やはりSAOでも俺の青春ラブコメはまちがっている。   作:惣名阿万

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お久しぶりです。
仕事とか仕事とか仕事で忙しく、ずるずると執筆が遅くなってしまいました。内容的にも苦しくてモチベーションが保ちにくいというのもありましたが……。

とはいえ9話です。
フェードアウトせず続けていこうと思いますので、今後ともよろしくお願いします。


第九話:未だ溝は埋まらずに、彼の理想は叶わない

 ボスがバカでかい剣と盾を振り回している。

 右手で《両手剣》のソードスキルを放ち、左手は盾をぶん回す。雄叫びを上げながらブンブンと両手を振る様子は狂戦士(バーサーカー)染みてておっかない。

 

 だがまあ、それは奴が追い込まれてる証拠でもある。HPが残り少なくなって、ついに奥の手を出してきたってことだ。

 

 何もこういう状況は初めてじゃない。なんならSAOで経験してきた数々のフロアボス攻略戦において、奥の手のないボスはほとんどいなかったとすら言える。最初のコボルト王からして切り札を仕込んでたんだ。今回だけ何もないなどと楽観してたわけがない。

 

 ただこういう奥の手(・・・・・・・)は初めてだっただけ。

 何かしらの特殊攻撃か、雑魚mobの登場か、武器の取り換えか、はたまた真打の登場か。

 これまで経験してきたパターンに対する心積もりはできていたが、ソードスキル後の硬直が無いなんて状況は初めてだっただけだ。

 

 寧ろここで目の当たりにできたのは好都合でもある。

 中盤にすら差し掛かってないこの24層でこんな初見殺しが見られたんだ。これが終盤じゃなくてよかった。一撃すらまともに受けられない化け物相手じゃなくてよかった。

 

 おかげで罠に嵌まるやつが減る。攻略組の生存率向上に繋がる。延いてはSAO攻略の一助となるだろう。警戒するのとしないのとじゃ大違いだからな。

 

 奴の場合、厄介なのは『硬直時間の無視』という一点だ。これは現在ボス攻略において基本とされている戦術からしてみれば天敵とすら言える。

 

 現状、フロアボス攻略の際に採用される基本戦術は『ガード&アタック』。

 耐久力のあるタンクがボスの攻撃をガードし、生じた隙を攻撃力のあるアタッカーが叩く、基本に忠実でそれ故に崩されにくい安定した戦術だ。レイド内のアタッカーとタンクの割合を変えることで状況の変化に対応することもできる。

 

 だがこの戦術は動きの速い敵や隙の小さい敵に対して弱い。ガードで敵の態勢を崩したり、大技を防いだ後の隙を狙うのが前提の戦術だからだ。ガードを掻い潜られたり、ガードしても隙ができないんじゃどうにもならない。

 

 この24層ボス《デュラハン・ザ・ブラックナイト》は後者だ。いや、後者になったと言うべきか。

 

 ボスの使う《両手剣》のソードスキルは威力こそ高いが隙がでかい。しっかりガードできればその隙を狙うのは比較的簡単だ。右手一本で《両手剣》スキルを使っていたとはいえ、生じる隙が同じならやり方は変わらない。

 実際、HPバーの最後の一段が赤くなるまではこの基本戦術で戦うことができた。偵察の段階で割れて、攻略会議で決定した、事前に立てた計画のまま戦えていた。

 

 だからこそ前提から覆してくるような奥の手はほんと厄介だ。事前に立てた対策とかまるで使えないし、硬直時間の無視とかそんなんチートやチーターや。このゲームの設計者、絶対性格悪いだろ。

 

 ともあれ奴に今までみたいな隙はないってことはわかった。

 なら、それを見越した上で動くだけだ。

 

「来るぞ、《アバランシュ》!」

「ブロック、ツー!」

 

 ボスが振り上げた剣がオレンジ色に輝く。タンク二人が前に出てガード姿勢を取り、その直後、重たい一撃が振り下ろされる。

 そんな、もう何度見たかわからない一連の流れを見終わる前に駆け出す。

 

