けどね、実際活発に行動してるのは彼であってアレではないから……。
うん、ごめん、僕が悪かった。本当にごめん。
いやだってホント基本的にアレは無害だから、いいかなって。
わかった、話す。話すから落ち着こう。
ちゃんとアレについても話すから、だからそれを降ろすんだ。
生ぬるい水の温度。纏わりつくそれは僅かな粘度を帯びて彼を包む。
深く穏やかな呼吸に息苦しさは微塵も感じられず、あどけない寝顔には苦悩の皺など一つも見受けられない。
心地良い微睡みだ。誰も彼もが一番最初に感じる、絶対の安心を約束する場所。
けれど彼は、その微睡みの中に悲しみを見た。
赤ん坊は大抵、母親の腕を揺り籠に育つ。柔らかな愛情を注がれながら、温かい腕の中で絶対の安心を享受して、向けられる慈愛の表情に喜びを得る。
それが至って普通の、当たり前の親子の姿であるはずだ。少なくとも、彼はそう思って生きて来た。
けれど、と、丸まった身体を伸ばしながら呼気を吐く。水泡にすらならないそれに、そういえばおれの肺はすっかり羊水で満たされていたな、と、彼は思い出す。
ああ、そうだ、話の続きだ。けれど、そう、けれどだ。
けれど、彼女にとってはその絶対の揺り籠の中にこそ、地獄は広がっていたのだ。
柔らかかったろう、温かったろう、慈愛に満ち満ちたそこは、彼女にとって極上の寝台であっただろう。
千剣の大地は母が彼女に与えた安息の場所。娘に触れられない母の、疑似的な
だが、それは紙一重の温度、紙一重の愛情、そして紙一重の楽土だ。
言葉にならない感情を持て余しながら、それでも彼は明確に形を持つ名前を口にする。
揺り籠の中で地獄と化した母の愛に翻弄された最愛の名を、形を変えた地獄の中で叫び続ける。
何度も何度も、彼は意識が浮上する合間にその名を殻の中に溢れさせた。
紙一重の天上楽土。その裏側に描かれた地獄は、何時だって鮮やかな憧憬を背に仄暗く翳り、揺り籠の中で幼子を泣かせ続けていた。そして今は彼を内側に囲い込み、彼女には与えなかった穏やかな微睡みを惜しげもなく注いでいる。
解っている。彼女は愛されていたが故に地獄に抱かれ、彼は愛されていないが故にちょっかいを出されていないだけに過ぎないと。
それでも彼は泣きたい気持ちになる。彼女が求めたものを、結果的にとはいえ自分が与えられている現状に遣る瀬無い気持ちが湧き上がって止まなかった。
殻はそんな彼に応えるように、何度も何度も溢されるその名を拾っては、何度も何度も殻の中で響かせた。
そうして何千、何万、いや、何億の名を紡いだだろう。もう一つたりとも入る隙間のない程に満ち満ちた名の響きに、彼は万感の思いを込めて、もう一度とその名を生んだ。
――ダラ・アマデュラ……おれの……
極限まで満ちたその名は、彼が知るあらゆる愛の言葉の中でも至上の愛の言葉だった。
彼女に向かう尽きぬ愛で満ちた殻は、ついに飽和を越えた極限を迎え、伝える先を求めて外へ外ヘと彼を急かす。
時が来た。そう殻は、神与の大地は歓喜した。彼女は何処だ、彼女に会いたいと己が主人を求めて止まない伴侶殿の目覚めに、千剣の大地は喝采を叫んで鳴動する。
瓦礫の山と化していた地平の奥深く、巨大な卵と化していたそれは嬉々として罅割れていく身体を享受した。
ああ、ああ、
尽きせぬ蒼穹を蹂躙する星の群れを見よ。
それはお前たちを睥睨する尖兵にして、お前たちを灰に返す天火である。
おお、おお、
見果てぬ大地に聳える螺旋の頂きを見よ。
それはお前たちを拒む峻厳苛烈な城塞にして、お前たちを無力と化す地獄である。
