初めまして、ヤムチャしやがってです。
初投稿作なので、批評等貰えると嬉しいです。
それではプロローグをどうぞ!
風が吹く。嵐のような、すれ違うもの皆吹き飛ばさんとする獰猛な風が。
雲が覆う。まるで天がこれから起こる惨劇から目を隠すように、厚い曇天が広がる。
雷が迸る。やめてくれと、そう訴えるように何度も。
そんな空の下、二つの影が対峙する。
一つは白い巫女のような装束に身を包んだ一人の少女。そしてもう一人は、およそ人とは呼ぶことなどできない、赤き鎧に身を包んだ異形。
「何度も何度も、お前は私の邪魔ばかりしてくれる」
呆れたように、面倒くさそうに、目の前の異形へと向けて冷めた言葉をぶつける少女。
「今度こそ決着をつける。フィーネ、終わりの名を持つ巫女」
「またそれか。私を消し去るなど不可能だと、何度言ったはずだが。どうやらまだ理解できていないようだな」
「可能か不可能かは関係ない。俺はこれからもお前の前に立ち続ける。お前が罪のない人々を傷つける限り、ずっと!」
拳を握り、あらん限り叫ぶ異形。そんな異形にフィーネと呼ばれた少女は嘲笑にも似た笑みを浮かべ、小さく息を漏らす。
「これからもずっと、か……。くくっ、いつまでその虚勢を続けるつもりだ?」
フィーネの言葉に、異形の肩がわずかに跳ねる。そんな小さな反応すら見落とすことなく、少女は愉快な笑みを浮かべる。
「転生し新たな肉体を得る私と違い、貴様は長い時の間一つの肉体で過ごしてきた。貴様がいくら人を超越した力を有していようと、肉体が限界を迎えるのは自明の理。むしろ、こうして立っているのもやっとではないのか?」
くつくつと、神経を逆なでするように言葉を選び、また嗤う。そんなフィーネに異形は言葉を返さず、ただ無言のまま佇んでいた。
彼女の言う通り、この肉体はすでに限界を迎えようとしている。もはやあと数度、いや、この一戦で自分は力尽きてしまうかもしれない。
「確かに、俺の体は限界を迎えようとしている。お前との戦いは、あと数度もないだろう」
「ふっ、やはりk──」
「──だとしても!」
フィーネの言葉を遮り、声を大にして叫ぶ。
「
力強く、胸の前で拳を握り締める。フィーネを睨む赤き複眼は死を前にして衰えるどころか、むしろ一層 闘志を滾らせていた。
やはり、わからない──。なぜこの男が、ここまでして戦い続けるのか。人類という、自らの腕では到底 抱え込めないものを守ろうとするのか。
「なぜ、貴様はそこまでする。人を、世界を守ろうとする」
零れ出る疑問。無意識のうちに口をついたそれに、異形は依然 闘志を漲らせたまま答える。
「『愛しているから』、理由などそれだけで十分だ!」
ギリリ、とフィーネは歯を軋ませる。そこには先ほどまでの嘲笑は無く、ただただ、溢れんばかりの怒りで濡れていた。
「貴様が、人間を止めた貴様が──
「お前はここで終わらせる! フィーネ!」
それは、遥か昔の出来事。
人知れず起きたその戦いは異形の勝利という形で決着がついた。
だがそれは本当の終わりではない。終わりの名を持つ巫女は、また新たな肉体へと転生する。
一方、異形はというと──
「
「待ってよお父さーん!」
場所は日本。とある県にあるとある山奥。そこに人知れず眠ってた古代遺跡、その中に一つの家族の姿があった。
一人は作業着に身を包んだ男性。柔和な笑みを浮かべるその表情から、優しい性格だということが読み取れる。
そしてもう一人は幼い少女。サラサラとした白金の髪は肩あたりまで伸ばされ、後ろで一つに束ねられている。肌も陶磁器のように白く、黒い瞳をさらに際立たせる。
少女の名前は
本日は父である高嶺
「危ないから気をつけて歩くんだよ?」
「うん、ってわわわっ!」
言ったそばから石に躓き前のめりに転倒する陽日。慌てて慎太郎が駆け寄るとどうやら膝を擦りむいたらしく、怪我した箇所を抑えて涙を流していた。
「まったく、あれほど気をつけてと言ったのに。陽は慌てん坊だなぁ」
「ぐすっ、ごめんなさい……」
「ほらほら、そのくらいで泣くんじゃないよ。陽の泣き虫も相変わらずだね」
よしよしと、優しく頭を撫でる慎太郎。そんな父の優しさと頭部から伝わるぬくもりに安心したのか、涙をこらえて立ち上がる陽。
そんな娘にニコリと笑顔を向け、慎太郎もまた立ち上がる。
