強のカードは王様だよ」
だが、最強のデュエリストとはだれか?これは世間的にはキングの称号と手にした人間となるが、ナギにとっては違った。
「けどね、ボクにとっての最強のデュエリストはやっぱりいつまでたってもお姉ちゃんなんだ。お姉ちゃんがこのミソラタウンにずっといてくれるようになったのは、家族としてはうれしいけど、少し寂しくもあるんだ」
一時は出稼ぎに行ってくるといってデュエルディスク片手に飛び出していった。
そのときのエルは間違いなく、夢と理想を掲げていたはずなのだ。
一時は本当に楽しそうにしていたのだ。
「ボクたち姉弟は昔から少しみんなとは違っていた。ボクが王様と話すことができる力があるように、お姉ちゃんだってある力があった。人に後ろ指をさされることだって何度もあった。そのためにやさぐれていた時もあったけど、ある日から楽しそうにデュエルするようになったんだ。何がお姉ちゃんを変えたのかは知らないけど、それはとても幸せなことだったはずなんだ。それを……それをボクのせいで、奪ったに等しい」
(オマエ、まだそんなこと言っているのか)
「思考の迷宮から抜け出せない。ボクができたことなんて、結局ボクが大好きになった人をことごとく不幸にしただけのことだ。ボクがいなければ、お姉ちゃんは今頃もっと幸せに……」
(ナギ)
「……ゴメン」
(俺様はオマエのこと、気に入っているぞ)
「ふふ、ボクも大好きだよ、王様」
ナギは自分のデッキのエースカードを見つめながら優しく微笑んだ。
それと同時に、自分を呼ぶ声が聞こえる。
「おーい、ナギィーー!」
ユーゴだった。ユーゴはナギのもとまで走って駆けてくると、自分のデュエルディスクを抱えた。
「……どうしたの?」
「なんか朝からおまえの調子がおかしかったから、何か心配事でもあると思ってな。ここはデュエルで解決しようぜ!気持ちよくデュエルすれば、悩みなんて吹き飛ぶさ!」
そして、笑顔でナギにそういった。
(ユーゴのやつ、あんなこと言ってるぞ。さてナギ、お前はどうする?ここでまだ終わらない自己否定の無限ループを続けるか、それとも……)
(決まっているよ、王様)
ナギもデュエルディスクを構え、自分の親友に正面から向き合う。
「相手してくれるね、ユーゴくん」
「オウ!!」
「「デュエルッ!!!」」
ナギ・アーネスト LP8000 VS ユーゴ LP8000
「オマエからこいよ、精一杯ぶつけて来い」
「そう。それじゃボクの先行だ。ボクのターンッ!ボクは自分のライフを墓場へと捧げ、手札から魔の試着部屋を展開させる」
《魔の試着部屋》
通常魔法
800ライフポイントを払う。
自分のデッキの上からカードを4枚めくり、その中のレベル3以下の通常モンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。それ以外のカードはデッキに戻してシャッフルする。
ナギ・アーネスト LP8000 → LP7200
「この効果によりデッキから4枚めくり、その中のレベル3以下の通常モンスターを自分フィールドに特殊召喚する」
このカードに確実性というものはない。
ライフを払っておいて、何もできなかったというケースもありうるカードである。
ただ、ナギにはカードを呼び込める自信があった。
そもそもカード一枚一枚と、それを使うデュエリストには相性というものがあるのだ。
全く同じデッキを持ってデュエルというものを始めたとして、最終的に行き着く先はデュエリストにとって千差万別だ。
デュエリストがカードを選んでいるのか、カードが使うデュエリストを選んでいるのかは分からない。
きっと両方なのだろうとナギは思う。
ユーゴの場合はメインデッキが機械族モンスターメインで構成されているデッキに行きついた。
そして、ナギの場合は
「一枚目、魔法カード、ワン・フォー・ワン。二枚目、罠カード、エンジェル・リフト。三名目、通常モンスター、さまよえる亡者。そして最後、四枚目!」
ナギは4枚目にめくったカードを確認すると、安心したように微笑んだ。
「引いたカードはワイト!よってレベル2のさまよえる亡者と、レベル1のワイトを守備表示で特殊召喚する」
「お、いきなりきたな。ナギのキーカード」
《ワイト》
通常モンスター
星1/闇属性/アンデット族/攻 300/守 200
どこにでも出てくるガイコツのおばけ。
攻撃は弱いが集まると大変。
「ボクは場の通常モンスター、さまよえる亡者を対象に、魔法カード馬の骨の対価を発動する。デッキからカードを二枚ドローする。そして、カードを二枚伏せてターンエンド」
ナギ
LP7200
HAND:3
MAIN:ワイト(DEF200)
REVERSE:2
「今度はオレのターン!ドロー」
(さあて、どうすっかな)
ユーゴのデッキは
風属性機械族モンスターで構成されているデッキであり、状況に応じたシンクロモンスターで戦うデッキである。どんな状況でも器用に対応できる反面、シンクロ召喚が前提となるためメインデッキで戦うタイプのデッキではないのだ。
メインデッキは下級モンスターが多いために大抵場合は相手のモンスターにシンクロ召喚で立ち向かうことになるのだが、
(今フィールドにあるのはワイトが一体。こいつ相手なら、別にシンクロ召喚する必要はない。シンクロ召喚できる状況なら、一体でワイトを粉砕してもう一体でダイレクトアタックができる)
ワイトのステータスは貧弱だ。SRの下級モンスターでも余裕で破壊できる。
(気になるのはあの伏せカード。だが、ナギの基本戦術は脳筋だ)
ナギはカードの精霊の声が聞こえるらしいが、やることはカードの組み合わせを前提としたコンボではなく、攻撃力を上げて殴るという脳筋そのものだ。本人は立派な戦術だと言い張っているが、リン相手だといつも逆に利用されてボコボコにされている。
(どのみち、あの伏せカードを警戒したところで、踏み抜かなきゃどうしようもないしな。ここはいつものようにいくしかねぇか!)