けれど、空を駆け抜け夜を呼び、神罰の先触れにして神罰そのものである天彗龍は蛇龍の随伴として虚空の世界に消えた。
ならば、と千剣の大地は、かつて山としてあった己の姿を再び現世に顕現させる。
ダラ・アマデュラの母、ティアマトの愛の具現ともいえる千剣の大地は、兎角娘の安息を願うもの故に裏切者たる伴侶殿を許す。彼が彼女を求め続ける限り、大地は彼に協力を惜しまない。
伴侶殿が……ナムカラングがダラ・アマデュラを求めるのなら、己の姿を歪めることすら惜しまない。
剥がれ落ちていく卵殻から溢れていく羊水と混ざり合って泥土になりながら、大地は己の上でナムカラングが思いきり喉を反らせ、大きく息を吸い込んだことを知覚する。
「――ぉ――ぉぁ、あ、ァァぁァアアアあアアアアAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!」
空の高殿の奥の奥まで、其処でふんぞり返る貴様らを殺すと言わんばかりの、凄絶な咆哮。
たった一つ、大事な者の為ならばその他全てを殺してみせると叫ぶ、弱者も強者も選ばない無差別の宣戦布告。
生まれながらにして己の命の使い道を決めている彼の宣誓に、大地は身震いするほどの高揚と共にその身を今以って相応しい姿へと転じる。
空を焼き、神を殺す星の輝きは女神の下へ。
ならば、女神の寝所は、女神を守り育む大地は――外敵を撃滅する一助として、伴侶殿の下へ!
「――――ギ、ギギギィぃィィイイイイYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!」
女神の泥が教えてくれる。女神の血が知っている。
この姿は盾持つ者。偉大なる龍の骨を背負い、巨大な腕を盾にして身を守る者……その異なる道筋を辿った者。
それを基盤に据え、より鋭く、より凶悪に、より千剣山らしい変化を遂げた者。
女神が居たならば、彼女はその姿をどう評しただろう。大地は愛しい女神に想いを馳せる。
きっと彼女は血の記憶に大きく逆らう名づけはしない。ならばこの身は「センケンザザミ」とでも仮称すべきか。崩壊以前の姿、巨大と評する事も今更過ぎて馬鹿らしい程の巨体さと長大さを誇るダラ・アマデュラが、難なく巻き付ける程に大きく高く、尚且つ中腹に神殿を抱え持つ、間違いなく崩壊するまでは圧倒的大差で世界一の高さと峻厳さを誇った山……
対して、今まさに生まれ直したナムカラングはといえば、生まれたての小鹿のように震えながら、人間だった頃の身体との差異を確認すべく手足を伸ばしたり、思い切り
そうして幾許かの時間が過ぎ、漸く手足の感覚が馴染んできたのだろう。最後に大きく伸びをして、ついでに再び天高くその
指揮官たる魔獣の命令で近辺を警戒していたその魔獣は、その数日ばかりの命を呆気なく溶かす。
そう、燃えるでも、飛び散るでも、焦げるでも何でもなく、当たり前のようにその魔獣は肉の一片、骨の一欠けらも灰の一粒も残さず、蒼焔に触れた端から溶かされて消えた。
もしもガルラ霊がこの場に居たならば、ナムカラングが吐き出した炎を見て度肝を抜かしただろう。
なにせその炎は冥府の灯。冥府の女王が揮い、冥府の竜が纏う、命を昏く燃やす冷たい死そのもの。
それが生者の世界で吹き荒れるなど、彼等にとっては悪夢以外の何物でもない。
けれど現実として、ナムカラングはそれを造作もなく扱った。偏に彼が再編され再誕する折、兄の形見も一緒に融けて混じったからか。
