ハイスクールD×D 第0宇宙の破壊神   作:オラオラドララ

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自分、アプリのドッカンバトルってやつやってるんですよ。それで、現在ドラゴンボールヒーローズとのコラボが開催しておりまして……。ヒーローズやってないからキャラに関しては詳しいことは分からないですが、一つ言えることは、時の界王神が美しすぎた。しかも、何かリアス達に勝るくらいの巨乳だった。いや、マジで。

それではどうぞ。


第22話 襲撃

三人称side

 

会談を進めていると、突然、世界の時間が停止する。時間が停止したということは、ブラン達でも理解出来ていた。だが、何が原因なのかは知らない。その原因を聞こうと思ったが、イッセー達やアザゼル達はその正体を知っているようだった。

 

「な、何だこれ!?朱乃さんや会長まで止まってる!?」

 

動けているのは、三大勢力のトップと、その護衛。そして、赤龍帝を宿すイッセーと、彼に触れていたと思われるリアスだけであった。

 

「これは、あのハーフヴァンパイアの『停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)』だな。どうやら、無理矢理禁手を発動されたらしい」

 

アザゼルがそう言う。話によると、どうやらこの時間停止はリアスの眷属の一人が発動したものらしく、その力を使う本人は、自分の力を扱いきれていないとのこと。だからか、会談には参加せず、護衛にはこの場にいない小猫に任せ、旧校舎の方に置いてきたのだ。

 

「じゃあギャスパーが敵の手の内に!?……私の大切な下僕を道具のように好き勝手使うなんて、許せない!万死に値するわ!!一体誰がこんなことを!!」

 

「なら見ろよ、窓の外を」

 

憤慨するリアスとその他に向け、アザゼルが窓の外を見るように促す。外を見ると、黒いローブに身を包んだ集団が学園を取り囲んでいた。味方とは言い難い、如何にもこちらに殺気を向けていた。

 

「アイツらがギャスパーを……クソッ!」

 

「フフ、なら建物ごとその眷属も吹き飛ばせばいい。その方が事件解決だって楽だろう」

 

「んだとテメェ!!」

 

今度はヴァーリがイッセーを煽る。ブランだけでなく、ヴァーリにまで怒りの矛先を向ける彼をサーゼクスが止め、ヴァーリはアザゼルが嗜める。そんな中、何故こんなことが起きたのか疑問に思うサーゼクスがアザゼルに問う。

 

「まさか、アザゼル……神器使いを集めていた理由というのは……」

 

「あぁ、アレに備える為だ。アイツらは『禍の団』っていう、三大勢力の反逆者達を集め、平和を嫌う、戦争を引き起こしたいっていう古臭い考えを持つ奴らさ。そして、そのトップに君臨するのが……無限の龍神だ」

 

「何!?」

 

その言葉にサーゼクスだけでなく、ミカエルやリアス達も驚く。だが、イッセーはオーフィスがどういう者かよく分かっていないので、首を傾げる。

 

「無限の龍神……世界最強の龍神で、お兄様や二天龍だって敵わない存在よ」

 

「そ、そんな奴がボスなんですか!?」

 

イッセーは度肝を抜かれたような驚きを見せるが、ブランはそれを見てため息を吐いた。

 

(そいつ……ここにいるんだけどな)

 

気を読めないと不便すぎると改めて思ったブラン。ここまで近くにいるのに気づかないとは、連中がどれほどオーフィスと関係が薄かったのか、気のコントロールを熟知していないのかがよく分かる。

 

一方、会談に飽きたのか、後ろからブランのツンツンした髪を興味津々に触って遊ぶオーフィス。

 

「ししょーの髪、面白い。ツンツン、わっくすやった?」

 

「お前ワックスって知ってんのか。いや、覚えたのか?まぁいいや。ワックスなんてやってねーよ。自然だ自然」

 

話を戻そう。リアスの眷属が力を扱いきれないというところに、目をつけたのか、禍の団が彼を襲った。

 

(ヴァンパイア…吸血鬼……地球には色々な生物がいるんだな。リサーチ不足だったぜ)

 

ブランは心の中で呟くが、重要なのはそこではない。今重要なことは、この時間停止を誰が起こしたのかということだ。それが分かった今、ブランがやることは決まっていた。

 

(おい、レム。『銀河パトロール』に通報しておけ。いつでもそいつを取り押さえられるようにな)

 

(はい、了解しました)

 

