次回は優勝後取材になります。
大洗女子VSプラウダ高校
なんと大洗女子学園奇跡的な勝利!
途中に猛吹雪での中断もあったが、本当に奇跡が起きたといっても過言ではない。
「こんにちわー、決勝進出おめでと………!?」
「あ、記者さん」
「こんにちわ」
「こ、こんにちわ……で、ど、どうして風紀委員の方が?」
「ちょっと!? 準決勝見てたなら私たちも試合出てたこと知ってるでしょう!!」
そうだった。大洗女子はプラウダ戦では新しくルノーB1bisを追加していたんだった……乗っていたのが風紀委員だったとは……
「そ、それより、今回は全員にインタビューするんですよね!?」
「え? あ、ああ、うん、本来なら準決勝出場車両の車長と砲手くらいだけど大洗女子は戦車の数がすくないからね。全員からコメント貰わないと足りないから……」
俺がこれを言うと武部さんは――
「やったよ! ついに私がインタビュー受けるときが来たよ! 私、メイクしてくる!」
「あ、なら、私も!」
「私も!」
「あたしも!」
「わたしも~!」
「あいー!」
「あ! こら! 校内でメイクは校則違反よ!」ピピピー‼
いや、コメントもらうだけで写真は撮らないのだけれど……
「と、とりあえず、準決勝でフラッグ車だった八九式の皆さんから今回は一人ずつコメントもらえるかな? まずは車長の磯辺さんから」
「はい!」
「今回はフラッグ車としての試合参加でしたがどうでした?」
「皆の背中を預かるプレッシャーはまさにインターハイ決勝戦のような緊張感がありました!」
「なるほど、では操縦手の河西さん」
「はい!」
「最終局面、ブリザードのノンナと地吹雪のカチューシャの二人率いるプラウダ戦車から――しかも一発当たればほぼ終わりの八九式で逃げ切った事で八九式搭乗員、特に君は他校からも注目されていますが、本当に戦車道を始めたばかりなんですか?」
「はい、私は冷泉先輩にいつもご指導いただいています」
冷泉先輩? たしかⅣ号の操縦手だよな? 確かにⅣ号の操縦技術も高いからな……ひょっとして他の乗り物でも操縦できるのか?
「次に砲手の佐々木あけびさん」
「はい!」
「君は砲手としての腕は大洗でもトップクラスですが八九式という戦車スペックのせいでアンツィオ戦以外ではあまり活躍できていませんが、一部戦車道ファンからはノーコンな38(t)の砲手と交代すべきだ。という意見がありますが代わる気は無いんですか?」
「なんだとっ!? それはどういうことだ!?」
38(t)砲手、河嶋さんが声を荒げていう。だからインタビュー中に大声出さないで。ボイスレコーダーに音が……
「ええっと、どうですか?」
「あ、はい、河嶋先輩と交代する気はありません。それに八九式が……はっきゅんが悪いなんて思ったことは一度もありません。私は……いえ、私達ははっきゅんに愛情をもって乗っているので他の戦車で戦うつもりはありません」
「なるほど。八九式に愛情をですか~、では最後に通信手の近藤妙子さん」
「はい!」
「プラウダ対大洗の最終局面。M3とルノーに守られながら逃げるのには円滑な通信とナビゲートが必要ですが砲撃音の酷い中、大丈夫でしたか?」
「はい、ナビゲートが試合を左右すると思い集中して連絡を取り合ってました」
「なるほど、ありがとうございました。次は敵フラッグ車を見事に撃破したⅢ突の皆さんです。まずは車長の松本さ―「エルヴィンです!」―エルヴィンさんからお願いします」
「心得た」
「プラウダ戦では秋山さんと偵察に出ていた場面がありましたが、今までは秋山さんが他校にスパイに行くことはありましたがもしかしてエルヴィンさんも?」
「いいえ、私が偵察に行ったのは今回がはじめてです」
「ほぅ、はじめてで敵チームにばれずにとけ込めたとはエルヴィンの名にふさわしい策士ですね!」
「ふんっ、伊達にロンメル将軍を名乗っては居ません! それに私は――」
「あ、はい、長くなりそうなので次、フラッグ車を撃ち抜いた砲手の杉山――「左衛門在」さん、お願いします」
「ああ、あと、貴様は勘違いをしている」
「え?」
「プラウダのフラッグ車を撃破したのは私ではなくおりょうだ!」
え? おりょうって、操縦手の野上さんだよな?
