オッス、オラナッパワクワクすっぞ。
大将とかそういうカッコイイのとまでは言わないが、大佐とかそういうのになるのかなと思ったら海軍っていっぱい階級があったぜ。
軍だもんな、納得。
でもって、何個あるのっていう海軍支部の中の下っ端である中でちょっとだけ上の中佐になった。
もう少しで大佐だな。
海軍は実力がアレばスピード出世出来るって話だから、早く出世したいぜ。
「暇だ……」
東の海、そこは最弱の海と呼ばれる場所。
ぶっちゃけ一般常識の反映された場所であり、普通の海賊がいるくらいだ。
少なくとも斬撃とかパンチを飛ばしたり、悪魔の実がバーゲンセールじゃない。
ドラゴンボール風にいうなら、レッドリボン軍が調子に乗ってる程度の場所だ。
海軍支部は200くらいあるらしく、偶に海賊を捕まえたよっていう賞金稼ぎが訪問するくらいだ。
それ以外は、訓練とパトロールと住民対応が仕事である。
「ナッパさん!山賊が出たって報告が!」
「なんだって、よしお前ら行くぞ!」
偶に住民から殺人事件が起きたとか、山賊や盗賊が出たとか聞くと警察のように馳せ参じるのも仕事である。
この世界の海軍は警察や陸軍も兼ねているのだ。
「か、海軍だぁぁぁぁ!」
「ヒャッハァァァ!良い山賊は、死んだ山賊だけだ!」
サクッと飛んでいっては小悪党を虐殺して事件を解決する。
別に捕まえてもいいんだけど、連れてくのが面倒なのでぶっ殺している。
大丈夫だ、犯罪者に人権はないから罪には問われない。
流石にやり過ぎじゃとか言う海兵には、お前それ赤犬大将の前でも言えんの?と聞くのが最近のトレンドだ。
オッス、オラナッパワクワクすっぞ。
今は、訓練を任されたナッパである。
上司がお前強いから他も強く出来るだろう、みたいな暴論で俺を任命したのだ。
鬼教官ナッパである。
「知ってるか、人は空を飛べるんだ」
「ナッパさん、何言ってんだよ」
「斬撃だって飛ばせるんだぞ、グランドラインじゃ常識らしい」
「ナッパさん、アンタ疲れてんだよ」
「世の中には睨んだだけで人を倒したり、物を気合で丈夫にしたり、気配を読んで避ける技術があるんだ」
「ナッパさん、今日は休め」
同僚が、俺の話を信じてくれてなかった。
おかしい、俺のワンピース知識を惜しげも無く披露してやってるのに、まるで可愛そうな奴を見る目で見られた。
これはあれか、優しすぎるのかもしれない。
男は言葉じゃない、拳だ。
「もういい、肉体言語だ!」
「ら、乱心だ!教官が、乱心したぞ!」
「行くぞ、オラァ!」
この後、滅茶苦茶乱取りした。
オッス、オラナッパワクワクすっぞ。
君の指導は人類には早すぎるという理由で俺は教官の地位を剥奪された。
いや、打たれ強さはみんな身についたと思うんだがなぁ。
何人か、心の声が聞こえるとか言って病んでる奴も居たけど俺のせいじゃない。
それは覇気ってやつに違いないって言ったんだが、退職してしまった。
「最近の若いのは軟弱だよなぁ……」
「ナッパ、さん。そう言えば、あんた何歳だよ」
「俺ってば何歳だっけなぁ……」
今はこの世界の人間は気が使えるのかと訓練中だ。
取り敢えず、軽く気を滾らせて触れされてみたのだが泡拭いて気絶したりする。
起きる度に薄く張った気に接触させて耐性を付ける訓練だ。
気に触れているだけで、気を感じることが出来る……はずだ。
「ナッパ君、ちょっと」
「うっす」
「最近、君の顔を見るとストレスで気分が悪くなるものが居てだな。別の支部に移ってもらえないか?」
ある日のことだ、俺のお陰で最近みんな気絶しなくなったなと思ったら上司に呼び出しがかかった。
そんな、ウソダドンドコドーン!と言いたい気分になったが、俺はこれでも王族に仕えていたくらい社畜である。
上司の命令は絶対、なので命令を聞くことにした。
そして移動することになった場所は第77支部という場所だ。