「俺は手札から、
《ダウンビート》
通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):自分フィールドの表側表示モンスター1体をリリースして発動できる。
リリースしたモンスターと元々の種族・属性が同じで元々のレベルが1つ低いモンスター1体をデッキから特殊召喚する。
「さぁこいベイゴマックスッ!」
《SRベイゴマックス》
効果モンスター(制限カード)
星3/風属性/機械族/攻1200/守 600
「SRベイゴマックス」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから「SRベイゴマックス」以外の
「スピードロイド」モンスター1体を手札に加える。
「SRベイゴマックスの効果により、オレがデッキからSRを、メンコートを手札にくわえる。フィールドに風属性モンスターがいるので、手札からタケトンボーグを特殊召喚する!タケトンボーグはリリースすることで、デッキのSRチューナーを一体特殊召喚できる。さぁでてこい雷々大公!」
これで準備は整った。
フィードにはレベル3のモンスター一体とチューナーが一体。
そうなるとやることは、一つ。
「いくぜ!レベル3のベイゴマックスに、レベル3の雷々大公をチューニング。十文字の姿もつ魔剣よ。その力ですべての敵を切り裂け!シンクロ召喚!現れろ、レベル6!《HSR魔剣ダーマ》!」
《
シンクロ・効果モンスター
星6/風属性/機械族/攻2200/守1600
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
「HSR魔剣ダーマ」の(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ戦闘ダメージを与える。
(2):自分の墓地の機械族モンスター1体を除外して発動できる。相手に500ダメージを与える。
(3):このカードが墓地に存在し、自分フィールドにカードが存在しない場合、自分メインフェイズに発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。この効果を発動するターン、自分は通常召喚できない。
「魔剣ダーマの効果発動!墓地のシェイブーメランを除外してナギに500のダメージを与える!」
ナギ LP8000 →LP7500
「いけ魔剣ダーマ!ワイトを貫いて貫通ダメージを与えろ!」
「ボクはワイトを対象にしてリバースカードオープン。同盟同性同盟!」
《同姓同名同盟》
通常罠
自分フィールド上に表側表示で存在するレベル2以下の通常モンスター1体を選択して発動する。
自分のデッキから選択したカードと同名のカードを可能な限り自分フィールド上に特殊召喚する。
「この効果により、ボクのデッキからワイトを二体守備表示で特殊召喚する!」
「だがその効果では魔剣ダーマは止まらない!続行だ!」
魔剣ダーマのはけん玉の面影を持つ剣。
その剣が亡霊の身体を貫くとともに、その衝撃で相手のライフを削り取る。
ナギ・アーネスト LP 7500 → 5500
「オレはカードを二枚伏せてこれでターンエンドだ」
ユーゴ
LP8000
HAND:2(メンコート)
EXTRA:HSR魔剣ダーマ(ATK2200)
REVERSE:2
墓地:SR雷々大公、SRタケトンボ―グ、SRベイゴマックス
「ボクのターンだ。ドロー」
ナギ
LP5500
HAND:3 → 4
MAIN:ワイト(DEF200)×2
REVERSE:1
ナギとユーゴはこれまでに何度もデュエルをしてきた仲だ。
勝敗こそ時の運とばかりに入れ替わるが、相手がとってくる手もわかりきっている。
(ユーゴくんの手札には、ダイレクトアタックを止めるメンコートが存在する。ぐずぐずしていたら、状況は悪化するだけだ。さてどうしよう。とりあえずは手札のメンコート。あいつが今後の邪魔だ。今のうちに使わせたい)
「魔法発動!苦渋の決断。デッキからレベル4以下の通常モンスター1体を墓地へ送り、その同名カード1枚をデッキから手札に加える。ボクはデッキからゾンビーノを墓地に送り、デッキからゾンビーノ一体を手札にくわえる」
《ゾンビーノ》
通常モンスター
星4/地属性/アンデット族/攻2000/守 0
ふたりは とってもなかよし
しんでもいっしょ よみがえってもいっしょ
はなれることはない
だから ふたりがであうことは もうにどとない
「出てきたな、ナギの持つ下級アンデットで固定数値だと最高打点モンスター」
これでナギのフィールドにはワイトが二体。
(少々もったいない気もするけど、打点が足りないから仕方ないか……)
「ボクはさらに手札の魔法カード、悪魔への貢物を発動する。この効果によって、フィールドに特殊召喚されたモンスター一体を選択して墓地へと送り、手札のレベル4以下の通常モンスター一体を特殊召喚する。さぁこいゾンビーノッ!魔剣をいけにえとして出てこいッ!」
「フフフフフ」
「さらにゾンビーナを通常召喚ッ!」
「ハハハハハ」
《ゾンビーナ》
効果モンスター
星4/地属性/アンデット族/攻1400/守1500
(1):このカードが相手によって破壊された場合、
「ゾンビーナ」以外の自分の墓地のレベル4以下のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。
これでユーゴのフィールドにモンスターは存在しない。
しないのだが、
「このまま攻撃だ!」
「ダイレクトアタックを受けるとき、手札のSRメンコートの効果発動!」
《
効果モンスター
星4/風属性/機械族/攻 100/守2000
(1):相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動できる。このカードを手札から攻撃表示で特殊召喚し、相手フィールドの表側表示モンスターを全て守備表示にする。
「こいつの効果によって、ナギのフィールドのモンスターすべてを守備表示にする」
「ターンエンド!」
「オレのターン!」
ナギ
LP5500
HAND: 1
MAIN: ワイト×2(DEF200) ゾンビーナ(DEF1500)、ゾンビーノ(DEF0)。
REVERS:1
ユーゴ
LP8000
HAND: 1 →2
MAIN:SRメンコート(ATK1100)
REVERSE:2
墓地:SR雷々大公、SRタケトンボ―グ、SRベイゴマックス
「魔法カード、スピードリバースの効果を発動!墓地の魔剣ダーマを復活させるぜ」
「うわぁ」
「ナギを相手にするにはやはりこいつが一番強い!墓地から召喚された魔剣ダーマはエクストラモンスターゾーンではなくメインモンスターゾーンに置かれる。よって、俺はこれよりシンクロ召喚を行うことができる!」
シンクロ召喚はエクストラデッキに存在するモンスター。
そのため最初に呼ばれた時はエクストラモンスターゾーンへと召喚される。
それはシンクロ召喚に、時には邪魔になることもあるのだ。
より高いレベルのモンスターをシンクロ召喚するならば、エクストラモンスターゾーンのモンスターをシンクロ素材とすればいいだけであるが、低レベルのシンクロをしたい場合はそうもいかない。
だが、エクストラデッキ以外から呼ばれた場合はメインモンスターゾーンへと送られる。
「自分フィールドに風属性モンスターが存在するとき、SRタケトンボーグを特殊召喚できる」
「出たね二枚目!」
「こいつの効果ももちろん知っているな?こいつ自身をリリースすることで、デッキからスピードロイドチューナーモンスター一体を呼べる。こい、SRスピードロイド赤目のダイスッ!そして、レベル4のメンコートにレベル1の赤目のダイスをチューニングッ!」
「くるか」
「シンクロ召喚ッ!さぁこいチャンバライダーッ!!」
《
シンクロ・効果モンスター
星5/風属性/機械族/攻2000/守1000
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
自分は「HSRチャンバライダー」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。
(1):このカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃できる。
(2):このカードが戦闘を行うダメージステップ開始時に発動する。このカードの攻撃力は200アップする。
(3):このカードが墓地へ送られた場合、除外されている自分の「スピードロイド」カード1枚を対象として発動できる。そのカードを手札に加える。
「やはり出てきたね、二回攻撃モンスター!」
「こいつの前にまず、魔剣ダーマの効果!墓地の機械族モンスター一体を除外して、ナギに500のダメージだ。オレはメンコートを除外!」
ナギ LP5500 → 5000
「うッ!」
「チャンバライダーは二回攻撃することができ、そのたびに攻撃力を200あげることができる」
(ナギのフィールドにあるゾンビーナは、相手によって破壊された場合にゾンビーナ以外の下級モンスターを蘇生できる効果を持ってる。苦渋の決断の効果ですでに墓地にゾンビーノが存在している以上、オレがどれから攻撃してもゾンビーノが出てくることには変わらないな。……なら!)