「もう少し先に皆がいるから、そこまで歩けるかい?」
「……おんぶ」
「まったく、しょうがないなぁ」
そう言いながらも満更ではない慎太郎は、陽をおぶると先に来てるであろう同僚たちが待つポイントへと向かって足を進める。
──その先に、地獄が待っているとも知らずに。
一人の男がいた。その姿はまるで霧に包まれたかのようにぼやけ、歩く影はまるで幽鬼のような雰囲気を醸し出す。
一歩、また一歩と踏み出されるその動作は一つ一つが重く、踏みしめるかのような足取りで進む。
「……」
数メートル進んだところでだろうか、不意に足を止める男。
「……呼ん、でる」
風が吹くだけで掻き消されそうな声で呟いた途端、男を包む霧のような何かはその濃さを増しついにはその体を完全に覆い尽くす。
数秒後、霧が晴れたその先に男の姿はなく、残された木々が静かに佇んでいた。
「ハッ、ハッ、ハァ──ッ!」
息を荒げ、遺跡の中を駆ける陽日。その顔は恐怖に濡れ、目元からは大粒の涙をこれでもかと流していた。
まるで何かから逃げるように、時折振り返り、そして再び走る。
(誰か、誰か助けて──!)
願い、縋り、救いを求めながら、懸命に足を動かす。そんな陽日の後ろから、悪魔達が姿を現わす。
「きた……っ!」
それは人ならざる怪物。青い体に四肢を持った、奇怪な生物。
その怪物の正体は『ノイズ』つい数年前に特異災害として認定された未知なる存在。
ノイズは人間しか襲わず、その体に触れた人間諸共 自身を炭化し死に至らしめる。対処法は未だ確立はされておらず、まさに『生きた災害』。
ノイズに出会う確立は『一生涯に通り魔に事件に巻き込まれる確立を下回る』と言われており、よほどのことがない限り出会うことはない。
だが、陽日の背後には確かに、その生きた災害の姿がハッキリと映っていた。
「お父さん、お父さん──ッ!」
走りながら、陽日が思うのは父の最期の姿。
『陽! こいつらは私が引きつける! その間にお前は逃げなさい!』
『いや! お父さんと一緒にいる!』
離れようとしない陽日の頭に手を置き、優しく撫でる。まるで最期であるかのように、愛おしそうに、噛みしめるように。
だがそれも数秒のこと。すぐに陽日の頭から手を離すと、服の裾を掴む彼女の手を優しく解き、出口のある方へ体を向けさせる。
『これから先、きっと辛いことが待っている。だけど、これだけは忘れないでくれ。どんなに辛くても、その先にはきっと、明るい未来が待っていることを。雨空の向こうに青空があるように、必ず……』
『おと、さん……っ!』
『さぁ、いきなさい。振り返ってもいい、けどその足だけは真っ直ぐ前に伸ばすんだ』
とん、と優しく背中を押す。
『愛してるよ、陽日。これからもずっと、お前のことを想っている』
そこから先は無我夢中だった。遠くなる父の声を耳に残し、ひたすらに足を動かした。
『あぁ、こりゃ母さんに怒られるな。お前を一人にして逝ってしまうんだから……』
最期の最期までいつもと変わらない優しい声が、今だけは嫌に胸に刺さった。
「──あぅ!」
足が絡まり転倒する。すぐに起き上がり走りだそうとするも、先ほどまでに比べて思うように足が進まない。だがそれは当然とも言えるだろう。あれから休みなく全力で走ったせいで、小学生である陽日の体力は殆ど底をついていたからだ。
急速にペースが落ちた陽日へ、追いついたノイズたちが一斉に襲いかかる。
「──い、や!」
強引に横へと飛び、なんとか難を逃れる陽日。だが着地のことも考えず勢いに任せて飛んだせいか、地面を跳ねながら転がる。
体の至る所を強打し、痛みで悶絶する陽日。そんな彼女へ、慈悲もなく第二波のノイズが襲いかかる。
(ごめんなさい、お父さん。私、逃げきれなかった……)
視界に映るノイズの群れに逃げ切れないと諦めた陽日は、静かにその瞼を下ろし最期の
「あきら、めるな」
「……え」
瞳を閉じた陽日の耳に、掠れた声が届く。そして瞼を持ち上げると、そこにいたのはノイズとは違う異形の姿。白を基準とした体は人のそれに酷似し、赤い大きな双眸がこちらを捉えていた。
新たな異形の登場に陽日は顔を青ざめさせ、体を起こすと近くの壁まで後ずさる。これもノイズの仲間なのかと、陽日の頭にそんな考えが過る。