 唸る雄叫び。激しい衝撃音。それらを横目にボスへ肉薄する。

 これまで通り右手を振り下ろしたままの姿勢。けれど鎧に包まれた身体は僅かにこちら側へ開かれ、左手はぐぐっと力を貯めている。

 

 構わず近付く。ソードスキルの射程内に踏み込み、槍をグッと握る。

 待っていたと言わんばかりにタワーシールドの縁が空気を切り裂いて迫る。

 

 その瞬間――頭から滑り込んだ。

 

『オオォォ!』

 

 雄叫びと共に振りぬかれた盾の一閃がうなじを掠めた。ぞわっと背中が寒くなるのを堪えて手を突き、でんぐり返しの要領で飛び起きる。槍を逆手に持ち替え、無防備に脇を晒すボスには目もくれず、全体重を載せて床石の隙間に穂先を突き立てれば――。

 

「これで盾は使えねぇだろ」

 

 左手を振り切ったボスの肘の内側、突き立てた槍の柄が当たるそこを抑えるように全体重をかける。ボスの膂力と俺の筋力値+体重がせめぎ合い、互いの動きが止まった。

 

 これが対策。見たまんまのつっかえ棒だ。

 重い両手剣ならともかく、盾くらいならこれで止められる。一瞬だけどな。こいつ力強すぎるし。っていうかもう押し返されつつあるし。

 

 とはいえ、一瞬でも隙ができれば十分。右手の剣はキリトが抑えてくれてるだろうし、エギルと何よりユキノがしくじるはずもない。

 

「はっ!」

「おら!」

 

 両手を止められたボスへ、ユキノとエギルが迫る。

 

 敵を浮き上がらせる《カタナ》の《浮舟》と、強烈なアッパースイングを喰らわせる《両手斧》の《バーチカル・ブラスト》がボスを打ち上げる。鎧の重量のせいかほんの数十センチ程度しか浮かなかったが、問題ない。

 

「せやぁ!」

 

 ユキノとエギルのソードスキルによって打ち上げられたデュラハンへ、気合いの声と共にアスナが強烈な一撃を見舞った。

 さながら雷撃のような弾丸のような、高速かつ精確な攻撃がボスの股間に突き刺さる。ヒェ。

 

『オォ……』

 

 アスナの無慈悲な一撃を受けたボスはバランスを崩し、そのまま前倒しに落下した。

 派手な金属音を鳴らして倒れ込む首無し騎士。心なしかぴくぴくと震えているようにも見える。合掌。

 

「うわぁ……」

「…………」

 

 ちらっと見てみればキリトは苦笑いを浮かべているし、エギルは頬を引き攣らせている。エギルのパーティー連中に至っては顔を真っ青にして内股になっていた。

 

 一方、アスナとユキノに表情の変化はない。こいつらは女子だからわからないんだろう。

 

全力攻撃(フルアタック)二本!」

 

 ユキノの声で気を取り直し、一斉に全力のソードスキルを叩きこむ。色とりどりの光が炸裂し、残り少ないボスのHPがゴリゴリ削られていく。

 急所を撃ち抜かれて動けないところをタコ殴りにされるとか、デュラハン、お前は泣いていい。

 

 十人に袋叩きにされたボスはそのまま起き上がることなくHPを空にさせた。弱々しく呻き声を上げて首無し騎士は砕け散る。どことなく哀愁の漂う最期であった。

 

 

 

 

 

 

 その後、部屋の中央に《Congratulations》の文字が浮かぶと、そこかしこで歓声が上がった。

 続けて獲得した経験値やコル、アイテムが表示される。残念ながらラストアタックボーナスは取れなかったようだ。

 

「あ、やった!」

 

 ん? アスナがボーナスを取ったのか。急所ぶち抜いてボーナスゲットとか、恐ろしい子!