「さぁバトルだ!まずは復活した魔剣ダーマで守備表示となっているゾンビーノを攻撃だ!ゾンビーノはレベル4で攻撃力2000もある通常モンスターだが、守備力は0!よって、貫通能力によってダイレクトアタックも同じだ!」
「ぐ!?」
ナギ LP5000 → LP2800
「ナギのデッキのモンスターは、守備力が基本低い!だからこそ、お前相手なら魔剣ダーマはナギを貫く剣となるッ!」
「あぁ、その通りだよ。何度そいつにボコボコにされたことだか……」
「まだ終わらないぜ!次はチャンバライダーで攻撃!こいつは戦闘を行うダメージステップ時に攻撃力が200上がる。ゾンビーナを攻撃だ!」
HSRチャンバライダー ATK2000→2200
「ゾンビーナが相手によって破壊されたので、墓地のゾンビーノを守備表示で特殊召喚する」
「次は二回目の攻撃!チャンバライダーはさらにパワーアップだ!」
HSRチャンバライダー ATK2200 → 2400
「オレは復活したゾンビーノを攻撃するぜ!」
ゾンビーナの効果によって復活したゾンビーノであったが、その体はチャンバライダーによってあっけなくその身体が引き裂かれる。
「オレはこれでターンエンド!」
「ボクのターンッ!」
ユーゴ
LP8000
HAND:0
MAIN:HSR魔剣ダーマ(ATK2200)
EXTRA:HSRチャンバライダー(ATK2400)
REVERSE:2
墓地:SR雷々大公、SRタケトンボ―グ×2、SRベイゴマックス、SR赤目のダイズ
ナギ
LP2800
HAND:1→ 2
MAIN:ワイト×2
REVERSE:1
「ボクは手札からワイトをリリースして、馬の骨の対価を発動し、デッキから2枚のカードをドローする」
ナギ:HAND 2→ 1 → 3
「手札の
《
効果モンスター
星4/闇属性/アンデット族/攻1700/守 0
(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。
デッキからアンデット族モンスター1体を墓地へ送る。
(2):表側表示のこのカードが相手の効果でフィールドから離れた場合に発動できる。
デッキから「堕ち武者」以外のレベル4以下のアンデット族モンスター1体を特殊召喚する。
「となると、送るのは馬頭鬼か」
「そう!ボクは墓地に馬頭鬼を墓地へと送り、効果発動だ!」
「墓地の馬頭鬼を除外することで、墓地のアンデットを特殊召喚する。よみがえれゾンビーノッ!」
「さらに手札から月鏡の盾を発動し、ワイトに装備させる!そして攻撃表示に変更する」
《
装備魔法
(1):このカードの装備モンスターが相手モンスターと戦闘を行うダメージ計算時に発動する。
装備モンスターの攻撃力・守備力はダメージ計算時のみ、戦闘を行う相手モンスターの攻撃力と守備力の内、高い方の数値+100になる。
(2):表側表示のこのカードがフィールドから墓地へ送られた場合、500LPを払って発動する。
このカードをデッキの一番上または一番下に戻す。
「戦闘においてほぼ無敵となる装備魔法か!」
「まだだよ、ユーゴくん!ボクは永続魔法、弱者の意地を発動だ!」
《弱者の意地》
永続魔法
自分の手札が0枚の場合、自分フィールド上に存在するレベル2以下のモンスターが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、自分のデッキからカードを2枚ドローする。
「バトル!ボクはワイトでHSRチャンバライダーに攻撃!」
「ただでは終わらない!リバースカードオープン、スーパーチャージ!」
《スーパーチャージ》
通常罠
(1):自分フィールドのモンスターが機械族の「ロイド」モンスターのみの場合、相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。
「オレはデッキから2枚のカードをドローする!」
ユーゴ
LP8000
HAND:0 → 2
MAIN:HSR魔剣ダーマ
EXTRA:HSRチャンバライダー
REVERSE: 2 → 1
墓地:SR雷々大公、SRタケトンボ―グ×2、SRベイゴマックス、SR赤目のダイズ
「だけどその効果ではワイトは止まらない!戦闘続行だ。チャンバライダーは攻撃力を200あげる効果を持つが、それは戦闘を行うダメージステップ開始時!月鏡の盾はダメージ計算時だ。さきにチャンバライダーの効果が発動し、その後で月鏡の盾の効果が発動する」
HSRチャンバライダー ATK:2400→ 2600
ワイト ATK:300 → 2700
「よって、ワイトでチャンバライダーを破壊する!そして弱者の意地の効果によって、ボクはデッキから2枚ドローする」
「チャンバライダーは墓地へ送られた場合、除外されている自分の「スピードロイド」カード1枚を手札にくわえる効果を持つ。オレは除外されているメンコートを手札にくわえるぜ」
ナギ HAND:0 → 2
ユーゴ LP8000 → LP7900
HAND:2 → 3(メンコート)
それだけではない。ナギのフィールドにはまだ攻撃を行っていないモンスターが二体いる。
「ゾンビーノで魔剣ダーマを攻撃!」
「ゾンビーノの方が攻撃力は低い。となると……何か引いたか」
「手札から速攻魔法、収縮を発動し、魔剣ダーマの攻撃力を半減させる!」
ソンビーノ ATK2000 VS 魔剣ダーマ ATK 2200 → 1100
ユーゴ LP7900 → 7000
「さらに、堕ち武者でダイレクトアタック!どうする?メンコートは?」
「メンコートの効果は今は使わない!そのまま受けるぜ!」
ユーゴ LP6900 → 5200
「ぐッ!」
「ボクはカードを一枚伏せてターンエンド」
「やってくれたなナギ!さすがだ、と言いたいが、オレの全力もまだまだこれからだ!ドロー」
ナギ
LP2800
HAND : 0
MAIN:ワイト(月鏡の盾装備)、ゾンビーノ(ATK2000)、堕ち武者(ATK1700)
REVERSE: 2
TABLE:弱者の意地
ユーゴ
LP5200
HAND:3 → 4(メンコート)
REVERSE:1
墓地:SR雷々大公、SRタケトンボ―グ×2、SRベイゴマックス、SR赤目のダイズ、HSR魔剣ダーマ、HSRチャンバライダー
(月鏡の盾は、戦闘では無敗の盾。それは、ナギのエースモンスターが出てこようが覆らない。だが、戦闘以外で対処できるだけたやすいもんだ!)
