アンツィオVS大洗女子の試合はなんと大洗の圧勝。
撃破されたのがⅢ突のみでアンツィオ車両全車撃破(一両は自滅)ほぼ完封勝ち。
しかも戦車スペックでは最弱クラスの八九式で豆戦車とはいえ敵戦車を5両も撃破という大勝利。
「いやぁ、本当にすごかったね、二回戦。編集部も大洗に注目してるよ」
「あ、ありがとうございます!」
「ところでところで! また来たって事はまた取材ですか!?」
「ああ、今回は圧勝だしベスト4進出だからね。1ページ丸々確保してもらったよ」
「じゃ、じゃあじゃあ! インタビューするメンバーは!?」
「ああ、それは……」
俺は少し長めにためを作り……
「西住さんとⅢ突の代表一人と八九式の皆さんだ」
「なんでよ!?」
「そりゃあ、あの試合で一番活躍したのは豆戦車5両も撃破した八九式だし、セモヴェンテと激戦したⅢ突も注目だし、西住さんは隊長だし……」
「……ううう……私も頑張ったのに……」
いや、通信手をインタビューする事そのものがかなりレアケースだからね?
まあ、とりあえず……
「まあまあ、ではまずはⅢ突の車長の……エルヴィンさん?から……」
「いえ、インタビューなら私ではなくカエサ……たかちゃんにお願いします!」
「たかちゃん言うな!?」
ん? 本名で呼んでいいのか? なら……
「では鈴木貴子さんに」
「カエサルです!」
本当に高校戦車道の人達は聖グロリアーナといい、アンツィオといい、どうしてそこまで渾名拘るのだろうか……
「えー、ではインタビュー始めます。アンツィオ戦のⅢ突VSセモヴェンテの戦いは幼馴染み対決だったと聞いていますがお互いに乗っていることは知っていたんですか?」
「いえ、向こうは戦車のマークで私が乗っていることに気づいていた見たいですが私の方は……」
「アンツィオのカルパッチョさんも装填手ですが、もしかして前々からコツでも教わっていたとか?」
「いえ、ひなちゃ……カルパッチョとは戦車道については特に……でもカルパッチョが装填手だったので自分も装填手をしてみたいと思ったことは否定しません」
「Ⅲ突の砲弾はかなり重いですが大丈夫ですか?」
「はい、始めたては筋肉痛に……しかしグデーリアンや隊長から鍛えるコツを教わり今では大丈夫です」
グデーリアン? 誰のことだ? まあいいか……
「次は恐らくプラウダ戦ですが意気込みをどうぞ」
「カエサルの名の元に! ローマの戦いをお見せします!」
ハゲの女たらしの名の元に言われても……ここはカットだな。
「ありがとうございました。続きまして八九式の皆さんお願いします」
「「「「はい!」」」」
八九式の四人は元気よく挨拶した。
「大洗の戦車道チームの中でも八九式の皆さんは操縦技術も砲撃技術もトップクラスですが、実は経験者だったりするんですか?」
「いいえ! 今年からです!」
「では、どうしてあれほどの技術を?」
「毎日練習を欠かさずにしています!」
「朝の五時から! 夕方の七時まで!」
「バレー部の練習と平行して!」
へ? 朝の五時から夕方の七時まで?
「……授業受けてるよね?」
「はい! 空気椅子で! 中休みやお昼休みもかかさずに!」
空気椅子!? え? お昼休み!?
なに? この娘達……脳筋チーム?
「えっと……八九式の皆さんはバレー部にも所属しているそうですが……ぶっちゃけインターハイのシーズンですけど出ないんですか?」
この質問をすると四人はショボーンとテンションが落ちた……あれ?『もちろん、どっちも優勝狙います!』とか言われると思ったのに……もしくは『……くしくも今年は予選で負けてしまいました……』とかか……
「……現在のバレー部は人数不足で廃部中なんです……」
あちゃ~、地雷踏んじゃったか……
「でも! 戦車道でいい活躍をしたら復活させてもらえることを生徒会と約束しているので、これからも根性出して頑張りたいと思います!」
「ほ、そうですか、部員、集まると良いですね。では最後に隊長の西住さん、お願いします」
「あ、はい!」
これ以上あの脳筋集団にインタビューしてたらバレーボールの話になりそうなので西住さんへのインタビューに即座に変えた。
「アンツィオの隊長、安斉 千代美さんは君とは今回が初対戦でしたが、君のお姉さん、西住 まほさんとは小学生、中学生の戦車道大会でも何度か対戦が見られましたが、姉と同じ相手に勝利できてどう思いますか?」
「えぇ!? アンチョビさん、お姉ちゃんと戦ってたんですか!?」
え? 知らなかったの?