 

「お疲れ、ハチ」

「ん? ああ、お疲れさん」

 

 キリトとハイタッチをして互いの労をねぎらう。リアルじゃ考えられないやり取りも、半年かけて24もの層を攻略した今ではだいぶ慣れたな。

 

「コングラチュレーション、いい作戦だった」

 

 続けてやってきたエギルとも拳を合わせる。

 

「アスナが全部持ってったけどな」

「ハハハ、そうだな」

「LAボーナスもアスナがもらったみたいだしな」

 

 ユキノと談笑するアスナを見てキリトが微笑む。と、それに気付いたアスナがニッコリ笑ってブイサインを寄越した。

 キリトの反応はわかりやすく、顔を真っ赤に染めてそっぽを向く。

 

 そんな二人を見て、エギルがニヤッと悪い笑みを浮かべた。

 

「なんだキリト、恥ずかしいのか?」

「ばっ、そんなんじゃないって」

「照れるな照れるな。それにSAOじゃあ感情がすぐ顔に出るからバレバレだぞ」

「ぐぬぬ……」

 

 悔しげにエギルを睨むキリト。その顔はまだ赤く、特に暑いわけでもないここじゃ意味は限られる。

 

 っていうか、SAOじゃ感情が顔に出やすいってマジかよ。今度から気を付けよう。

 

「ハチくん」

「ん?」

 

 ふと名前を呼ばれて顔を上げると、そこには神妙な表情のユキノがいた。

 左手で右ひじを抱いた姿勢で立ち、目が合うなりスッと視線を斜め下に落としてしまう。

 

「その……さっきのことなのだけれど……」

 

 ……歯切れが悪いな。言いにくいこともバッサリと斬って捨てるのが雪ノ下雪乃のスタイルなはずだ。それはSAOに来る前も後も変わらず、なんなら昨日の攻略会議のときにもその舌鋒で一刀両断していた。

 

 だが今のユキノは自信のなさや躊躇いみたいなのがわかりやすく見えている。

 デュラハン戦の途中で話したときもそうだったが、ユキノがここまで弱々しい姿を見せるのは珍しい。こんな顔、今まで見たこと――。

 

 そこまで考えたところで、不意に割り込んでくる声があった。

 

「ちょお待たんかい!」

 

 いつにも増してうるさい声だ。

 これにはユキノも言葉を中断して振り向く。

 

 声の主は不満と憤りをこれでもかと顔に載せてズンズン歩み寄ってきた。

 そうしてユキノの前まで来たキバオウは更に大声で言った。

 

「ジブンら、なにを勝手にボス倒しとねん!!」

「え……」

「…………は?」

 

 何言ってんだこいつ。

 

「……ボスを倒しちゃいけなかったって言うのか?」

「25層に上るためにここへきたんですよね。どうしてそんなことを?」

 

 聞き捨てならないとばかりにキリトとアスナが詰め寄る。君たち仲いいのね……。

 これにはキバオウも少しだけたじろいだものの、すぐに勢いを取り戻し食って掛かる。

 

「ええか! ボスのHPが赤くなったとき、もう交代の時間は過ぎとった。つまりボスを倒す権利はわいらにあったっちゅうことや。それをジブンらがチンタラしとる間に壁ができて交代できんかったんやぞ! せやのにジブンらは居座って、挙句ボスを倒してもうとる。そんなん作戦無視もええとこやないか!」

 

 一方的にギャーギャーとわめくキバオウ。勢いで押し切ろうとでもいわんばかりに怒鳴り散らしている。なんだかんだと理由を付けちゃいるが、その魂胆は見え見えだ。

 

「そないな作戦無視した行動でLA横取りされちゃかなわんわ!」

 

 いやもっと言い方考えろよ。露骨すぎるだろ。

 寧ろここまであけすけだと一周回って潔いくらいだ。

 

 奴の無茶苦茶な理屈はともかく、こんなことを言い出した理由については予想がつく。

 《ALS》が最近LAボーナスに縁遠いことは、ここにいる全員が知ってることだ。

 