「オレは墓地に存在する、スピードリバースの効果を発動だ!」
《スピードリバース》
通常魔法
(1):自分の墓地の「スピードロイド」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。
(2):墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の「スピードロイド」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。
「なるほど、先ほどメンコートの効果を使わなかったのはこれのためか。この効果で墓地のベイゴマックスを手札にくわえれば、その効果で特殊召喚とSRのサーチができる。そのためにはメンコートが邪魔になる」
「あぁ、そのためにオレは最初に魔剣ダーマをシンクロ召喚した時に、バーンのコストにしなかった。そして、ナギの言うようにベイゴマックスを自身の効果で特殊召喚するつもりだった」
「……だった?」
ナギとユーゴ。
二人はこれまで何度もデュエルをしてきた仲だ。
いいかげんに互いのデッキの特徴なんて分かっている。
当然、ユーゴの今後の動きを予測しながらナギは戦っていた。
「今ドローしたカードで方針が変わった。やっぱ男なら、小細工もいいけど、打点で上から殴るのも楽しいよなッ!」
「全く持ってその通りだよユーゴくんッ!!」
この会話をリンが聞いていたら確実にあきれているだろう。
攻撃力だけがデュエルではないのだ。
けれど、攻撃力が重要でないかというと、そんなはずがない。
効果がなくとも、攻撃力が高いと存在しているだけで脅威となる。
「よっしゃ、行くぞナギッ!オレはスピードリバースの効果によって、手札に戻すカードは、シンクロモンスターの、HSRチャンバライダーだッ!シンクロモンスターのこいつは、手札ではなくエクストラデッキに戻る」
「チャンバライダーを戻して一体どうするつもり?」
「こいつはあくまで今度の保険だ。いくぞナギ!オレは手札からSRパチンゴーカートを通常召喚し、効果発動だぜ」
《
効果モンスター
星4/風属性/機械族/攻1800/守1000
(1):1ターンに1度、手札から機械族モンスター1体を捨て、フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。
「手札の機械族モンスター、SR-OMKガムを墓地に送り、効果発動だ。対象とするのはもちろん、月鏡のワイト!」
「ぐッ!」
「さらに墓地のSRスピードロイド電々大公の効果により、自身を除外することで「スピードロイド」チューナーモンスターを墓地より特殊召喚する。さぁこい赤目のダイズ!こいつは特殊召喚に成功した時、「SR赤目のダイス」以外の自分フィールドの「スピードロイド」モンスター1体を対象とし、1~6までの任意のレベルを宣言してレベル変更ができる。よって、オレがフィールドのSRスピードロイドパチンゴーカートのレベルを3にするぜ」
「合計レベル4。あいつがくるか」
「いくぜナギ!オレはレベル3となったパチンゴーカートに、レベル1の赤目のダイズをチューニング!シンクロ召喚、HSR快刀乱破ズール!」
《
シンクロ・効果モンスター
星4/風属性/機械族/攻1300/守1600
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
(1):このカードが特殊召喚されたモンスターと戦闘を行うダメージステップ開始時に発動できる。このカードの攻撃力はそのダメージステップ終了時まで倍になる。
(2):S召喚したこのカードが墓地へ送られたターンのエンドフェイズに、HSR快刀乱破ズール」以外の自分の墓地のスピードロイド」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。
「さらに、墓地の電々大公の効果発動だぜ」
《
チューナー・効果モンスター
星3/風属性/機械族/攻1000/守1000
「SR電々大公」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):墓地のこのカードを除外して発動できる。自分の手札・墓地から「SR電々大公」以外の
「スピードロイド」チューナー1体を選んで特殊召喚する。
「こいつの効果により、チューナーであるOMKガムを墓地から守備表示で復活させる」
「たしかOMKガムには、シンクロ素材となったときに攻撃力を上げることができる効果があったはず。その効果は成功するか不確定のランダム要素が絡むものだったはずだけど、まさかそれを狙って?」
「いいや違うぜ!こいつはあくまで保険さ。本命はこっちだ!手札から、魔法カード、《ハイ・スピード・リレベル》を発動ッ!!」
《ハイ・スピード・リレベル》
通常魔法
(1):自分の墓地の「スピードロイド」モンスター1体を除外し、自分フィールドのSモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターはターン終了時まで、除外したモンスターと同じレベルになり、攻撃力は除外したモンスターのレベル×500アップする。
「オレが除外するカードは、HSR魔剣ダーマ、レベル6だ!よってズールの攻撃力を3000アップするぜ」
HSR快刀乱破ズール ATK:1400 → 4400
「アホみたいな攻撃力で殴るのはナギだけの専売特許ではない!いけズール!ゾンビーノを攻撃しろ!こいつは特殊召喚されたモンスターと戦闘を行う場合、もともとの攻撃力ではなく、現在の数値を倍加させることができる。よってズールの攻撃力は倍の8800!ゾンビーノの攻撃力は2000、そしてナギのライフは2500。よってこのバトルで発生する6800のダメージで、オレの勝ちだ!いけッ!ズール!」
「そうはいかない!罠発動!ガードブロック!」
《ガード・ブロック》
通常罠
相手ターンの戦闘ダメージ計算時に発動する事ができる。
その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になり、自分のデッキからカードを1枚ドローする。
「この効果でボクは、このバトルで死なない!ライフは残る!さらに一枚ドロー!」
ナギ
LP2800
HAND : 0 → 1
MAIN:堕ち武者
REVERSE: 2 → 1
TABLE:弱者の意地
「ずっと前から伏せていた罠はそれだったか。おおかた、装備カードを失って無防備になったワイトを守るためのものだろう。なかなかいい手だが、ガードブロックの効果ではモンスターの破壊は防げない!ゾンビーノは粉砕される!」
「ボクのフィールドにはまだ堕ち武者が存在する。キミの攻撃はこれで終わりだ!」
「――――――それはどうかな?」
「なんだって!?」
「ナギ!オレの攻撃はまだ終わっていない。リバースカードオープン、緊急同調!」
ユーゴ
LP5200
HAND:1 (メンコート)
EXTRA:HSR快刀乱破ズール
MAIN:SR OMKガム
REVERSE:1 → 0
墓地:SR雷々大公、SRタケトンボ―グ×2、SRパチンゴーカートSRベイゴマックス、SR赤目のダイズ
《緊急同調》
通常罠
バトルフェイズ中のみ発動できる。
シンクロモンスター1体をシンクロ召喚する。
