以前、神想紅紗の名前で小説を投稿していた者です。
訳あって以前のアカウントは削除したのですが、「やっぱり最後まで投稿したい」と思い戻ってきました。
最終章までのプロットは出来ているので失踪は……無い、と思いますが投稿は不定期になります。
それでも良いという方は本編へどうぞ。
全身から鳴る本来鳴ってはいけないグシャりという何かが潰れた音。
目を見開き凍りついたように、手を伸ばしたまま動きを止める後輩。
鈍い衝撃の後のふわりとした浮遊感。
薄れていく意識。
これらが、私が最後に見て感じたものだ。
……まぁストレートに言ってしまうと、私はトラックに轢かれたのだ。
信号はちゃんと青だった……筈だ。後輩と話をしながら歩いていたとはいえ、それは間違い無い……高確率で。
確実に骨は折れているだろう。私に医療知識はほとんど無いが、それは確実だ。スプラッター映画で出るような音が全身から鳴ってた。
といっても、私が痛みを感じたのはほんの一瞬だった。気絶したのかと思ったが、もしかして私は生死の境界を彷徨っているのではないか。
そうでなければ『この状況』を説明できない。
……と、まぁ長々と説明してきたが、そろそろ今の私の状況を説明しよう。
天井どころか壁まで見渡すことが出来ない程、ムダに広すぎる空間。そして、その全てが目が痛くなるシミ一つ無い白。
しっかりと感覚はある筈なのに、何故か見えない自分の身体。
……うん、
何が!
どうして!
こうなった!!??
何?死後の世界なの?私未練めっちゃあるんだけど!モンハンクロス明日発売だし!それを、先輩と後輩誘ってプレイする予定だったのに!密林で買ったサ〇ホラのBluRayが来るの楽しみにしてたのに!コンビニでファ〇チキ買った帰りだったのに!
ふっざけんなぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!
……ふぅ、とりあえず落ち着いた。
この通り何処からどう見ても病院には見えないし、そもそも私自身何でこうなったか分からない。
だが、心当たりが全く無いかと言われれば答えはNoだ。
私がついこの間まで読み漁っていた小説サイトに多くあった神様転生。何らかの原因で死んだ主人公が神によってゲームなどの世界に転生する……というものなのだが、私の今の状態はそれにあまりにも似ているのだ。パターンに種類はかなりあったが、その多くはこんな始まり方だったような気がする。テンプレ乙。
「おお、そこまで知っているとは、話が早い」
突然聞こえた老人のような掠れた声に視線を向ける。
先程まで何も無かった空間には、まさにTHE神様な老人が立っていた。真っ白な髪と髭を生やして、枯木のような杖を持ったお爺さんだ。
どちら様ですか?と言いたいが声が出ない。
……えっと、声が全く出ないのですが私に何かやりました?
「これ、質問を重なるでない。わしが誰かはお主は思っている通りじゃ。声が出ないのはお主が魂だけじゃからじゃ」
律義にありがとうございます。
とりあえずこの老人の出現によりわかったことは、私の身にオカルトじみた現象が起こっているということだ。
そして、『魂だけだから声が出ない』というのは嘘ではないようだ。声を出そうとしても呼吸はおろか、手を握りしめる感覚も、しなければならない筈の瞬きも、止まることが許されない心臓の音すらも。何も感じられない。
……改めて確認すると、こんな狂気的な現象が自分の身に起こっているにも関わらず、冷静に物事を考えている自分がいることに驚いた。
普通なら発狂しても可笑しくないのでは?