 

 

 15層を過ぎたあたりから、キバオウ率いる《ALS(アインクラッド解放隊)》はレアアイテム目白押しのLA――ラストアタックボーナスを手に入れられていない。ボスに止めを刺す機会の多いアタッカーを《ALS》が輩出できていないからだ。

 

 アタッカーがいないわけじゃないんだろう。キバオウ自身も盾持ちとはいえアタッカー寄りな装備構成だし、フィールドやダンジョンでは軽装の剣士や槍使いを見たこともある。

 ただレイドリーダーのユキノが設定した『足切りライン』をクリアできるほどのアタッカーがいないのだ。

 

 元々《ALS》はギルドメンバーが平等に強くなることを方針として掲げていたギルドだ。一部のプレイヤーを精鋭化させるのではなく、ギルドメンバー全体のレベルを底上げして総合力を高めることで《DKB(ドラゴンナイツブリゲード)》に対抗してきた。

 

 もちろん攻略の最前線に来るようなメンバーはそれなりに高いレベルとなっている。現にボス戦に参加してる十二人はタンクの(・・・・)《足切りライン》はクリアしてるわけだしな。

 

 ただ精鋭を揃える《DKB》や総勢6名と小規模な《風林火山》、ユキノ・キリト・アスナの三人組やエギル率いる漢集団なんかと比べると、どうしてもレベルが劣ってしまう。

 アタッカー要員はタンク要員よりも高いレベルが要求されるから、必然的に今のような布陣になってしまうわけだ。

 

 ユキノが主導する限り、レベルが足りないとボス戦でアタッカーができない。レイドの方針を変えようにもユキノがリーダーな限り譲るはずがない。

 かといってレベルを上げようにもギルドの方針で精鋭を作るわけにはいかず、より高効率でレベリングをする他の集団になかなか追いつかない。

 そんな板挟みにあって《ALS》はずっとLAボーナスから遠ざかってきたのだ。

 

 だから今回のボスは久しぶりに巡ってきたチャンスだったわけだ。

 千載一遇の好機。キバオウが躍起になる理由も理解はできる。

 

 まあ、だからといって「はいそうですか」と受け入れられるかは別だけどな。

 

 

 

「待ってくれ、キバオウさん。いくらなんでも今の言い分はおかしい。LAボーナスはドロップした人のものだと以前話し合いで決めたはずだ」

 

 手前勝手な理論に待ったをかけたのはリンドだった。

 キバオウはすぐにリンドを睨み、大仰に手を振りかざす。

 

「せやから、ドロップさせる権利を持っとったのがわいらだと言うとんねん。ユキノはんが作戦通り交代さしとれば、ボスに止めを刺しとったのはわいらやったんやぞ!」

「おいおい、あいつらが交代しようと動き出したときにはもうあの見えない壁はあっただろ。あれじゃあ作戦通りにゃいかねーってのは誰が見てもわかるじゃねえか」

 

 あーあー、クラインまで混ざってきやがった。これで隊長四人が勢揃いだ。……ユキノはさっきから黙ったまんまだけどな。

 

「壁ができる前に交代しとりゃよかったやろ。わいは時間計っとったからわかっとる。ユキノはんが交代の指示を出す前に、予定の十分は過ぎとったんや。もう一分でも早く動き出しとれば交代できたやろが!」

 

 それだとボスのHPは黄色のままで、お前らの攻撃力じゃラスト二割まで削れてたか怪しいけどな。

 よしんば削れてたとしても《ALS》の二パーティーで暴走するボスを倒せてたかどうか。結晶で脱出した挙句一からボス戦のやり直しなんて事態になってたかもしれない。

 

 あとは……死人が出ていた可能性もあるだろう。

 

 キバオウが諸々を考慮した上で言ってるんだとしたら、何か切り札があったのか、或いはただのご都合主義か。今までの言動的には後者な気がする。傍から見たら駄々っ子にしか映らないのがわからないのかねぇ。