「合計のレベルは……5!そういうことか!」
「ああ、いくぞ!オレはエクストラモンスターゾーンに存在するレベル4のズールに、レベル1のチューナーであるOMKガムをチューニングッ!シンクロ召喚ッ!再びフィールドに姿をみせよ、HSRチャンバライダーッ!!」
「出てきたな、チャンバライダーッ!」
「そして、シンクロ素材として使われたOMLガムの効果発動だ!」
《
チューナー・効果モンスター
星1/風属性/機械族/攻 0/守 800
(1):自分・相手のバトルフェイズに自分が戦闘・効果でダメージを受けた場合に発動できる。
このカードを手札から特殊召喚する。
(2):このカードの効果でこのカードが特殊召喚に成功したバトルフェイズに発動できる。
このカードを含む自分フィールドの風属性モンスターのみをS素材としてS召喚する。
(3):このカードがS素材として墓地へ送られた場合に発動できる。
自分のデッキの一番上のカードを墓地へ送り、そのカードが「スピードロイド」モンスターだった場合、
このカードをS素材としたSモンスターの攻撃力は1000アップする。
「デッキの上から一枚墓地へと送り、それがスピードロイドならはチャンバライダーの攻撃力は1000上がるぜ」
「……二回攻撃モンスターの攻撃力が1000上がるのかぁ」
「いくぜッ!」
ユーゴはデッキの一番上を確認した。そこにあったのは。
「デッキの一番上にあったのは、SRバンブー・ホースだ!よって1000アップ!」
チャンバライダー ATK:2000 → 3000
「チャンバライダーで堕ち武者に攻撃する瞬間、チャンバライダーは攻撃力がアップする!」
チャンバライダー ATK:3000 → ATK3200
ナギ LP2800 → LP1300
「これで堕ち武者も消えた!いけ、チャンバライダーよ、ナギにダイレクトアタックだ!」
「リバースカード発動、ピンポイントガード!この効果により、墓地からゾンビーノを守備表示で特殊召喚する。チャンバライダーは魔剣ダーマとは違い貫通能力を持たないため、守備力0のこいつでもなんとかなる!」
《ピンポイント・ガード》
通常罠
(1):相手モンスターの攻撃宣言時、自分の墓地のレベル4以下のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン、戦闘・効果では破壊されない。
「なるほど、だが、攻撃は続けるぜ。モンスターの破壊はできなくとも、攻撃によってチャンバライダーの攻撃力は上がるッ!」
HSRチャンバライダー ATK:3200 → 3400
「オレはこれでターンエンドだ。そしてエンドフェイズにズールの効果が発動だ。シンクロ召喚したズールが墓地へ送られたターンのエンドフェイズに、HSR快刀乱破ズール」以外の自分の墓地のスピードロイド」モンスター1体を手札に加えることができる。オレは墓地のベイゴマックスを手札にくわえるぜ」
ユーゴ
LP5200
HAND:2(メンコート、ベイゴマックス)
EXTRA:HSRチャンバライダー ATK3400
墓地:SRタケトンボ―グ×2、SRベイゴマックス、SR赤目のダイズ、SRパチンゴーカート、SR OMKガム、SRバンブーホース、HSR快刀乱破ズール
ナギ
LP1300
HAND:1
MAIN:ゾンビーノ(DEF0)
TABLE:弱者の意地
(うん、圧倒的なまでのピンチだ)
現時点でユーゴの体制は盤石といえる。
手札のメンコートはダイレクトアタックから身を守ることができ、そうでなくともベイゴマックスで次のターンも攻勢に出てくるだろう。攻撃力3400のチャンバライダーをなんとか倒しても、まだ安心すらできない。
ガードブロックのドロー効果で引いたカードは突進。相手の速攻モンスターの攻撃力を上げる速攻魔法だが、こいつ単品ではどうしようもない。ゾンビーナを強化したところで、チャンバライダーにはかなわない。このまま負けるか、デュエルを続行するかはこのドローにかかっていた。
「ボクのターン」
負ける。それはよくあることだった。ナギとユーゴの戦績なんて、特に偏りがあるわけではない。
勝つときは勝つし、負けるときはあっさり負ける。
ならば勝負の勝ち負けにこだわることもないのだが……
(嫌だなぁ……)
このまま負けるのは、気に食わない。
負けること自体はいい。
だが、先ほどまで考えていたことが、自分でも気に食わない。
自分には自信がないから、信念がないから、お姉ちゃんに申し訳がないから。
そんな理由で心に迷いが生じ、全力すら出せず、勝てないと思ってしまった。
そんなのデュエリストとして失格以外の何者でもない。
そんな人間が、エル・アーネストの、自分が最強と思うデュエリストの、身内だというのは恥ずかしい。
負けるなら負けるで、全力を出して負ける。
それがデュエリストとしての最低限のマナーだ。
「ユーゴくん」
「ん?なんだ?」
「ボクとデュエルをしてくれて、ありがとう」
こんなことを言うのは失礼かもしれない。
皮肉に聞こえるかもしれないし、諦めにも似た感情を受け取るかもしれない。けれどユーゴは幸せそうに、
「いいってことよ、親友」
何一つ裏表もない笑顔を見せてくれた。
ならばそれに答えなくてどうする。
「いくよ、ユーゴくんッ!」
「さぁこい、ナギィ!」
「ドローッ!」
ナギはドローしたカード。それは、
(……よう)
(王様)
自分のデッキに宿る、カードの精霊だった。
このカードを見た瞬間、ナギはどうしてだろうか、なんだか無性にほっこりした気分になった。
(来てくれたんだね)
(オマエが俺様を呼んだんだろうが)
(うん、待ってたよ)
ナギ
LP1300
HAND:1 → 2
MAIN:ゾンビーノ
TABLE:弱者の意地
「いくよ、ユーゴくん」
「こい!」
「ボクはワイトキングを通常召喚!」
「この局面で出てきたか、ナギのエースモンスターッ!」
《ワイトキング》
効果モンスター
星1/闇属性/アンデット族/攻 ?/守 0
このカードの元々の攻撃力は、自分の墓地に存在する「ワイトキング」「ワイト」の数×1000ポイントの数値になる。このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、自分の墓地の「ワイトキング」または「ワイト」1体をゲームから除外する事で、このカードを特殊召喚する。
フィールドに出てきたのは、紫のボロ布を身にやつした骸骨。
ただ、骸骨というもののイメージとは違い、その姿は生命力にあふれるような力強さを見せつける。
こいつこそが、ナギの最愛のモンスター。
彼自身が最強だと信じて疑わない、象徴ともいえるモンスター。
「王の攻撃力は、墓地に眠るしもべの数で決まる。よって攻撃力は3000となる」
「だが、その攻撃力ではチャンバライダーに届かないぜ」
「攻撃力をボク相手に自慢しても意味がないってこと、キミだって知っているでしょ」
ワイトキングは自分より攻撃力の高いモンスターに対し、一切の躊躇もなく突撃していく。
「チャンバライダーの効果により、自身の攻撃力を200あげる」
「ダメージ計算前に、速攻魔法突進を発動し、王の攻撃力を700あげる!」
HSRチャンバライダー ATK3400 → 3600
ワイトキング ATK 3000 → 3700
ユーゴ LP5200 → LP5100