念話を送って、他の者に悟られないようにレムギットに話す。勿論、先代やオーフィス、ティアマット達にも伝達は忘れない。とはいっても、先代は特に何もする気はなさそうで、ブランやレムギットに任せるつもりのようだ。

 

宇宙において、時間のコントロールは重罪である。破壊神であるブランでさえ、時を越えたりすれば罰を与えられるくらいの重さだ。破壊するのはブランの仕事だが、捕まえるのは違う。こういう場合、動くのは銀河パトロールなので、ブランは動かないのだ。

 

「ブラン様、先代様、どうやら揉め事らしいので、終わるまでケーキでもどうでしょうか?」

 

「気がきくのうレムギット。有り難くいただこう」

 

「いや、俺はいい。後で食えばいいし、コイツらに食わせてやれ」

 

ブランはケーキを遠慮する。了承したレムギットは杖からケーキを出すと、先代ブランにまずケーキを渡し、その後ブランの代わりにオーフィスとティアマットにケーキを譲った。

 

「勿論、お二人の分も用意しております。はい、どうぞ♪」

 

「ありがとうレムギットさん」

 

「ケーキ、ケーキ!」

 

礼を言うティアマットと、喜んでケーキを受け取るオーフィス。フォークを片手に持ち、レムギットに用意された椅子に座って食べる。至福のひと時といえばいいのか、とても笑顔である。だが

 

「おい、何でそんなに呑気なんだよ!テロが起こってるんだぞ!」

 

自分にとって神経を逆なでするようなことばかりするブランに対してイッセーが怒号を上げる。他の者も、訝しげに睨む感じの態度であるが、ブランにとっては無視してもいいことだ。だが、このまま騒がれるのもどうかと思うので、仕方なく返事をする。

 

「俺には関係ないことだ。それに、眷属が捕まっているなら、俺に構ってる余裕なんてないと思うが?」

 

「くっ……分かってるんだよそんなことは!!俺が言いたいのは―――」

 

「だったらさっさと行けよ……こっちは面倒な事起こすなって言って、わざわざ忙しいのに会談に参加してやったってのに…起こされた被害者なんだからな…そんなお前らに俺を責める権利はない」

 

そう言われ、口を紡ぎ悔しそうにするイッセー。リアス達も同様であり、まずはテロリスト達の対処を優先するのであった。

 

因みにブランが眷属の救出をイッセーに促せたのは、単なる情ではなく、時間停止をする人物の顔を確認する為なので、決して温情ではない。

 

「ヴァーリ、お前はあの魔法使いどもを蹴散らせ。肩慣らしくらいにはなるだろ?」

 

「ふむ、少々物足りないが……いいだろう」

 

『Vanishing Dragon Balance Breaker!』

 

アザゼルの命令されるがままにヴァーリは窓の外へと出ると、神器である『白龍皇の光翼』を煌めかせ、白い鎧を纏うと、外にいる魔法使いの集団を一気に散らしていく。

 

「すげぇ……!って、そんなこと言ってる場合じゃない!部長、ギャスパーは俺が助けに行きます!」

 

「いや、私も行くわ。ギャスパーは私の下僕……責任を持って取り返す!それに、部室に保管してある使われていない戦車の駒でキャスリングすればすぐに旧校舎に行けるわ!」

 

リアス達の言葉にサーゼクスも賛成のようで、グレイフィアの処置でキャスリングの転移で転移できる人数を増やし、そうすることでイッセーとリアスの二人同時に転移が可能となった。

 

(そういえば、赤髪は保健室で眠っている金髪女のことはどうするんだろうな……まぁ、それは多分、トップの護衛に任せるつもりか。それとも、狙われるはずがないと踏んで後回しにしているのか、単純に忘れているのか……いや、流石にそれはないか)

 

ブランは茶を飲みながらリアスを見て考察をする。だが、幾ら自分が考えたって何か変わるわけでもないし、助言する意味もないと判断してすぐに視線を外した。

 

「よし、赤龍帝、これを持ってけ」

 

「なんだこれ……腕輪?」

 

アザゼルがイッセーに渡したのは、2つの腕輪のようなものだった。どうやら、力を抑えることのできる代物で、時間停止で暴走を起こしているギャスパー用にイッセーに渡したようだ。そして、それは対価を支払わずに禁手も出来るようで、まだ禁手に至れていないイッセー用としても使える。

 

「サンキュー!部長!俺達も行きましょう!」

 

