Fate/555 ―異世界転生記 1― 作:某アークス(三鯖民)
「―――――ぁででで……あぁくそ、なんだ…?青空?」
どこかから落ちてきたような衝撃を受け、煙で遠のいた意識が覚醒する。
「青空?あ、青空ぁ!?」
周りを見渡す。あまり大きくないビルやコンビニ、アパートとかが並ぶいたって普通の街だった。
焼け焦げた臭いも、崩れた瓦礫も、そして人の死体もない。
「どーなってんだこれ…夢か?…普通にいてぇな。って事は夢じゃねえのか」
じゃあさっきまで自分がいたあっちが夢なのか?
「いやいやあり得ねえだろそれこそ。ってかココ何処なんだよ…?」
すると人の足音が聞こえてくる。
ガチャリ、と開かれる鉄のドア。
現れたのは、橙色の髪をゴムでまとめ煙草をくわえた女。
「―――なぁそこの君、さっきここいらで者が落ちてくる音がしたんだがそれは君かい?」
「知るかッつの。てかここどこだよ何県だよ」
「うーん…身元不明の侵入者君にほれほれと教えるわけには行かないしなー」
「……白井だ、白井ライト。日本人と外国人のハーフ。歳は21」
「21?うーむ……」
煙草を燻らせながら近づき、ライトを凝視する女。
「なんだよ」
「いや、とてもハタチ越えてる顔つき体つきに見えなくてね。精々14かそこらじゃないか?」
年齢詐称はよくないぞきみー、と笑う女。
「嘘なんか言ってねぇっつの」
「ウーム、自分の事すら完全に把握しきれてないか…興味が湧いた、詳しい話は中で聞こうじゃないか」
そう言って女はライトを手招きし、ビルの中へ入る。
慌ててその後ろを追いかけるライト。
ふとガラスに映った自分の顔を見る。
「――――――は?!」
そこには、先程女が言ったように14歳くらいに見える「少年」の顔が映りこんでいた。
右目を閉じる。―――鏡の中の少年は左目を閉じた。
左手を上げる。―――鏡の中の少年は右手を上げた。
口を開ける。―――鏡の中の少年は同じように口を上げた。
「………な、ななな、な!」
――――――――――なんじゃこりゃあああああああああああああ!?
人気の少ないビルの中を、少年の叫び声が木霊した。
そして事務所の中に通されたライトは、そこで女から様々な事を聞かれる。
「―――つまるところ君は一面火災現場な街で人命救助に勤しんでいたところ、現場の崩落に巻き込まれて意識を失い、気が付いたらこのビルの屋上にいたと」
「改めて言われると訳わかんねぇ状況だな」
「それはこっちのセリフだ」
女は煙草を灰皿に押し付け、それまで座っていたデスクから立ちライトの反対側のソファへ座り込む。
「…最近起きた街一つ焼けるような火災といえば…冬木位だな」
「フユキ?」
「それなりに有名なで、つい最近街の半分が焼ける大火災が起きた街だぞ?ほれ」
そう言って投げ渡された複数の新聞。
見出しには、「死傷者、行方不明者多数」「原因は同時多発的なガス漏れか」「火元は公民館予定地」など、
最近起きたのか情報が錯綜しておりどれが真実なのか、元より学の無いライトには分からなかった。
「うーん……聞き覚えの無い街だな……」
ふと、日付の方に目をやる。
そしてまた己の目を疑う。
そこには、1994年(平成3年)と記載されていた。
「え、は、ちょ……はぁ?!」
「うぉう、どうしたまた素っ頓狂な叫びをあげて」
「いや、その……え?!」
立ち上がり、落ち着きなくそこらじゅうを歩くライト。
「……な、なぁ」
「ん?」
「今って、何年だ?」
「おいおい、年齢詐称の次は記憶喪失か?とことん面白いね君」
「良いから答えてくれっ!」
やたら気迫あるライトの問いに、しかし女は平然と答える。
「今は1994年、これで満足かな?年齢詐称のタイムトラベラーさん?」
それを聞いた時、ライトはまるで後頭部からハンマーでたたかれたような衝撃を受け意識を失った。
どうも、更新頻度のせいで忘れ去られてないか心配な青葉です。
他のお二人同様、僕も摩訶不思議な体験の後生まれ変わったようですが……なんだか僕の知ってる神様転生と勝手が違うような。
まぁそれはそれとして次回、「魔術師の家に生まれた理系男子」。
……科学の知識って、結構うちの一族の魔術では役立つみたいです。