「レベル1のワイトキングが戦闘によってモンスターを破壊したことで、弱者の意地の効果発動。ボクの手札が0なので、二枚ドローできる」
「チャンバライダーが墓地に送られたので、除外されているSRを一体手札にくわえることができる。オレは、ハイ・スピード・リレベルの効果で除外した魔剣ダーマをエクストラデッキに戻す」
ナギ HAND: 0 → 2
「ボクのフィールドにはピンポイントガードで蘇生したゾンビーノが存在するけど、攻撃はしない。攻撃表示に変更してターンエンドだ」
「攻撃してこないのか」
「今メンコートをくらうのは嫌なんだ。ボクはリバースカードを一枚セットしてターンエンドだ」
「覚えていたか。当然だな。オレのターン。ドローッ!」
ナギ
LP1300
HAND: 1
MAIN:ワイトキング(3000)、ゾンビーノ(ATK2000)
REVERSE:1
TABLE:弱者の意地
ユーゴ
LP5100
HAND: 2 → 3(メンコート、ベイゴマックス)
「オレは手札から貪欲な壺を発動だ。墓地に存在している5体のモンスターをデッキに戻し、カードを二枚ドローする。オレが選ぶのはこいつらだ!」
SRタケトンボ―グ×1
SR OMKガム
SRパチンゴーカート
HSR快刀乱破ズール
HSRチャンバライダー
(―――――ッ!ここでこいつを引いたか)
ユーゴは引いたカード二枚のうちの一枚のカードを見て表情に出そうになる。
そのうちの一枚は、エンジェル・リフトという罠カード。
墓地からレベル2以下のモンスター一体を特殊召喚できる永続罠だ。
このカードの特徴は、もっといいカードが存在している、というものである。
そのカードの名は、リビングデッドの呼び声。
レベル制限がなく、特殊召喚できるというものだ。
ユーゴがリビングデッドの呼び声を使わない理由は、簡単である。ユーゴは持っていないのだ。
金持ちのトップスとは違い、少年であっても自分で仕事をするコモンズの人間が使うカードは汎用性が高いものよりも、使う人を選ぶ物が多い。
はっきり言って、トップスの連中に使えないカードとして捨てられたカードが手に入ることが多いのだ。
エンジェル・リフトはそのうちの一つだろう。潤沢な資金力を持つトップスの人間ならこのカードを使う奴はまずいないはずだ。
(ナギ。このカードはオマエがくれたんだったな)
限られたカードの中、デッキを組むコモンズを象徴するようなカードであると同時、ユーゴは懐かしい気持ちになるカードであった。
(まだデッキが40枚にもなっていないとき、使えるかもしれないって言って渡してくれたんだよな。オマエだって、カードを探している最中だったってのにな)
エルのところにやってきて、自分のデッキを持って、なんとデュエルディスクまで手にして。
今度はDホイールを作ろうというところまで来た。
11歳の少年としては、自分は恵まれている方だろう。
その自覚があるからか、何度デッキを組みなおしても、構築を見返してみても抜く気にはならなかったカードだ。
「オレのフィールドにモンスターが存在しないので、SRベイゴマックスを特殊召喚できる。そして、ベイゴマックス以外ののRを手札にくわえる。こい、ダブルヨーヨー!そのまま通常召喚だ」
《
効果モンスター
星4/風属性/機械族/攻1400/守1400
(1):このカードが召喚に成功した時、 自分の墓地のレベル3以下の「スピードロイド」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。
「こいつは通常召喚に成功した時、墓地のレベル3以下のスピードロイドを復活させる。これで墓地のベイゴマックスを復活させ、効果発動。タケトンボーグをデッキから加え、リリースすることでデッキから電々大公を呼び出すぜ」
「電々大公……」
「こいつはチューナーだ。いくぜ、レベル3のベイゴマックスに、同じくレベル3の電々大公をチューニングッ!」
(今の手札でワイトキングを倒す手段はないが、ナギのライフは1300。風前の灯火に等しい。こいつを呼んでゾンビーノを破壊したところで、ライフはのこる。それにナギの二体のシンクロの一体はあいつだ。攻撃表示にするよりは……)
「シンクロ召喚、魔剣ダーマッ!ただし守備表示で現れろ!そして魔剣ダーマの効果発動!墓地の機械族モンスターであるダブルヨーヨーを除外して、ナギに500のダメージを与える!」
ナギ LP1300 → LP800
「守備表示でだしてきた?」
「魔剣ダーマでゾンビーノを攻撃しても、ナギのライフは大したダメージはない。ゲームエンドまではいかないのさ。それに、ナギの二体のシンクロモンスターのうち一体はあいつだ。変にフィールドに残しておくよりは、妨害も含めて安全策でいくぜ!」
ユーゴ
LP:5100
HAND: 2(エンジェルリフト、SRメンコート)
EXTRA:HSR魔剣ダーマ(DEF1600)
MAIN: SRダブルヨーヨー
「オレは手札から、魔法カードシンクロクラッカーを発動だ!」
《シンクロ・クラッカー》
通常魔法
(1):自分フィールドのSモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを持ち主のエクストラデッキに戻し、そのSモンスターの元々の攻撃力以下の攻撃力を持つ相手フィールドの表側表示モンスターを全て破壊する。
「この効果により、ナギのフィールドに存在しているゾンビーノを破壊する。そして魔剣ダーマがエクストラモンスターゾーンから消えたことで、オレが再びこのターンにシンクロ召喚ができる。墓地の電々大公を除外して、墓地のレベル1モンスター、赤目のダイズを墓地から特殊召喚するぜ」
「魔剣ダーマのバーン効果は一ターンに一度だけ。となると、ここで出てくるのは、このデュエルで出ていないキミの最後のシンクロモンスターか」
「シンクロ召喚。HSRマッハゴーイータ!守備表示で出てこいッ!」
《
シンクロ・効果モンスター
星5/風属性/機械族/攻2000/守1000
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
「HSRマッハゴー・イータ」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードをリリースして発動できる。フィールドの全ての表側表示モンスターのレベルはターン終了時まで1つ上がる。この効果は相手ターンでも発動できる。
(2):このカードが墓地に存在し、自分フィールドに「スピードロイド」チューナーが存在する場合に発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は風属性モンスターしか特殊召喚できない。
出てきたのは巨大な羽子板。
シンクロ召喚を決めたユーゴであったが、まだまだ止まらない。
「まだだ!先のターンにOMKガムの効果によって墓地に送られていたSRスピードロイドバンブー・ホースの効果発動だ」
《
効果モンスター
星4/風属性/機械族/攻1100/守1100
「SRバンブー・ホース」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが召喚に成功した時に発動できる。
手札からレベル4以下の「スピードロイド」モンスター1体を特殊召喚する。