「えぇ!」

 

有り難く受け取ったイッセーとリアスは、ギャスパーを助けに行くために、生徒会室を転移で出ていき、旧校舎の方へと向かっていく。こんな時だというのに、未だ呑気にケーキを食べているブラン達を睨みつけながら……。

 

「我々も行こう。だが、時間停止で動けない者もいる。グレイフィア、保健室にいるアーシアくんの回収を。セラフォルー、君はソーナくん達の護衛を」

 

「ガブリエル。私達も行きますよ」

 

「はい!」

 

サーゼクス達も禍の団に対して迎撃を行おうと動き出そうとする。しかし、部屋の隅になにやら魔法陣が展開され、その紋様に彼らは驚く。

 

「サーゼクス様!これは!」

 

「これはレヴィアタンの魔法陣……まさか!」

 

そこから現れたのは、カテレアだった。予め、ヴァーリから会談の情報を聞いてきたカテレアはこれを機にトップ達を一網打尽にしようと誓い、ついに彼らの目の前に姿を現したのだ。

 

カテレアは薄く笑うと、サーゼクスとセラフォルーを中心に視線を移し、不快に思いながらも挨拶をする。

 

「ごきげんよう、現魔王サーゼクス殿、セラフォルー殿。そして、アザゼル、ミカエル」

 

「カテレアちゃん!」

 

「カテレア……これはどういうつもりだ」

 

「勿論…貴方方を滅ぼ……滅ぼ……ん?…………んん!?」

 

意気揚々と現れたのはいいものの、サーゼクスやセラフォルーよりも目がいく人物を発見してしまう。そう、オーフィスだった。

 

(ちょっとぉぉぉぉぉっ!!?な、何でオーフィスがいるのよぉぉぉぉぉっ!!?それにあ、あれは……先の戦争に現れた破壊神!?なんで、なんでこんな奴までここにいるってのよ!?ハッ、白龍皇……まさか貴様ッ!!)

 

視線をぶつけるようにカテレアは窓の外のヴァーリを睨む。だが、まるで知らないふりをするかのようにヴァーリはカテレアを見ようとしないことで、疑惑が確信へと変わった。

 

(コイツ隠していたのか!!単なるルシファーの末裔で……神滅具を持っているからといって図に乗るんじゃないわよクソが!!誰よこんなの仲間にした奴!!?そうよ、私達よクソ!!)

 

「あぁーえっと、その……」

 

「?」

 

突然現れ、何故か動揺を見せるカテレアに対して疑問符を浮かべるアザゼル達。はっきり言って、破壊神と組んだら勝てるわけがないと思ったのか、一瞬『撤退』の選択肢も頭に浮かぶカテレア。

 

すると、だらだらと冷や汗を流しまくるカテレアの心情を察したのか、ブランがお茶を飲みながらカテレアに話しかけた。

 

「あぁ、勝手にやってていいぞ。俺はお前らに手を出すつもりはないから。逆に手を出してくるなら正当防衛させてもらうけど」

 

「「「「「!?」」」」」

 

何故、こんなにも近くに敵がいるというのに何もしないのか。幾ら何でもおかしいと思った全員。それを代表するかのように、アザゼルが眉間にしわを寄せながら問う。

 

「おいアンタ、本当に一体どういうつもりだ」

 

アザゼルが苛立ちを含む声でブランに話しかけた。自分達の意にそぐわない行動や言動ばかりを放つからか、他の者はブラン達を完全に敵視している。そして、ブラン達がテロリストの仲間なのではないかとも疑っている。

 

だが、そんな目を向けられていても何も感じないのか、ブランは淡々と返した。

 

「はぁ?お前何言ってやがる。コイツは所謂、お前ら三大勢力……特に悪魔側が生み出した問題だろ?お前らの同盟なんか組む気なんてさらさらない俺が、わざわざお前らの助けになるとでも思ってるのか?正直、お前らがここで引き分けになって死んでくれれば、俺がお前らを破壊する手間が省けて助かるし、むしろ好都合じゃあねぇか」

 

(チッ、コイツ……!!)

 

そもそもブランが彼らを手伝う義理がないので、自分から手を出すことはない。それを聞いたお陰か、少しだけ緊張が和らいだカテレアがオドオドしながら聞いた。

 

「あぁ……あの、では……手は出さない……ということでよろしいのでしょうか……?」

 

「あぁ、破壊神は嘘をつかない。安心しろよ」

 

(どの口が……先程はリアスとイッセー君達の仲を引き裂こうとしたというのに……!!可愛い僕の妹とその眷属を傷つけた貴様は万死に値するぞ……!!)