けれども冥府の黒鱗はただの使用権へと転じたらしい。彼が纏うのは冥府の竜の黒ではなく、ほの青く発光する真白の鱗。頭部に戴く一対と、背骨の両脇にほぼ等間隔で並ぶ角こそ黒を纏っているものの、実のところ鍍金と然程変わりない。
強かな四肢に大きな翼、純白に輝く身体は生まれたての無垢さを思わせ、頭部や前脚、尾の先で揺らめく鰭は美しいが、その白さは無垢な幼子、というよりはむしろ幽玄の淵から這い出た者特有の何とも言えない空恐ろしさを掻き立てた。
胸部の奥で輝く赤色は一体何のエネルギーか、内部からの光を透過する肉体は蒼天から降り注ぐ光を反射してほの青く煌めき、胸の赤に青を足して怪しく輝く。
橙色に染まる眼球らしき六つの器官を淡く揺らし、ナムカラングは……冥灯龍ゼノ・ジーヴァの姿を得た英雄は、しかし命を静謐に導く炎を吐いて、ひどく不満そうに眉根を寄せた。
実のところ、今現在のナムカラングは未成熟な幼体に等しい。真の完成形、到達点と呼べる姿を得るには、どうしたって記録が足りない。千剣山やナムカラングに馴染んだ彼女の粘土から拾える情報には限度があった。
ナムカラングは己の巨体を見下ろしながら、重苦しいため息を吐く。脳裏に描かれた冥灯龍の
よりナムカラングの精神に相応しく、尚且つダラ・アマデュラの恩恵を受けたと解る姿と性能を得るためには、当の女神からの認知が必要なのだと、彼は己の足らぬ様を心底嘆く。
その点で言えば彼が冥府の炎を扱うのは越権行為なのだが、そこは鍍金に纏った黒鱗がアカウントもパスワードも提供してくれている。冥府側に組み込まれない瀬戸際のラインに達するまでは乗っ取り行為を敢行する所存であった。過去現在未来を問わず、なりすまし行為は蛇蝎の如く嫌われる行いであるが、ナムカラングには意図的にそこを考え無いようにした。多少の罪悪感はあるが、できるだけ自分の持つエネルギー、再編の折に得た千剣山と蛇王龍由来のエネルギーはこれから探す嫁の為にも温存しておきたかったからだ。
ぐるる、と低く鳴いて、ナムカラングは龍と化した身体を空に浮かばせる。
千剣山……いや、
突如として現れた脅威を前に、人間に対しては強力無比な力を発揮する魔獣たちだったが、如何せん相手が悪すぎた。毒の滴る尾を下げ、情けない声を上げながら足を引いた魔獣は、ナムカラングの強烈な尾の一撃で容易くその命を刈り取られて終わった。
回数にして二度。少し力を入れて尾を一往復させただけで、数匹の魔獣の尖兵は肉塊と化した。
ナムカラングはその結果を何とも思わなかったのだろう。意外そうにも不満そうにもせず、彼はのしのしと余裕のある足取りで今しがた肉塊と成り果てた魔獣に鼻先を寄せる。
においを嗅いで、ほんの少しだけ舌に乗せて……それから口内の唾液ごと肉塊を涙目で吐き出す。
べっ、げぇ、と心底嫌な顔をして肉を吐き出したナムカラングは、己の舌先に乗った肉の原材料からしてコレらは彼女の兄たちでは無いと判断し、必要な情報だけを抜き取ると必死で口内の不快感を拭おうと数度嗚咽を繰り返した。
勿論、彼らが彼女の兄で無いことは殺す前から解っていた。何せ彼女の兄たちは、彼女の話ではもっと大きく凶悪で、何より神殺しなだけあって強かったそうだ。罷り間違っても生まれたての龍の一撃で死に絶えるような軟な身体の組成はしていない。
コレらは量産品だ。ダラ・アマデュラの兄たちを模しただけの、悪辣極まりない量産品。正直、とても食べられたものではない。