「なぜ操縦手が砲撃を?」
この質問にはカエサルさんが答えた。
「Ⅲ突を雪に埋めるために一番身軽で行動が早い左衛門在、エルヴィン、私は外にいたんです。だから仕方なくおりょうに」
「ぜよ」
「え、えーと……で、では今までⅢ突は大洗の最大火力、いわばポイントゲッターとして活躍してきましたが、左衛門在さんが一番印象に残っているのはどのときですか?」
「うむ、やはりサンダース戦での木陰に隠れて撃破したあのときだな。相手の裏をかきやってやったと思ったぞ」
「なるほど、では続いて操縦手の野上――「おりょうぜよ」さん」
本当になぜそこまで渾名に拘るのだろうか?
「大洗でⅢ突は砲頭が旋回できないため操縦手が向きを換えなくてはいけませんがその辺はどうですか?」
「とりあえずアンツィオのCV33がやっていたバック操縦を覚えたいぜよ」
バック操縦か……でもあれは機動力のあるCV33だからできる技だと思うな。Ⅲ突でやったら横からやられて終わりだと思うけど……
「なるほど、Ⅲ突の皆さん、ありがとうございました。では続きましてM3リー……ってあれ? 丸山さんだけ? 他のみんなは?」
「……………」
返事がない。ただのまるやまのようだ……
なんてやってる場合ではなく……秋山さんが答えた。
「あ、あの記者殿、先程武部殿とみんな……」
あー、メイクしに行っちゃったか……
「えー、ではM3リーは飛ばして先に今回初出場のルノーから……って、風紀委員!?」
「えーと、あのときはそど子がすみません」
「すみません」
「あー、こっちもちゃんとアポとらなかっとのが悪いしね。でも百人近い人数で拘束されるのは……」
「すみません……」
「えーとでは車長の園みどり子さんから……って注意しに行ってそのままか……」
「はい……すみません」
「いいよ、なら、操縦手の後藤モヨ子さんからお願いしますね」
「は、はい、わ、わかりました」
「ルノーB1bisは今回が初出場でしたが初出場でいきなり準決勝、しかも相手は去年の優勝校でしたがどうでしたか?」
「はい、操縦も最初うまくいかず冷泉さんに助けてもらったりと大変でした……」
「なるほど、では砲手の金春 希望さん」
「はーい」
風紀委員の三人は三人ともおかっぱ頭で声も似てるから見分けづらいな……
「えっとルノーはデビュー戦でも結局フラッグ車を守ること以外には何もできませんでしたがどう思いますか?」
あ、なんかいやな言い方になった。
「……正直に言えば悔しいです。あっさりとやられたことしか印象にないことも何も出来なかったことも。だからこそ決勝では役にたちたいです」
「そうですか、頑張ってください。では……まだそど子さんとM3の娘達は戻ってないのか……なら38(t)から」
「はいよ~、なんでも聞いちゃって~」
「えっと38(t)の車長?にして大洗女子の生徒会長でもある角谷さんは試合中にも呑気に干しイモを食べているシーンがたまに見られますが……プラウダ戦では見事に敵戦車の履帯を破壊しましたがなぜ正式に砲手をやらないんですか?」
「砲手は河嶋だからね~」
「その河嶋さんはまともに戦車に砲撃が当たったところがありませんが?」
「なんだとー!? 貴様ー!?」
「桃ちゃん、落ち着いて」
「ん~、まあ、西住ちゃんのお陰で隠せてたってのもあるかな? ほら能ある鷹は爪を隠すって言うでしょ?」
「なるほど、では続きまして操縦手の小山柚子さん」
「は、はい!」
「毎試合、38(t)は走り回る展開が多いですが操縦手は大変ではないですか?」
「はい、いつもいつも手が離せなくて大変で……会長はなにもしないし、桃ちゃんの砲撃は当たらないし……」
「なるほど、では――――」
今回大洗女子の取材にきた最大の目的を俺は質問する。
「――大洗女子学園が優勝できなければ廃校になるというのは本当なんですか?」
「な!? なぜ貴様がそれを!?」
「いや、あの試合でもモニターで聞こえていたからね? まあ、断片的なことしか聞こえなかったし、今までの優勝への執着心を見てたし、たぶん編集部で気がついているのは俺だけかな?」
そういうと角谷会長が言う。
「そうですか、ならこの事は記事には……」
「もちろんしないよ。というよりしても誰も興味ないだろうし、しかし、やはり本当なんだね」
「はい、本当です。優勝できなければ大洗女子学園は廃校になります」
「編集部的には大洗女子の優勝はかなりのビッグニュースになるから是非とも実現してもらいたいが……厳しいでしょう?」
「そうですね、西住ちゃんだよりですかね」
「我々の命運は西住に託された!」
「そうですか、ありがとうございました! 続きまして……ってM3リーの娘達はいつまでメイクしてんの!?」
『すみませーん! あと一時間待ってくださーい!』
いや、そんなに待ってはいられないけど!?