 

先日、リアスを傷つけられたことへの怒りが強いサーゼクスは、この会談を通して更にブランへの怒りが増していた。

 

「だが、それは外でやれ。埃が舞うとケーキに汚いものが付着するからな」

 

シッシと右手を振って追い払うような仕草をすると、カテレアは言われるがままに窓の外から飛び降りる。そして、それを追いかけるかのようにサーゼクスではなく、アザゼルがカテレアを追いかけた。

 

「カテレアちゃん……どうして……!」

 

どうしてこんなことをするのか意味が全く分からないのか、セラフォルーが悲しそうに呟く。だが、それを見てティアマットは容赦なく言葉をぶつける。

 

「はあ?どうしたも何もないでしょ。アンタ達の意思に歯向かったカテレア達旧魔王派が遂に動き出した……それだけのことでしょ?」

 

「それだけ……それだけだというのに、何故ここまで……!テロを起こすことに何の意味がある!?」

 

今度はサーゼクスが怒りを込めるようにぶつけるが、ティアマットは呆れるようにため息を吐く。

 

「アイツらにとっては、それだけの意味があるってことよ。でなきゃ、こうまでしてテロなんて起こさないし……それにサーゼクス、あなただっていつかはこうなるんじゃないかって、本当は分かってたんじゃないの?だって、旧魔王派を追放し、迫害してきたのは貴方達現代魔王じゃない、サーゼクス」

 

「そ、それは……彼等にも他に道があるんじゃないかと、私はそう思って……!」

 

「サーゼクス、アンタは最善の魔王かもしれないけど、決して最高の魔王ではなかった。この件は完全にあなたたち四大魔王の落ち度……それに、上に立つ者としては、甘すぎるのよ。その甘い考えがこのテロ事件を引き起こしたといってもおかしくはない。カテレア達旧魔王派がどれだけ悪魔の伝統を重んじているかは、あなただって知ってるはずなのに、まさか彼らを野放しにするだなんて普通はしない。少なくとも私はしない。平和の為にとか、悪魔の未来の為にとか戯言を抜かす暇があったなら、まずは自分達の負の遺産をどうにかしなさいよ……何事も綺麗事で済まされないことがあるんだから」

 

「くっ……!」

 

ティアマットに呆れたように返されたサーゼクスは唇を噛み締めながら俯く。魔王といっても、サーゼクスは優しい悪魔と言われる程の人格者である。悪魔を統べる王ではあるが、情愛に満ちている彼は、冷酷になりきれず、旧魔王派を殺しはしなかった…というよりも、殺せなかったのだ。

 

(平和ってのは、多くの犠牲を払って成り立つ場合が多い。実際、破壊神の仕事も、人間という多くの犠牲を出して宇宙という大きな物を守っている存在のようなものだ。皮肉にも、そうやって世界は回ってしまっている……残酷だよ、ホントに)

 

優しいだけでは、守れない物があり、解決できるものも解決出来ない。時には非情にならなければならない。サーゼクスのことを、『元から優れた力はあったというのに、それをうまく使いこなせなかった可哀想な人物』と心の中で称するブランもそれを分かっているのか、サーゼクスに対して哀れみの視線を向けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから少し時間が経った現在。外の状況を説明しよう。結果から言うと、カテレアは死んだ。彼女はアザゼルに戦いを挑んだのだが、彼が纏った人工神器によって苦戦を強いられた。だが、予めオーフィスから受け取った蛇を使ったカテレアはパワーアップ。

 

だが、それでもアザゼルとは互角。なかなか拮抗から抜け出せないカテレアは、最終手段として自爆を図った。アザゼルの腕に巻きついた伸びたカテレアの腕により、逃げられない状況へと陥ったが、アザゼルが自身の片腕を切り落としたことで、カテレアの自爆は総督の腕を失うだけで終わってしまった。

 

そして、ギャスパーと小猫を取り戻したイッセーとリアスも校庭へと戻ってきた。アーシアも回収し、ギャスパーの時間停止も収まったことで、ソーナや朱乃も動き出すことが可能となり、残りの魔法使い全てを一掃。

 

「よっしゃ!これで終わ―――」

 

イッセー達も参加したことで、予定よりも早く事件が解決したと思われた。だが

 

ドォォォォォォォォォン!!