 

 その後も騒々しくあーだこーだと並べるキバオウをリンドとクラインが根気強く説得しようとする。

 だがそもそも立場も認識も違うのだ。そう上手く話がまとまるわけがなく、散々言い争った挙句キバオウはトンガリ頭をがしがし掻いて振り返った。

 

「だーもう、埒が明かん! ほんなら直接言ったるわ」

 

 そう言って、視線をユキノに向ける。

 すると、全員の視線がユキノに集まった。だが、それでも、ユキノの視線はボーっと足元へ落されたままだ。

 

「なあ。なあて! 聞いとるんか、ユキノはん!」

 

 キバオウから追加で呼ばれて、ユキノはハッと顔を上げた。

 

「え……?」

 

 それから僅かな間があったが、すぐに状況を把握する。

 

「ごめんなさい。同じことを何度も言うものだから。結局、あなたは何が言いたいの?」

「なん、やと……!」

 

 ユキノの返答に、キバオウが顔を歪める。

 あいつに悪気はないんだろうが、その興味もないと言うような淡々とした口調が余計にキバオウの癇に障ったのだろう。今日一番の大声で何度目かわからない持論を叫んだ。

 

「なんべんも言うとるやろが! アンタがもっと早う交代の指示を出しとれば作戦通り交代できたはずや! ほんでけったいな壁のできる前に交代しとれば、わいらがボスを倒せたに違いない! ほんならわいらが……」

 

 ラストアタックボーナスを獲得できたと。そう口にしかけた言葉の続きは聞こえなかった。ユキノにもそこから先は聞こえていなかったはずだ。

 

 けれど、言葉にせずとも伝わる思いはある。

 表情やら仕草やら雰囲気やらで伝わってしまうことはある。

 なんなら言葉の上では隠そうと思っても伝わってしまうこともある。

 

 キバオウの場合、それが伝わり過ぎなくらい伝わってきていた。もはや以心伝心と言ってもいいレベル。ただ一方的に押し付けてくるだけなので反論も文句も否やも受け付けないのがほんと性質悪い。

 

「そう」

 

 キバオウの主張を聞き終えたユキノは小さく息を吐き、改めてキバオウへ向き直った。

 

「そちらの言い分は理解しました。ですが――」

 

 そう言って少しだけ目元を鋭く細める。

 

「ラストアタックボーナスはドロップした人のものとする。以前行った合同会議の場でそう決定したのですから、これが覆ることはありません。それは今回も同じこと。権利がどうこうという話ではありません」

 

 これにはキバオウも面食らったようで、しばらく開いた口が塞がらないようだった。

 しかしユキノの言葉を呑み込み、理解するにつれ逆上するのがわかった。

 

「なんやそれ……。そんなんユキノはんの匙加減一つでどうとでもなってしまうやないか!」

「私はレイドリーダーとして最善の手を取るだけです。そこに私情を挟むことも、ギルド間の戦力バランスに配慮することもありません」

 

 きっぱりと、ユキノはそう言った。

 

 誰かを贔屓することもなければ、誰かに便宜を図ることもしない。

 あくまでもその時々の戦力を使って指揮を執るだけで、戦力拡充への介入はしない。

 それは公正で冷静な雪ノ下雪乃らしい方針だ。

 

 だからこそ――。

 

「ほんなら、ほんならわいらは……わいらにチャンスはないゆうんか!」

 

 ギルドとしての方針。キバオウなりの理想。

 そんな《アインクラッド解放隊》の理念と、ユキノの合理的な戦略構想とは、致命的なまでに噛み合わなかった。

 

「……あなたたち《ALS》が方針を変えない限り、その可能性は高いでしょう」

 

 ユキノが攻略組のリーダーとなってからずっと続いていた確執。

 それが決定的なものになってしまったということに気付くのは、それから少し後のことだった。

 

 

 




次回更新はいつになることやら……。
気長に待っていただけたら幸いです。
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