それでも口に含んだのは、偏に情報を得るためだ。何の因果か再び神代で目覚めた彼らは、あまりにも陰惨な血の臭いに満ち満ちた世界の違和感の正体を知らない。神々の気配の薄い世界。蒼天を彩る悍ましい熱量の円環。遠く聞こえてくる人々の悲鳴と、ついぞ聞いたことのない程の化物の群れの咆哮。それら全てが彼等にとっては未知のものだった。
だからこそ手っ取り早く情報を得るために、未知の一つである魔獣の血から情報を辿った。
すると出るわ出るわ。到底魔獣一体分ではあり得ない、それこそ人間数人が各々別々に見知って体験しただろう特異の数々。生まれて間もない魔獣一体が持つにしては分不相応な量のそれに、ナムカラングは苦々しさを隠しもしない顔で大きくため息を吐いた。
「コレは駄目だな。いただけない。俺がコレを喰っちまえば、絶対にアイツは泣く」
ただでさえトラウマを抱えているのに、わざわざそれを刺激してやるのは余りにも非道な行いだと、ナムカラングは肉塊に変えたティアマトの子供たちを食む事を諦め、その肉塊から立ち上る命の残滓を胸部に取り込む。
神でも何でもない魔獣故に力の粘土と化すことも無い魔獣たちから、彼らが生前抱えていたあらゆるエネルギーを根こそぎ奪うと、ナムカラングは塵と化して風に流されるそれらを眺めながら独り言ちる。
「しっかし、何がどうなってこうなってんだ? 俺を呪ったティアマトなら、こんな回りくどい真似はしない。なら、此処に居るのはティアマトに似た誰かなのか? それとも、ティアマトはティアマトだけど、自分の復讐に目を眩まされたティアマトとか?」
長い首を回らせ、背後に悠然と佇む千剣蟹を見上げるも、彼なのか彼女なのか解らない大地はナムカラングと同様に頭を悩ませながら、少なくとも
ナムカラングも明確な回答は期待していなかったのだろう。そうか、とだけ口にすると、彼は徐に己の内側に蓄えたエネルギーを全身に回し、それを「ぎゅっ」と内側に押し込めた。
「だが、まぁ、どっちにしろ俺らは現状味方無しだな。んで、どっちにも欠点と利点があるから泳がせて貰える……か。」
一瞬、辺りに眩い光が満ちて、溶ける。
目を眩まされ一瞬の間に、あの巨大な純白の龍の姿は消えていた。代わりにそこに立つのは、一人の少年――否、青年の姿。
しなやかな筋肉に覆われた、均整の取れた褐色の身体。それなりに高い上背だが、どこか幼さを残した張りのある肌と顔立ちは彼が少年と青年の境目にいる事を示唆している。大きな手指が煩わし気に掻き上げた髪はまっさらな白で、光に透かすと淡く青みを帯びた色を反射した。
つり上がった眼はきつく、寄った眉根は険しく深い。けれど眼窩で炯々と燃える橙の瞳は、ふと思い出したように一瞬だけ黄緑色を泳がせた。刹那の間だけ和んだ彼が視界に映したのは、己の衣服だ。ナムカラングが纏う衣装は、色こそ違えど確かに愛しい伴侶の頭脳体が纏っていた衣服と全く同じ意匠と造りであったから。
束の間、懐かしい感傷に引き摺られたナムカラングは、ぐっと強く瞳を閉じ、己の中で確ひっそりと佇む宝具の存在を知覚する。
その数、全部で十四と二つ。
後者二つは『冥府の竜の黒鱗』と『短剣』で、前者は言わずと知れた蛇王龍の外殻から生じた武器である。
ダラ・アマデュラの認知の下、成熟した身体で真名を解放すれば創世を成す十三の御業を顕現せしめる、まさしく神の器とも言うべき武器群なのだが、現状では『不滅不壊の人造兵装』以上の能力は無い。それでも大元が大元なので、そこらの宝具と打ち合ったならば真名を解放せずとも打ち合える。相手のランクが低ければ破壊も可能だろう。
いずれにしろ、これらの出番はまだまだ先の話。ナムカラングは武器群から放たれる怨嗟の声とそれを宥めすかして包み込む柔らかな音色から無理やり意識を剥がし、『短剣』のみを取り出して己の腰に備え付ける。