「なら、今回の相手については知らなかったんですか?」
「アンツィオの戦い、機動力をいかしたノリと勢いの戦いは知ってましたけど、お姉ちゃんとの事は……」
「まぁ、安斉さんは君のお姉さんとの対戦は全て惨敗だからね、だけど何度負けても再度挑む姿勢からアンツィオは彼女をスカウトしたらしいよ?」
「はい、アンチョビさんのその姿勢は私も見習いたいと思います」
「アンツィオに圧勝して次はプラウダ戦。君にとっては因縁の相手だけど、どう思いますか?」
「い、因縁だなんてそんな……で、でも……黒森峰のままだったらどちらかと言えばトラウマになっていたと思います……」
「今は違うの?」
「はい、今は大洗の皆で楽しく戦車道ができればいいかなと「駄目だ西住!」……」
インタビュー中に副隊長の河嶋さんが言ってきた。あーあ、ボイスレコーダーに声が……
「我々は優勝しなくてはならん! 絶対にだ!」
前も思ったけどなぜ大洗はそこまで優勝に拘るのだろうか? 少し調べてみるか。
「ではインタビューを終了します。もし決勝進出したら今度は全員から一言コメント貰うだろうから頑張ってね」
この発言をすると取材を受けたがっていたⅣ号通信手の娘が凄くやる気になっていた。
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後日発行された週刊高校戦車道の主な記事
『黒森峰女学院VS継続高校
勝者、黒森峰女学院
隊長、西住 まほだけでなく副隊長、逸見 エリカ、パンター車長、赤星 小梅にも注目! 今年こそが本当の黄金時代か!?
継続高校。運に見放されたか? あっけなく敗北』
『プラウダ高校VSヴァイキング水産高校
プラウダまたも圧勝! 地吹雪のカチューシャ、フラッグ車を狙い打ち!
2連覇可能性大!』
『聖グロリアーナ女学院VSヨーグルト学園
勝者聖グロリアーナ女学院!
クルセイダー部隊の期待の新人ローズヒップに注目!』
『大洗女子学園VSアンツィオ高校
大洗女子まさかの圧勝! アンツィオ新型戦車P40力及ばず。
八九式中戦車甲型。
あの技術の裏には文字通りの血の滲むような努力が! まさに汗と涙の結晶!
Ⅲ号突撃砲F型、鈴木貴子(カエサル)さん曰く「これからもカエサルの名に恥じない戦いを」との事
次回のプラウダ戦、隊長西住みほにとっては因縁の相手。果たして去年のお返しができるのか!?』
準決勝対戦カード
黒森峰女学院VS聖グロリアーナ女学院
プラウダ高校VS大洗女子学園
編集部注目カード
黒森峰女学院VS聖グロリアーナ女学院
ついにぶつかる名門校対決
西住流次期当主西住まほ
対
聖グロリアーナが生んだ天才指揮官ダージリン
この試合の勝者こそが優勝か?
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アンツィオへのインタビュー
「えー、それではインタビューを始めます」
「ははは、はいー!」
「えー、それでは安斉さんは―「ちょっと待て」―ん?」
インタビューを進めようとすると安斉さんに止められた。なんだろう?
「私はアンチョビだ!」
本当に高校戦車道はなぜここまで渾名に拘るのだろうか?
「ああ、スミマセン。君はアンツィオに入る前から編集部では有名だからついね」
これを言うと、安斉さん――いや、アンチョビさんは……
「わ、私が有名!? 西住流でも島田流でもない私がか!?」
「そりゃね、中学戦車道でも注目選手でアンツィオにスカウトされたくらいだし」
西住流に何度ボコボコにされても立ち上がる姿勢から。とは言いづらいが……そういえばそんな感じのマイナーキャラクターがいたような……
「そ、そうなのか……や、やっぱりサインの練習しておこうかな……いや、それは……」
「えっとインタビュー続けても?」
「え? あ! も、もちろんだ!」
「では早速、今回の大洗戦では戦車の偽物を置いて機動力で包囲する作戦だったようですが、なぜ十字路に11枚も偽物を設置したんですか? あの数の多さが原因で作戦が崩れたと思うのですが……」
「あれは私の指示じゃない!? ペパロニのアホが予備の2枚まで置いたせいだ!」
「ああ、やっぱり。CV33の娘達のミスですか。アンツィオは毎回、そんな感じの『~~を~~していれば』という場面が多く見られますがもしかして……」
安斉さんは涙目になりながら答える。
「……はい、うちのアほどもが作戦忘れてノリと勢い任せで突っ走ってが主な原因です……」
あらら~、安斉さんの苦労が想像できてしまう。
「えっと……そんなんで君が卒業しちゃってからは大丈夫ですか?」
「……はい、心配でオチオチ受験勉強への専念もできやしなくて……カルパッチョが唯一まともだと思えば最近たかちゃんたかちゃんと……」
あちゃ~、これは来年以降は大変だ。誰か協力な新人でも入ってくれれば……
「ま、まぁ、審判やスタッフからはアンツィオの試合は終わったら食事会があって人気だから一試合でも多く勝ってほしいと戦車道関係から言われているので、ベスト4いや、優勝めざして頑張ってください」
「ああ! 当然だ!」
「こんなものかな? それではインタビュー終わります(ピッ)。では、俺はこれで」
俺はボイスレコーダーの電源を切って、帰ろうとすると――
「まった! 取材にきた客人をもてなすのもアンツィオ流だ! うちのパスタを食べていけ!」
「え? いや、ごちそうになったら問題になるかもで……」
「すこしくらいならいいだろ? (プルルルル)私だ! 記者の方をお帰りの前にもてなすぞ! 湯を沸かせ! 釜を炊け!」
『『『おおー!』』』
そのあと、僅か十分ちょいでパーティ会場が完成した……
「す、凄い行動力だね……」
「我々は食事のためならどんな苦労も惜しまない。……これが試合にいかされないのが問題だか……」
「あはは、では、いただきます」
「「「いっただきまーす!」」」
そのあと、宴会が続き、俺が編集部に帰ることができたのは四時間後の事だった……
次回はプラウダ戦終了後取材です。
長くなりそう……