だがそんな陽日の考えとは裏腹に、異形は拳を握り締めるとあろうことかノイズの群れへと向かって走り出した。そして徐に腕を引くと、その拳でノイズを殴り飛ばす。
「……うそ」
炭と化し崩れ堕ちるノイズ。その光景を見た陽日は驚愕の表情を浮かべていた。
ノイズには物理攻撃が効かない、ニュースや父からよく聞かされた話だ。理由は難しくてわからなかったが、此処とは違う場所にいるから普通に攻撃しても無理なのだと。
だが目の前の異形はその拳でノイズを次々と屠り続けている。そんな異形に陽日が目を奪われていると、異形から逃れたノイズが一体、陽日へ向かって襲いかかった。
「さ、せない」
それを逸早く察知した異形はそこらに転がる石ころへと手を伸ばし、その姿を緑へと変化させる。すると握った石ころが緑の弓へと変化。放たれた矢がノイズの体を撃ち抜き炭化崩壊させる。
「う、ぐ……っ!」
緑から白へと戻った異形は、苦しそうに声を漏らしその場に膝をつく。そんな異形へ残り一体となったノイズが襲いかかる。
「後ろ!」
「──っ! あああっ!」
咄嗟に叫ぶ陽日。彼女の声に異形は最期の力と言わんばかりに声を荒げ、背後へ向けて拳を振るう。
拳に貫かれたノイズは炭化しボロボロと崩れ去り、異形は肩で息をしながら陽日へ体を向けるとゆっくりと歩み寄る。
ノイズを倒してくれたとはいえ、相手は見たこともない異形。無意識のうちに陽日は逃げようと後ずさるも、すでにそこは壁の目の前。すでに異形は目と鼻の先へと近づいており、たまらず陽日は涙を溜める。
そんな彼女へ異形は手を伸ばし──その小さな頭に優しく手を置く。
『ありがとう。君のおかげで、最後は助かった』
「……え? なに、これ……」
頭の中に流れて来る声。その内容から目の前の異形のものだとわかるが、それでも常識が理解をさせてくれず、パチパチと目を瞬かせる。
『もう俺に残された時間は少ない。悪いけど、話を進めさせてもらうよ』
「話……?」
『君にお願いがある。俺の代わりに、ある奴を止めてほしい』
「ある奴……? それに止めるって、私が……?」
『ああ、今この力を譲渡できるのは、君一人しかいない。幼い君に、普通の子供である君に渡すのは酷な力だ。でも、誰かがこの力を受け継いで止めなければならない』
異形がいったいなにを言っているのかわからない。わかっているのは『止めるべき誰ががいる』ことと『そのための力を受け継ぐこと』。
しかしまだ小学生の陽日には難しい話で、何が何だかさっぱり理解できない。
『俺の為すべき使命に、無関係な君を巻き込むことを許してくれとは言わない。けど、どうかこの力を継いで果たしてほしい』
「果たすって、なにを」
『人を、守ってほしい。フィーネの野望から、罪のない人たちを』
「人を、守る……」
なぜだろう。その言葉がひどく胸にのしかかった。守るなど、たかが小学生の自分にできるはずもない。けれど目の前の異形は真剣に、自分へそれを求めている。
だからこそ不安になる。こんなちっぽけな自分に、平凡な自分にそんな大役を果たせるのかを。
『それじゃあ、君に力を授けるよ。この「霊石アマダム」の力を』
そう言うと、異形の腹部にあるベルトのようなものが発光し小さな球体へと変化する。そして球体は陽日の腹部へと移動すると、まるで溶け込むかのように彼女の中へと入りこんだ。
「──っ⁉︎ うぁぁあああああ⁉︎」
直後、体の中を何かが走り回るような激痛が走る。まるで体の内部に熱湯を注ぎ込まれたかのような、熱を伴った痛みにたまらず絶叫する。
『どうか、この世界を頼む。次代のクウガ──』
あまりの激痛に薄れゆく意識の中、最後に聞こえた言葉はとても──
数十分後、同所。
「中に作業テントらしきものがありましたが、生存者はいませんでした……」
「くそっ、遅かったか……」
「風鳴指令、生存者一名を保護しました! しかし意識不明の状態で……」
「今すぐ病院へ運ぶんだ! 緒川、後は任せていいか?」
「はい、お任せください」
いかがだったでしょうか。まぁこんなクオリティです。
だいぶガバガバした内容ですが、そこはこれからということで。
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