 

誰かが空から落ちてきた。落ちてきたのは、先程カテレアと戦闘を行っていたアザゼルだった。

 

「チッ、このタイミングで反旗かよ……ヴァーリ」

 

その言葉にイッセー達は上を見上げる。そこには、鎧を纏ったヴァーリが倒れるアザゼルを見て笑っていた。

 

「悪いなアザゼル。こっちの方が面白そうだと思ってな」

 

「俺は『強くなれ』とは言ったが、『世界を滅ぼす要因だけら作るな』とも言ったはずだぞ。まさか、お前もオーフィスに下ったのか?」

 

「いいや、俺自体、世界の覇権には興味がない。だが、魅力的なオファーをされてね。『アースガルズと戦ってみないか?』なんて言われては、自分の力を試したい俺としては協力せざるを得ない。和平が成立すれば俺が戦う機会も減ってしまうだろうしな」

 

このタイミングで反旗をひるがえしたヴァーリは、アザゼルを倒すと、次に新校舎の方へと目を向ける。

 

「本当は兵藤 一誠とも戦う予定だったが……今この体力が有り余ってる状態で、俺が戦いたいのは……奴だ」

 

「まさか……やめろヴァーリ!!」

 

『やめろクソガキィィィィィィィィィィッ!!』

 

察したのか、アザゼルだけでなく、神器の中にいるアルビオンですら、ヴァーリをクソガキと罵り、やめさせようとするが、ヴァーリは容赦無く旧校舎に向けて魔力弾を放った。

 

ドガァァァァァァァァァァァァァン!!

 

向かっていった魔力弾は、旧校舎にぶち当たると、衝撃音が響く。そして、旧校舎はその衝撃に耐えきれず、崩壊する。つまる所、中にいるブラン達は瓦礫の山の下敷きとなってしまった。

 

『クソッ……終わった。終わった……!!』

 

アルビオンは酷く狼狽するが、これまでボロクソと言われてきたイッセー達からすれば、『ざまあみろ』と言いたげな顔をしている。だが、校舎の瓦礫を押し退いて出てきたのは、無傷のブラン達だった。

 

「む、無傷!?」

 

ヴァーリ如きの攻撃で傷が付く彼等ではない。瓦礫を全て吹き飛ばして現れたブラン達は、ヴァーリに攻撃させられたことよりも、よほど気になることがあったのか、顔が強張っていた。

 

「レム……これは、マズいな」

 

「えぇ、そうですねぇ」

 

ブラン達の傷は一つもない。だが、建物が崩れたことで、おかわりとして食べていたケーキがぐちゃぐちゃになって地面へと落ちていた。

 

「これは……儂のケーキか……」

 

そう、寂しそうに呟くのは先代ブランだった。瓦礫を退け、彼の日の前では自分の口に運び込まれる筈だったイチゴショートケーキが無残な形でばら撒かれていた。

 

「ま、待てジジイ!落ち着け!!な!?」

 

肩を掴んで落ち着かせようとするブラン。だが、それでも先代ブランはブランには目を向けず、代わりにあたりを見渡す。そして、自分を興味津々に見る眼差しの正体……ヴァーリを発見し、彼がこれをやったのだと確信した。

 

「……儂は、他の破壊神に比べれば温厚な方だと自負しておる。人は誰でも過ちを犯す……それに対して謝罪をし、相手は許す。人間も神も、みんなそう。儂もそうじゃ……それを分かってるからこそ、ふりかかった間違いに二度は許す……そう決めておる」

 

静かにそう呟く。だが、突如彼の髪が逆立ち、明確な怒りをその場にいる全員に示した。

 

「だが、どうしても許せないことが一つだけある。それは……食事の邪魔をされることじゃ」

 

「「「「「!?」」」」」

 

ただ、食事の邪魔をされただけの怒りだというのに突然、ゴゴゴと地響きが鳴り響く。先代ブランは表情が強張ったまま動かないというのに、大気や地面は揺れている。それだけだというのに、ブランやティアマットはギョッとなって驚く。

 

オーフィスとティアマットも、その力の大きさに震えているのか、安心を得るためにお互いの手をギュッと掴んでいた。

 

「化け物か……!」

 

「こんなのありえないよ……!」

 