「仕方ない、M3はカットしてⅣ号いきます。まずは他のチームからも信頼され名前を聞いた操縦手の冷泉麻子さん……ってあれ? 冷泉さんは? まさかまたメイクしに……?」
「いえ、冷泉さんは……」
「ほら、冷泉殿! 起きて下さい。取材ですよ!」
Ⅳ号の近くで寝ていた……
「……めんどくさい。私のコメントは適当に書いといてくれ……」
「ダメですよ、麻子さん。そんなことしたら捏造されてひどいことになります」
砲手の五十鈴さんはいったい取材にどんなイメージを持っているんだろう……
とはいえ確かに冷泉さんは大洗の中でも西住隊長に続くかなりの注目株だ。インタビューしないわけにはいかないな……
「むぅ、早くしてくれ、手短にな……」
「で、では冷泉さんの操縦手としての腕は大洗トップですがひょっとしてなにか他の乗り物を運転できたりするんですか?」
「は? そんなわけないだろ。戦車だけだ」
「えっと、ではどうやってあそこまでの操縦技術を?」
「教本を読んで覚えただけだが?」
冷泉さんは『何言ってんだこいつ』という感じに坦々と言う。いや、おかしいでしょ。
「おい、あとは?」
「え? ああ、うん、では後輩に結構好感を持たれているようですが――」
「別にどうでもいい」
「あ、そうですか」
ダメだ。取材時間が無駄になる。次へ行こう。
「で、では次は装填手、秋山優花里さん」
「はいであります!」
「君はサンダース、アンツィオ、プラウダとスパイへ行った事で君もかなり有名になってしまいましたが、黒森峰にもスパイにいくんですか?」
「いいえ! 流石に面が割れてしまったので今回はいきません」
「そうですか、では次に君は装填手以外にも操縦、砲撃もこなせる戦車道では珍しいオールラウンダーですが他のチームに入って試合に臨むことはないんですか?」
「それを決めるのは私ではなく西住殿ですから」
「なるほど、これからも活躍を期待してます。続きまして砲手の五十鈴華さん」
「はい」
「サンダースのナオミさんや聖グロリアーナのアッサムさんも君に注目していますが、砲撃の秘訣などありましたら教えてください。ちなみにナオミさんの場合は『ガムをかんで集中力を高める』で、アッサムさんは『紅茶が波を打たないように冷静に』だそうですが……」
「ん~、そうですね、私は華道をしていますのでお花を活ける時のように集中して撃つようにしています」
「ほぅ、華道ですか。乙女のたしなみ華道、茶道、戦車道ですからいいかもしれませんね」
「はい、ありがとうございます」
「では最後に隊長西住さん」
「は、はい!」
「次回は黒森峰女学院戦。君の古巣にしてお姉さんとの対決になりますが、どう思いますか?」
「正直、お姉ちゃんと戦うなんて思ってもいませんでした……私にとってお姉ちゃんは追いかける目標的存在であり、お母さんの次に怖い存在でした。ですが大洗の皆と出会って……西住流とは違う戦車道と出会って、大洗の廃校について知って、廃校になったらせっかく仲良くなれた皆とバラバラになるのは嫌です。だから!」
西住さんは声をはって、いつものように自信なさげなコメントとは全く違う表情で言った。
「お姉ちゃん達を倒して絶対に優勝して見せます!」
その言葉にそこ場にいた全員から自信を持ってついていきます。という感じの表情か見られた。
「わかりました。では決勝戦。頑張ってください! 優勝したら隊員全員の特集号発行になるので取材の時間開けといてくださいね。インタビューを終わります」
俺は早くこのインタビューを編集したくて速攻で編集部へ帰った。
(あれ? 何か忘れているような……)
……。
…………。
………………。
『お待たせしました! さあさあ、なんでも聞いて――ってあれ? 記者さんは?』
『メイク時間が長すぎて待ってられず帰ったぞ』
『なんでよ!? やだも~』
『お願いです! そど子さん! ポーチ返してください!』
『メイクは禁止っていってるでしょ! 規則は守るために――ソドソド』
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後日発行された週刊高校戦車道の主な記事
『黒森峰女学院VS聖グロリアーナ女学院
ついに実現した名門高校対決。しかし戦車性能の差か黒森峰勝利。
聖グロリアーナ女学院、伝統的に新型戦車導入ならずくしくも敗北。
聖グロリアーナのOG会。マチルダ会、チャーチル会、クルセイダー会も流石にこのままでいいのだろうか?と疑問ありの予感……
黒森峰女学院、西住流に従い圧倒的火力で圧倒的な戦いを見せる。
決勝戦ではマウスも参戦か?
