2人で歩いていると、香織のステータスの事が、ふと頭によぎる。
「そういえば、香織のステータスってどんな
感じなの?」
と言うと、香織が そうだったね と笑を浮かべ
空中をスマートフォンの様にタップすると、
ステータスが空中に浮かび上がった。
「こうやってステータスを見るのか」
と呟き、
「どれどれ」
興味を持ちながら、見てみると
Lv 1
HP 28
SP 45
攻撃 20
魔力 20
ディフェンス 35
回復力 50(45+5)
スピード 25
回避 30(27+3)
職業 ヒーラー
スキル キュア
特殊能力 運が大幅に上昇
武器 ホーリーロッド(R)
(回復力+5 回避+3)
と記されていた。
それを見た翔は、回復職だけをやるなんて
香織らしいなと思っていた。
翔が見終わったのを確認して、香織が
ステータス画面をもう一度タップして閉じる
その後、再び歩き出した。
歩いている途中、昔の事を思い出していた。
そう、香織が病気にかかる前の話である。
僕達は毎日のように家でゲームをしていた。
家が隣同士で、親の仲も良かった事もあって
すぐに香織とは友達になった。
引っ込み思案な2人がすぐに仲良くなった
のは、ゲームの話で盛り上がったからだ。
それからというもの、2人は学校から帰ってきては、どちらかの家に行きゲームをするという日々が続いたが、高校3年生の冬頃
香織が末期の癌であることが発覚した。
それを聞いた時、嘘だったと思った
嘘であって欲しいと思ったが、それは事実
だった。
それからというもの、毎日病院に通う日々が
続いた。
帰宅し、ゲームをやっていても香織の事が
心配で、ゲームをしている手が止まっている事が多々あった。
そして、香織が死んだ日であり
僕が死んだ日でもあった、4月下旬の昼。
その日の時間はとても長く感じた。
大切な人を失くした絶望感
これまでに経験した事の無い痛み
などの事が一斉に起こり、何が何だか分からなくなっていた。
最終的に僕が言いたい事は、こうしてまた
香織と一緒に居れる事が出来て嬉しい事だ。
その事をあの天使様に感謝していると、
隣から声が聞こえた。
「この世界って昔にプレイしたRPGに
似ていない?」
「確かに..
題名は...クロノスだっけ?」
「多分そうだったと思う
私達がクリア出来なかったというか
私が癌になってしまって2人でクリアまで
出来なかったゲームだったよね?
それで翔はあの後、最後までプレイ
したの?」
「してないよ
だから、知識としては香織と一緒かな」
「そうなんだ」
「それにしてもよく似ているよな」
「そうだね
じゃあ、まずはギルドに行って冒険者
として登録しに行かないとね」
「そうだな
クロノスと同じならこっちの方角
だったけ」
と東の方向に向かって進む。
少し歩くと、そこにはとても大きな建物が
あった。
「ここか
じゃあ、入るか」
「そうだね」
少し大きな扉を開きギルドに入る。
辺りを見渡すと、6~7割が人間族で
残りの3〜4割が獣人族だった。
そういえば、この世界では人間族と獣人族が
同盟を組んでいたな。
クロノスの世界観と同じならこの街の周辺に
敵対関係のエルフの街があったかな。
クロノスの世界観を思い出していると、
「ギルドへようこそ」
受付の20代前半の女性に声をかけられた。
「冒険者登録はどこで出来ますか?」
「ここの受付で出来ますよ」
「それじゃあ、2人お願いしても
いいですか?」
「はい」
笑顔で言われたので、微笑み返しておいた。
「それでは、この紙に必要事項を書いて
下さい。」
「わかりました」
渡された紙には
名前、年齢、職業などが記されていた。
それらを記入していると、香織が
「名前どうする?
本名?それともゲームで使う
名前にする?」
「僕は本名にするよ
香織は?」
「それじゃあ、私もそうしようかな」
2人とも記入し終わると受付に持っていく。
「登録ありがとうございます
翔さん、香織さん」
「いえいえ」
「それでは、冒険頑張って下さいね」
「はい
それでは」
2人で軽く会釈をしながら、ギルドを後に
する。
「少し暗くなってきたな
今日は、宿に泊まるか」
「そうだねって泊まるお金あるの?」
「まぁ、少しだけどね
転生前のポイントを換金したんだよ」
「そうなんだ
私は全て使っちゃったよ」
「そうなんだ
じゃあ、僕が払うよ」
「ありがとう」
「宿はここにするか」
ゲーム内で言っていた、評判のいい宿を
指差した。
宿に入ると、女の人が立っていた。
「いらっしゃい」
威勢のいい声が聞こえてきた。
「部屋空いてますか?」
「1部屋だけなら空いてるどどうする?」
「それじゃあ、1週間そこを借ります」
「まいどあり
1部屋だけなら、1週間で210Gだね」
懐から袋を取り出し、その中から210Gを
出し支払った。
「ご飯はここで出す事が出来るけど
どうする?」
香織の顔を見た瞬間に2人ともお腹がなった
2人で笑い、治まると
「それじゃあ、お願いします」
と言った。
食事も終わり、部屋に行く。
部屋に着くと、2人とも倒れ込むように
ベットに体を預ける。
「疲れたー」
「そうだね、じゃあもう寝る?」
「そうだね」
部屋の明かりを消す。
「おやすみ」
「おやすみ」
その一言を言った瞬間に2人とも眠りに
ついた。