ここは東の海の精鋭が集まるエリートの支部らしい、やったぜ。
「君がナッパ君だね、噂は聞いてるよ」
「あんた、俺と声がそっくりだな」
「ハハハ、確かに似ているな。しかし、海軍でこれからやっていくなら上司にアンタなんて言ってはいけないよ」
俺の配属先に居たのは、プリンプリン准将というふざけた名前のオッサンだった。
ここはエリートの支部、最初は厳しいと思うが頑張れとか超上から目線の発言に、お前が頑張れとか言いたい。
そして、これから配属される仲間達の元へと連れてかれた。
「オッス、オラナッパワクワクすっぞ!階級は支部中佐だ、よろしくな」
「ほぉ、威勢のいい新入りが入ったな」
「趣味はクンッ!だ」
挨拶代わりにクンッ!を披露した。
俺の周囲に亀裂が走り、小規模ながらクレーターが出来る。
おぉぉぉという言葉を期待したのだが、出てきたのはえっ……っていう言葉だった。
「な、なんだね今のは」
何だか新しい上司や同僚にビビられた。
まったく、世界は俺にとって脆すぎるぜ。
オッス、オラナッパワクワクスっぞ。
最近のマイブームは小舟に乗っての単独パトロールだ。
ナッパさんは訓練とかいらないよねが、ウチの支部の共通認識になっていた。
そんなんだから、海賊狩りが捗る。
「せ、船長!小舟がすごい速さで進んでます!」
「な、なんだと!?ぶ、ぶつかる!」
「なんかハゲが、ハゲが現れたぞ!」
「海兵だ、制服を来てる!皆、出会え出会え!」
小舟を突撃させて、そのまま甲板に乗ったらボコボコにする簡単なお仕事である。
舞空術の汎用性の良さよ、便利すぎだろう。
「俺は――」
「首から上だけあればいい」
シュバッと手刀で切断して、賞金首の首を手に入れる。
無用な殺しは面倒なので、他の奴らは海に叩き落として、そのまま生首片手に拿捕した船を支部に持ち帰る。
船に罪はない、リサイクルだ!
「准将!プリンプリン准将!手柄首ですぜ!」
「う、うん。あの、海軍って民間人を守るのが仕事であって海賊を殺すのが仕事じゃないんだよ」
「分かってます、船を拿捕する次いでですぜ、へへへ」
「ついでで殺しちゃったよ……うん、報告書出してね。懸賞金も出すから」
最近、賞金稼ぎよりも稼ぎに定評がある俺である。
上司に褒められ、船を手に入れ、そして50万ベリー前後の臨時収入でウハウハな毎日を送っていた。
東の海はまさにパラダイスだぜ、賞金首がだいたい10万くらいだからな。
戦闘力で言えば10くらいなのに、桃白白が殺し屋やってた理由が分かるぜ。
報告書を出した俺は、同僚を連れて最近見つけた海上のレストランに向かう。
名前は忘れたが、腕のいいコックがいるレストランだ。
「しまった、豚と豚で被ってしまった」
「俺は火力発電所、うぉぉぉぉ」
「うーまーいーぞー!」
同僚と偶に食事をする、平和な生活を過ごしていた。
だから、俺は知らなかったんだ。
まさか、あんな悲劇が休暇中にあったなんて……。
俺が同僚と支部に帰ると、そこは火を突いたような大騒ぎだった。
どったの?えっ、准将が消息を絶った?
精鋭部隊も消えたって、どういうことだってばよ。
「パトロールに行くという言葉を最期に准将と連絡が着かない」
「おいおい、海賊にやられたのか?」
「最近、海軍支部が海賊に襲われたって噂もあるし、まさかな」
パニックになる支部、他の支部の大佐とかが海賊に襲われたとか色々あったらしい。
ふーんって感じで、別に気にしないのはサイヤ人特有の冷酷な性格だからだろうか。
「おい、こういう時はどうするかマニュアルにはなんて?」
「えっと、次に階級が高い人物が本部に連絡するんだ」
「それって誰だ?」
「えっと……アンタだよ!」
その日、俺は暫定的に支部を任されることになり大佐に就任した。
なお、本部に連絡したら了解ってだけで終わりという塩対応。
人の命が軽いって分かんだね。