extra』
『大洗女子学園VSプラウダ高校
激戦の末に大洗女子学園大金星!
新型戦車ルノーB1bis
検討ならずもフラッグ車を自ら犠牲に守った! その仕事は称賛に値する。
八九式中戦車甲型
ブリザードのノンナと地吹雪のカチューシャ率いるプラウダ戦車達をものともせずに逃げ切った功績はもはや八九式だから弱い等という認識を改めるべきだ!
大洗女子は西住みほのワンマンチームと思われ勝ちだったが認識を改め、人員、個々の実力は間違いなく折り紙つき! 敵との差はやはり数か!?
extra』
決勝戦
黒森峰女学院VS大洗女子学園
西住まほVS西住みほによる姉妹対決。
姉が威厳をみせるのか、妹が下克上をするのか?
西住流王道VS西住流邪道
勝つのはどっち!?
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プラウダ高校への取材
「えー、ではプラウダ高校へのインタビューを始めたいと思います」
「いいわ! 偉大なるカチューシャがなんでも答えてあげるわ!本当だったら去年の優勝を記念したカチューシャの石像も見せてあげたかったけど、ちんちくりんに作られたから見せないけど!」
なるほど、つまり頼んだ職人さんは腕が良かったのか。
「では早速、プラウダ高校はなぜ礼拝堂に隠れた大洗戦車達を一気に畳み掛けなかったんですか? そうすれば勝てたのに……」
「うぐっ!? い、一気に畳み掛けたら見てる方は面白くないでしょ? だから相手にも少し時間を与えてやったのよ!」
「結果、それが原因で負けてしまいましたが……」
「本当は相手を圧倒的実力差で絶望の縁まで追い込んで土下座させてやりたかったんですよね?」
「ノンナ!?」
「なるほど」
「あんたも納得してんじゃないわよ!」
いや、地吹雪のカチューシャの見下したがりは編集部でもかなり有名ですし。
「で、でも! それだけならカチューシャは負けてないわ! 包囲網のあえて厚いところに全戦車を投入してきた度胸やなぜかフラッグ車やかーべたんの位置をよみきったミホーシャの実力はただ者じゃないわ」
ん? よみきった? いや、フラッグ車の情報は……
「あの、カチューシャさん? ひょっとして試合中に大洗のスパイがフラッグ車の情報を偵察してきた事知らないんですか?」
「へ?」
俺は編集部から持ってきた試合映像……秋山さんと松本さん(エルヴィン)がプラウダのジャケットを着用してプラウダの隊員と何かを話しているシーンを見せた。
「ちょっ!? なによ! これ!? ノンナ! ニーナとアリーナを呼んで!」
「かしこまりました」
「え? いや、取材中――」
「うるさいわよ! 今はそれどころじゃないわ!」
カチューシャさんとノンナさんはその呼び出した二人に尋問するために行ってしまったのだった……
この先のニーナ、アリーナへの尋問とカチューシャの石像がみたい人はスピンオフ『もっとらぶらぶ作戦です!』を見てください。