(2):墓地のこのカードを除外して発動できる。デッキから風属性モンスター1体を墓地へ送る。
この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。
「この効果で、デッキの《SRスピードロイド三つ目めのダイス》を墓地に送る。」
《SRスピードロイド三つ目めのダイス》
チューナー・効果モンスター
星3/風属性/機械族/攻 300/守1500
(1):相手ターンに墓地のこのカードを除外して発動できる。
このターン、相手モンスターの攻撃を1度だけ無効にする
「これで一回分の攻撃は向こうにされる、か」
徐々にナギが打つ手がなくなっていく現状に、どうしたものかと考え込むことになる。
「さらにオレはカードを一枚伏せ、ターンエンドだ」
ユーゴ
LP5100
HAND:1(SRメンコート)
EXTRA:HSRマッハゴー・イータ(DEF1000)
REVERSE:1
だが、ナギの疑問はこの現状をどうやって打開しようかというものではなかった。
「……どうして?」
「ん、何がだ?」
「どうしてOMKガムの効果を狙わなかったの?」
OMKガムはシンクロ素材として使われたときに自分のデッキの一番上のカードを墓地へ送り、そのカードが「スピードロイド」モンスターだった場合、シンクロモンスターの攻撃力は1000アップすることができる。ギャンブルではあるが、ワイトキングの現在の攻撃力は3000。正直大した攻撃力ではない。マッハゴー・イータの召喚時にOMKガムを用いていれば、互角に攻撃力を持っていけるもしれなかった。
もちろん、三つ目のダイズには攻撃を一度防ぐ効果もあり、悪い選択肢だとは言わない。いわないのだが、OMKガムをバンブーホースの効果で墓地に贈り、シンクロ召喚を狙うことだってできた。そして、貪欲の壺によってチャンバライダーはエクストラデッキに戻っている。
賭けのようそはあるが、このターンにユーゴが勝負を決めようと思えば勝負に出れたのだ。
なのに、しなかった。
どうしたのだろうかと聞くと、なんだかユーゴは照れくさそうに答えた。
「いや、別にオマエをなめているわけじゃないんだ。ただな……」
「ただ?」
「これはお前のために始めたデュエルだ。正直、俺が信念をかけて行うデュエルではない。そんな状況じゃ、いくら勝負は時の運といってもギャンブルは失敗する。それが分かっているんだ。ナギは敵じゃなっくて、オレの仲間だしな。こんな気持ちじゃ、引き当てられるものも引き当てられない」
「ユーゴくん」
「むしろ、この状況からオマエが迷いを吹っ切った信念で切り返してくれよ。それができるだけの力をお前が持っているって、オレは信じている」
信じている。
そういわれてナギは自分のことを信じていたか、それを思い出す。
(……信じているとは言い難かったかな)
自分のことなんて信じてない。嫌いだ。
けど、ナギはユーゴのことが好きだし、彼は夢を絶対にかなえる存在だと信じている。
なら、ユーゴが信じているボク自身のことを信じてみようと思う。
「いくよ、ユーゴくんッ!」
「さぁこい!」
「ボクのターン、ドローッ!」
ナギ
LP800
HAND:1 → 2
MAIN:ワイトキング(3000)
REVERSE:1
TABLE:弱者の意地
これがナギのラストターン。次のユーゴのターンに魔剣ダーマが出されたら、効果ダメージだけでナギは死ぬ。この状況でナギがドローしたカードは、
「……お姉ちゃん」
「は?」
「きっとこれも運命なんだろうね。お姉ちゃんは、ボクに世界を見てほしいって言っているんかもしれない」
「おっ。いいカードが引けたようだな。引けたということは、もう迷っていることはないっていうことだ。よかったぜ」
「ありがとう」
礼をいうと、おう、とユーゴは笑顔で答えた。
「ボクは手札からユニゾンビを通常召喚!」
《ユニゾンビ》
チューナー・効果モンスター
星3/闇属性/アンデット族/攻1300/守 0
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
手札を1枚捨て、対象のモンスターのレベルを1つ上げる。
(2):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
デッキからアンデット族モンスター1体を墓地へ送り、対象のモンスターのレベルを1つ上げる。
この効果の発動後、ターン終了時までアンデット族以外の自分のモンスターは攻撃できない。
「ここでチューナーだと!?」
でてきたのはチューナーモンスターという名にふさわしく、肩を組んで歌を歌っているアンデット。
「ユニゾンビ自身を対象として、ユニゾンビの効果発動。対象モンスターのレベルを一つ上げ、デッキからアンデット一体を、馬頭鬼を墓地に送る。そしてこれから馬頭鬼を除外してゾンビーノを復活する。さて、ユーゴくん、どうする?」
「……」
「ボクたちは何度もデュエルしてきた。ボクの狙いは分かっているはずだ。ボクがキミのモンスターの効果を知っているように、キミもボクを知っている。マッハゴーイータはリリースすることで、相手フィールド上のモンスターのレベルを1あげる効果を持っている。この効果を使えば、シンクロ召喚の邪魔をすることができる」
(ナギが狙っていることは、おそらくレベル8のあのシンクロモンスターのシンクロ召喚だ。あいつの効果で、ナギはオレの手札を一枚除外してくる。オレの手札のメンコートを除外するだろう。確かにジャマはできるが……)
ユーゴがナギを知っているように、ナギもユーゴを知っている。
ナギが持っているシンクロモンスターは2体。
姉であるエルから渡されたカード。
そして、この状況で出てくるのはあいつのみ。
(マッハゴーイータの効果は知っている。そのうえで、まだあきらめていないということは、勝算があると言うことだ)
どちらを選んでも結果が変わらないとしても、少しでも結果が良いもの選ぶ。
それが勝負というものだ。
ユーゴはナギのとりうるものを考える。
(ここで馬頭鬼は対象を取って発動する。復活するのはゾンビーナに変わらない。仮にゾンビーナの復活時にマッハゴーイータの効果を使えば、ナギのフィールド状のカードのレベルが1あがる)
例えば、ナギのフィールドは、
ワイトキング Lv1 → 2
ユニゾンビ LV4 → 5
ゾンビーノ Lv4 → 5
のようになる。
(たしかにユニゾンビとゾンビーノによるレベル8のシンクロは不可能になるが、ユニゾンビは手札を一枚捨ててレベルを1あげる効果がある。ナギには最後の手札が残っている。その場合はワイトキングとユニゾンビのシンクロであいつがきて、フィールドにはゾンビーノ一体がフィールドに残るだろう)
確かに、ここでナギの切り札であるワイトキングが消えてくれるのは喜ばしいことだ。
そのうえ、ナギの手札の最後の一枚が消えることになる。
そうなればナギの残りの手段は伏せてあるカード一枚のみとなる。
ゾンビーノ一体の攻撃は、墓地の三つ目のダイズを除外して無効にでき、そもそもユーゴのライフは5100残っている。仮にダイレクトアタックを受けても問題ない。体制としては盤石である。だが、
(オレとあいつは何度もデュエルしてきた。なら、マッハゴーイータがある時点で効果を使ってくることは予測しているはず……どうする?)
