「なぁ、今日は依頼もないし、勇者部一同少しばかり付き合ってくれないか?」
唐突に、本当に唐突に石滅君がそんなことを言い出しました。
「どうしたのよ急に。別にいいんだけど。」
部長である風先輩は、良いと良い。
「私も大丈夫です。」
樹ちゃんも風先輩に続く。
「なになに、どこか行くの?」
友奈ちゃんが興味津々に尋ねる。
「…東郷も大丈夫か?」
「ええ…。大丈夫です。むしろ一人置いていくなんてことしないでくださいね。」
私も彼の提案に乗る。
「それでどこに行きたいのよ?」
「そうでした。ちょっと遠いんですが…、大橋の方のイネスに行きたいんです。」
「「「「イネスに?」」」」
勇者部四人の声がかぶる。
「どうして、イネスに行きたいんですか?石滅君。」
私がそう聞くと、少し…ほんの少しだけれど私の目を見る。他の人からしたらほんの一瞬だったかもしれないけれど何かに期待していたような目だった気がします。
私が首を傾げると彼は少しばかり息を吐く。ただの呼吸かもしれなかったけれど…。
「昔…、世話になってたイネスのジェラート屋が今日で閉店するらしいんだ。だから最後に顔を出しておきたくて。」
…と言う。
かなり早い梅雨も明け、気温も上がってきた最近だからいいじゃないと風先輩が言って勇者部全員で行くことになった。
「イネスまではバスなんだが東郷は大丈夫か?もしバスが辛いとかだったら車を呼ぶが…。」
「バスぐらいなら大丈夫です。久しぶりに乗るけれどみんな一緒ですし、車を呼ぶなんてそれこそ大げさだと思います。」
「そうか。」
…なんだろう?今日は私のことをやけに気にしているような気がする。
そして、バスに乗りあれよあれよという間にイネスに到着した。
「いやー。大橋までだいぶかかるかと思ったけど話してたらすぐだったね東郷さん。」
「ええ、でもまさかしりとりだけでイネスまでの時間をつぶしちゃうなんて思わなかったわ。」
「リタイアありだったからねー。でも樹も結構頑張ってたけど、東郷と相馬には勝てなかったかぁ。」
私たちは道中、しりとりをして時間をつぶすこととなった。パスが2回までしか使えずリタイアした人から順位をつけていくといったルールだ。
因みに5位は友奈ちゃん、4位が風先輩で3位が樹ちゃん。私と石滅君の決着は着かなかった。
一番最初にリタイアした友奈ちゃんは私たちのしりとり中、終始頭にはてなマークを浮かばせていた気がする。
「ついたぞ。今日は俺のおごりだから好きなのを頼んでくれ。」
「「やったー!」」
と、友奈ちゃんと風先輩。
「ありがとうございます。」
と樹ちゃん。
「いいんですか?」
私がそう尋ねる。
「気にするな。付き合ってもらったからこれぐらいはするさ。」
「ありがとうございます。」
勇者部が様々なメニューに悩む中、私はすぐに決まった。石滅君もメニューを見ておらず、もう決まっているのだろう。
「決まったな?じゃあ、買ってくるから待っててくれ。」
そう言い、石滅君がジェラートを買いに行く。
「私も手伝うよ。」
友奈ちゃんも石滅君の後についていった。
「それにしても相馬が私達も誘うなんてねー。」
風先輩が注文している二人を見ながらそんなことを言う。
「確かに、石滅君は一人で来てそうですね。」
私も風先輩のようなことを考えていた。
彼は、自分の事に誰かを巻き込もうなんてしなさそうな正確なのはこの一か月でなんとなくわかっていたからだ。
「相馬先輩、ここのジェラート屋さんを誰かに知ってもらいたかったとか思ってたりするのかなぁ?」
樹ちゃんも不思議そうにする。
「ジェラート屋さんが無くなっちゃうから勇者部に知ってもらいたかったってこと?」
「はい。昔来てた時も誰かと一緒に来てたから…とか?」
「うーん、相馬はよくわからないわねぇ…。不思議だわ!」
「何々?なんの話してるのー?」
友奈ちゃんと石滅君がジェラートを持ってきた。
「石滅君がみんなを連れてくるなんて珍しいなって話をしてたのよ。」
友奈ちゃんはそうだねと答えた。当の本人は、
「ここに来るときは誰かしら連れてこないと店長にからかわれるからな。ほれ、宇治金時」
とだけ言い、私にジェラートを渡す。
「ありがとう。初めて見たときからおいしそうと思ってたんです。」
「そうか…、これも味見してみないか?」
そう言って彼は自分のジェラートを差し出してみる。
「何味なんですか?」
私がそう聞く。他のみんなも自分のジェラートを頬張りながら耳を傾けている。
「醤油味ジェラートだ。東郷なら気に入りそうだと思うんだが…。まだ口もつけていないし、どうだ?」
醤油味ジェラートなんて聞いたことがない。少しばかり興味がわき、もらうことにした。
「それじゃあ、一口だけいただきます。……なんだか、不思議な味。」
「そうか、口に合わなかったか?」
「いいえ、不思議な味だけどどこか懐かしい味で、おいしいと思います。」
「それはよかった。」
彼は少しだけ微笑む。
「なになにー?相馬君私も一口良い?」
「いいぞ、ほれ。」
「ううん?なんか不思議な味だねー。でもおいしい?なんだろうこれ…?」
友奈ちゃんは首を傾げる。やはりこの味は食べる人を選びそうだ。
その後は各々が自分のジェラートを話しながら食べた。
皆が食べ終わりさて帰ろうという空気になったとき、
音が消えると同時に世界が姿を変えた。
そう、樹海化警報もないのに私たちは樹海の中に立っていた。
どうも磯山ゲルです。
今回もまだ日常…だがしかぁし!次回は戦闘じゃぁ!
ネタはあるけどどう書けばいいのかわからず、家で職場でうんうん唸っておりますw
帰郷するので間が空いてしまうかもしれませんが、できれば今年中にもう一話投稿したいと思ってます!
感想とかもらえると私は大変喜びますよ?
とまあ冗談はさておき、また次回でお会いしましょう。
アデュー!