サーゼクスやセラフォルーは『勝てない』ということを今やっと確信した。先代ブランの力はブランにも計り知れないものだ。彼でさえ、先代の本気の本気を引き出せたことはない……だからこそか、ブランも今回ばかりは相当焦っていた。

 

「待てっつってんだろジジイ!!」

 

ブランが叫ぶも、聞く耳持たずの先代。このままでは、地球が地割れを起こし、やがて真っ二つになるのも時間の問題だ。それを悟ったのか、もうダメかと思った……その時。

 

「いけません!」

 

「ガッ!?」

 

先代ブランがうなじ辺りに衝撃を感じたのか、倒れて気絶した。彼に衝撃を与えて気絶させたのは、レムギットだった。地響きが収まり、安全は確保されたのか、ブランは一息吐いて汗を拭う。

 

「レ、レム……助かったぞ。危うくこの場が地獄に成りかわるところだった……」

 

珍しく焦りから九死に一生を得たかのような安心感に満ちるブラン。ティアマットとオーフィスもガタガタと震えていたが、地響きが収まった途端、何とか落ち着きを取り戻す。

 

「あの破壊神を鎮めた……?」

 

「そういえば、先の戦争でも居たが、何者なんだあの女……?」

 

先代ブランの怒りを無理矢理だが鎮めたレムギットを見て、彼女の正体について疑問を抱く一同。だが、ブランの心臓の鼓動は未だに収まっていない。

 

(し、心臓に悪いんだよクソッ……ここに連れてきたのはいいが、なんでこうもバカが多いんだ……!!)

 

「チッ!」

 

もう一度、先代ブランがヴァーリを見れば今度こそ何をするか分からない。ブランがやるべきことは一つだった。彼はヴァーリに目を向けると、空を飛んで彼の目の前へと現れた。

 

「ジジイじゃあ、この地が死んでしまうかもしれねぇからな。仕方ねぇから俺が相手してやるよ」

 

「ふっ、やっとこの時が来た。破壊神に相手をしてもらえるなどこれほど嬉しいことはない。俺の力がどこまで通用するのか、試させてもらおう」

 

嬉しそうに笑うヴァーリ。ブランにとって、ここまで自分に喧嘩を売ってくる奴は初めてだった。以前、悟空はブランにお願いをするように頼んで勝負を挑んできたので、それはまだ許容範囲だ。

 

未知の力に対して自分の力を試したいと思う気持ちはブランでも理解出来る。だが、今回のはまるで、挑発されるかのように、無理矢理引きずられたような戦いへの介入であり、不快になる一方だ。以前、一撃で倒したというのに、ヴァーリはブランとの本当の実力差を理解しておらず、自分の思うままにブランに戦いを挑む。

 

はっきり言って、それは勇気でも何でもなく、『無謀』としか言えないのだ。

 

「お前TPOって知ってるか?time()place(場所)occasion(場合)の頭文字を合わせたもの。この地球の言語の一つの英語ってやつらしいが、なかなか感心できる言葉だ。時と場所と場合に応じた対応、言動、服装を合わせるって言葉なんだが……今、お前は避けられるはずの最悪の結末を避けられなかった。この意味、分かってるか?」

 

「悪いが、俺はそんな言葉知らなくてね。戦いさえ出来れば、そんなことはどうでもいいのさ」

 

「……あっそ」

 

「フフ、さぁ見せてくれ!破壊神の力というものを!」

 

あの時のようにただのワンパンでやられるつもりはないのか、やたらとリベンジに燃えているヴァーリ。だが、ブランが取り出した得物を見て、ヴァーリは先ほどの喜びから一変して激怒した。

 

「……!?おい貴様……ふざけているのか!?」

 

「ん?全くふざけてねぇよ。生憎、これ以下の武器は持ち合わせていなくてな。まぁ、これで十分だろ」

 

ブランがブンブンと振って感触を確かめる『ソレ』は、周りからしたら、とても武器とは言い難いものだった。戦いというものをナメているとしか言いようが無いソレを、ブランは少し満足そうに見つめてニッと笑う。

 

「いやー……結構振りやすいな、この『木の枝』は」




割と原作省いた所もありますが、ギャスパー救出などは全く同じなので書く必要もないのでまとめました。重要なのはヴァーリですから。

ビルスがピッコロ達に箸で勝てるなら、木の枝で勝てる筈……脆くても気の応用でどうとでもなる。

あと、カテレアは普通に死ぬ。別にここは改変する必要がなかった。

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