懐かしい重さは、未成熟とはいえ成長した身体には余りにも軽い。
けれど、この『短剣』は重かった。物理的な荷重の話では無い。ずしりと足腰を地に埋めそうだと思う程の重さを感じさせるのは、この『短剣』が愛しい伴侶の心臓に切っ先を埋めた凶器に他ならないからだ。
何の変哲もない、いっそ武骨とさえ言えるだろう短剣には、以前は存在しなかった装飾が刀身に施されている。
切っ先を染める生々しい赤色と、其処から柄まで伸びる幾筋かの赤い線。
それは、女神の心臓から僅かに毀れた血が刀身を這った痕そのもの。彼が犯せなかった罪の名残が、彼の罪悪感を煽るように刻まれていた。
ナムカラングはしばらくの間、その赤い筋を指先で辿る。
けれどいくら筋をなぞっても、そこに彼女の温もりは既に無い。
それでも何度か同じ動作を繰り返し、名残惜し気に指を剥がす頃にはそろそろ陽が沈もうかという時間帯だった。
もどかしいほどゆっくりと刀身を鞘に納めたナムカラングは、嫌に重たい短剣を腰に差すと、そのまま再び眩い光に包まれ、瞬きの間に龍へと転じる。
「……何はともあれ、まずはやるべき事をやってからだ。他所の事は用事が済んだら考えりゃいい。それまでは向こうさんも手出しできねぇだろうしな」
とりあえずここから。まずは一歩、確実に。
誰に言うでもなく、自分の心を落ち着かせるために言葉を吐いたナムカラングに、千剣蟹も巨大な鋏を打ち鳴らして同意を示す。
まるで星でも落ちて来たかのような轟音に、夜空に燦然と輝いていた天彗龍たちを思って彼は笑う。
彼女の眷属は何かにつけて騒がしい。本人たちの気質の問題では無く、彼らの持つ形質の問題で、彼らは意図せずして騒がしく賑やかで、だからこそ延々と落ち込んでいられるほど静かでもなかったのだと思うと、なんだかとても似合いの主従だと思えたのだ。
ならば、とナムカラングは思い切り音を立てて巨大な翼をはためかせる。
似合いの主従の、似合いの伴侶になるために、彼は僅かに浮いた心で世界を揺らす。
そう、とりあえずは一歩、確実に、だ。
久遠の別れとなってしまった伴侶を、今一度神代に呼び戻すために。
そして永い探訪でろくに食事も摂っていないだろう伴侶が、きちんと今あるべき姿に成長するために。
「腹が減ってはなんとやら。散々傷付けて泣かせちまったから、愛想を尽かされてても仕方ない。でも、それとこれとは別だ。殺したいほど嫌われたとしても、衰弱したあいつはもう二度と見たくねぇからなぁ」
その場を飛び上がって千剣蟹の頂を二度、三度と旋回したナムカラングは、そのまま暮れ泥む夕日を背に受けて、伴侶の為の獲物を求めて飛び立った。
はい、という訳で、アレ、もとい千剣山は可動式になりまし――ッたあ!?
ちょ、痛いじゃないか! 杖は鈍器なんだぞぅ!
まったく、酷い目にあった。言うべき事は伝えたのになんて扱いだ。
うん? 千剣山については別に知らなくてもいい情報だろう?
だってアレは今のところただの移動要塞だ。後々敵対する事になっても、アレは他の女神にぶつければいい。具体的にはあの金星の女神に。
なにせアレは『ダラ・アマデュラ以外の神性』を悉く無力化するからね。対三女神同盟にはもってこいの代物なんだ。あの傍若無人の化身を封殺するならアレが一番適している。
……うん? 先にこちらを潰しにかかってきたら?
そこはほら、王様の腕の見せ所じゃない? 口八丁手八丁であの超巨大な化け物要塞を都合よく女神の方に誘導――痛い!?