しばし考えた後、ユーゴは決めた。
「オレは……、オレはマッハゴーイータの効果は使わない!」
「ならボクは、そのままゾンビーナを墓地から特殊召喚だ!」
これでレベル4のチューナーと、レベル4のモンスターがそろったことになる。
「さらにボクは、ボクのワイトキングを対象として、ユニゾンビの効果を発動する!」
「ワイトキングのレベルを上げたところで意味はない。となると、ナギの手札は墓地に存在して意味があるものか」
「そうだ。ボクは、手札からシャッフル・リボーンを墓地に送る」
ワイトキング LV 1 → 2
「そして、ボクは自分フィールドの永続魔法弱者の意地を対象にシャッフル・リボーンの効果を発動するよ」
《シャッフル・リボーン》
通常魔法
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分フィールドにモンスターが存在しない場合、自分の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、エンドフェイズに除外される。
(2):墓地のこのカードを除外し、自分フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを持ち主のデッキに戻してシャッフルし、その後自分はデッキから1枚ドローする。このターンのエンドフェイズに、自分の手札を1枚除外する。
「ボクはカードを一枚ドローする」
「さぁこいナギ!オマエの最後のドローだ!オマエが真に迷いを吹っ切り、デュエリストとして戦っているなら、望みのカードを引き当てられるはずだ!」
「ありがとう、ユーゴくん。ドローッ!」
ナギはドローしたカードを見る。
そして、勝ちに行く。
「いくよ、ユーゴくん。ボクはレベル4のゾンビーナに、レベル4となったユニゾンビをチューニング!」
「やっと出てきたか。先生がかつて使っていて、今はナギが持っているシンクロモンスター!」
「シンクロ召喚、PSYフレームロードΩ!」
《PSYサイフレームロード・Ω》
シンクロ・効果モンスター(制限カード)
星8/光属性/サイキック族/攻2800/守2200
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
(1):1ターンに1度、自分・相手のメインフェイズに発動できる。
相手の手札をランダムに1枚選び、そのカードと表側表示のこのカードを次の自分スタンバイフェイズまで表側表示で除外する。
(2):相手スタンバイフェイズに、除外されている自分または相手のカード1枚を対象として発動できる。
そのカードを墓地に戻す。
(3):このカードが墓地に存在する場合、このカード以外の自分または相手の墓地のカード1枚を対象として発動できる。そのカードと墓地のこのカードをデッキに戻す。
ナギのデッキはアンデット。
本人が言うには意識して組んだわけではなく、いつの間にかデッキにアンデットが集まっていたとのことである。それゆえに、超能力の戦士を連想させるように身体から雷をバチバチと発生させているモンスターは異質な存在に見えた。
「PSYフレームロードΩの効果により、次のボクのスタンバイフェイズまで自身とユーゴくんの手札一枚を……SRメンコートを除外する!」
「だが、これでオマエのフィールドにはワイトキングが一体だけになった」
「最後に引いた一手はこいつだ!異次元からの埋葬!この効果で除外されているモンスターを3体まで墓地に戻すことができる。ボクは除外されている二枚の馬頭鬼と、PSYフレームロードΩを帰還させる」
「そうか。それを最後に引いたのか」
「さらにPSYフレームロードΩの効果!このカードが墓地に存在する場合、このカードと自分または相手の墓地のカード一枚をデッキに戻すことができる。よって、ボクはユーゴくんの墓地からSR三つ目のダイズをデッキに戻す。そして馬頭鬼二体をふたたび除外することで、墓地のゾンビーノを二体特殊召喚する」
ゾンビーノ ATK 2000
ゾンビーノ ATK 2000
ワイトキング ATK 3000
(これは、マッハゴー・イータの効果を使わなくて正解だったな。もし使っていたら、壁モンスターとして使えるモンスターが存在せず、ダイレクトアタックを受けていた。その場合はオレのライフは尽きていた。だが、マッハゴー・イータは守備表示。ソンビーノ一体の攻撃は止められる)
そして、
「オレのライフは5100!お前の攻撃では削りきれないぜ!」
ユーゴ LP5100 → LP100
「ユーゴくん。これから行うのが、ボクの最後の攻撃だ」
「いいぜ、見せてくれよ。オマエが最後にどんな攻撃をするのか見せてくれ」
「いくよ、ユーゴくん。罠発動、エンジェル・リフト!」
「エンジェル・リフト!?」
自分と同じカードを伏せていたことにも驚いたユーゴであったが、それよりもなんだかほっとした。
デュエルの勝敗にかかわるかという点ではなく、親友もまた同じカードを使っていることがうれしかったのだ。
「ボクはこの効果で、ボクは墓地のワイトを特殊召喚する!」
「ん?さまよえる亡者じゃなくていいのか?」
「ユーゴくん。迷っていたことがあったけど、キミのおかげでどうするかは決めたよ。もう勝敗はどうでもいいけど、ボクはこれからもこのワイトとともに戦っていくんだ。ならば最後はこちらがふさわしい。ワイトを選んだことで負けるのだとしても、それはボクにとって本望だよ」
「そうかいい。じゃあオレも罠発動だ!」
発動する罠はもちろん、エンジェル・リフト。
次のターンにこれでレベル1のチューナーを呼び出し、マッハゴー・イータを自己再生能力で復活させたあと、魔剣ダーマを呼ぶつもりだった。
「キミも同じものを伏せていたの!?」
「あぁ、こいつで今呼べるのは……そうだな、こいつかな」
エンジェル・リフトはレベル2以下のモンスターを表側攻撃表示で呼ぶ。
今ユーゴが呼べるのは、
「さぁこい!赤目のダイズ!」
SR赤目のダイズ。
ユーゴが一番よく使うチューナーモンスターである。
そしてその攻撃力は、
「ナギ。お前の勝ちだよ」
100。
そしてワイトの攻撃力は300。
200のダメージで、ナギの勝ちだ。
この結果を受けてナギが思うのは、
「ユーゴくん。もしキミが絶対に勝つと決めて戦っていたら、キミが勝っていた」
「お互いさまさ。もしナギが最初から悩むことなくデュエルしていたら、また違った展開だったかもしれない」
「なぁナギ」
「なに?」
「オレたちは、オレたちのまま強くなろうな」
「うん、もちろんだよ。……ありがとう」
「いいってことよ!」
そして、ワイトの攻撃が行われた。
それでデュエルは終わった。
なんだが心が少し落ち着き、迷いが消えた気がした。
「さぁ!帰ろうぜ!」
そして、親友の姿がとてもまぶしく思えた。