「ほっほっほ。人間、自分が理解できない出来事に遭遇すると返って冷静になるものじゃよ。そういうものなのじゃ」
……丸め込まれた感が否めないが、そういう事にしておこう。
とりあえずこの老人の話を聞こう。今の私には何の情報も無い為、今の状況を詳しく聞かなければならない。
こちらの話を聞く姿勢が整ったのを察したのか、神様(仮)は髭に囲まれた口を開いた。
「さて、単刀直入に言わせてもらうが……お主はあそこで死ぬべきではなかった」
神は言っている、ここで死ぬ運命ではないと……なんちゃって。
「…………」
すみません、ちょっとふざけただけです。
反省も後悔もしてます。だからそんな呆れた目をしないでください。地味にメンタルにクリティカルヒットしてるんです。
「……ゴホン、こちら側のミスにより本来より早く『死』が訪れてしまったのじゃ」
咳払いの後、何事も無かったかのように話を続ける神様(仮)。まぁ、私としてもその方が良いんだけど。
つまりここは死後の世界。転生なり何なりをする場所、ということだろう。
「じゃが、お主の魂はまだ生を謳歌仕切っておらん。簡単な話、不完全燃焼というやつじゃ。このまま普通に処理すれば問題が起こる可能性も無くはないからのぅ」
それで、この状況という訳ですか。
「そうじゃ。……おおう、一応、三つだけじゃが転生特典もつくぞぅ」
途中で思い出したのか、そう付け加える。
いや、三つって十分じゃないですか。だけって何ですか、だけって。
というか、ちょっと聞きたいのですが私は何処に転生するんですか?
極々普通の世界で普通に学校行ったりするのも良いのだが、小説にあったように異世界で冒険するのにも憧れる。
……少し子供っぽいな、私。
「そうじゃのう……お主の知識にあったものから選び出したのじゃが、なんというかのう……パワーバランスの崩壊?自然崩壊?」
グッバイ、普通の日常。ハロー、異世界生活。
それにしても、パワーバランスと自然の崩壊か……。 Fate?それともモンハンか?私が知ってるものでそれに当てはまる筆頭といえばその辺なのだが……。
「正解じゃ。これからお主が転生するのはモンスターハンターの世界じゃ」
お、当たってた。
モンハンか、すぐに死ぬ未来が見えるぞ……。なんせ特典を貰えるとはいえ私は引きこもりの部類に入る人間だ。運動神経?そんなの知らん。
「何も、人間に転生するとはいっておらんぞ?種族はお主が決めても構わん」
マジですか。やった。
……いきなりだが、私はモンハンのゴア・マガラというモンスターが大好きだ。
モンスターハンター4のメインモンスターであり、ラスボスの幼体という重要な立ち位置を担うモンスターだ。いいか?幼 体 な ん だ ぜ !?飛竜種と同格、またはそれ以上の巨体であるにも関わらず幼体なんだぜ?
さらに古龍の幼体だが分類は不明。この時点で良い。本気と書いてマジで良い。理由?何かカッコいいじゃん、どれにも加担せず自分の道を歩んでるって感じで。厨二だって?そうですが何か?ロマンがあるよね。
そしてこのゴアさん、成長すると方向性を180度回転させる。なんと月を背負ったかのように白くなるのだ!!成長前は厨二心を擽られる影のような黒と紫の外見が特徴だったが、それが白くなるのだ。控えめに言って最高じゃね?かっけえええええええええ!!
さらに戦闘中に姿を変える。何もなかった頭部に捻れた角を生やし、飛行中以外は地面に触れようがお構い無しの翼を翼脚へと変える。カッコよくない!?
やっぱり戦闘中に姿を変えるのは最っ高のロマンだと思うんだよね!私!
「……そのゴア・マガラに転生したいという訳で良いのか?」
ゴア・マガラについて思いつく点を思い浮かべていると、急に声が掛かった。そうだった。考えていることが分かるのだった、この神様。流石に恥ずかしいな……。
まぁ、私がゴア・マガラになりたいというのは当たっているのだが。
「……と、とりあえず、さっき聞いたことは忘れよう。次は特典についてじゃが……」
それは既に考えています。
ゴア・マガラとして転生するなら、アレは外せないだろう。
一つ目は……
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「……ふむ、行ったか」
『神様』を自称する老人は誰もいない空虚な空間で一人呟く。
思考の中心にあるのは、先程転生した少女が望んだ三つの特典。
「ああ見えて中々に頭は回るようじゃな」
彼女は転生する『器』の問題点を把握し、それを解決する為の特典を望んだ。自分の為ではなく他人への被害を防ぐ為に。
「お主の生が良きものであるように……」
「あ、転生した後は記憶が混濁することがあると伝えるのを忘れておったが……どうにかなるじゃろ」
……神とはいえ、万能とは限らないようだ。